【完結済】結婚式の夜、突然豹変した夫に白い結婚を言い渡されました

鳴宮野々花@書籍4作品発売中

文字の大きさ
30 / 74

29. 手応えなし(※sideサリア)

しおりを挟む
 思惑通り、お義姉さまとラウル様の仲はどんどん拗れていってるみたい。よかったよかった。
 オールディス侯爵家で与えられた大きなお部屋にあるふかふかのベッドの上に寝そべりながら、あたしは悦に入っていた。

 さて、と……。あとはどうやってあたしが二人の間に割って入るかなんだけど、ここがどうも上手くいかないのよねぇ。
 男の人って、あたしみたいに可愛くて綺麗で、愛嬌のある女が大好きなはず。それなのに、ラウル様だけはなぜだかあたしに興味を示してくれないの。
 ご自分がまだ既婚者だからって自制してるのかしら。
 真面目すぎるってこと?

 職場にも、他に距離が近かったり心惹かれてる女がいるってわけじゃないみたい。からの報告によると。
 ラウル様の周りには、いないはずよ。
 
(ああ、つくづく悔やまれるわ。せめてもっと、あと数ヶ月でも私がラウル様に早く出会っていれば、お義姉さまとの結婚自体を阻止できたかもしれないのに……!)

 もっと早くに紹介してもらって、あたしがラウル様の心を掴んでおけば、こんな回りくどいことする必要はなかったのよ。
 私とお母様がオールディス侯爵家にやって来てからたった三ヶ月後には、もうラウル様とお義姉さまは婚約しちゃったからなぁ。そしてそれからたった半年で結婚。ラウル様があたしを好きになるには時間が足りなさすぎたわ。あの人堅物っぽいから。
 ラウル様の口からオールディス侯爵に、「私はティファナ嬢ではなくサリア嬢と婚約したい」と言わせたかったわ!

 だけどもうお義姉さまと婚約しちゃった以上、あからさまに言い寄って奪っちゃったらあまりにもオールディス侯爵の心証が悪くなるでしょ? せっかく侯爵家の義娘になれたっていうのに、下手したらお母様と一緒に追い出されちゃうかもしれないもの。
 だから渋々を使った。あの子なら、万が一にも億が一にも、ラウル様とどうこうなるなんてことないでしょうしね。ふふん。だって少しも冴えないブスなんだもん。
 私がやってもあまり効果なかったんだけど、あの子の地味さがかえってよかったのかしら、言うことに妙に説得力があるみたいで、ラウル様、お義姉さまの悪評を信じはじめたみたい。こないだわざわざヘイワードの大きなお屋敷にまで行って確かめてきたけど、あの二人ったら、めちゃくちゃに険悪なムードが漂ってたわ。ふふっ。あとはあたしが上手くラウル様の心に入り込むだけ……。

 の、はずなんだけど。

「あーあ。まさかこんなに手こずるなんてねぇ。んもう……。一体どうなってるのよ」

 初めて紹介された時、絶対この人がいい! って思ったの。

 莫大な資産を持つヘイワード公爵家の嫡男。しかも超絶美形のいい男。あのミステリアスな黒髪黒目も、可憐な愛らしさを持つピンクブロンドのあたしの隣に立てば、より一層この魅力を引き立ててくれるはずよ。……まぁ、ちょっと無口で暗すぎるしつまらなさそうな男ではあるけど……、そんなことどうでもいいわ。他の条件が良すぎるもの。

「……ったく。アイツ、ちゃんとあたしのことをアピールしてるのかしら。ほんっとに使えないんだから」

 サリアさんは見た目が美しくて可愛らしいだけではなくて、とても慈悲深くてお優しい方なんです。明るく朗らかで、一緒にいるととても楽しいし、こんな冴えない私にも声をかけてくれて、お友達になってくださいましたわ。いつも優しくて天使のようで……、って、とにかくラウル様にあたしを褒めまくれってそう言ってあるのに。
 全然手応えがないんですけど。

(近々もう一度会って、もっとしっかりやれって発破かけるしかないわね、あの小娘に)





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛してしまって、ごめんなさい

oro
恋愛
「貴様とは白い結婚を貫く。必要が無い限り、私の前に姿を現すな。」 初夜に言われたその言葉を、私は忠実に守っていました。 けれど私は赦されない人間です。 最期に貴方の視界に写ってしまうなんて。 ※全9話。 毎朝7時に更新致します。

私のことは愛さなくても結構です

ありがとうございました。さようなら
恋愛
サブリナは、聖騎士ジークムントからの婚約の打診の手紙をもらって有頂天になった。 一緒になって喜ぶ父親の姿を見た瞬間に前世の記憶が蘇った。 彼女は、自分が本の世界の中に生まれ変わったことに気がついた。 サブリナは、ジークムントと愛のない結婚をした後に、彼の愛する聖女アルネを嫉妬心の末に殺害しようとする。 いわゆる悪女だった。 サブリナは、ジークムントに首を切り落とされて、彼女の家族は全員死刑となった。 全ての記憶を思い出した後、サブリナは熱を出して寝込んでしまった。 そして、サブリナの妹クラリスが代打としてジークムントの婚約者になってしまう。 主役は、いわゆる悪役の妹です

教養が足りない、ですって

たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。

侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています

猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。 しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。 本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。 盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。

うまくいかない婚約

ありがとうございました。さようなら
恋愛
エーデルワイスは、長年いがみ合っていた家門のと結婚が王命として決まっていた。 そのため、愛情をかけるだけ無駄と家族から愛されずに育てられた。 婚約者のトリスタンとの関係も悪かった。 トリスタンには、恋人でもある第三王女ビビアンがいた。 それでも、心の中で悪態をつきながら日々を過ごしていた。

忘れられた幼な妻は泣くことを止めました

帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。 そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。 もちろん返済する目処もない。 「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」 フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。 嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。 「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」 そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。 厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。 それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。 「お幸せですか?」 アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。 世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。 古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。 ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。 ※小説家になろう様にも投稿させていただいております。

今から婚約者に会いに行きます。〜私は運命の相手ではないから

ありがとうございました。さようなら
恋愛
婚約者が王立学園の卒業を間近に控えていたある日。 ポーリーンのところに、婚約者の恋人だと名乗る女性がやってきた。 彼女は別れろ。と、一方的に迫り。 最後には暴言を吐いた。 「ああ、本当に嫌だわ。こんな田舎。肥溜めの臭いがするみたい。……貴女からも漂ってるわよ」  洗練された都会に住む自分の方がトリスタンにふさわしい。と、言わんばかりに彼女は微笑んだ。 「ねえ、卒業パーティーには来ないでね。恥をかくのは貴女よ。婚約破棄されてもまだ間に合うでしょう?早く相手を見つけたら?」 彼女が去ると、ポーリーンはある事を考えた。 ちゃんと、別れ話をしようと。 ポーリーンはこっそりと屋敷から抜け出して、婚約者のところへと向かった。

白い結婚を終えて自由に生きてまいります

なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。  忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。  「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」 「白い結婚ですか?」 「実は俺には……他に愛する女性がいる」   それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。 私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた ――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。 ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。 「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」 アロルド、貴方は何を言い出すの? なにを言っているか、分かっているの? 「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」 私の答えは決まっていた。 受け入れられるはずがない。  自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。    ◇◇◇ 設定はゆるめです。 とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。 もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!

処理中です...