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しおりを挟むセレンティナのことを心の底から愛してくれていたクローヴィスは、テレサの中にリリスティーナが入っていることに気づいているらしい。
「今はテレサとお話をしているのです。少し待っていてください。」
そう言うと、クローヴィスは泣きそうな嬉しそうな、よくわからない顔で頷いた。
彼もリリスティーナの家族同様、外見が誰だろうと中身が本人であればいいらしい。
彼にとってはリリスティーナではなく、セレンティナということになるが。
こんなに愛してくれた夫を残して先立つのは間違っていたかもしれない。
彼は、セレンティナがテレサの中に入って自分を看取ってくれると期待している。
先立つ順番は選べないが、延命しようと思えばできたので、セレンティナとして少し後悔した。
(お祖父様はお祖母様が大好きですね。)
(もう困ってしまうわ。テレサを連れて来てくれるように頼んだから、また私に会えるとわかっていたの。
ごめんね、テレサ。クローヴィスのために数年くらい体を借りることになりそう。)
クローヴィスを言い訳に使って、その間にテレサを癒しながら聖力の使い方を教えようと思った。
二年前、当時7歳のテレサに身を守る結界の使い方は教えていたが、治癒の力はセーブして使うよう教えなければならないから。
テレサは歴代の聖女以上の聖力があるため、どんな怪我でも治し、病気まで治してしまったら、聖女だと騒がれてしまうだろう。
再び、引きこもりに戻ってしまうことになりかねないから。
(お祖母様がテレサになるの?)
(テレサはテレサのままよ。私はいつでもあなたの中から出ていけるの。しばらくはお祖母様がテレサとして体を借りるけれど、テレサも同じように見えているでしょう?聖力の使い方を覚えたらもう怖くないわ。みんな、テレサのことを心配しているの。大丈夫だと思えるようになれば体を返すわ。)
テレサは怖がっているだけで、まだ可能性はあるから。
セレンティナと違い、自分の力で未来に向いていけるはずだから。
リリスティーナは、テレサを乗っ取るのは一時的なものになるはずだと思っている。
(ふふ。なんだかお祖母様と一緒にいられるって不思議ね。)
(そうよね。でも孫の中でテレサが一番下で接した時間も短いから嬉しいわ。)
アリアローズとレイノルズには孫もいる。
セレンティナとクローヴィスにとってはひ孫である。
独身の孫の中で、婚約者が決まっていないのも、9歳のテレサだけになっていた。
(テレサ、しばらくお祖父様の別邸で暮らしましょう。)
二年間も引きこもっていたテレサが怪しまれずに聖力を知るにはその方がいい。
テレサの父親のエストルはそこまで聖力が強くないので教えてやれないから。
纏わりつくようなクローヴィスと共に屋敷に戻り、テレサとして、祖母を亡くした祖父を慰めてやりたいと言えば、引きこもって自分の殻に閉じこもっていたのに、祖父を気遣えるとは優しい子だとテレサの母に泣かれた。
嘘をついて申し訳ない。
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