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途中
力
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「あの果物が並んでいる店かい?」
ディアの声が私を現実へと戻す。
風は木の葉を揺らし鳥は青空を飛びかい、人の群れは各々の目指す場所へと移動する。
「あっ…うん……」
ディアの腕に身を寄せる。
「レイヤ?」
私の様子がおかしいことに気がついたのかディアが顔を覗きこむ。
「何があったの?」
ディアが真剣な眼差しをむける。
言えなかった。
私がもしかしたらあの物語の王女かも知れないなんて…
言えるわけがない。
帝国の皇帝になるディアに、私が国民を虐殺した女王かも知れないなんて…
「少しだけ人に酔ったみたい…」
咄嗟に出た言葉は嘘と呼ぶにはお粗末なものだった。
「……そっか…大丈夫?」
ディアは無理に聞きだそうとはしなかった。
「桑の実だって、初めて見たよ。レイヤは苺が好きだったよね?
苺とあと桑の実も少し買っていこうか?」
ディアは何もなかったふりをして話続ける。
太陽の光を浴びてどどめ色が輝いて見える。
桑の実…桑の実……
ズキズキと頭が痛む。
桑の実…何か大切な事を忘れてしまった気がして思わず息をのむ。
私は何を忘れてしまったのだろう?
よく熟した桑の実から目が離せない。
記憶の奥底で楽し気に笑う声と甘酸っぱい香りがした気がした。
「きゃー!!」
耳をつく悲鳴が私の思考をさえぎる。
ヒヒーン
ヒヒーン
馬の嘶きと共に子供の泣き声が聞こえる。
体が勝手に子供の泣き声の方へとむかう。
路上には子供の母親と思われる女性が頭から血を流したおれている。
女性をひいた馬車は何事もなかったかのように走り去る。
誰も女性や子供に声をかける者はいない。
走り去った馬車を責める人もいない。
怒りと悲しみと不安と焦りが私を支配する。
「レイヤ!!」
ディアが私を後ろから抱き寄せる。
「ここでは駄目だ。」
耳元でディアが囁く。
薬指の指輪が怪しく光る。
「お願いだ。
こらえてくれ…
頼むから…レイヤ…」
ディアが護衛に指示したのか、ディアの護衛騎士達が母親と子供を救助する。
「…行こうか……」
ディアが私の肩を抱いたまま歩きはじめる。
しばらく歩くと小さな宿屋に着く。
騎士が私達を奥の部屋へと案内する。
部屋の外まで子供の泣き声が聞こえる。
ディアが皆に外へ出るよう指示する。
部屋の中には私とディア、そして辛うじて息をする母親。
ディアが私の薬指から指輪を外す。
部屋中が光に満ち溢れる。
目が覚めるとディアの腕の中だった。
「お疲れ様…レイヤ」
「あの人は助かったの?」
ディアが私の額に口づける。
「子供としばらくは宿で休んでもらうつもりだ。レイヤ…」
ディアは私を見つめる。
「なるべくなら、あの力は使わないで欲しい…」
絞り出すように告げたディアの言葉に私は静かにうなずくしかなかった。
ディアの声が私を現実へと戻す。
風は木の葉を揺らし鳥は青空を飛びかい、人の群れは各々の目指す場所へと移動する。
「あっ…うん……」
ディアの腕に身を寄せる。
「レイヤ?」
私の様子がおかしいことに気がついたのかディアが顔を覗きこむ。
「何があったの?」
ディアが真剣な眼差しをむける。
言えなかった。
私がもしかしたらあの物語の王女かも知れないなんて…
言えるわけがない。
帝国の皇帝になるディアに、私が国民を虐殺した女王かも知れないなんて…
「少しだけ人に酔ったみたい…」
咄嗟に出た言葉は嘘と呼ぶにはお粗末なものだった。
「……そっか…大丈夫?」
ディアは無理に聞きだそうとはしなかった。
「桑の実だって、初めて見たよ。レイヤは苺が好きだったよね?
苺とあと桑の実も少し買っていこうか?」
ディアは何もなかったふりをして話続ける。
太陽の光を浴びてどどめ色が輝いて見える。
桑の実…桑の実……
ズキズキと頭が痛む。
桑の実…何か大切な事を忘れてしまった気がして思わず息をのむ。
私は何を忘れてしまったのだろう?
よく熟した桑の実から目が離せない。
記憶の奥底で楽し気に笑う声と甘酸っぱい香りがした気がした。
「きゃー!!」
耳をつく悲鳴が私の思考をさえぎる。
ヒヒーン
ヒヒーン
馬の嘶きと共に子供の泣き声が聞こえる。
体が勝手に子供の泣き声の方へとむかう。
路上には子供の母親と思われる女性が頭から血を流したおれている。
女性をひいた馬車は何事もなかったかのように走り去る。
誰も女性や子供に声をかける者はいない。
走り去った馬車を責める人もいない。
怒りと悲しみと不安と焦りが私を支配する。
「レイヤ!!」
ディアが私を後ろから抱き寄せる。
「ここでは駄目だ。」
耳元でディアが囁く。
薬指の指輪が怪しく光る。
「お願いだ。
こらえてくれ…
頼むから…レイヤ…」
ディアが護衛に指示したのか、ディアの護衛騎士達が母親と子供を救助する。
「…行こうか……」
ディアが私の肩を抱いたまま歩きはじめる。
しばらく歩くと小さな宿屋に着く。
騎士が私達を奥の部屋へと案内する。
部屋の外まで子供の泣き声が聞こえる。
ディアが皆に外へ出るよう指示する。
部屋の中には私とディア、そして辛うじて息をする母親。
ディアが私の薬指から指輪を外す。
部屋中が光に満ち溢れる。
目が覚めるとディアの腕の中だった。
「お疲れ様…レイヤ」
「あの人は助かったの?」
ディアが私の額に口づける。
「子供としばらくは宿で休んでもらうつもりだ。レイヤ…」
ディアは私を見つめる。
「なるべくなら、あの力は使わないで欲しい…」
絞り出すように告げたディアの言葉に私は静かにうなずくしかなかった。
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