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第14話 ガスター家の晩餐
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その日の晩餐。
パーティーから帰って来たガスター夫妻と、ジェイコブ、リリー、そこにアリステルの姿もあった。
本来であればジェイコブの恋人、マルグリットのために用意された席であった。
いつもは部屋で夕食を食べているアリステルだが、ジェイコブがぜひ一緒にと誘いに部屋まで訪れた。
ご家族の団らんの場だから、と遠慮するアリステルに食い下がった。
もう用意してあるのだからと言われると、アリステルもこれ以上断るのはかえって失礼と判断した。
「アリス先生、たくさん食べてくださいね。我が家の食事はお口に合うかしら?」
ガスター夫人がにこやかに話しかけると、アリステルも穏やかに応じた。
「ええ、いつも美味しくいただいていますわ。ありがとうございます」
「アリス先生に教えていただくようになってから、リリーも明るくなって、本当に先生には感謝しています」
「とんでもないことでございます。わたくしの方こそ、リリーさんから教えられることが多いのです」
「いやよ、先生。いつもみたいにリリーって呼んで!」
リリーのかわいらしい抗議に、ふふふふ、と笑う。
「わかったわ、リリー」
「こら、アリス先生を困らせてはいけないぞ」
ジェイコブがリリーを叱ると、リリーはいつものように口を尖らせた。
アリステルは優しく首を横に振った。
「ジェイコブさん、大丈夫ですわ。お気遣いいただきありがとうございます」
微笑みを向けられたジェイコブは顔を赤らめた。
「それなら、私のこともジェイコブと呼んでください」
「そのようなこと、できませんわ」
アリステルが慌てて断ると、今度はジェイコブが口を尖らせた。
「リリーがよくて、なぜ私はダメなのですか」
「リリーは教え子ですもの。特別です。ジェイコブさんはリリーの大事なお兄様ですもの」
困ったように笑うアリステルを見て、ガスター夫人がジェイコブをたしなめた。
「あらあら、アリス先生を困らせているのは、一体だれかしらね?」
「そうよ!お兄ちゃんの方が困らせてる!」
「・・・これは失礼」
逆にリリーに叱られるジェイコブを見て、家族は楽しく笑った。
食事が終わって、デザートとお茶が出されると、一段とくつろいだ雰囲気になり、話題はアリステルが町に買い物へ行った時のことへと移った。
アリステルは先日、初めて一人で町へ出かけた。リリーの教科書として使える本を探しに、本屋へ行こうと思っていた。
そして、いつもお世話になっているガスター家の皆さんへのお礼に、町で人気のお菓子をプレゼントしようと思ったのだ。
町へ出ると言っても、ガスター邸はそこそこ利便の良い立地にあり、商店が立ち並ぶ繁華街へは徒歩10分もあれば行ける距離である。
貴族の令嬢であれば、この距離でも馬車を用意するところであるが、アリステルは歩いて出かけた。
しかし、繁華街に出て早々に見ず知らずの若い男たちに囲まれてしまった。
いわゆる、ナンパである。
なんと答えても通してくれない男たちに、アリステルがほとほと困り果てたとき、救世主はやって来た。
アリステルの後をつけていたリリーとメイド長のナタリーである。
「お姉ちゃん、お待たせー!あれ、このおじさんたちだれ?」
「リリー!」
「「「おじさん・・・」」」
「それが見ず知らずの方なのだけれど、一緒に楽しいことをしようってお誘いを受けて困っていたの」
「あなた方はどこのならず者です。人さらいですか?警備兵を呼んでもいいのですよ」
ナタリーが厳しい表情でキッと睨みを利かせると、男たちは口々に文句を言いながらも立ち去った。
「アリス先生、大丈夫?」
「ええ、助かったわ。リリー、ナタリーさん、ありがとうございます」
「もう、先生ったら。あんなナンパにつかまって、心配で見ていられないわよ」
「ナンパ…?」
リリーがあきれたような顔をする。
ナタリーも苦笑気味にアリステルに注意を促す。
「アリス先生、あのように遊びに誘ってくることをナンパと言うのですよ。楽しいことをしようと言われたら、貞操の危機とお考えください。すぐに大きな声で助けを呼ぶか、逃げ出してどこかのお店に入るようにしてください」
「まぁ、知らなかったわ。わたくし貞操の危機でしたのね。リリー、助けてくれてありがとう。わたくしの小さなナイトね。うふふふ」
「笑ってる場合じゃないよ、アリス先生。今日はたまたま私が後をつけていたからよかったけれど、もっと気を付けて歩かなくっちゃダメよ」
「まぁ、後をつけて?」
「あ・・・」
失言である。
「リリーもお買い物に行きたかったのね?」
「そう!そうです。お買い物に連れて行ってほしいなぁという気持ちがあふれ出て」
「うふふふ、では一緒に行きましょう」
その後、無事に予定していた買い物を済ませることができたのだった。
アリステルは買い物の仕方もお金の種類もまだよく理解していなかったので、実はナタリーがいなかったら、お菓子も本も無事に買えたとは思えない事態だったのが、アリステルは気が付いていない。
きっとナンパがなくても、困ったアリステルの目の前に、二人が現れることになったのだろう。
その話をしたところ、ジェイコブは少し憤慨したような顔と声でアリステルに言った。
「アリス先生、あなたのような女性が一人で町に出るのは危険だ。私が明日、連れて行ってあげます」
「そう言っていただいて、ありがとうございます。でも、今は特に欲しいものもありませんから、大丈夫ですわ」
「あなたはきっと、町の屋台で食べ歩きなんかをしたことないのではありませんか。よかったら、美味しいものを紹介しますよ」
「食べ歩き、ですか?ええ、したことはありません」
「じゃあぜひ!町の美味しいものを知ってもらいたいですし」
アリステルは正直、あまり気乗りしなかった。
婚約者以外の男性とそのように出かける約束をすることは、大変はしたないことだと思う。
なにより、今日は急用ができてお帰りになったという婚約者のマルグリットに対して失礼なことではないか。
「アリス先生!私も食べ歩きしてみたい!明日、お兄ちゃんに連れて行ってもらいましょうよ」
リリーがとても嬉しそうに言うので、アリステルは少しほっとした。
兄妹の買い物に付き添うなら、許容範囲であった。
「そうね。では明日、ご一緒させていただきます。婚約者のマルグリット様もお誘いになってはいかがですか」
「マルグリットは食べ歩きを嫌うので、誘いません」
ガスター夫妻は息子の言動を見て、そっと目配せをしあっていた。
「今日のところはお開きとしよう。このあとジェイコブには話があるから、私の書斎に来なさい」
「はい」
リリーとアリステルはおやすみなさい、と挨拶をして、それぞれの部屋に下がった。
書斎に入ると、親子は向かい合ってソファーに掛けた。
「ジェイコブ、マルグリット嬢はどうした。今日来る予定だったろう」
「マルグリットは急な用事で帰りました」
父親は顔をしかめて、ジェイコブを見た。
「嘘をつくな。お前が急に帰したと聞いたぞ」
「・・・申し訳ありません。わがままを言うので嫌になってしまいました」
「そうか。貴族の令嬢なのだから、多少のわがままは仕方あるまい。お前も承知の上で付き合っていたのだろう」
「そうですが…。彼女は俺がナバランドにいることが気に入らないんだ。ナバランドなんかに行くくらいなら結婚しないと言っています」
「そうか。ならば早く仕事を覚えて帰って来るんだな」
ジェイコブはこぶしを握った。
わかってはいる。
仕事を覚えるために、必要があってナバランド国へ行かされているということ。
父親の跡を継ぐためには、避けては通れない道だということ。
「それに、結婚式でルビーを身につけないと言いました。ルビーなんか嫌だと」
「それで腹を立てたのか。・・・しかし、結婚を取りやめることは許さない。こちらにいる1週間で、なんとかマルグリット嬢の機嫌を取るよう努力しろ」
マルグリットの家と縁続きになることは、ガスター商会の社運を賭けた一大事業のようなものだった。
婚約まで調い、今さら結婚を取りやめるなどとなれば、もう貴族を相手に商売ができなくなるだろう。
ジェイコブは、父の言葉に頷くことしかできなかった。
「それから、アリス嬢に色目を使うのはよせ」
「なっ、色目なんか使っていません!」
ジェイコブは急にアリステルのことを言われて、カッと頭に血が上り、顔が熱く火照った。
「ならなんで、町に誘った?」
「それは!リリーが世話になっているお礼です。ナンパに合わないように、守ってあげたいと思っただけです」
ムキになって言い返す息子を見て、やれやれと言った風に首を振る。
「お前にはマルグリット嬢がいる。これ以上、アリス嬢に近づくな。いいな」
「父さん!いい加減にしてくれ。そんなつもりはないと言ってるだろ!」
そう言って、ジェイコブは乱暴に席を立ち、書斎を出ていった。
パーティーから帰って来たガスター夫妻と、ジェイコブ、リリー、そこにアリステルの姿もあった。
本来であればジェイコブの恋人、マルグリットのために用意された席であった。
いつもは部屋で夕食を食べているアリステルだが、ジェイコブがぜひ一緒にと誘いに部屋まで訪れた。
ご家族の団らんの場だから、と遠慮するアリステルに食い下がった。
もう用意してあるのだからと言われると、アリステルもこれ以上断るのはかえって失礼と判断した。
「アリス先生、たくさん食べてくださいね。我が家の食事はお口に合うかしら?」
ガスター夫人がにこやかに話しかけると、アリステルも穏やかに応じた。
「ええ、いつも美味しくいただいていますわ。ありがとうございます」
「アリス先生に教えていただくようになってから、リリーも明るくなって、本当に先生には感謝しています」
「とんでもないことでございます。わたくしの方こそ、リリーさんから教えられることが多いのです」
「いやよ、先生。いつもみたいにリリーって呼んで!」
リリーのかわいらしい抗議に、ふふふふ、と笑う。
「わかったわ、リリー」
「こら、アリス先生を困らせてはいけないぞ」
ジェイコブがリリーを叱ると、リリーはいつものように口を尖らせた。
アリステルは優しく首を横に振った。
「ジェイコブさん、大丈夫ですわ。お気遣いいただきありがとうございます」
微笑みを向けられたジェイコブは顔を赤らめた。
「それなら、私のこともジェイコブと呼んでください」
「そのようなこと、できませんわ」
アリステルが慌てて断ると、今度はジェイコブが口を尖らせた。
「リリーがよくて、なぜ私はダメなのですか」
「リリーは教え子ですもの。特別です。ジェイコブさんはリリーの大事なお兄様ですもの」
困ったように笑うアリステルを見て、ガスター夫人がジェイコブをたしなめた。
「あらあら、アリス先生を困らせているのは、一体だれかしらね?」
「そうよ!お兄ちゃんの方が困らせてる!」
「・・・これは失礼」
逆にリリーに叱られるジェイコブを見て、家族は楽しく笑った。
食事が終わって、デザートとお茶が出されると、一段とくつろいだ雰囲気になり、話題はアリステルが町に買い物へ行った時のことへと移った。
アリステルは先日、初めて一人で町へ出かけた。リリーの教科書として使える本を探しに、本屋へ行こうと思っていた。
そして、いつもお世話になっているガスター家の皆さんへのお礼に、町で人気のお菓子をプレゼントしようと思ったのだ。
町へ出ると言っても、ガスター邸はそこそこ利便の良い立地にあり、商店が立ち並ぶ繁華街へは徒歩10分もあれば行ける距離である。
貴族の令嬢であれば、この距離でも馬車を用意するところであるが、アリステルは歩いて出かけた。
しかし、繁華街に出て早々に見ず知らずの若い男たちに囲まれてしまった。
いわゆる、ナンパである。
なんと答えても通してくれない男たちに、アリステルがほとほと困り果てたとき、救世主はやって来た。
アリステルの後をつけていたリリーとメイド長のナタリーである。
「お姉ちゃん、お待たせー!あれ、このおじさんたちだれ?」
「リリー!」
「「「おじさん・・・」」」
「それが見ず知らずの方なのだけれど、一緒に楽しいことをしようってお誘いを受けて困っていたの」
「あなた方はどこのならず者です。人さらいですか?警備兵を呼んでもいいのですよ」
ナタリーが厳しい表情でキッと睨みを利かせると、男たちは口々に文句を言いながらも立ち去った。
「アリス先生、大丈夫?」
「ええ、助かったわ。リリー、ナタリーさん、ありがとうございます」
「もう、先生ったら。あんなナンパにつかまって、心配で見ていられないわよ」
「ナンパ…?」
リリーがあきれたような顔をする。
ナタリーも苦笑気味にアリステルに注意を促す。
「アリス先生、あのように遊びに誘ってくることをナンパと言うのですよ。楽しいことをしようと言われたら、貞操の危機とお考えください。すぐに大きな声で助けを呼ぶか、逃げ出してどこかのお店に入るようにしてください」
「まぁ、知らなかったわ。わたくし貞操の危機でしたのね。リリー、助けてくれてありがとう。わたくしの小さなナイトね。うふふふ」
「笑ってる場合じゃないよ、アリス先生。今日はたまたま私が後をつけていたからよかったけれど、もっと気を付けて歩かなくっちゃダメよ」
「まぁ、後をつけて?」
「あ・・・」
失言である。
「リリーもお買い物に行きたかったのね?」
「そう!そうです。お買い物に連れて行ってほしいなぁという気持ちがあふれ出て」
「うふふふ、では一緒に行きましょう」
その後、無事に予定していた買い物を済ませることができたのだった。
アリステルは買い物の仕方もお金の種類もまだよく理解していなかったので、実はナタリーがいなかったら、お菓子も本も無事に買えたとは思えない事態だったのが、アリステルは気が付いていない。
きっとナンパがなくても、困ったアリステルの目の前に、二人が現れることになったのだろう。
その話をしたところ、ジェイコブは少し憤慨したような顔と声でアリステルに言った。
「アリス先生、あなたのような女性が一人で町に出るのは危険だ。私が明日、連れて行ってあげます」
「そう言っていただいて、ありがとうございます。でも、今は特に欲しいものもありませんから、大丈夫ですわ」
「あなたはきっと、町の屋台で食べ歩きなんかをしたことないのではありませんか。よかったら、美味しいものを紹介しますよ」
「食べ歩き、ですか?ええ、したことはありません」
「じゃあぜひ!町の美味しいものを知ってもらいたいですし」
アリステルは正直、あまり気乗りしなかった。
婚約者以外の男性とそのように出かける約束をすることは、大変はしたないことだと思う。
なにより、今日は急用ができてお帰りになったという婚約者のマルグリットに対して失礼なことではないか。
「アリス先生!私も食べ歩きしてみたい!明日、お兄ちゃんに連れて行ってもらいましょうよ」
リリーがとても嬉しそうに言うので、アリステルは少しほっとした。
兄妹の買い物に付き添うなら、許容範囲であった。
「そうね。では明日、ご一緒させていただきます。婚約者のマルグリット様もお誘いになってはいかがですか」
「マルグリットは食べ歩きを嫌うので、誘いません」
ガスター夫妻は息子の言動を見て、そっと目配せをしあっていた。
「今日のところはお開きとしよう。このあとジェイコブには話があるから、私の書斎に来なさい」
「はい」
リリーとアリステルはおやすみなさい、と挨拶をして、それぞれの部屋に下がった。
書斎に入ると、親子は向かい合ってソファーに掛けた。
「ジェイコブ、マルグリット嬢はどうした。今日来る予定だったろう」
「マルグリットは急な用事で帰りました」
父親は顔をしかめて、ジェイコブを見た。
「嘘をつくな。お前が急に帰したと聞いたぞ」
「・・・申し訳ありません。わがままを言うので嫌になってしまいました」
「そうか。貴族の令嬢なのだから、多少のわがままは仕方あるまい。お前も承知の上で付き合っていたのだろう」
「そうですが…。彼女は俺がナバランドにいることが気に入らないんだ。ナバランドなんかに行くくらいなら結婚しないと言っています」
「そうか。ならば早く仕事を覚えて帰って来るんだな」
ジェイコブはこぶしを握った。
わかってはいる。
仕事を覚えるために、必要があってナバランド国へ行かされているということ。
父親の跡を継ぐためには、避けては通れない道だということ。
「それに、結婚式でルビーを身につけないと言いました。ルビーなんか嫌だと」
「それで腹を立てたのか。・・・しかし、結婚を取りやめることは許さない。こちらにいる1週間で、なんとかマルグリット嬢の機嫌を取るよう努力しろ」
マルグリットの家と縁続きになることは、ガスター商会の社運を賭けた一大事業のようなものだった。
婚約まで調い、今さら結婚を取りやめるなどとなれば、もう貴族を相手に商売ができなくなるだろう。
ジェイコブは、父の言葉に頷くことしかできなかった。
「それから、アリス嬢に色目を使うのはよせ」
「なっ、色目なんか使っていません!」
ジェイコブは急にアリステルのことを言われて、カッと頭に血が上り、顔が熱く火照った。
「ならなんで、町に誘った?」
「それは!リリーが世話になっているお礼です。ナンパに合わないように、守ってあげたいと思っただけです」
ムキになって言い返す息子を見て、やれやれと言った風に首を振る。
「お前にはマルグリット嬢がいる。これ以上、アリス嬢に近づくな。いいな」
「父さん!いい加減にしてくれ。そんなつもりはないと言ってるだろ!」
そう言って、ジェイコブは乱暴に席を立ち、書斎を出ていった。
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