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冤罪
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「こちらが教会の支出と収入が書かれている帳簿でございます」
メアリーが神官長に案内されたのは、教会の資料庫であった。
それなりに広い部屋の中に、びっしりと革表紙の本が詰め込まれている。
こんなに数が多いだなんて。
教会が行っている悪事の証拠を、集めるのは中々骨が折れそうね。
「今から帳簿を確認するから一人にしてちょうだい」
「恐縮ですが、この書庫には大切な書類が納められていますので、念の為監視の者を残して頂きたいのですが……」
「まぁ、貴方たちが、これほどの資料や書類を集められたのは私たちターレンバラ家のおかげよね?」
「それはそうですが……」
堂々とした態度で発言するメアリーに気圧されたのか、神官長の声が徐々に弱々しくなる。
よし、あとひと押しね。
「もしかして、私たちにバレたら不都合なことでもあるの?」
「いえいえ、全くそのようなことはございません。我々は常に神の使いに恥じぬ生活をしていますから」
急に口数が増えるじゃない。
隠し事をしているのがバレバレよ。
神官長が完全に部屋から退出したのを確認してから、本棚の中から最近の帳簿を取り出す。
収入が書かれた帳簿と、神官の名簿を確認して照らし合わせたメアリーは、無表情のまま唇を噛み締めた。
呆れた。
子供の神官が居なくなった時期と、臨時の寄付があった時期が見事に被っているわね。
まるで、子供たちを闇商人に売りさばいているみたいに。
これが神の使いに恥じぬ生活?
まだ魔族や妖精の方がマシね。
帳簿の中から証拠になりそうなページを見つけ、魔法でコピーする。
今度はコピーしたページを全て宝石に変えて、耳飾りにつけた。
「大体分かった。もう入ってきていいわ」
メアリーが本棚に帳簿を戻しながら呟くと、神官長が戻ってくる。
「今日は急に皇太子殿下がいらっしゃって大変だったでしょうに。私のせいで更に負担をかけてしまって申し訳ないわね」
「いえ、まさか。迷惑などとは微塵も思っておりませんよ」
明らかに疲れた表情の神官長に連れられて、再び神殿の外に向かう。
途中、またメアリーに話しかけるために来たと思われる子供たちに遭遇する。
メアリーは「こんにちは」と言いながら、さりげなく子供の一人にメモを渡した。
確かアルと名乗っていた少年は、すぐさま渡されたメモを隠す。
これできっと上手くいくはずだわ。
***
「お帰りなさいませ。お嬢様」
ターレンバラ家に戻ると、ハウスメイドと執事が出迎える。
メアリーがエントランスホールの階段を登りきったとき、丁度隣で頭を下げていたハウスメイドの頭に紙切れが乗っていることに気づく。
「貴方、頭の上に紙切れが乗っているわよ」
「えっ、えぇー!」
指摘されたハウスメイドは目を見開きながら、悲鳴にも近い声を挙げながら、手探りで紙切れを探し始めた。
「もぅ、取ってあげるから。じっとしてて……」
メアリーが妹を心配する姉のような表情で、ハウスメイドに手を伸ばした途端――。
「きゃっぁ!」
ハウスメイドの体が横転し、階段を転げ落ちた。
「大丈夫? 怪我は?」
私は触れていない。
この子が勝手に落ちた。
単なる事故だ。
しかし、その割には階段から転げ落ちたハウスメイドのリアクションが大げさすぎる。
一瞬で状況を察したメアリーは、ハウスメイドに近づき、手を伸ばす。
すると――。
「あらあら、メアリー。気に入らない使用人がいるからって突き飛ばしちゃったら可哀想でしょう?」
頭上から忌々しい女の声。
声がした方に視線を移すと、今にも泣きそうな表情のフィネラが駆け寄ってきていた。
フィネラは転げ落ちたハウスメイドにそって手を伸ばす。
「私の義娘がごめんなさい。痛かったわよね?」
「いえ、奥様。大した怪我では……」
「無理しなくていいのよ。メアリーには後でしっかり叱っておくから」
フィネラがメアリーの方へ視線を移し、小さく口角を上げた。
メアリーが神官長に案内されたのは、教会の資料庫であった。
それなりに広い部屋の中に、びっしりと革表紙の本が詰め込まれている。
こんなに数が多いだなんて。
教会が行っている悪事の証拠を、集めるのは中々骨が折れそうね。
「今から帳簿を確認するから一人にしてちょうだい」
「恐縮ですが、この書庫には大切な書類が納められていますので、念の為監視の者を残して頂きたいのですが……」
「まぁ、貴方たちが、これほどの資料や書類を集められたのは私たちターレンバラ家のおかげよね?」
「それはそうですが……」
堂々とした態度で発言するメアリーに気圧されたのか、神官長の声が徐々に弱々しくなる。
よし、あとひと押しね。
「もしかして、私たちにバレたら不都合なことでもあるの?」
「いえいえ、全くそのようなことはございません。我々は常に神の使いに恥じぬ生活をしていますから」
急に口数が増えるじゃない。
隠し事をしているのがバレバレよ。
神官長が完全に部屋から退出したのを確認してから、本棚の中から最近の帳簿を取り出す。
収入が書かれた帳簿と、神官の名簿を確認して照らし合わせたメアリーは、無表情のまま唇を噛み締めた。
呆れた。
子供の神官が居なくなった時期と、臨時の寄付があった時期が見事に被っているわね。
まるで、子供たちを闇商人に売りさばいているみたいに。
これが神の使いに恥じぬ生活?
まだ魔族や妖精の方がマシね。
帳簿の中から証拠になりそうなページを見つけ、魔法でコピーする。
今度はコピーしたページを全て宝石に変えて、耳飾りにつけた。
「大体分かった。もう入ってきていいわ」
メアリーが本棚に帳簿を戻しながら呟くと、神官長が戻ってくる。
「今日は急に皇太子殿下がいらっしゃって大変だったでしょうに。私のせいで更に負担をかけてしまって申し訳ないわね」
「いえ、まさか。迷惑などとは微塵も思っておりませんよ」
明らかに疲れた表情の神官長に連れられて、再び神殿の外に向かう。
途中、またメアリーに話しかけるために来たと思われる子供たちに遭遇する。
メアリーは「こんにちは」と言いながら、さりげなく子供の一人にメモを渡した。
確かアルと名乗っていた少年は、すぐさま渡されたメモを隠す。
これできっと上手くいくはずだわ。
***
「お帰りなさいませ。お嬢様」
ターレンバラ家に戻ると、ハウスメイドと執事が出迎える。
メアリーがエントランスホールの階段を登りきったとき、丁度隣で頭を下げていたハウスメイドの頭に紙切れが乗っていることに気づく。
「貴方、頭の上に紙切れが乗っているわよ」
「えっ、えぇー!」
指摘されたハウスメイドは目を見開きながら、悲鳴にも近い声を挙げながら、手探りで紙切れを探し始めた。
「もぅ、取ってあげるから。じっとしてて……」
メアリーが妹を心配する姉のような表情で、ハウスメイドに手を伸ばした途端――。
「きゃっぁ!」
ハウスメイドの体が横転し、階段を転げ落ちた。
「大丈夫? 怪我は?」
私は触れていない。
この子が勝手に落ちた。
単なる事故だ。
しかし、その割には階段から転げ落ちたハウスメイドのリアクションが大げさすぎる。
一瞬で状況を察したメアリーは、ハウスメイドに近づき、手を伸ばす。
すると――。
「あらあら、メアリー。気に入らない使用人がいるからって突き飛ばしちゃったら可哀想でしょう?」
頭上から忌々しい女の声。
声がした方に視線を移すと、今にも泣きそうな表情のフィネラが駆け寄ってきていた。
フィネラは転げ落ちたハウスメイドにそって手を伸ばす。
「私の義娘がごめんなさい。痛かったわよね?」
「いえ、奥様。大した怪我では……」
「無理しなくていいのよ。メアリーには後でしっかり叱っておくから」
フィネラがメアリーの方へ視線を移し、小さく口角を上げた。
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追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
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