断罪するのは天才悪女である私です〜継母に全てを奪われたので、二度目の人生は悪逆令嬢として自由に生きます

紅城えりす☆VTuber

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新しい道

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 大規模な事件が起きた後は後始末が面倒になる。この事実は、我が帝国の長い歴史が証明していた。

 民衆により破壊された建物の修復。騒ぎに乗じて盗みを働いた罪人への罰則――皇族や大臣やるべきことは多かったが、彼らは決して神託を信じて暴れただけの人々を罰することはなかった。

 もし仮に、暴動に参加した民が全員罰されたらターレンバラの領土から農民が居なくなっちゃうわよ……。

 メアリーは色々と思考をめぐらせながら、王宮の廊下を歩いていた。
 金と白、赤で彩られた宮廷の廊下を、貴族の令嬢らしく優雅な足取りで進んでゆく。丁寧に結われた髪には薔薇色の髪飾りがつけられ、まとうドレスのスカートには薄い布が何枚も重ねられていた。

 メアリーは、ふと足を止め窓に写りこんだ自身の姿を眺める。

 綺麗な銀髪。大好きな人の髪と同じ色。

 ニコッと小さく笑ってから、メアリーは玉座の間に入った。

 ステンドグラスの光に彩られた空間の中央には巨大な赤い椅子が置かれていた。椅子の上には皇帝が座り、両側に夫人や息子、などの皇族が控えている。

 広間に集められたのは、今回の暴動に関わった一部の民と貴族、魔道士に代表として集められた妖精たちであった。

 妖精の姿は多種多様で髪に直接花が生えている者もいれば、巨大な獣の形をした者までいる。普段お目にかかることのない妖精の姿にある者は怯え、ある者は珍しいものを眺めるかのごとく目を輝かせていた。

「皇帝陛下に拝謁いたします」

 メアリーは上品にスカートの裾を摘んでから、お辞儀をする。

「顔を上げよ」

「承知致しました」

 言われた通り顔を上げると、集まった民衆から皇族までもがメアリーを見つめていた。ここまで大勢の人間から視線を集めるのは初めてだ。

 きっとオペラ歌手はこんな気分なのでしょうね……。

「メアリー伯爵令嬢。此度、汝の活躍は耳にしている。後日、褒美をさずけよう」

「いえ、陛下。私はただ義母の暴挙を黙って傍観することができなかっただけです。褒美を受け取るようなことはしておりません」

「なに、気にするな。ここに居る者たちは皆、お前に感謝している」

 皇帝は朗らかに笑いながら髭を撫でた。

「陛下がそうおっしゃるのならば、謹んで拝受させていただきます」

「ふむ、それで良い。では本題に入らせて頂こうか。本日、お前を呼んだのは、今後妖精と人間がどう関わって行くべきか決めかねているからだ」

 なにやら重大な会議に呼ばれてしまったようである。

 えっと……意見を求める先は本当に私で良いのかしら?

「現在、議会の意見は二つに分かれていてな。妖精の国と外交関係を樹立するべきと考える派閥と、異種族とは関わるべきではないと主張する派閥で完全に二分割されていてな……救国の英雄であるお前の意見を聞きたくなったのだ」

「それで私をお招きになったのですぬ」

 救国の英雄だなんて私には勿体ない肩書きね。個人的な復讐を成すために始めたことなのに……。

「そうですね……私の意見としては、異種族だからといって無条件に疑うような真似はするべきてはないと考えています。たしかに暴動の元凶となった妖精や夜の女王などの例外は居ますが、全員が人間に対して敵対的というわけではありません。ねぇ、皆様?」

 メアリーが妖精たちの方へ視線を送ると「そうだそうだ」「レディ・メアリーの言う通りだ!」と声が返ってくる?

「だからといって彼らを完全に信じろと言っているわけでもありません。妖精にも闇と光両方の側面があります。要は人間と同じなのです。ですから、私は彼らを他種族としてではなく、対等な存在として扱うべきだと考えます」

 メアリーは小さく息を吸い、覚悟を決めてから口を開く。

「最終的な判断はもちろん政に詳しい方々に任せますが、たとえば最初は貿易にまつわる条約だけを結んでおき、段々とお互いの関係を計りながら調整するのが良いかと」

「ふむ、お前の意見は良く分かった参考にさせて貰おう」

「陛下のお役に立てたようで良かったです」

 どうやら満足のいく返答ができたようである。メアリーにとって一番無難な選択肢であったのは、どちらの派閥にも味方をしないことである。しかし、メアリーにとって妖精と人間が住む世界は分け隔てられて欲しくないものであった。

「もし妖精の国と外交関係を結ぶならば、伝統的にまずやるべきことがある……」

 顎に手を当てなにやら熟考している様子の皇帝。この時点で彼の考えを察していたのはウィリアムを含めた一部の人間だけである。

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