好感度0になるまで終われません。

チョコパイ

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途中

暗転

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うっわぁ~!!

ディアが魔方陣を展開させると短かった私の髪がニョキニョキと腰の辺りまで伸びていく。

「レイヤの髪にだけ時間魔法をかけたんだ。」

久しぶりの長い髪に戸惑いながらも私の髪を嬉しそうに指にクルクルと絡ませるディアが猫みたいに可愛く見える。

「ディアが髪を結わえているの初めて見るけど、すごく似合っている。」

変装を兼ねて私とディアの髪はロングヘアーだ。

長い髪を結いティセの貴族が着る服に着替える。
帝国の服よりも簡素に見えるのはこの国が決して豊かではないからだ。

その分、帝国では貴族の女性は家門の仕事しかしないのが通例だが、ティセでは夫婦共働きが当たり前となっている。

街は働く女性であふれ、どこか前世を思い出す。

「あっ……」

露天に並ぶ店の中に前世でよく見た品物が売られている。

「ディア、私あれが欲しいんだけど…」

ディアに絡ませていた腕にギュッと力をこめる。

「どれ?」

ディアが私の顔に自分の顔を近づける。

「あそこのお店なんだけど…」

私の指差す店にはオレンジやレモン、イチゴ等がカラフルに並んでいるフルーツ専門のお店だ。

私の目を引いたのは、帝国ではあまり見ることのない桑の実があったからだ。

初めの転生の時、よく子供と裏庭の桑の実を摘んでジャムを作ったのだ。

ズキッ…
胸が一瞬だけ苦しくなった。

私はあの子ともう会えないんだ…

そういえばあの子はどんな顔をしていたっけ?

ボロボロと思い出達が遠く彼方へと消えていく…

あれ?
次の瞬間、世界が止まる。

!!!

皆が動きを止める。
空を飛ぶ鳥も風に揺れる木々の葉も、通りを歩く人の群れも…

そしてディアさえも…

時が流れるのを忘れてしまったのかそこには静寂だけが存在している。

「ディア…
ディア……」

恐怖が私を支配する。

ディアの体を強く揺すりながら大声で叫び続ける。

停止した世界が暗転する。



「王女様、このままでは……」

私の目の前には見知らぬ兵士達が跪く。

「・・・・・」

先程、映像で見た男が私につめよる。

「わかっている…わかっているわ!!」

王女と呼ばれる私が叫ぶ。

兵士は私を見つめ命令を待つ。

震える声で私は命を下す。

「誰一人、生きて残すな!!」

兵士達が雄叫びをあげながら剣を空へと突き立てる。

「愛と正義の為に……」

男が私の手の甲に口づけをおとすと先陣をきる。

しばらくするとあちらこちらから悲鳴と怒号があがる。

私は部屋の片隅で小さくなり耳をふさぐ
嵐が早く過ぎ去るようにと祈りながら……
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