断罪するのは天才悪女である私です〜継母に全てを奪われたので、二度目の人生は悪逆令嬢として自由に生きます

紅城えりす☆VTuber

文字の大きさ
17 / 65

残念でした。私の勝ち

しおりを挟む
 予言式当日。
  ターレンバラ家には、神官、魔道士、領地に住む民の代表者、そしてメアリーの父親が帰ってきていた。

「お久しぶりです、父上。今回の遠征も上手くいったようでなによりです」

「私も久しぶりに家族の顔が見れて幸せだよ」

 メアリーよりも、ずっと高い背丈に赤髪。胸に縫いつけられた記章が、彼の積み立ててきた軍功を物語っている。
 ターレンバラ伯爵こと、クリスである。
 全体的にメアリーとは似ても似つかない容姿である彼であったが、瞳の色だけは娘と同じ琥珀色であった。

「あらぁ、おかえりなさい」

 メアリーとクリスが談笑していると、継母であるフィネラが現れた。

「ただいま、フィネラ。予言式も含め、いつも儀式や社交パーティの管理を任せてしまって済まないね」

「いえいえ、貴方が毎日、民のために戦っていることを思えば、この程度大したことはないですわ」

「そうかね。では、今年の狩猟会シューティングは我が領で開催することにするか」

「では、お客様方のために昼食をご用意しなくてはならないですわね」

 父との団欒を邪魔されたメアリーは、口を尖らせながら立ち去ろうとする。すると、フィネラは薄笑いをしながら、クリスに囁いた。しかも、わざとメアリーにも聞こえるように。

「そういえば今年はメアリーに予言式の手伝いを任せたの。そうしたら、あの子ったら、まだ準備が終わっていないのに、遊びに出かけてしまってね。まだ、あの子に家の仕事を経験させるのは早かったかしら?」

「あら、まだ終わっていないだなんて誰が申し上げましたの?」

 メアリーはセンスで口元を隠しながら、フィネラを見つめる。

「あの量を一人で……いえ、初めて取り組むには中々、多い仕事量だというのに……お義母様は貴方がお役目を果たすことを諦めて遊んでいたものかと思っていましたわ」

 慌てたように言葉を紡ぐフィネラ。
 呼吸の回数がいつもより多い、声のトーンも不自然。間違いないわ。
 フィネラは今、焦っている。

 あら、良い顔するじゃない。

「そうですか。でしたら真実は貴方の目で直接ご覧になればいいでしょう?」


***


「では、これより予言式を執り行います」

 星空が天井に映し出された祈祷室。

 中央にある石製の台には、神官と魔道士が書いた予言書が乗っていた。

 シンプルな白のドレスに着替えたフィネラが、予言書の前に立ち、予め用意された護符を掴み、ガラス製ゴブレットに投げ入れる。

 すると、ゴブレットの中から炎が溢れ出し、護符が灰となった。

 メアリーはフィネラが護符をゴブレットに入れる動作が遅いことに気づき、あざ笑う。

 残念ね。何回数えたところで護符の枚数は足りているわよ。

「フィネラのヤツ悔しそうだな」

 いつの間にか隣に立っていたメギスが、愉快そうな表情で囁く。

「えぇ、まさか私が版画を利用するだなんて思いもよらなかったでしょうねぇ」

 三日間で千枚以上の護符を用意しろ。

 この難題に対処するため、メアリーは護符の模様が百枚ごと同じになっていることを利用することにした。

 メギスに木の板を渡し、護符の模様を反転させた窪みを彫らせたのだ。むろん、手彫りでは無い。彼には魔法で版を作って貰った。

 版とインクさえ用意できれば、後は紙に護符の模様を印刷するだけ。一枚、一枚書くよりは遥かに効率がいい。

 結界作成から呪文の詠唱まで全ての儀式が終わると、最後にフィネラが今年の予言を読み上げる。



「厄災の魔女が王都に降り立ち、全てを炎に包むであろう」



 祈祷室全体の空気が凍りつく。
 神官、魔道士、民の代表者まで、この場に居る全ての者が、絶望に飲まれた表情となり、囁くような声が祈祷室中に響き渡った。

「静かになさい。まだ儀式の最中ですよ」

 声を振り上げ、一喝する。
 ざわめき声に飲まれていた祈祷室が一斉に、静まり返る。

――私が厄災の魔女?

――笑わせないで。

――予言の魔女が私だなんて下らない噂、

――必ず真正面から叩き潰してあげるわ!


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元使用人の公爵様は、不遇の伯爵令嬢を愛してやまない。

碧野葉菜
恋愛
フランチェスカ家の伯爵令嬢、アンジェリカは、両親と妹にいない者として扱われ、地下室の部屋で一人寂しく暮らしていた。 そんな彼女の孤独を癒してくれたのは、使用人のクラウスだけ。 彼がいなくなってからというもの、アンジェリカは生きる気力すら失っていた。 そんなある日、フランチェスカ家が破綻し、借金を返すため、アンジェリカは娼館に売られそうになる。 しかし、突然現れたブリオット公爵家からの使者に、縁談を持ちかけられる。 戸惑いながらブリオット家に連れられたアンジェリカ、そこで再会したのはなんと、幼い頃離れ離れになったクラウスだった――。 8年の時を経て、立派な紳士に成長した彼は、アンジェリカを妻にすると強引に迫ってきて――!? 執着系年下美形公爵×不遇の無自覚美人令嬢の、西洋貴族溺愛ストーリー!

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

慈愛と復讐の間

レクフル
ファンタジー
 とある国に二人の赤子が生まれた。  一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。  慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。  これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。  だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。 大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。  そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。  そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。  慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。  想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……

余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~

流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。 しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。 けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

処理中です...