43 / 74
42. 突然の反抗(※sideサリア)
しおりを挟む
(何なのよ一体……!何でこんなに上手くいかないわけ!?)
あんな可愛げのない頭でっかち女より、あたしの方がはるかにそそるはずなのに。何でラウル様はまるっきりこっちを見ないの!? こんなの絶対におかしい。
「ちょっとあんたねぇ! ちゃんと仕事してるわけ!? どうなってるのよ! ラウル様、全っ然あたしに靡かないじゃないの!」
あのヘイワード公爵邸での夕食会から一週間。あたしはいつものようにロージエを呼び出し、この子と会う時のお決まりの場所である王都のカフェの個室に入った。
「何のためにあんたを王宮にまで送り込んだと思ってるのよ! ちゃんとラウル様があたしに心を動かすようにアピールしなきゃ意味がないでしょ!? この、役立たず!!」
そう怒鳴りつけるとあたしは立ち上がり、俯いたまま黙っているロージエのそばに行き、その頬を思いっきり引っ叩いた。
「う……っ!」
その勢いで体制を崩したロージエが椅子からわずかによろめき、けれどかろうじて落ちることなくまた座り直した。あたしに叩かれた左頬を手で庇っている。
「今が一番のチャンスなのよ! あの二人の仲は完全に冷めきってる……。ここで一気に好印象を与えてラウル様の心に入りこまなきゃいけないのに、あんたの働きが悪すぎるのよ! あたしがしょっちゅうラウル様に会いに行くのは不自然すぎるから、わざわざ愚鈍なあんたを動かしてるんでしょうが! もっともっと、ラウル様にあたしのことをしっかりアピールしなさいよ! ……ねぇ、このまま進展が見込めなかったら、お母様に言いつけるわよ。ロージエが使えないって。そしたらあんたんち、どうなると思う? うだつの上がらないあんたの父親と愚鈍なあんたがそれなりの生活をしていけてるのは、一体誰のおかげよ。え!?」
怒りに任せて喚き散らすけれど、ロージエはピクリとも動かない。頬を手で押さえたまま、ただただ黙って俯いている。苛立ちが頂点に達し、あたしは大きく舌打ちをした。
「いい!? 明日からまた気合いを入れてやりなさいよ! サリアさんにこんなことをしてもらった、こんな風に優しくしてもらった、あの方は天使のようなお方だ、義姉上とはまるで性格が違う、明るくて可愛い。そういう種類の褒め言葉よ。毎日欠かさず言うの。分かった!? あたしにどれほど感謝してるか、ラウル様のような素敵な男性にどれほどよくお似合いか。毎日言って、あの方を洗脳するのよ」
「…………嫌です」
「そ……、……。……は?」
ん? 今何て言った? こいつ。
あたしはまじまじとロージエを見つめた。嫌? 嫌って言った? 今。
小さい頃からただの一度もあたしに反抗したことなんかなかったロージエが、……嫌って、言った?
ロージエはゆっくりと顔を上げると、これまで一度も見せたことのないような力強い目つきで、あたしをキッと睨みつけてきた。
「……何? 今何て言ったのよ、あんた」
「……い……、嫌だと、言ったんです。わ、私はもう、ラウル様にサリアさんのことをアピールしたりなんか……しません……っ!」
…………はい?
「……いや、待ってよ。おかしいでしょ。立場分かってんの? それとね、あんた、ラウル様なんてなれなれしく呼ぶんじゃないわよ。呼んでいいのは、あたし。あたしはオールディス侯爵家のご令嬢だし、ラウル様は義姉の夫だからね。別にいいのよ、親しい間柄なんだから。でもあんたは違うでしょ。うちのおかげでたまたまあの人と同じ職場で働けてるだけの、身分が違いすぎる小娘よ。ヘイワード公爵令息様とか呼びなさいよ。バカなの?」
するとロージエはこのあたしを強く見据えたままゆっくりと椅子から立ち上がる。至近距離で反抗的な目を向けてくるロージエに、思わず少したじろいだ。
「な……、何よ」
「私は……、私とラウル様は、あ、愛しあっています! 彼は誰にも渡さない! ……約束したんです、私たち。将来必ず一緒になるって。あ、あのお方は、ラウル様は……、あなたのことも、あなたのお義姉様のことも、少しもお好きじゃないわ。私のことだけを想ってくださっています。わ、私は、ラウル様との真実の愛を貫くと決めたんです! もうあなたの言いなりにはならない。ラウル様だけは、絶対に渡しませんっ!!」
「…………。…………は?」
追い詰められた小動物のように全身をプルプルと震わせ、拳を握りしめたロージエが、このあたしを睨みつけながらそんなことを言い出した。
予想外すぎて一瞬ポカンとしてしまったあたしは、しばらくして思い至った。……ああ。そうか。そうよねぇ。
堪えきれず、笑いが込み上げてくる。
「……ふ、……ふふふ……。あんた、どこまで馬鹿なのよ本当に。まぁでもそうよね。あんたなんかが一生関わることも、声をかけることさえできないようないい男と、毎日一緒にいるんだもの。あんな美形の公爵家のご令息と一緒に仕事して、言葉を交わして。そりゃ頭おかしくなっちゃうわよね。勘違いもしちゃうわよね。ふふ……。……ふざけるんじゃないわよ!! 正気に戻りなさい!! ラウル様のような上流階級のエリートが、あんなみたいな鈍臭い不細工を好きになるはずがないでしょうが!! 本来ならあんたは、王宮になんか一生足を踏み入れることもない人間なのよ! 貴族とは名ばかりの没落男爵家の娘なんだから。何イカれちゃってんのよ。妄想と現実の区別をつけなさい、この大馬鹿女!!」
あたしはそう叱りつけると、再度ロージエの頬を力いっぱい引っ叩いた。
するとあろうことか、小さく呻いて少しよろけたロージエは再びこちらを睨みつけ、そしてこのあたしを両手で突き飛ばした。
「きゃぁっ!」
身構えてさえいなかったあたしは、ドスンと盛大に尻もちをつく。
「な……、何するのよ!! ロージエのくせに!! このあたしに暴力振るったわね!? お母様に言いつけてやるわ!! あんたも父親も終わりよ!!」
「構いません!! 私たちのことはラウル様が守ってくださるわ!! あ、あなたこそ……、いい加減現実をご覧になったら!? ラウル様はあなたになんかまるっきり興味はないわ。むしろお嫌いなのよ。あ、あの方に……、私のラウル様にしつこくつきまとわないでくださいっ!」
「こ……っ! この……!」
怒りのあまり、あたしは尻もちをついたまま全身を震わせた。こんな暴挙、いくらラウル様に惚れ込んで頭がおかしくなってるとはいえ、絶対に許せないわ。
「あたしやお義姉さまみたいな華やかな美人が近くにいるのに、わざわざあんたなんかを好きになるはずがないでしょうが!! 目を覚ましなさい無礼者!!」
その時。
個室の扉が開き、店員の女がおずおずと中を覗き込んできた。
「失礼いたします……。いかがなさいましたか? 大変失礼ですが、もう少しお静かにお願いできませんでしょうか」
部屋の外にまであたしたちの騒ぐ声が響いていたみたい。慌てて立ち上がると、ロージエはあたしに背を向けスタスタと扉の方に歩きはじめた。
「ち、ちょっと! 待ちなさいよ!」
「……もうお話することはありませんので。もう彼には近づかないで。私たちを放っておいてください。……そしてもう二度と、私を呼び出さないで」
振り返ってそう言うと、ロージエは足早に出て行ってしまった。
「…………は?」
これは一体……何なのよ。
あんな可愛げのない頭でっかち女より、あたしの方がはるかにそそるはずなのに。何でラウル様はまるっきりこっちを見ないの!? こんなの絶対におかしい。
「ちょっとあんたねぇ! ちゃんと仕事してるわけ!? どうなってるのよ! ラウル様、全っ然あたしに靡かないじゃないの!」
あのヘイワード公爵邸での夕食会から一週間。あたしはいつものようにロージエを呼び出し、この子と会う時のお決まりの場所である王都のカフェの個室に入った。
「何のためにあんたを王宮にまで送り込んだと思ってるのよ! ちゃんとラウル様があたしに心を動かすようにアピールしなきゃ意味がないでしょ!? この、役立たず!!」
そう怒鳴りつけるとあたしは立ち上がり、俯いたまま黙っているロージエのそばに行き、その頬を思いっきり引っ叩いた。
「う……っ!」
その勢いで体制を崩したロージエが椅子からわずかによろめき、けれどかろうじて落ちることなくまた座り直した。あたしに叩かれた左頬を手で庇っている。
「今が一番のチャンスなのよ! あの二人の仲は完全に冷めきってる……。ここで一気に好印象を与えてラウル様の心に入りこまなきゃいけないのに、あんたの働きが悪すぎるのよ! あたしがしょっちゅうラウル様に会いに行くのは不自然すぎるから、わざわざ愚鈍なあんたを動かしてるんでしょうが! もっともっと、ラウル様にあたしのことをしっかりアピールしなさいよ! ……ねぇ、このまま進展が見込めなかったら、お母様に言いつけるわよ。ロージエが使えないって。そしたらあんたんち、どうなると思う? うだつの上がらないあんたの父親と愚鈍なあんたがそれなりの生活をしていけてるのは、一体誰のおかげよ。え!?」
怒りに任せて喚き散らすけれど、ロージエはピクリとも動かない。頬を手で押さえたまま、ただただ黙って俯いている。苛立ちが頂点に達し、あたしは大きく舌打ちをした。
「いい!? 明日からまた気合いを入れてやりなさいよ! サリアさんにこんなことをしてもらった、こんな風に優しくしてもらった、あの方は天使のようなお方だ、義姉上とはまるで性格が違う、明るくて可愛い。そういう種類の褒め言葉よ。毎日欠かさず言うの。分かった!? あたしにどれほど感謝してるか、ラウル様のような素敵な男性にどれほどよくお似合いか。毎日言って、あの方を洗脳するのよ」
「…………嫌です」
「そ……、……。……は?」
ん? 今何て言った? こいつ。
あたしはまじまじとロージエを見つめた。嫌? 嫌って言った? 今。
小さい頃からただの一度もあたしに反抗したことなんかなかったロージエが、……嫌って、言った?
ロージエはゆっくりと顔を上げると、これまで一度も見せたことのないような力強い目つきで、あたしをキッと睨みつけてきた。
「……何? 今何て言ったのよ、あんた」
「……い……、嫌だと、言ったんです。わ、私はもう、ラウル様にサリアさんのことをアピールしたりなんか……しません……っ!」
…………はい?
「……いや、待ってよ。おかしいでしょ。立場分かってんの? それとね、あんた、ラウル様なんてなれなれしく呼ぶんじゃないわよ。呼んでいいのは、あたし。あたしはオールディス侯爵家のご令嬢だし、ラウル様は義姉の夫だからね。別にいいのよ、親しい間柄なんだから。でもあんたは違うでしょ。うちのおかげでたまたまあの人と同じ職場で働けてるだけの、身分が違いすぎる小娘よ。ヘイワード公爵令息様とか呼びなさいよ。バカなの?」
するとロージエはこのあたしを強く見据えたままゆっくりと椅子から立ち上がる。至近距離で反抗的な目を向けてくるロージエに、思わず少したじろいだ。
「な……、何よ」
「私は……、私とラウル様は、あ、愛しあっています! 彼は誰にも渡さない! ……約束したんです、私たち。将来必ず一緒になるって。あ、あのお方は、ラウル様は……、あなたのことも、あなたのお義姉様のことも、少しもお好きじゃないわ。私のことだけを想ってくださっています。わ、私は、ラウル様との真実の愛を貫くと決めたんです! もうあなたの言いなりにはならない。ラウル様だけは、絶対に渡しませんっ!!」
「…………。…………は?」
追い詰められた小動物のように全身をプルプルと震わせ、拳を握りしめたロージエが、このあたしを睨みつけながらそんなことを言い出した。
予想外すぎて一瞬ポカンとしてしまったあたしは、しばらくして思い至った。……ああ。そうか。そうよねぇ。
堪えきれず、笑いが込み上げてくる。
「……ふ、……ふふふ……。あんた、どこまで馬鹿なのよ本当に。まぁでもそうよね。あんたなんかが一生関わることも、声をかけることさえできないようないい男と、毎日一緒にいるんだもの。あんな美形の公爵家のご令息と一緒に仕事して、言葉を交わして。そりゃ頭おかしくなっちゃうわよね。勘違いもしちゃうわよね。ふふ……。……ふざけるんじゃないわよ!! 正気に戻りなさい!! ラウル様のような上流階級のエリートが、あんなみたいな鈍臭い不細工を好きになるはずがないでしょうが!! 本来ならあんたは、王宮になんか一生足を踏み入れることもない人間なのよ! 貴族とは名ばかりの没落男爵家の娘なんだから。何イカれちゃってんのよ。妄想と現実の区別をつけなさい、この大馬鹿女!!」
あたしはそう叱りつけると、再度ロージエの頬を力いっぱい引っ叩いた。
するとあろうことか、小さく呻いて少しよろけたロージエは再びこちらを睨みつけ、そしてこのあたしを両手で突き飛ばした。
「きゃぁっ!」
身構えてさえいなかったあたしは、ドスンと盛大に尻もちをつく。
「な……、何するのよ!! ロージエのくせに!! このあたしに暴力振るったわね!? お母様に言いつけてやるわ!! あんたも父親も終わりよ!!」
「構いません!! 私たちのことはラウル様が守ってくださるわ!! あ、あなたこそ……、いい加減現実をご覧になったら!? ラウル様はあなたになんかまるっきり興味はないわ。むしろお嫌いなのよ。あ、あの方に……、私のラウル様にしつこくつきまとわないでくださいっ!」
「こ……っ! この……!」
怒りのあまり、あたしは尻もちをついたまま全身を震わせた。こんな暴挙、いくらラウル様に惚れ込んで頭がおかしくなってるとはいえ、絶対に許せないわ。
「あたしやお義姉さまみたいな華やかな美人が近くにいるのに、わざわざあんたなんかを好きになるはずがないでしょうが!! 目を覚ましなさい無礼者!!」
その時。
個室の扉が開き、店員の女がおずおずと中を覗き込んできた。
「失礼いたします……。いかがなさいましたか? 大変失礼ですが、もう少しお静かにお願いできませんでしょうか」
部屋の外にまであたしたちの騒ぐ声が響いていたみたい。慌てて立ち上がると、ロージエはあたしに背を向けスタスタと扉の方に歩きはじめた。
「ち、ちょっと! 待ちなさいよ!」
「……もうお話することはありませんので。もう彼には近づかないで。私たちを放っておいてください。……そしてもう二度と、私を呼び出さないで」
振り返ってそう言うと、ロージエは足早に出て行ってしまった。
「…………は?」
これは一体……何なのよ。
712
あなたにおすすめの小説
愛してしまって、ごめんなさい
oro
恋愛
「貴様とは白い結婚を貫く。必要が無い限り、私の前に姿を現すな。」
初夜に言われたその言葉を、私は忠実に守っていました。
けれど私は赦されない人間です。
最期に貴方の視界に写ってしまうなんて。
※全9話。
毎朝7時に更新致します。
私のことは愛さなくても結構です
ありがとうございました。さようなら
恋愛
サブリナは、聖騎士ジークムントからの婚約の打診の手紙をもらって有頂天になった。
一緒になって喜ぶ父親の姿を見た瞬間に前世の記憶が蘇った。
彼女は、自分が本の世界の中に生まれ変わったことに気がついた。
サブリナは、ジークムントと愛のない結婚をした後に、彼の愛する聖女アルネを嫉妬心の末に殺害しようとする。
いわゆる悪女だった。
サブリナは、ジークムントに首を切り落とされて、彼女の家族は全員死刑となった。
全ての記憶を思い出した後、サブリナは熱を出して寝込んでしまった。
そして、サブリナの妹クラリスが代打としてジークムントの婚約者になってしまう。
主役は、いわゆる悪役の妹です
教養が足りない、ですって
たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
うまくいかない婚約
ありがとうございました。さようなら
恋愛
エーデルワイスは、長年いがみ合っていた家門のと結婚が王命として決まっていた。
そのため、愛情をかけるだけ無駄と家族から愛されずに育てられた。
婚約者のトリスタンとの関係も悪かった。
トリスタンには、恋人でもある第三王女ビビアンがいた。
それでも、心の中で悪態をつきながら日々を過ごしていた。
忘れられた幼な妻は泣くことを止めました
帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。
そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。
もちろん返済する目処もない。
「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」
フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。
嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。
「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」
そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。
厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。
それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。
「お幸せですか?」
アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。
世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。
古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。
ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。
※小説家になろう様にも投稿させていただいております。
今から婚約者に会いに行きます。〜私は運命の相手ではないから
ありがとうございました。さようなら
恋愛
婚約者が王立学園の卒業を間近に控えていたある日。
ポーリーンのところに、婚約者の恋人だと名乗る女性がやってきた。
彼女は別れろ。と、一方的に迫り。
最後には暴言を吐いた。
「ああ、本当に嫌だわ。こんな田舎。肥溜めの臭いがするみたい。……貴女からも漂ってるわよ」
洗練された都会に住む自分の方がトリスタンにふさわしい。と、言わんばかりに彼女は微笑んだ。
「ねえ、卒業パーティーには来ないでね。恥をかくのは貴女よ。婚約破棄されてもまだ間に合うでしょう?早く相手を見つけたら?」
彼女が去ると、ポーリーンはある事を考えた。
ちゃんと、別れ話をしようと。
ポーリーンはこっそりと屋敷から抜け出して、婚約者のところへと向かった。
白い結婚を終えて自由に生きてまいります
なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。
忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。
「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」
「白い結婚ですか?」
「実は俺には……他に愛する女性がいる」
それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。
私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた
――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。
ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。
「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」
アロルド、貴方は何を言い出すの?
なにを言っているか、分かっているの?
「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」
私の答えは決まっていた。
受け入れられるはずがない。
自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。
◇◇◇
設定はゆるめです。
とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。
もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる