断罪するのは天才悪女である私です〜継母に全てを奪われたので、二度目の人生は悪逆令嬢として自由に生きます

紅城えりす☆VTuber

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象牙色の剣士

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 お父様からモルガナ教会の寄付金を調査する仕事を貰うのは、随分と骨が折れたわ。

 メアリーは、もう一度モルガナ教会に行く口実を作るために、父であるクリスを説得して、教会の帳簿を調べる仕事を貰った。

 用事がないのに何度も何度も教会を訪れるわけにはいかない。人を送り込むにしても、潜入させたスパイと再び接触できる保証はなかった。

「お嬢様、到着いたしました」

「ありがとう……って、あれ?」

  御者が馬車の扉を開き、メアリーが地へ足を下ろした途端、視界に入ったのは、とても騒がしい様子のモルガナ教会であった。

 教会の入口には、見覚えのない豪華な装飾が施された馬車がいくつも並んでいる。

 どうやら先客がいるようだ。
 
 どなたの馬車かしら?

 装飾の多さからして、相当財力のある方だと思われるけど。

 ひとまず、なにがあったのか聞いてみましょう。

 もし来客の正体が私より身分が高い方なら、一旦帰った方が良さそうね。

 メアリーは恐る恐る教会の入口へ近づき、己の予感が的中していたことを悟る。

 馬車の周りを囲んでいる白衣の騎士集団、間違いない。彼らは王宮騎士団だ。

 皇族の警備を任されている彼らがなぜ……こんな片田舎の教会に?

 メアリーは何度も目をこすってみたが、何度見ても彼らの装いは王宮騎士団のものである。

 面倒事になる前にさっさと帰りましょう。

 メアリーが早足で立ち去ろうとすると、背後から男性の声が響く。

「待ってください」

 くるりと振り向いた先でメアリーを見つめていたのは、赤髪の青年であった。

 鋭い目つきの背丈が高い男。

 メギスと同じく顔は整っており、いわゆる美青年だが、雰囲気は正反対だ。

 いつも笑顔を絶やさないメギスに対し、こちらの男性は、真面目でストイックな印象を受ける。

  美形だけどペンより剣の方が似合いそうな方ね。

「なんでございましょうか?」

 メアリーはスカートの裾をつまみながら、お辞儀をする。

 相手の身分が分かるまで、下出にでた方が良いわね。

 メアリーは色々と考えを巡らせながら、赤髪の男性にお辞儀をしていたが、すぐに彼女の心配が杞憂であったことが分かる。

「畏まらなくていいですよ。私は今、神殿にいらっしゃる方の付き添いで来ただけですから」

「神殿にいらっしゃる方とは?」

「詳しくはお答えできません。しかし、警備をしている者の服装から大体の予想はつくと思います」

 ということは、今、神殿の中には皇族の方がいらっしゃるの?

 メアリーは内心、冷や汗をかいていたが、態度に出さぬよう必死に取り繕っていた。

「貴方は、なぜ神殿にいらっしゃったのでしょうか?」

「自己紹介が遅れてしまい申し訳ありません。私はターレンバラ伯爵の娘であるメアリーと申します。父上がこちらの教会に寄付をしておりますゆえ、本日は寄付金がなにに使われているか確認するために参りました」

「そうでしたか、私の名前はウィリアムです」

「私としたことが……ウィリアム様とお連れの方がいらっしゃるとは知らず、教会を訪ねてしまいました。どうかご無礼をお許し下さい」

「いえ、実を言うと我々は教会に事前の連絡をしていません。ですから貴方に非はありませんよ」

 事前の連絡無しに皇族が来るなんて……想像しただけで胃痛がしてきたわ。

「それに、もうすぐ用事も終わる予定です。私の同伴者が戻ってくるまで馬車の中で話しませんか?」

 ウィリアムがそう呟くと王宮騎士の一人が、金の装飾が施された豪華な馬車の扉を開けた。

「ここや神殿内でも話をすることは可能なのに馬車の中を選ぶとは……もしかして同伴者の姿を私が見ると不都合があるのでしょうか?」

 今まで無表情だったウィリアムが口角を上げる。

「貴方は中々、面白い人ですね。私の身分に大体の見当をつけているにも関わらず、自分の考えはしっかりと言う」

 さぁ、こちらへどうぞ。
 ウィリアムは紳士らしく手を伸ばす。


 彼が皇族の付き添いに選ばれるような人物である以上、メアリーに拒否権はなかった。




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