好感度0になるまで終われません。

チョコパイ

文字の大きさ
22 / 98
から騒ぎの季節

想いは重く果てしない……

しおりを挟む
「堕胎剤を…ですか?」
公爵領の片隅で元公爵家専従だった医師の顔色が変わる。

「妻と話し合って決めたことだ。
こうしないと…娘を皇室にとられてしまう。」

ぎゅっと拳を握りしめる。
娘を皇室に渡してはいけない。

娘のためにも…
帝国のためにも…

娘がティセ王国の聖女の印を持って産まれたことを知っているのは妻と私とそして、

「お嬢様はご自分が聖女だと知っているのですか?」

公爵家専従だった目の前の医師だけだ。

「いや…なんと話せばいいのかわからなくて…」

口ごもる私に

「神の加護で誰からも慕われるなんて…使いようによっては大きな災いにもなりますから…
公爵様が思い悩むのは仕方はないと思いますが…
だからこそお嬢様には本当のことを話した方が…」

医師の言葉はもっともだ。
でも娘にそんな残酷なことが言えるだろうか?

その好意は神の加護によってもたらされたもので、娘自身にむけられたものではないかも知れないと……

何より娘は幼い頃から人と接するのを嫌がった。
そんな娘が人を魅了し惑わす力を持っていると知ったら…娘は迷わず山奥にでも引きこもってしまうだろう。

馬鹿王子が牽制してくれたおかげで、娘に近寄る者がいないのがせめての救いだ。

「いつかは話さなくてはいけないのはわかっている。
だが今は妻の腹の子を…」



「お嬢様、そのドレスはどうしたのですか?」

馬車で待っていた侍女が皇后の侍女からドレスを受けとる。

「リフォームするのよ。皇后陛下に似合うように…」

帰宅するとすぐにお針子達を部屋に呼び、スケッチしながらイメージを伝えていく。

「目指すは品の良いアダルトよ。
胸や背中は隠しながらもラインは美しく際立つように、アンダーバストをつめるの…」

スケッチに図案を書き足しながら、お針子達に事細かに指示を出していく。

「お嬢様はデザインの才能もおありなんですね。」

公爵家の皆は私にかなり甘いのだ。
かといって前世のようにベッタリではない。

「ありがとう。
そう言ってもらえると、すごく嬉しいわ。」

だから素直に嬉しいのだ。寄せられる好意が…

「お嬢様、公爵夫妻がお帰りになりました。」

「わかったわ。
お母様にホットミルクを用意しておいてあげて、あっ…お砂糖を少し入れてさしあげて…久し振りの外出でお疲れだろうから…」

玄関ホールにむかうと
父に抱えられた母の姿がそこにあった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私の存在

戒月冷音
恋愛
私は、一生懸命生きてきた。 何故か相手にされない親は、放置し姉に顎で使われてきた。 しかし15の時、小学生の事故現場に遭遇した結果、私の生が終わった。 しかし、別の世界で目覚め、前世の知識を元に私は生まれ変わる…

王宮侍女は穴に落ちる

斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された アニエスは王宮で運良く職を得る。 呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き の侍女として。 忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。 ところが、ある日ちょっとした諍いから 突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。 ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな 俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され るお話です。

十八歳で必ず死ぬ令嬢ですが、今日もまた目を覚ましました【完結】

藤原遊
恋愛
十八歳で、私はいつも死ぬ。 そしてなぜか、また目を覚ましてしまう。 記憶を抱えたまま、幼い頃に――。 どれほど愛されても、どれほど誰かを愛しても、 結末は変わらない。 何度生きても、十八歳のその日が、私の最後になる。 それでも私は今日も微笑む。 過去を知るのは、私だけ。 もう一度、大切な人たちと過ごすために。 もう一度、恋をするために。 「どうせ死ぬのなら、あなたにまた、恋をしたいの」 十一度目の人生。 これは、記憶を繰り返す令嬢が紡ぐ、優しくて、少しだけ残酷な物語。

【完結】地味な私と公爵様

ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。 端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。 そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。 ...正直私も信じていません。 ラエル様が、私を溺愛しているなんて。 きっと、きっと、夢に違いありません。 お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)

ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく

犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。 「絶対駄目ーー」 と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。 何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。 募集 婿入り希望者 対象外は、嫡男、後継者、王族 目指せハッピーエンド(?)!! 全23話で完結です。 この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。

ヒロインが私の婚約者を攻略しようと狙ってきますが、彼は私を溺愛しているためフラグをことごとく叩き破ります

奏音 美都
恋愛
 ナルノニア公爵の爵士であるライアン様は、幼い頃に契りを交わした私のご婚約者です。整った容姿で、利発で、勇ましくありながらもお優しいライアン様を、私はご婚約者として紹介されたその日から好きになり、ずっとお慕いし、彼の妻として恥ずかしくないよう精進してまいりました。  そんなライアン様に大切にされ、お隣を歩き、会話を交わす幸せに満ちた日々。  それが、転入生の登場により、嵐の予感がしたのでした。

【完結】見えてますよ!

ユユ
恋愛
“何故” 私の婚約者が彼だと分かると、第一声はソレだった。 美少女でもなければ醜くもなく。 優秀でもなければ出来損ないでもなく。 高貴でも無ければ下位貴族でもない。 富豪でなければ貧乏でもない。 中の中。 自己主張も存在感もない私は貴族達の中では透明人間のようだった。 唯一認識されるのは婚約者と社交に出る時。 そしてあの言葉が聞こえてくる。 見目麗しく優秀な彼の横に並ぶ私を蔑む令嬢達。 私はずっと願っていた。彼に婚約を解消して欲しいと。 ある日いき過ぎた嫌がらせがきっかけで、見えるようになる。 ★注意★ ・閑話にはR18要素を含みます。  読まなくても大丈夫です。 ・作り話です。 ・合わない方はご退出願います。 ・完結しています。

春告竜と二度目の私

こもろう
恋愛
私はどうなってもいい。だからこの子は助けて―― そう叫びながらも処刑された王太子の元婚約者カサンドル。 目が覚めたら、時が巻き戻っていた。 2021.1.23番外編追加しました。

処理中です...