聖女になりたいのでしたら、どうぞどうぞ

しゃーりん

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セレンティナ、ではなくリリスティーナとしての役割でクローヴィスと結婚するという手段を取ったと白状したが、クローヴィスは首を横に振った。 

 
「いや、君はセレンティナとして生きると言った。
もし、子供たちに聖力が引き継がれなくても、セレンティナとして最期を迎えるつもりだったのだろう?」

「それはもちろん、そうよ。セレンティナとの約束でもあるから。」

「だったら、私にとって君はセレンティナだ。騙されたとは思わない。」
 
「……ありがとう。」
 

クローヴィスは優しく肩を抱いてくれた。
彼と結婚して本当によかったと思った。


その後、聖力について少し説明した。


「アリアローズは聖力が強いと思うわ。レイノルズはあまり強くない。まだ二人だけだからわからないけれど、男女で傾向があるかもしれないわ。
治癒だけでなく結界も使えるはずよ。特に結界は早くに教えておきたいわ。連れ去られそうになっても誰も触れられなくなるから。」

「自分の身を自分で守れるのか。それなら少しは安心だな。」

「ええ。それと、これは本当は言いたくないけれどいずれ気づくと思うから言うわ。
治癒は傷を治すだけじゃなくて、病気も治せるのよ。」 


クローヴィスは目を丸くして驚いていた。


「そ、れは、最初から秘密に?」

「ええ。口にしたのは初めてよ。リリスティーナの父は気づいていたと思うけどね。」
 

ユリアには心の中で教えたけれど、あの子は私の考えに同意してくれていた。


「病人を治癒して回るのは一人では無理だからか。」

「そうよ。優先順位なんてつけられないもの。だから、医師や薬師が頑張るべきことだと思ったわ。」


新たな流行病が治まると、次に流行るまでに効果のある薬が生み出されている。
最初の流行で犠牲者が出てしまうのはどうしようもないことなのだと見て見ぬふりをしてきた。

聖力を持つ治癒者がもっといれば、重症化する前に助けることができただろう。
だけど、リリスティーナは一人だったから。


「私が聖力を持つ子を産んで、どんどん未来へと繋げようとしたのはわけがあるの。」


イボンヌとして王宮で暮らしていた時、閲覧禁止書物の中に、医療研究の書物もあった。

カラダを切り開き、病の原因と思われるものを取り出したり、他人の臓器を入れてみたり。
長い間、いろんな研究がなされていた。いや、今でも密かに続いているようだった。

理論上は可能なはずだと何度も試す。

しかし、どれも成功せずに体を切られた者は全員亡くなっていた。

使われる体は主に死刑囚や無期の重犯罪者。
しかし、気にくわない軽犯罪者を労働中に亡くなったことにして体を使っていた事例もあった。 

研究者たちは異常だ。
リリスティーナの体を躊躇せず痛めつけたのも、何度も経験があったからだろう。

聖力は、医療研究を良しとしないという意味で広めるために授かったのではないかと思ったのだ。 


「そんな非道な研究があるとは……いや、薬による人体実験は聞いたことはあったが。」

「何百年も成功してないの。根本的な間違いに研究者たちは気づいていないのかもしれないわね。」


永遠に成功する日は来ない気がする。

何の罪もない人が犠牲者にならないように、聖力を持つ者を増やしていくべきだと思い、聖女を辞めることにしたのだ。

聖女に飽きたのも本当のことではあるが、これは苦笑されそうなのでクローヴィスには内緒にした。

 
 
 
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