聖女になりたいのでしたら、どうぞどうぞ

しゃーりん

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セレンティナはもう思い残すことはないと眠りにつくことを望んだ。


(リリスティーナ様、ありがとうございました。セレンティナをよろしくお願いします。)

(ええ。任せてね。あなたに会えて嬉しかったわ。)

(私もです。リリスティーナ様に守られている今が一番幸せでした。さようなら。)

(……さようなら、セレンティナ。よく頑張ったわね。おやすみなさい。)


リリスティーナは中のセレンティナを眠らせた。

リリスティーナが体から出ない限り、セレンティナの意識が戻ることはない。
その時が来るのは、セレンティナの最期の時になる。
息を引き取る最期の一瞬までリリスティーナはセレンティナの中にいるつもりなので、セレンティナの意識が戻ることはもうないだろう。

こうしてリリスティーナは完全にセレンティナとして生きる覚悟を決めた。





セレンティナが学園を卒業した頃には、クローヴィスとそれなりに気安く話せる関係になっていた。
 
クローヴィスはセレンティナが変わっていく様子を最初の頃は疑わし気に見ていたところもあったが、セレンティナが過去の体験を話すとセレンティナの態度に納得したらしく、逆にセレンティナを守らなければならないという意識が強くなっていた。
 
その様子は、まるで婚約者を溺愛しているようにも見え、ボッティ公爵夫人はご機嫌である。
 

「クローヴィスはまだまだ子供だと思っていたけれど、いい男になってきたわ。セレンティナさんのお陰ね。」
 
「クローヴィス様は初めからお優しい方でした。私が初対面の時から身構えてしまったことで歩み寄りが遅くなってしまったのです。怒ることなく待っていてくださったクローヴィス様に感謝しています。」

「でもある意味、それがよかったのかもしれないわ。
今のような柔らかい表情のセレンティナさんを見たら、悪い虫が群がりそうだもの。クローヴィスも心配で落ち着かなくなっていたでしょうね。」


そう言って公爵夫人は笑った。

セレンティナは幼い頃から美少女だった。
今は可憐な美人である。
そこに微笑みが加われば、勘違いをする男が続出していたかもしれない。

そういう意味では、人目につかないよう大人しく陰を薄くしていたセレンティナは間違っていなかった。


卒業した今、異性との接触は少なくなった。

三か月後には結婚式を挙げ、ここボッティ公爵家での暮らしが始まる。

クレベール公爵家の家族とは相変わらずだったが、それでいいと思った。
 
リリスティーナがセレンティナになったのは、結婚し子供を産むことが目的なのだから。 



 
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