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いわゆるデートというヤツらしい
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「情報収集以外で僕に手伝えることはある?」
メアリーは少し考え込む。
直接フィネラの情報を手に入れること以外で、現在できることといえば彼女の悪事を証明できる証拠探しであろうか?
「あの女を二十四時間、監視できる使い魔とか作れないの?」
「申し訳ないけど、それは無理だね。使い魔の使役は、僕の守備範囲外だ」
「そう……だったら、同じ紙を百枚ぐらい複製することはできる?」
男は意地悪そうな笑みを浮かべる。
「あれ、もしかして護符作りが間に合わない感じ?」
「そうよ……」
からかわれていることを察したメアリーは、腕を組みながら目を逸らした。
「悪いけど僕は『別のものに変える』ことは得意だけど『同じものを複製すること』は苦手なんだよね」
よるするに、金をダイヤモンドに変えるのは得意だけど、金を増やすのは苦手なのね。
「貴方、なんにも出来ないわね?」
「これでも魔道学院では、千年に一度の逸材だとか言われているんだよ」
「嘘ついてまで見栄えをはるなんて、見苦しいわよ」
呆れた目で見つめるメアリー。
男は苦笑いしながら頭をかいた。
「仕方ないわね。だったら、木の板を何枚かあげるから作って欲しいものがあるの」
「どうして木の板なんか……?」
一瞬、怪訝な表情を浮かべた男であったが、すぐさま納得したように笑った。
「あー、なるほどねぇ。やっぱり君は凄いよ」
***
予言式の前日。
会場の準備を含め、全ての”やるべきこと”を終わらせたメアリーは何一つやることがなく、暇であった。
そこでメギスが提案したのが”外出”である。正直、あまり親しくない男性と出かけるのは気が進まない。
しかし、私にとってメギスは命を救ってくれた恩人だ。同時に、絶対敵に回す訳にはいかない存在である。
さて、外出用ドレスはどうしましょう?
レース付きコルセットでウエストをしめてから、クリノリンの上に薔薇の刺繍が施された赤いドレスをまとう。
最後に真っ赤なリップを唇に塗ってから侍女を呼び出した。
「どう、似合っているかしら?」
「とてもお似合いですよ。これなら、どのような殿方でもイチコロかと」
「そっ、そう……」
照れくさそうに目を逸らすメアリー。
別に男をイチコロにする必要なんて無いじゃない!
「お嬢様、ところで護符作りの方は大丈夫なのですか?」
「護符作りなら終わったわよ。おかげさまで暇になってしまったから、今日は遊びに行こうと思って」
「そんな……たった二日で?」
両手で口を覆いながら目を見開く侍女。
「だから、今日はお留守番よろしくね」
メアリーは侍女が持ってきた日傘を受け取ってから、屋敷の外へ出た。
屋敷の正門を抜けると、紳士服を着たメギスが手のひらサイズの本を読みながら待っていた。
「待たせたわね」
「いや、今着いたばっかりだよ」
本を閉じ、メアリーに視線を移したメギスは目を輝かせた。
「わぉ、最高に可愛いじゃん」
「褒めたってなにも出ないわよ。それで、今日はどこに連れて行ってくれるの?」
メアリーも満面の笑みを浮かべながら、メギスを見上げる。
「私が見たことがない場所に連れて行ってくれるって約束でしょ?」
「そうだね、任せてくれ」
メギスは空中から一枚のチラシを取り出した。薄いチラシには、ドレスをまとった貴婦人の絵が描かれている。
貴婦人たちは全員、鳥の剥製や、ドライフラワーが縫いつけられた巨大な帽子をかぶっていた。
そして、チラシの上部には――。
『今、流行中の婦人用帽子。オリヴィエ百貨店にて販売中!!』
と書かれていた。
「凄い見た目の帽子ね。本当に流行っているの?」
「気になるなら、直接見ればいいさ」
メギスはメアリーの右手を握ってから、呪文を唱え始めた。
メアリーの白い肌が赤くなる。
二人の周囲が光に包まれ始める。
「貴族にとって買い出しは、使用人の仕事だって聞いたよ。だからメアリーにとって百貨店は、見たことがない場所だろ?」
「さすが、千年に一度の逸材。よく分かっているじゃない。勝手にレディの手を握る無礼さえなければ百点満点だったわ」
あぁ、初めての買い出し。
「あ……」
己の失態に気づいたらしいメギスは、慌ててメアリーの手を離す。
いまさら、遅いわよ。
二人の周囲を光が包み、メアリーとメギスは姿を消した。
その様子を窓から見下ろす影が一つ。
「まぁ、護符作成が間に合わないからって全てを投げ出してしまったのね。いけない子」
使用人や、鳥さえも見ていない場所で、ただ一人ほくそ笑むフィネラ。
腕を組みながら勝ち誇ったように笑っていた彼女であったが、メギスの姿を見た途端、顔を歪ませた。
「トリスメギストスのやつめ……また私の邪魔をしに来たか。忌々しい」
メアリーは少し考え込む。
直接フィネラの情報を手に入れること以外で、現在できることといえば彼女の悪事を証明できる証拠探しであろうか?
「あの女を二十四時間、監視できる使い魔とか作れないの?」
「申し訳ないけど、それは無理だね。使い魔の使役は、僕の守備範囲外だ」
「そう……だったら、同じ紙を百枚ぐらい複製することはできる?」
男は意地悪そうな笑みを浮かべる。
「あれ、もしかして護符作りが間に合わない感じ?」
「そうよ……」
からかわれていることを察したメアリーは、腕を組みながら目を逸らした。
「悪いけど僕は『別のものに変える』ことは得意だけど『同じものを複製すること』は苦手なんだよね」
よるするに、金をダイヤモンドに変えるのは得意だけど、金を増やすのは苦手なのね。
「貴方、なんにも出来ないわね?」
「これでも魔道学院では、千年に一度の逸材だとか言われているんだよ」
「嘘ついてまで見栄えをはるなんて、見苦しいわよ」
呆れた目で見つめるメアリー。
男は苦笑いしながら頭をかいた。
「仕方ないわね。だったら、木の板を何枚かあげるから作って欲しいものがあるの」
「どうして木の板なんか……?」
一瞬、怪訝な表情を浮かべた男であったが、すぐさま納得したように笑った。
「あー、なるほどねぇ。やっぱり君は凄いよ」
***
予言式の前日。
会場の準備を含め、全ての”やるべきこと”を終わらせたメアリーは何一つやることがなく、暇であった。
そこでメギスが提案したのが”外出”である。正直、あまり親しくない男性と出かけるのは気が進まない。
しかし、私にとってメギスは命を救ってくれた恩人だ。同時に、絶対敵に回す訳にはいかない存在である。
さて、外出用ドレスはどうしましょう?
レース付きコルセットでウエストをしめてから、クリノリンの上に薔薇の刺繍が施された赤いドレスをまとう。
最後に真っ赤なリップを唇に塗ってから侍女を呼び出した。
「どう、似合っているかしら?」
「とてもお似合いですよ。これなら、どのような殿方でもイチコロかと」
「そっ、そう……」
照れくさそうに目を逸らすメアリー。
別に男をイチコロにする必要なんて無いじゃない!
「お嬢様、ところで護符作りの方は大丈夫なのですか?」
「護符作りなら終わったわよ。おかげさまで暇になってしまったから、今日は遊びに行こうと思って」
「そんな……たった二日で?」
両手で口を覆いながら目を見開く侍女。
「だから、今日はお留守番よろしくね」
メアリーは侍女が持ってきた日傘を受け取ってから、屋敷の外へ出た。
屋敷の正門を抜けると、紳士服を着たメギスが手のひらサイズの本を読みながら待っていた。
「待たせたわね」
「いや、今着いたばっかりだよ」
本を閉じ、メアリーに視線を移したメギスは目を輝かせた。
「わぉ、最高に可愛いじゃん」
「褒めたってなにも出ないわよ。それで、今日はどこに連れて行ってくれるの?」
メアリーも満面の笑みを浮かべながら、メギスを見上げる。
「私が見たことがない場所に連れて行ってくれるって約束でしょ?」
「そうだね、任せてくれ」
メギスは空中から一枚のチラシを取り出した。薄いチラシには、ドレスをまとった貴婦人の絵が描かれている。
貴婦人たちは全員、鳥の剥製や、ドライフラワーが縫いつけられた巨大な帽子をかぶっていた。
そして、チラシの上部には――。
『今、流行中の婦人用帽子。オリヴィエ百貨店にて販売中!!』
と書かれていた。
「凄い見た目の帽子ね。本当に流行っているの?」
「気になるなら、直接見ればいいさ」
メギスはメアリーの右手を握ってから、呪文を唱え始めた。
メアリーの白い肌が赤くなる。
二人の周囲が光に包まれ始める。
「貴族にとって買い出しは、使用人の仕事だって聞いたよ。だからメアリーにとって百貨店は、見たことがない場所だろ?」
「さすが、千年に一度の逸材。よく分かっているじゃない。勝手にレディの手を握る無礼さえなければ百点満点だったわ」
あぁ、初めての買い出し。
「あ……」
己の失態に気づいたらしいメギスは、慌ててメアリーの手を離す。
いまさら、遅いわよ。
二人の周囲を光が包み、メアリーとメギスは姿を消した。
その様子を窓から見下ろす影が一つ。
「まぁ、護符作成が間に合わないからって全てを投げ出してしまったのね。いけない子」
使用人や、鳥さえも見ていない場所で、ただ一人ほくそ笑むフィネラ。
腕を組みながら勝ち誇ったように笑っていた彼女であったが、メギスの姿を見た途端、顔を歪ませた。
「トリスメギストスのやつめ……また私の邪魔をしに来たか。忌々しい」
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