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第1話 何か揉めてるが、わたしは知らんっ!
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「あのぉ……もしもし? わたしは早く森へ帰りたいんだけど……」
サラは戸惑いながらも目の前にいる大人たちへ訴えた。
話題の中心であるにもかかわらず、傍観者にされている幼女は転生者だ。
(異世界転生で、わたしは3歳児になってしまったから大人には絡みにくいなぁ)
何か知らんが大人たちが揉めている。
サラは銀髪ちびっ子の姿で、それを眺めていた。
前世からだいぶ縮んでしまった体には、白地に銀刺繍の入ったゆったりとしたドレスを着ている。
「大神官っ、勝手なことを言うんじゃないっ!」
「だから聖女さまには、仕事をしていただかないと!」
サラが着せられた銀刺繍の入ったストンとしたドレスは聖女の聖衣らしい。
白いドレスのウエストあたりを小さな手で引っ張って、サラはまじまじと見ている。
「だいたいお前が転送先を王城ではなく、森へ変えたからこんなことになったんだ! 今さら図々しいっ!」
「ですが王子。事前に神殿への相談もなく、聖女召喚を決められたら問題になることは分かっていたでしょう?」
「聖女召喚は、そもそも神託だぞ⁉ 相談するもなにもないじゃないかっ」
どうやら権力者の間で意見の食い違いがあるらしい。
サラは頭をポリポリと掻いた。
ブラック企業に勤める社畜OLが、人生逆転を狙って結婚したのに不倫されて離婚して、挙句うっかり死んでしまい、哀れんだ女神が異世界へ幼女の姿で転生させてくれたのだ。
サラは前髪ぱっっん長髪の銀髪のちびっ子姿で可愛い。
スキルもたっぷり持たされた上に、聖女である。
これは幸せになれる予感しかしない。
喜び勇んで転生したのに、王国内で大人同士が揉めていて、大切にしてもらえていないのである。
聖女として召喚されたはずなのに気付いたら草原の真ん中に立っていたサラだが、なんやかんやあって今は王城の一室にいる。
シャンデリアの下がる室内はとても御ゴージャスだが、揉める大人は見苦しい。
「サラさまは、聖女だぞ? それをあんな森に……」
「あんな森とはなんですか、王子っ! 聖獣さまたちが住まわれる聖なる森ですぞ⁉」
言い争う王子と大神官に向かって、キラキラの王冠を被った男が叫ぶ。
「もうどっちでもいいから、早く瘴気をなんとかしてくれっ! このままでは王国が大変なことになってしまうっ!」
「父上っ! 身勝手ですよ、そんな言い方は。サラさまを召喚しておいて森へと追いやったのは、父上も同意していたことでしょう⁉」
王子に詰め寄られ、国王は言い訳するように小さな声で訴える。
「だからあそこは聖なる森で……」
「いくら聖なる森でも、そこで瘴気払いや魔獣退治ができるわけじゃないでしょう⁉」
大神官が笑いながら言う。
「それもサラさまがなんとかしてくれるでしょう。なんといっても聖女ですから」
「スキルも山盛りてんこ盛りじゃからの。いやぁ心強い」
大神官と国王に向かって王子は叫ぶ。
「だから、その聖女を森へ追いやったのは誰だよ⁉」
「いやだなぁ、王太子。過去の失敗をグチグチと。そんな器の小さなことでは国王という大役は務まりますかな?」
大神官はヘラヘラしている。
さっきからずっと揉めているが、話は一向に進んでいかないのだ。
(あーイライラしてきた。我慢できないっ! コレ、さっさとやること済ませちゃったほうが早くない⁉)
サラは幼女化に伴って短気になっていた。
「オジサンたちウルサイっ! もういいっ! わたし、さっさと魔獣退治でも、瘴気払いでも済ませるっ!」
王子は青ざめ、神官たちは表情を輝かせた。
「なんとお心が広いっ」
「さすが聖女さまっ!」
国王さまもニコニコだ。
「これで王国は安泰だ」
「父上、そういうわけにも……」
「お前は過去の失敗を引きずり過ぎだ。過去は変えられないし、お礼はたっぷりする」
「えー、それで済むような失敗ですか?」
王子はまだ納得していないようだ。
なぜこんなことになってしまったのか。
サラは3歳児らしからぬ頭痛を感じながら、運命が変わってしまったあの日を思い返した。
サラは戸惑いながらも目の前にいる大人たちへ訴えた。
話題の中心であるにもかかわらず、傍観者にされている幼女は転生者だ。
(異世界転生で、わたしは3歳児になってしまったから大人には絡みにくいなぁ)
何か知らんが大人たちが揉めている。
サラは銀髪ちびっ子の姿で、それを眺めていた。
前世からだいぶ縮んでしまった体には、白地に銀刺繍の入ったゆったりとしたドレスを着ている。
「大神官っ、勝手なことを言うんじゃないっ!」
「だから聖女さまには、仕事をしていただかないと!」
サラが着せられた銀刺繍の入ったストンとしたドレスは聖女の聖衣らしい。
白いドレスのウエストあたりを小さな手で引っ張って、サラはまじまじと見ている。
「だいたいお前が転送先を王城ではなく、森へ変えたからこんなことになったんだ! 今さら図々しいっ!」
「ですが王子。事前に神殿への相談もなく、聖女召喚を決められたら問題になることは分かっていたでしょう?」
「聖女召喚は、そもそも神託だぞ⁉ 相談するもなにもないじゃないかっ」
どうやら権力者の間で意見の食い違いがあるらしい。
サラは頭をポリポリと掻いた。
ブラック企業に勤める社畜OLが、人生逆転を狙って結婚したのに不倫されて離婚して、挙句うっかり死んでしまい、哀れんだ女神が異世界へ幼女の姿で転生させてくれたのだ。
サラは前髪ぱっっん長髪の銀髪のちびっ子姿で可愛い。
スキルもたっぷり持たされた上に、聖女である。
これは幸せになれる予感しかしない。
喜び勇んで転生したのに、王国内で大人同士が揉めていて、大切にしてもらえていないのである。
聖女として召喚されたはずなのに気付いたら草原の真ん中に立っていたサラだが、なんやかんやあって今は王城の一室にいる。
シャンデリアの下がる室内はとても御ゴージャスだが、揉める大人は見苦しい。
「サラさまは、聖女だぞ? それをあんな森に……」
「あんな森とはなんですか、王子っ! 聖獣さまたちが住まわれる聖なる森ですぞ⁉」
言い争う王子と大神官に向かって、キラキラの王冠を被った男が叫ぶ。
「もうどっちでもいいから、早く瘴気をなんとかしてくれっ! このままでは王国が大変なことになってしまうっ!」
「父上っ! 身勝手ですよ、そんな言い方は。サラさまを召喚しておいて森へと追いやったのは、父上も同意していたことでしょう⁉」
王子に詰め寄られ、国王は言い訳するように小さな声で訴える。
「だからあそこは聖なる森で……」
「いくら聖なる森でも、そこで瘴気払いや魔獣退治ができるわけじゃないでしょう⁉」
大神官が笑いながら言う。
「それもサラさまがなんとかしてくれるでしょう。なんといっても聖女ですから」
「スキルも山盛りてんこ盛りじゃからの。いやぁ心強い」
大神官と国王に向かって王子は叫ぶ。
「だから、その聖女を森へ追いやったのは誰だよ⁉」
「いやだなぁ、王太子。過去の失敗をグチグチと。そんな器の小さなことでは国王という大役は務まりますかな?」
大神官はヘラヘラしている。
さっきからずっと揉めているが、話は一向に進んでいかないのだ。
(あーイライラしてきた。我慢できないっ! コレ、さっさとやること済ませちゃったほうが早くない⁉)
サラは幼女化に伴って短気になっていた。
「オジサンたちウルサイっ! もういいっ! わたし、さっさと魔獣退治でも、瘴気払いでも済ませるっ!」
王子は青ざめ、神官たちは表情を輝かせた。
「なんとお心が広いっ」
「さすが聖女さまっ!」
国王さまもニコニコだ。
「これで王国は安泰だ」
「父上、そういうわけにも……」
「お前は過去の失敗を引きずり過ぎだ。過去は変えられないし、お礼はたっぷりする」
「えー、それで済むような失敗ですか?」
王子はまだ納得していないようだ。
なぜこんなことになってしまったのか。
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