断罪するのは天才悪女である私です〜継母に全てを奪われたので、二度目の人生は悪逆令嬢として自由に生きます

紅城えりす☆VTuber

文字の大きさ
16 / 65

悪者は最初から袋のネズミ

しおりを挟む
「くそっ、意味分かんねぇ。この炎は術者である俺たちは無害であるはずなのに……」

「ふふっ、哀れなことね。が貴方たちだと錯覚しているだなんて」

「はぁ、そんな訳ないだろ!」

 血眼で叫ぶ男の様子を見ながら、メアリーは少女と母親に逃げるよう視線を使って合図する。

「百貨店全体には魔法避けの結界が張ってある。俺たち以外のヤツが魔法を使えるはずがない」

「その結界とやらが初めから破壊されていたらどうかしら?」

「はぁ……なにを言って……?」

「貴方が、ご婦人と話す前から結界が破壊されて、他の魔道士に貼り直されていたらどうなるかしら、ねぇ?」

「まさか、結界の存在に気づいて、同じものを貼り直したのか?」

「貼り直したのは私ではなく他の方ですけどね。だから今、百貨店全体を焼いている炎が私や関係のない一般人を焼くことは、決してないわ」

 男は舌打ちをしながら必死に炎避けの呪文を唱えていたが、効果は無くあっという間に黒ローブ全体が炎に包まれた。

「そんなに慌てなくとも警備隊の方がいらっしゃる頃には鎮火されていると思いますわ。では、ごきげんよう」

 メアリーは最後、スカートの裾を掴んで、優雅にお辞儀をしながら男の前から去る。

 最後、男はボソボソと何かを呟いていた。
 口の動きから彼の言葉を予想する。

『銀髪の小娘め』

 なによ、それが負け惜しみなの?

 メアリーがため息をつくと、天井で揺れていたランプが、人の姿に変わりメギスが姿を現す。

「ティーカップじゃなくて、ランプに変身していたのね」

「商品と間違えられて買われたら困るからね」

「とにかく、貴方も無事で良かったわ。さっさと帰りましょう」

 そそくさと百貨店の出口を目指すメアリーを、見たメギスは不安そうな表情を浮かべる。

「せっかくの休日が台無しになってしまったね」

 メアリーはくるりと振り向いてから、曇り一つない満面の笑みを浮かべた。

「別に休日なら、また作ればいいのよ。また二人で出かけましょう」

「それもそうだねぇ」

 メギスは、メアリーの視線が前方に戻った事を確認してから苦笑いした。


***


 一日中、百貨店の中を歩き回ったせいでヘトヘトになったメアリーは買ってきた荷物を、使用人に預けてからメギスに微笑んだ。

「今日はありがとう。とても、楽しかったわ。貴方に払ってもらった代金は後日、使用人を通して返すわね」

「いや、僕が払いたくて払ったから気にしなくていいよ。実を言うと僕、ずっと研究室に引きこもってばっかりだから金の使い道がないんだよね」

「あら、申し訳ないけど私は借りは作らないことにしているの。返した金は研究費にでも当てなさい」

 両手に手を当て、鋭い目つきで睨むメアリー。メギスは頭をかきながら苦笑いをする。

「それじゃあ、また明日な」

「えぇ、予言式でまた会いましょう」

 メアリーが小さく上品に手を振ると、メギスが指を鳴らし姿を消した。

「これだけは絶対に忘れないでくれ。なにがあっても僕は君を見捨てないから」

 なによ『それっぽいこと』言っちゃって。

 それにても今日は本当に疲れたわね。
 今夜は早く寝ましょう。

 使用人に荷物を部屋に持っていくよう指示してから、屋敷のエントランスホールへと入る。
 すると、二階の方から見慣れた男性が降りてきた。

「メアリー、遅かったな」
「あら、お兄様。お仕事お疲れ様です」

 イセルである。
 いつも通り無表情のまま話すイセルであったが、なぜか時々照れくさそうに目を逸らす。

「その……使用人から聞いたのだが、お前、見知らぬ男と出かけていたそうたな」

「”見知らぬ男”でありませんわ。彼は私の友人です」

「貴族ですらない庶民の男が友人? 笑わせてくれる」

「笑いたいなら好きなだけ笑ってちょうだい。私が、どこの誰と関係を持とうがお兄様には関係のない話ですから」

「それは違っ……」

 立ち去ろうとするメアリーを、必死に止めようとするイセル。

「なにが違うと言うの?」

「いや、なんでもない……」

 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

元使用人の公爵様は、不遇の伯爵令嬢を愛してやまない。

碧野葉菜
恋愛
フランチェスカ家の伯爵令嬢、アンジェリカは、両親と妹にいない者として扱われ、地下室の部屋で一人寂しく暮らしていた。 そんな彼女の孤独を癒してくれたのは、使用人のクラウスだけ。 彼がいなくなってからというもの、アンジェリカは生きる気力すら失っていた。 そんなある日、フランチェスカ家が破綻し、借金を返すため、アンジェリカは娼館に売られそうになる。 しかし、突然現れたブリオット公爵家からの使者に、縁談を持ちかけられる。 戸惑いながらブリオット家に連れられたアンジェリカ、そこで再会したのはなんと、幼い頃離れ離れになったクラウスだった――。 8年の時を経て、立派な紳士に成長した彼は、アンジェリカを妻にすると強引に迫ってきて――!? 執着系年下美形公爵×不遇の無自覚美人令嬢の、西洋貴族溺愛ストーリー!

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

慈愛と復讐の間

レクフル
ファンタジー
 とある国に二人の赤子が生まれた。  一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。  慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。  これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。  だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。 大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。  そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。  そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。  慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。  想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……

余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~

流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。 しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。 けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。

殺された伯爵夫人の六年と七時間のやりなおし

さき
恋愛
愛のない結婚と冷遇生活の末、六年目の結婚記念日に夫に殺されたプリシラ。 だが目を覚ました彼女は結婚した日の夜に戻っていた。 魔女が行った『六年間の時戻し』、それに巻き込まれたプリシラは、同じ人生は歩まないと決めて再び六年間に挑む。 変わらず横暴な夫、今度の人生では慕ってくれる継子。前回の人生では得られなかった味方。 二度目の人生を少しずつ変えていく中、プリシラは前回の人生では現れなかった青年オリバーと出会い……。

【完結】嫌われ公女が継母になった結果

三矢さくら
恋愛
王国で権勢を誇る大公家の次女アデールは、母である女大公から嫌われて育った。いつか温かい家族を持つことを夢見るアデールに母が命じたのは、悪名高い辺地の子爵家への政略結婚。 わずかな希望を胸に、華やかな王都を後に北の辺境へと向かうアデールを待っていたのは、戦乱と過去の愛憎に囚われ、すれ違いを重ねる冷徹な夫と心を閉ざした継子だった。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

処理中です...