26 / 28
26※
しおりを挟む「唯、痛かったらちゃんと言って」
「は、ぁ、う、うん……」
煌が唯の体を優しく愛撫し、くちゅくちゅと舌を絡ませてキスをしながらコンドームをはめては、唯を見つめる。
その眼差しに唯はやはりドキドキと心臓を高鳴らせ、けれどもごくりと唾を飲み込みながら、コクコクと頷いた。
「──は、ぁ、ああっ、」
「っ、」
唯の腰の下に枕を差し込み、足を割り開かせた煌が、ゆっくりと自身の腰を押し付けていく。
そうすれば、散々ほぐされとろとろになった唯の蕾はしとどに愛液を滴らせながらも煌を受け入れていき、しかし息が止まりそうな圧迫感に唯は煌の背中に腕を回しながら、悲鳴のような声をあげた。
熱くて硬い煌の陰茎が、ぐぐぐっと入ってくる苦しさ。
しかしそれよりも今まで知らなかった満たされていく気持ち良さが上回り、唯は目の前に火花がバチバチと弾ける感覚のなか、ふるふると体を震わせた。
「は、あ、ぁっ、」
「ゆい、だいじょうぶ……?」
唯の顔の横に手を付き、キツそうな顔をしながらも煌が気遣うよう問いかける。
それが優しくて、唯はへにゃりと眉を下げ、にへらと笑った。
「だ、いじょうぶ……、うれしい」
だなんて、えへへ。と笑いながら呟く唯。
それがとても可愛らしくて、煌は愛しさに目を細めながら、唯の呼吸が整うのを必死に待った。
きゅうきゅうと蠢き、締め付けてくる唯のなかは、腰が抜けるほど気持ち良く。
そして唯もまた、煌の熱い陰茎でみちみちと自分のなかがいっぱいになっている感覚が心地よく、次第に表情を蕩けさせ、煌を見た。
「んっ、はぁっ、……こ、うくん……うご、いて……?」
うるうると瞳を潤ませ唯が上目遣いでそう呟けば、その破壊力有り余る姿に煌は思わず暴発しかけ、うっ。と声を詰まらせながら、歯を食い縛った。
「っ、それ、反則だって……」
「ぁっ、おっき、くなっ、アッ!?」
ドクン。と自身の中で大きくなる煌に、唯がまたしても煽るような台詞を吐いた、その瞬間。
ズル、と腰を引いたかと思うとぐちゅんっと押し付けてきた煌に、唯は目を見開いた。
「あっ、あっ、あんっ!」
「くっ、ハッ……、」
煌が段々とペースをあげ唯の中を穿ち、唯の喘ぎ声と、二人の荒い息、そして軋むベッドの音だけが響いては溶けていく部屋。
お互い初めての経験で訳も分からず、けれども互いの温もりをもっともっと求めては、ひとつになる快楽に浸ってゆく二人。
煌の腕の中は温かく、飽和していく快感のなかでも唯は守られていると心から安心感に包まれながら、ただただ揺さぶられるがまま、喘ぎ声を散らした。
「あっ、あぁっ、こ、こうくんっ、だいすき、だいすきっ、あっ!」
「っ、おれも、あいしてる、」
ぎゅうぅぅ。としっかり抱き締め合い、愛を交わし合う二人が唇を重ねては、快楽に身を委ねていく。
上も下もぐちゅぐちゅと絡まり合い、汗や体液でしとどに濡れた肌がくっつく感触すらも気持ち良いと唯がまたしても果てそうになりかけた、その時。
「っ、ゆい、これ、外すよっ、」
だなんて唯のチョーカーを指で撫でる煌。
それに唯は快感の涙でぐちゃぐちゃな視界のまま、一生懸命頷いた。
「っ、うん、うんっ!!」
唯の言葉と同時に、煌が唯のチョーカーの金具を器用に外しては、床へと投げ捨てる。
それは煌にとっての最後の砦のようなもので、何も纏うものがない唯の美しい首筋を見た煌は、目を金色に光らせながら、堪らず唸り声をあげた。
煌の動物めいた、低く深い声。
それは本来ならば恐ろしい筈なのに、唯にとっては魂を導く共鳴のようで。
その声と煌の荒々しい表情にゾクゾクと全身を戦慄かせた唯が涙目で煌を見れば、煌は一度唯の体を強く抱き締めたあと、唯の耳元で囁いた。
「ゆい、さきに、噛んで……、」
その煌の言葉に息を飲み、唯はもう飛んでしまいそうな意識のなか、それでも首筋を晒す煌に引き寄せられるよう顔を寄せ、本能的に口を開いた。
「ぐっ、」
「ッ、」
唯の小さい歯が煌の首筋に埋まり、ぶちっと皮膚を裂く。
それは一瞬だけ痛みを伴い、けれども煌はすぐに勢い良く唯の中から抜け出ては、唯の腕を取り、うつ伏せにさせた。
「あぁッ!! ぁ、は、」
ズルッと抜け出る感覚に名残惜しげに声をあげ、しかしされるがまま、ぐったりとシーツに沈む唯。
唯の口の中は煌の血の味が滲み、けれどもそれはどこか甘美で。
ヒクヒクと震える唯が唇を煌の血で赤く染めながらあえかに息を乱していれば、煌は後ろからずぷんっと深く唯に挿入し、唯の真っ白で美しいうなじに、歯を立てた。
「──ッ」
遠慮なく貫かれる暴力的な快楽と共に、ガリッと耳奥で煌の歯が自身の皮膚を突き破る音がする。
首の後ろが焼けるように痛み、しかし細胞全てが破壊されまた一から再構築されていくような圧倒的な感覚に、唯は目を見開き、はくはくと唇を震わせる事しか出来なかった。
「は、ぁ、ぁ……、」
「っ、ぐっ、ゆいッ、」
「ひあっ! あ、あぁぁっ」
唯が気付かぬ内に自身の小さな可愛らしい陰茎からこぷりと色の薄い精液を垂らし、噛まれた衝撃と貫かれた刺激で、全身をビクビクと痙攣させる。
そして煌の呻き声と体の奥深くでコンドーム越しにだがどくどくと精液を吐き出されたのが分かり、目の前が白く霞むほどの快感に意識が飛びそうになるなか、唯はシーツの上にぐったりと身を落とした。
「ぁ、ん、あ……、は、」
「ハッ……、ん、ゆい、だいじょうぶ……?」
お互い息を激しく乱し、ぐったりとした状態のなか、それでもすぐ心配そうに唯へと声をかけてくる煌。
そして慎重に唯の中からずるりと抜け出た煌は、元々ベッドヘッドに用意していた清潔な布をすぐさま唯のうなじに押しあてた。
「ひうっ、」
「ごめん、痛いよな」
「ぅ、だ、だいじょ、ぶだよ……」
唯が掠れた声で呟きつつ、弱々しい笑顔を浮かべていて。
その儚げな姿に煌は心配そうに眉を下げ、そっと傷痕に残る血を拭った。
「っ、」
「ご、ごめん、でもすぐに傷は塞がる筈だから」
「う、うん。……煌くんも、だいじょうぶ?」
「俺はもう痛くもないよ」
普通の傷とは違い、番契約として噛まれた傷痕は何故だか分からないがすぐに塞がり、歯形だけが綺麗に残るのだ。
そしてやはりアルファだからか煌の傷はもう塞がっており、煌は心配そうに唯を見つめつつ、後処理を素早く済ませた。
そうして、唯が落ち着くまで労るように煌が何度も何度もキスの雨を降らせながら優しく髪の毛を梳き、唯はその心地よさに思わずうとうととし始めてしまい、シパシパと目を瞬かせた。
「唯、寝る前にお風呂に入ろう」
唯の様子に気付いたのか、煌が笑いながら優しく囁き、素早くシーツで唯をくるみながら立ち上がる。
そんな、何から何までしてくれる煌の甲斐甲斐しさに、初めての性交渉でへろへろになってしまいまるで赤子のように世話を焼かれている今が少しだけ恥ずかしくもありつつ、けれども唯は素直に頷いては、安心を求めて煌の胸に顔を寄せたのだった。
47
あなたにおすすめの小説
当たり前の幸せ
ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。
初投稿なので色々矛盾などご容赦を。
ゆっくり更新します。
すみません名前変えました。
僕が死んだあと、あなたは悲しんでくれる?
いちみやりょう
BL
死神 × 不憫なオメガ
僕を大切にしてくれる青砥と、ずっと一緒に居られると思ってた。
誰も感じない僕のオメガのフェロモンを青砥だけはいい匂いと言ってくれた。
だけど。
「千景、ごめん。ごめんね」
「青砥……どうしたの?」
青砥は困った顔で笑って、もう一度僕に“ごめん”と謝った。
「俺、和樹と付き合うことにした。だから、ごめん」
「そんな……。もう僕のことは好きじゃないってこと?」
「……ごめん」
「……そっか。分かった。幸せにね」
「ありがとう、千景」
分かったと言うしか僕にはできなかった。
※主人公は辛い目に遭いますし、病気で死んでしまいますが、最終的に死神に愛されます。
僕はあなたに捨てられる日が来ることを知っていながらそれでもあなたに恋してた
いちみやりょう
BL
▲ オメガバース の設定をお借りしている & おそらく勝手に付け足したかもしれない設定もあるかも 設定書くの難しすぎたのでオメガバース知ってる方は1話目は流し読み推奨です▲
捨てられたΩの末路は悲惨だ。
Ωはαに捨てられないように必死に生きなきゃいけない。
僕が結婚する相手には好きな人がいる。僕のことが気に食わない彼を、それでも僕は愛してる。
いつか捨てられるその日が来るまでは、そばに居てもいいですか。
昨日まで塩対応だった侯爵令息様が泣きながら求婚してくる
遠間千早
BL
憧れていたけど塩対応だった侯爵令息様が、ある日突然屋敷の玄関を破壊して押し入ってきた。
「愛してる。許してくれ」と言われて呆気にとられるものの、話を聞くと彼は最悪な未来から時を巻き戻ってきたと言う。
未来で受を失ってしまった侯爵令息様(アルファ)×ずっと塩対応されていたのに突然求婚されてぽかんとする貧乏子爵の令息(オメガ)
自分のメンタルを救済するために書いた、短い話です。
ムーンライトで突発的に出した話ですが、こちらまだだったので上げておきます。
少し長いので、分割して更新します。受け視点→攻め視点になります。
彼の理想に
いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。
人は違ってもそれだけは変わらなかった。
だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。
優しくする努力をした。
本当はそんな人間なんかじゃないのに。
俺はあの人の恋人になりたい。
だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。
心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。
陰日向から愛を馳せるだけで
麻田
BL
あなたに、愛されたい人生だった…――
政略結婚で旦那様になったのは、幼い頃、王都で一目惚れした美しい銀髪の青年・ローレンだった。
結婚式の日、はじめて知った事実に心躍らせたが、ローレンは望んだ結婚ではなかった。
ローレンには、愛する幼馴染のアルファがいた。
自分は、ローレンの子孫を残すためにたまたま選ばれただけのオメガに過ぎない。
「好きになってもらいたい。」
…そんな願いは、僕の夢でしかなくて、現実には成り得ない。
それでも、一抹の期待が拭えない、哀れなセリ。
いつ、ローレンに捨てられてもいいように、準備はしてある。
結婚後、二年経っても子を成さない夫婦に、新しいオメガが宛がわれることが決まったその日から、ローレンとセリの間に変化が起こり始める…
―――例え叶わなくても、ずっと傍にいたかった…
陰日向から愛を馳せるだけで、よかった。
よかったはずなのに…
呼ぶことを許されない愛しい人の名前を心の中で何度も囁いて、今夜も僕は一人で眠る。
◇◇◇
片思いのすれ違い夫婦の話。ふんわり貴族設定。
二人が幸せに愛を伝えあえる日が来る日を願って…。
セリ (18)
南方育ち・黒髪・はしばみの瞳・オメガ・伯爵
ローレン(24)
北方育ち・銀髪・碧眼・アルファ・侯爵
◇◇◇
50話で完結となります。
お付き合いありがとうございました!
♡やエール、ご感想のおかげで最後まではしりきれました。
おまけエピソードをちょっぴり書いてますので、もう少しのんびりお付き合いいただけたら、嬉しいです◎
また次回作のオメガバースでお会いできる日を願っております…!
運命はいつもその手の中に
みこと
BL
子どもの頃運命だと思っていたオメガと離れ離れになったアルファの亮平。周りのアルファやオメガを見るうちに運命なんて迷信だと思うようになる。自分の前から居なくなったオメガを恨みながら過ごしてきたが、数年後にそのオメガと再会する。
本当に運命はあるのだろうか?あるならばそれを手に入れるには…。
オメガバースものです。オメガバースの説明はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる