バケモノ貴公子は傷を負った令嬢を寵愛する

冬野 海

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52話 勝ちも同然

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52話 勝ちも同然


侯爵子息フェルヴィド・ペルデント視点


あぁ…実に美しい朝焼けだ。

ヴィヴァーチェ王女殿下の私室から眺める王都の朝焼けすら、この俺に平伏しているようだ。

あの醜いバケモノ大公子息は勝手に自滅し、この俺に相応しい席が用意された。
まぁ、これも当然の結果だ。
数時間後、俺は正式に王女殿下の正式な婚約者、未来の王配として発表される。

王女殿下の生誕祭ではまだ“婚約者候補“だった。

国王陛下の側近、アダージモ様から、

『王女殿下の婚約者だぞ。それなりの財力がなければ務まらんだろ。
国王陛下はな、王女殿下のお気持ちを汲んでらっしゃるが、果たして“生誕祭をまかなえるほどの器量”があるのか、それはご心配されておられる。
国王陛下も、俺も、君には期待しているんだ。

それに──愛するレディを飾るのも、男の誇りというものだろ?』

そんなこと分かってる。いくら俺が王女殿下に愛されようと、最後にものを言うのは財力だ。

しかし運悪く、国内でワインの売れ行きの勢いが落ちてきた。
在庫として残っていたワインに水を混ぜたのがまずかったか…

シレージオ王国の使者からの書簡には驚いた。

“ペルデント家のワインを言い値で全て購入したい。その先についても良い話をする準備がある“

このタイミングは、神もシレージオ王国も、俺をヴィヴァーチェ王女殿下の婚約者に相応しいと認めた証拠だ。

使者の話では、シレージオ国内では我がペルデント家のワインが人気があるらしく、国王がいたくお気に召したので、王室御用達として優先的かつ提示価格以上で購入したいということだった。

当主の兄はシレージオ王国の使者とともにありったけのワインを馬車に積んで、シレージオ王国へ向かった。
滞在中は国賓待遇のもてなしを受け、ワインはすべて金貨になって帰ってきた。
しかも向こう半年間の購入契約まで結んでいた。

その売上は、生誕祭費用をまかなうには十分すぎる額だった。
余った分で、王女殿下が以前から欲しがっていた“バイオレットの涙”も購入できた。

これで王女殿下も俺の思うままだ。

既に王女殿下の婚約者として、国賓待遇でシレージオ王国へ外遊に向かう公務も入っている。

あの陰気な大公子息ではお声が掛からなかっただろうな。
シレージオ王国は見抜かれていたんだろう。
“荷が重い”とな。
思ったよりチョロかったな。王配の座も、王女の恋情も。

両国とも王配のワインに——
酔いしれるがいい——
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