断罪するのは天才悪女である私です〜継母に全てを奪われたので、二度目の人生は悪逆令嬢として自由に生きます

紅城えりす☆VTuber

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疑惑

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 ターレンバラ家にメギスが来るようになってから一週間後。外出しようとしているメアリーを見つけたイセルは声をかけた。

「メアリー、今日はどこに行くつもりだ?」

「モルガナ教会よ」

「どうして、わざわざお前が教会に?」

「お父様からモルガナ教会への寄付がどのように使われているか確認してきて欲しいと頼まれたの」

「そうか……」

 イセルは数秒間目を泳がせてから、ぽつりと答える。

「道端で躓かないようにな」

 彼が色々と悩んだ末に、この言葉を選んだことは誰が見ても明白であった。

「なにそれ、私もう道端で転ぶことを心配されるような歳じゃないわ」

 メアリーがクスクスと笑いながら、屋敷の外に出る。

「今まで色々と学んできたつもりだったが、妹の扱い方だけは未だに分からんな」

 普通の兄というものがさっぱり分からん――。

 イセルが目を細めながら小さな声で呟くと、執事の男がイセルに近づいてきた。

「坊ちゃん、奥様がお呼びです」

「そうか」

 イセルは執事に向かって一言返事をしてから、すぐにフィネラの自室に向かった。


***


 イセルがフィネラの部屋に入ると、甘酸っぱい香りが鼻腔をくすぐつた。

 フィネラの机にラズベリーが乗った皿が、置かれているせいだ。

「急に呼び出しちゃってごめんなさいね、イセル」

「どのようなご用向きで?」

「貴方とメアリーのことについて話し合いたくて呼び出したの」

 イセルの体が一瞬、ビクッと震える。

「兄の貴方から見て最近のメアリーはどう?」

「一言で表すなら……彼女は変わり果ててしまいました」

「そう、具体的に?」

 フィネラはいつもと変わらぬ輝かしい微笑を浮かべていたが、明らかに声は冷徹であった。

「以前より反抗的な態度を示すことが多くなりました。単独行動も増えたと思います」

「そう、さすが次期当主。日頃から、ちゃんと妹の様子も見ているのね。偉いわ」

 フィネラが両手を重ね合わさせてから頬に当て、義息子への褒めの言葉を述べる。
 しかし、当の本人は硬い表情で床を見つめていた。

「あまりにも自分勝手な振る舞いが目立つので、一度注意しましたが聞き入れては貰えませんでした」

「あら、やっぱり。お義母様やお兄様の忠告を聞けなくなってしまっただなんて……一体どうしてしまったのかしら?」

「お義母様、お言葉ですがメアリーぐらいの年頃になると、親に対して反抗的になるのは珍しいことではないと思います」

「貴方の言いたいことも一理あるわ。だけどね……」

 フィネラが机の上にあるフォークを掴んだ。

「今は緊急事態。陛下の方針で予言の内容は、なるべく内密にしてもらっているけど、現在国の上層部は魔女の存在に怯えているでしょうね」

 フォークの先を、真っ直ぐラズベリーへと突き刺す。赤い汁が皿へと広がる様は、ギロチンでの処刑風景を連想させた。

「メアリーは魔女と一切関係ありません」

「私たちにとってはそうね。だけど人間は窮地に立たされた時が、一番正常な判断を失うわ。たとえば、銀髪の少女を魔女として無理やり処刑したりとか……」

「そんな未来、絶対に認めません。俺には家族として、あの子を守る義務が……理由がありますから」

「だったら尚更、メアリーを元の良い子に戻さないとね。イセル、あの子がおかしくなってしまった原因に心当たりはある?」

「……メギス。魔道学院から来た、あの魔道士です。アイツがターレンバラ家に来るようになったタイミングと、メアリーが反抗的になった次期が被っています」

「まぁ、そうなのね。だったら、メギスについて調べて貰えないかしら?」

「はい、分かりました」

「さっさと、邪魔な虫は踏み潰してしまわないとね」


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