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プロローグ. 豹変した夫
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式場となる聖堂に到着し、控え室で侍女たちに身支度を整えてもらう。ウェディングドレスを着て鏡の前に立つと、少し胸がときめいて、気持ちがグッと引き締まった。
「お美しゅうございますわ、ティファナお嬢様! お嬢様のホワイトブロンドの髪色とアメジストのような澄んだ瞳のお色が、この純白のウェディングドレスのおかげでさらに神々しく引き立っておられます」
「ふふ……。ありがとう」
侍女の言葉に、私は自然と微笑みを浮かべた。
互いに馬が合わず、昔からずっと気まずい状態が続いていたラウル・ヘイワード公爵令息との距離を、努力で縮めてきた私、ティファナ・オールディス。侯爵家の娘である私は、父と、そして亡き母のためにも、どうしても彼との結婚を成し遂げ、円満な結婚生活を送りたかった。
向こうもそうだろうけど、元々こっちもそんなに好きじゃない相手。私だって、叶うことならば他の誰かとこうなりたかった。けれど、そこは曲がりなりにも貴族の娘。我が儘を言えない自分の立場は、よく理解している。
よそよそしい冷めた態度のラウル様と婚約して以来、何度も自分からお手紙を出した。そしてお茶会やお出かけを重ねては様々な会話を試み、徐々に二人の距離を縮めてきた。
本当に、頑張った。何せラウル様の方には私と親密になるつもりなんて全くなさそうで、最初はとにかく会話が続かなかったのだ。話しかけても話しかけても、彼はええ、とか、そうですね、とか、短い返事を返すだけで、話を広げてくれることはなかった。あちらからデートに誘われることもなかった。
今日のこの結婚式を迎えるまでに、ここまでラウル様と普通に会話ができるようになったのは、まさしく私の粘り勝ちだ。婚約が成立してからの半年間、私は挫けそうになる自分の気持ちを奮い立たせて、ここまでやってきた。今ではラウル様も私の目を見て微笑みかけながら、優しく言葉を返してくれるようになった。
頑張った……。本当に。
お母様、見てくれてるかしら。期待に応えられなくて、本当にごめんなさい。だけど、結婚相手がラウル様なら、きっと許してくださるわよね? お父様もお母様も、ヘイワード公爵夫妻とはとても懇意にしていたし、ラウル様のことも「真面目で優秀なご子息だ」といつも褒めていらっしゃったわ。
だから、不甲斐ない私をどうか許してね。彼との結婚生活だけは、上手くやっていきますから。将来はヘイワード公爵夫人となって、子を産み、立派に育ててみせるわ。
お父様と天国のお母様が、私のことを誇りに思ってくれるように。
今日はまだ、ラウル様とはお顔を合わせていない。けれど先週最後にお会いした時には、「式の日はこちらの準備を整えたら、君の控え室まで迎えに行くから。待っていておくれ」と仰っていた。
(ふふ。あの時の優しいお顔……。我ながら本当に、よく頑張ったものだわ)
努力は報われる。気の合わない二人でも、心の距離が離れていても、歩み寄る気持ちを持って優しく接し続ければ、相手の心の壁を砕くことだってできるんだわ。
「……遅うございますね、ラウル様は」
「ええ。お迎えはまだでしょうか。そろそろ聖堂前に移動した方がよいのですが……」
鏡を見つめたまま物思いに耽っていると、侍女たちが不安げな声を出しはじめた。その声で私も我に返る。テーブルの上に置いてあった懐中時計を拾い上げ、思わず呟いた。
「……本当ね。たしかに遅いわ」
どうしたのだろう、ラウル様。控え室まで迎えに来ると、たしかに言っていたのに。
ギリギリまで待ってもラウル様が現れないので、結局私は侍女たちを伴い、聖堂前に移動した。ラウル様もお支度に時間がかかっているのかしら。もしくは、私を迎えに来るという約束を忘れてしまっているのかもしれない。
(……あ。いた)
長い廊下を進んで式場となる聖堂の扉の前にやって来ると、なんとすでにラウル様はそこにいた。新郎としての身支度もバッチリ整えられており、美麗な姿がより一層の輝きを放っている。漆黒の髪と瞳が、白い衣装との対比で映えてとても素敵だ。
「ラウル様! お待たせいたしました」
迎えに来てくれると思っていたから待っていたのだけれど、ここでそれをチクリと責めるような真似はしない。これから夫婦としてともに歩んでいく二人なのだ。その誓いを立てる今日という門出の日に、些細な間違いを咎めて気まずくなりたくない。ただでさえ、ようやく心を開いてお話ができる関係になったばかりのに。
ところが。
「……ああ」
(……あれ?)
ラウル様は私を一瞥すると、フイと目を逸らしてしまった。……気のせいかしら。何だか今の視線、ものすごく冷たかったような……。
……まさかね。
「とても素敵ですわ、ラウル様。思わず見惚れてしまうほどです」
「……」
……ん?
正直、こちらも決してときめいている相手ではない。元々苦手意識のあった男性で、どうにかこうにか普通に話ができるようになっただけなのだから。でもあえてそう褒めた。それが礼儀だし、仲良くやっていきたいというこちらの意思表示は大事だと思ったから。
けれどラウル様は、私の言葉に返事さえしない。それどころか完全に目を逸らして明後日の方に顔を向けており、ウェディングドレス姿の私のことを視界にさえ入れようともしない。
さすがに少し、不快な気持ちになった。一体何なの? この素っ気なさは。機嫌が悪いのかしら。
「……いよいよですわね。楽しみですわ、私。でも緊張してしまって、すごくドキドキします」
「……。そうか」
「……。いかがですか? 私のウェディングドレス姿。お気に召しませんか?」
「…………。別に」
……“別に”?
さすがにおかしいと気付いた。最後にお会いした一週間前とは、あまりにも態度が違いすぎる。
けれどその原因を突き止める時間はなかった。
「お時間でございます。扉をお開けいたします」
侍女たちから声がかかり、衛兵が聖堂の扉を開いた。
私は冷たい態度の新郎の腕を取り、二人並んで聖堂の中に足を踏み入れた。
大勢の招待客が一斉にこちらに注目し、笑顔を浮かべている。私の父や、ラウル様のご両親であるヘイワード公爵夫妻の他にも、たくさんの友人や知人、親族たちが来てくれていて、浮き立つような祝福の空気が満ちていた。
「お義姉さまぁ~! ラウル様~! 素敵! おめでとうございまぁす!」
最近私の義妹となったサリアが、通り過ぎる私たちにいつものような甘ったるい声で、お祝いの言葉をかけてくれた。
微笑みを浮かべたまま式をこなしながらも、私は隣にいるラウル様の態度が気になって仕方なかった。誓いの言葉を述べ、指輪を交換した後、口づけを交わす。……はずだったけれど、ラウル様は私のベールをぞんざいに持ち上げると、列席者たちからは見えないように顔を傾け、私の頬に掠めるだけのキスをした。
その眉間には、皺が寄っていた。
ラウル様の後頭部でその瞬間が見えなかったであろう列席者たちが、私たちに大きな拍手を贈ってくれた。
そして、その夜。
夫婦の寝室で、私は冷たく豹変したラウル様から、衝撃的な言葉を投げつけられたのだった。
夜着姿でベッドサイドに浅く腰かけていた私を見下ろし、彼は軽蔑の眼差しを浮かべてこう言った。
「……最初に言っておく。この結婚は白い結婚だ。私が君と寝室を共にすることは、今後一切ない。君のような女性を好きになることなどないからだ。互いの両親が他界するまでの辛抱だと思って、この表面上の結婚生活を乗り切るつもりでいる。君もそのつもりでいてくれ。時が来れば、離縁しよう」
「…………は?」
「お美しゅうございますわ、ティファナお嬢様! お嬢様のホワイトブロンドの髪色とアメジストのような澄んだ瞳のお色が、この純白のウェディングドレスのおかげでさらに神々しく引き立っておられます」
「ふふ……。ありがとう」
侍女の言葉に、私は自然と微笑みを浮かべた。
互いに馬が合わず、昔からずっと気まずい状態が続いていたラウル・ヘイワード公爵令息との距離を、努力で縮めてきた私、ティファナ・オールディス。侯爵家の娘である私は、父と、そして亡き母のためにも、どうしても彼との結婚を成し遂げ、円満な結婚生活を送りたかった。
向こうもそうだろうけど、元々こっちもそんなに好きじゃない相手。私だって、叶うことならば他の誰かとこうなりたかった。けれど、そこは曲がりなりにも貴族の娘。我が儘を言えない自分の立場は、よく理解している。
よそよそしい冷めた態度のラウル様と婚約して以来、何度も自分からお手紙を出した。そしてお茶会やお出かけを重ねては様々な会話を試み、徐々に二人の距離を縮めてきた。
本当に、頑張った。何せラウル様の方には私と親密になるつもりなんて全くなさそうで、最初はとにかく会話が続かなかったのだ。話しかけても話しかけても、彼はええ、とか、そうですね、とか、短い返事を返すだけで、話を広げてくれることはなかった。あちらからデートに誘われることもなかった。
今日のこの結婚式を迎えるまでに、ここまでラウル様と普通に会話ができるようになったのは、まさしく私の粘り勝ちだ。婚約が成立してからの半年間、私は挫けそうになる自分の気持ちを奮い立たせて、ここまでやってきた。今ではラウル様も私の目を見て微笑みかけながら、優しく言葉を返してくれるようになった。
頑張った……。本当に。
お母様、見てくれてるかしら。期待に応えられなくて、本当にごめんなさい。だけど、結婚相手がラウル様なら、きっと許してくださるわよね? お父様もお母様も、ヘイワード公爵夫妻とはとても懇意にしていたし、ラウル様のことも「真面目で優秀なご子息だ」といつも褒めていらっしゃったわ。
だから、不甲斐ない私をどうか許してね。彼との結婚生活だけは、上手くやっていきますから。将来はヘイワード公爵夫人となって、子を産み、立派に育ててみせるわ。
お父様と天国のお母様が、私のことを誇りに思ってくれるように。
今日はまだ、ラウル様とはお顔を合わせていない。けれど先週最後にお会いした時には、「式の日はこちらの準備を整えたら、君の控え室まで迎えに行くから。待っていておくれ」と仰っていた。
(ふふ。あの時の優しいお顔……。我ながら本当に、よく頑張ったものだわ)
努力は報われる。気の合わない二人でも、心の距離が離れていても、歩み寄る気持ちを持って優しく接し続ければ、相手の心の壁を砕くことだってできるんだわ。
「……遅うございますね、ラウル様は」
「ええ。お迎えはまだでしょうか。そろそろ聖堂前に移動した方がよいのですが……」
鏡を見つめたまま物思いに耽っていると、侍女たちが不安げな声を出しはじめた。その声で私も我に返る。テーブルの上に置いてあった懐中時計を拾い上げ、思わず呟いた。
「……本当ね。たしかに遅いわ」
どうしたのだろう、ラウル様。控え室まで迎えに来ると、たしかに言っていたのに。
ギリギリまで待ってもラウル様が現れないので、結局私は侍女たちを伴い、聖堂前に移動した。ラウル様もお支度に時間がかかっているのかしら。もしくは、私を迎えに来るという約束を忘れてしまっているのかもしれない。
(……あ。いた)
長い廊下を進んで式場となる聖堂の扉の前にやって来ると、なんとすでにラウル様はそこにいた。新郎としての身支度もバッチリ整えられており、美麗な姿がより一層の輝きを放っている。漆黒の髪と瞳が、白い衣装との対比で映えてとても素敵だ。
「ラウル様! お待たせいたしました」
迎えに来てくれると思っていたから待っていたのだけれど、ここでそれをチクリと責めるような真似はしない。これから夫婦としてともに歩んでいく二人なのだ。その誓いを立てる今日という門出の日に、些細な間違いを咎めて気まずくなりたくない。ただでさえ、ようやく心を開いてお話ができる関係になったばかりのに。
ところが。
「……ああ」
(……あれ?)
ラウル様は私を一瞥すると、フイと目を逸らしてしまった。……気のせいかしら。何だか今の視線、ものすごく冷たかったような……。
……まさかね。
「とても素敵ですわ、ラウル様。思わず見惚れてしまうほどです」
「……」
……ん?
正直、こちらも決してときめいている相手ではない。元々苦手意識のあった男性で、どうにかこうにか普通に話ができるようになっただけなのだから。でもあえてそう褒めた。それが礼儀だし、仲良くやっていきたいというこちらの意思表示は大事だと思ったから。
けれどラウル様は、私の言葉に返事さえしない。それどころか完全に目を逸らして明後日の方に顔を向けており、ウェディングドレス姿の私のことを視界にさえ入れようともしない。
さすがに少し、不快な気持ちになった。一体何なの? この素っ気なさは。機嫌が悪いのかしら。
「……いよいよですわね。楽しみですわ、私。でも緊張してしまって、すごくドキドキします」
「……。そうか」
「……。いかがですか? 私のウェディングドレス姿。お気に召しませんか?」
「…………。別に」
……“別に”?
さすがにおかしいと気付いた。最後にお会いした一週間前とは、あまりにも態度が違いすぎる。
けれどその原因を突き止める時間はなかった。
「お時間でございます。扉をお開けいたします」
侍女たちから声がかかり、衛兵が聖堂の扉を開いた。
私は冷たい態度の新郎の腕を取り、二人並んで聖堂の中に足を踏み入れた。
大勢の招待客が一斉にこちらに注目し、笑顔を浮かべている。私の父や、ラウル様のご両親であるヘイワード公爵夫妻の他にも、たくさんの友人や知人、親族たちが来てくれていて、浮き立つような祝福の空気が満ちていた。
「お義姉さまぁ~! ラウル様~! 素敵! おめでとうございまぁす!」
最近私の義妹となったサリアが、通り過ぎる私たちにいつものような甘ったるい声で、お祝いの言葉をかけてくれた。
微笑みを浮かべたまま式をこなしながらも、私は隣にいるラウル様の態度が気になって仕方なかった。誓いの言葉を述べ、指輪を交換した後、口づけを交わす。……はずだったけれど、ラウル様は私のベールをぞんざいに持ち上げると、列席者たちからは見えないように顔を傾け、私の頬に掠めるだけのキスをした。
その眉間には、皺が寄っていた。
ラウル様の後頭部でその瞬間が見えなかったであろう列席者たちが、私たちに大きな拍手を贈ってくれた。
そして、その夜。
夫婦の寝室で、私は冷たく豹変したラウル様から、衝撃的な言葉を投げつけられたのだった。
夜着姿でベッドサイドに浅く腰かけていた私を見下ろし、彼は軽蔑の眼差しを浮かべてこう言った。
「……最初に言っておく。この結婚は白い結婚だ。私が君と寝室を共にすることは、今後一切ない。君のような女性を好きになることなどないからだ。互いの両親が他界するまでの辛抱だと思って、この表面上の結婚生活を乗り切るつもりでいる。君もそのつもりでいてくれ。時が来れば、離縁しよう」
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