あなたは僕の運命なのだと、

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「唯、痛かったらちゃんと言って」
「は、ぁ、う、うん……」

 煌が唯の体を優しく愛撫し、くちゅくちゅと舌を絡ませてキスをしながらコンドームをはめては、唯を見つめる。
 その眼差しに唯はやはりドキドキと心臓を高鳴らせ、けれどもごくりと唾を飲み込みながら、コクコクと頷いた。

「──は、ぁ、ああっ、」
「っ、」

 唯の腰の下に枕を差し込み、足を割り開かせた煌が、ゆっくりと自身の腰を押し付けていく。
 そうすれば、散々ほぐされとろとろになった唯の蕾はしとどに愛液を滴らせながらも煌を受け入れていき、しかし息が止まりそうな圧迫感に唯は煌の背中に腕を回しながら、悲鳴のような声をあげた。

 熱くて硬い煌の陰茎が、ぐぐぐっと入ってくる苦しさ。
 しかしそれよりも今まで知らなかった満たされていく気持ち良さが上回り、唯は目の前に火花がバチバチと弾ける感覚のなか、ふるふると体を震わせた。

「は、あ、ぁっ、」
「ゆい、だいじょうぶ……?」

 唯の顔の横に手を付き、キツそうな顔をしながらも煌が気遣うよう問いかける。
 それが優しくて、唯はへにゃりと眉を下げ、にへらと笑った。

「だ、いじょうぶ……、うれしい」

 だなんて、えへへ。と笑いながら呟く唯。
 それがとても可愛らしくて、煌は愛しさに目を細めながら、唯の呼吸が整うのを必死に待った。

 きゅうきゅうと蠢き、締め付けてくる唯のなかは、腰が抜けるほど気持ち良く。
 そして唯もまた、煌の熱い陰茎でみちみちと自分のなかがいっぱいになっている感覚が心地よく、次第に表情を蕩けさせ、煌を見た。

「んっ、はぁっ、……こ、うくん……うご、いて……?」

 うるうると瞳を潤ませ唯が上目遣いでそう呟けば、その破壊力有り余る姿に煌は思わず暴発しかけ、うっ。と声を詰まらせながら、歯を食い縛った。

「っ、それ、反則だって……」
「ぁっ、おっき、くなっ、アッ!?」

 ドクン。と自身の中で大きくなる煌に、唯がまたしても煽るような台詞を吐いた、その瞬間。
 ズル、と腰を引いたかと思うとぐちゅんっと押し付けてきた煌に、唯は目を見開いた。

「あっ、あっ、あんっ!」
「くっ、ハッ……、」

 煌が段々とペースをあげ唯の中を穿ち、唯の喘ぎ声と、二人の荒い息、そして軋むベッドの音だけが響いては溶けていく部屋。

 お互い初めての経験で訳も分からず、けれども互いの温もりをもっともっと求めては、ひとつになる快楽に浸ってゆく二人。

 煌の腕の中は温かく、飽和していく快感のなかでも唯は守られていると心から安心感に包まれながら、ただただ揺さぶられるがまま、喘ぎ声を散らした。


「あっ、あぁっ、こ、こうくんっ、だいすき、だいすきっ、あっ!」
「っ、おれも、あいしてる、」

 ぎゅうぅぅ。としっかり抱き締め合い、愛を交わし合う二人が唇を重ねては、快楽に身を委ねていく。
 上も下もぐちゅぐちゅと絡まり合い、汗や体液でしとどに濡れた肌がくっつく感触すらも気持ち良いと唯がまたしても果てそうになりかけた、その時。

「っ、ゆい、これ、外すよっ、」

 だなんて唯のチョーカーを指で撫でる煌。
 それに唯は快感の涙でぐちゃぐちゃな視界のまま、一生懸命頷いた。

「っ、うん、うんっ!!」

 唯の言葉と同時に、煌が唯のチョーカーの金具を器用に外しては、床へと投げ捨てる。

 それは煌にとっての最後の砦のようなもので、何も纏うものがない唯の美しい首筋を見た煌は、目を金色に光らせながら、堪らず唸り声をあげた。

 煌の動物めいた、低く深い声。

 それは本来ならば恐ろしい筈なのに、唯にとっては魂を導く共鳴のようで。

 その声と煌の荒々しい表情にゾクゾクと全身を戦慄かせた唯が涙目で煌を見れば、煌は一度唯の体を強く抱き締めたあと、唯の耳元で囁いた。

「ゆい、さきに、噛んで……、」

 その煌の言葉に息を飲み、唯はもう飛んでしまいそうな意識のなか、それでも首筋を晒す煌に引き寄せられるよう顔を寄せ、本能的に口を開いた。

「ぐっ、」
「ッ、」

 唯の小さい歯が煌の首筋に埋まり、ぶちっと皮膚を裂く。

 それは一瞬だけ痛みを伴い、けれども煌はすぐに勢い良く唯の中から抜け出ては、唯の腕を取り、うつ伏せにさせた。

「あぁッ!! ぁ、は、」

 ズルッと抜け出る感覚に名残惜しげに声をあげ、しかしされるがまま、ぐったりとシーツに沈む唯。

 唯の口の中は煌の血の味が滲み、けれどもそれはどこか甘美で。

 ヒクヒクと震える唯が唇を煌の血で赤く染めながらあえかに息を乱していれば、煌は後ろからずぷんっと深く唯に挿入し、唯の真っ白で美しいうなじに、歯を立てた。

「──ッ」

 遠慮なく貫かれる暴力的な快楽と共に、ガリッと耳奥で煌の歯が自身の皮膚を突き破る音がする。
 首の後ろが焼けるように痛み、しかし細胞全てが破壊されまた一から再構築されていくような圧倒的な感覚に、唯は目を見開き、はくはくと唇を震わせる事しか出来なかった。


「は、ぁ、ぁ……、」
「っ、ぐっ、ゆいッ、」
「ひあっ! あ、あぁぁっ」

 唯が気付かぬ内に自身の小さな可愛らしい陰茎からこぷりと色の薄い精液を垂らし、噛まれた衝撃と貫かれた刺激で、全身をビクビクと痙攣させる。
 そして煌の呻き声と体の奥深くでコンドーム越しにだがどくどくと精液を吐き出されたのが分かり、目の前が白く霞むほどの快感に意識が飛びそうになるなか、唯はシーツの上にぐったりと身を落とした。


「ぁ、ん、あ……、は、」
「ハッ……、ん、ゆい、だいじょうぶ……?」

 お互い息を激しく乱し、ぐったりとした状態のなか、それでもすぐ心配そうに唯へと声をかけてくる煌。
 そして慎重に唯の中からずるりと抜け出た煌は、元々ベッドヘッドに用意していた清潔な布をすぐさま唯のうなじに押しあてた。

「ひうっ、」
「ごめん、痛いよな」
「ぅ、だ、だいじょ、ぶだよ……」

 唯が掠れた声で呟きつつ、弱々しい笑顔を浮かべていて。
 その儚げな姿に煌は心配そうに眉を下げ、そっと傷痕に残る血を拭った。

「っ、」
「ご、ごめん、でもすぐに傷は塞がる筈だから」
「う、うん。……煌くんも、だいじょうぶ?」
「俺はもう痛くもないよ」

 普通の傷とは違い、番契約として噛まれた傷痕は何故だか分からないがすぐに塞がり、歯形だけが綺麗に残るのだ。
 そしてやはりアルファだからか煌の傷はもう塞がっており、煌は心配そうに唯を見つめつつ、後処理を素早く済ませた。


 そうして、唯が落ち着くまで労るように煌が何度も何度もキスの雨を降らせながら優しく髪の毛を梳き、唯はその心地よさに思わずうとうととし始めてしまい、シパシパと目を瞬かせた。

「唯、寝る前にお風呂に入ろう」

 唯の様子に気付いたのか、煌が笑いながら優しく囁き、素早くシーツで唯をくるみながら立ち上がる。

 そんな、何から何までしてくれる煌の甲斐甲斐しさに、初めての性交渉でへろへろになってしまいまるで赤子のように世話を焼かれている今が少しだけ恥ずかしくもありつつ、けれども唯は素直に頷いては、安心を求めて煌の胸に顔を寄せたのだった。




 
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