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本編
18. 取り巻きではないのに
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「お待たせいたしました。ご昼食をお持ちしました」
遠巻きに私達の様子をうかがっている人が何人もいる中、給仕の方が視線を気にする素振りも見せずに料理を運んできてくれた。
学院内の給仕の方の仕事は、料理を運んだり食事が終わった後のテーブルを掃除したりするくらいで、貴族に使えている方とは違って食事中に側にいるわけではない。
それでも、全員が侯爵家に仕えても問題ない能力の持ち主らしいから、これくらいの修羅場は無反応で切り抜けられるのね……。
「ありがとう」
「いつもありがとう」
「いえ、とんでもないことでございます。では、失礼いたします」
そんなやり取りを交わすとすぐに、給仕の方は戻っていった。
「いただきます」
アルト様に続いてカトラリーを手にとる私。
それからは、視線は集めたままだったけれど、それ以外には何も起こらずに昼食を済ませることができた。
それからしばらくして、アルト様と一旦別れて次の講義の場所に移動している時だった。
真横から攻撃魔法の気配を感じて、咄嗟に防御魔法を使う私。
魔法は無事に防ぐことができたのだけれど、魔法を放ってきた人──ライブラン伯爵家のイレーネ様がセレスティア様の取り巻きではなかったから、少し不思議だった。
「どういうおつもりですか?」
「な、なんで反応できるのよ!?」
私が問いかけると、魔法を放ってきたお方がそんなことを口にした。
防がれるとは思っていなかったみたいだけど、攻撃魔法の気配は精霊達のお陰で察することができるのよね……。
「私が精霊の愛し子だからでしょうか?」
「精霊の愛し子って……セレスティア様は魔法がロクに使えないって言ってたから出鱈目だと思ってたのに……」
取り巻きではないと思っていたのだけれど、どうやらセレスティア様の息がかかっていたらしい。
でも、一体何をすれば私を攻撃しようだなんて思えるのかしら?
「もう一度問いますわ。何故、私を攻撃したのですか?」
「俺からも同じ問いかけをしよう。学院内で、攻撃魔法を他人に向けた理由はなんだ?」
異変に気付いて走ってきたアルト様が私に続けてそう口にする。
すると、イレーネ様は小さく震えながら口を開いた。
「私はこんなことしたくありませんでした……。でも、セレスティア様に言われたんです。私の命令に従わなかったら家を潰すことも出来ると脅されていて……」
ぽろぽろと涙を流しながら、そんな説明をされた。
これだけでも恐ろしいと感じてしまった。
けれども、彼女の言葉はまだ終わらなかった。
「それに、私がアルト様と婚約するためにはソフィア様を傷物にするしか無いと言われて、つい……」
「なるほど。火魔法を選んだ理由は?」
「私が火魔法しか使えないからですわ……」
末恐ろしいわね……セレスティア様は。
私に火傷を負わせるつもりでイレーネ様を利用したのね……。
確かに私が顔にでも火傷を負えば、殿方はますます近寄らなくなってしまう。
そうなってしまえば、私に未来は無い。
「一応言っておくが、ソフィア嬢はアリス嬢のお気に入りだ。
この意味は分かるな?」
「先日、アリス様はソフィア様を拒絶してましたよね……?」
「一度はな。だが、今は仲直りしているようだ」
「そんな……」
糸の切れた操り人形のように、座り込んでしまうイレーネ様。
そんな様子に、少しだけ可哀想だと思ってしまった。
私に危害を加えようとしていたのは事実だけれど、同時にセレスティア様の被害者だから。
「この件は殿下にも報告させてもらう。今は反省して大人しくしているんだな。
次は無いぞ」
「分かりましたわ……。
ソフィア様……申し訳ありませんでした」
「被害は無かったので、今回は赦すことも考えておきますわね」
暗に次は無いということを伝える私。
これで反省してくれるといいのだけど……。
そう思った時だった。
目の前を銀色の何かが通り過ぎた。
「っ……!」
「クソッ! ソフィア、大丈夫……か……?」
頬に鋭い痛み。
アルト様に突き飛ばされたイレーネ様が壁に打ち付けられる音。
顔を切りつけられたのだと気付いくまで、時間がゆっくり流れているように感じた。
遠巻きに私達の様子をうかがっている人が何人もいる中、給仕の方が視線を気にする素振りも見せずに料理を運んできてくれた。
学院内の給仕の方の仕事は、料理を運んだり食事が終わった後のテーブルを掃除したりするくらいで、貴族に使えている方とは違って食事中に側にいるわけではない。
それでも、全員が侯爵家に仕えても問題ない能力の持ち主らしいから、これくらいの修羅場は無反応で切り抜けられるのね……。
「ありがとう」
「いつもありがとう」
「いえ、とんでもないことでございます。では、失礼いたします」
そんなやり取りを交わすとすぐに、給仕の方は戻っていった。
「いただきます」
アルト様に続いてカトラリーを手にとる私。
それからは、視線は集めたままだったけれど、それ以外には何も起こらずに昼食を済ませることができた。
それからしばらくして、アルト様と一旦別れて次の講義の場所に移動している時だった。
真横から攻撃魔法の気配を感じて、咄嗟に防御魔法を使う私。
魔法は無事に防ぐことができたのだけれど、魔法を放ってきた人──ライブラン伯爵家のイレーネ様がセレスティア様の取り巻きではなかったから、少し不思議だった。
「どういうおつもりですか?」
「な、なんで反応できるのよ!?」
私が問いかけると、魔法を放ってきたお方がそんなことを口にした。
防がれるとは思っていなかったみたいだけど、攻撃魔法の気配は精霊達のお陰で察することができるのよね……。
「私が精霊の愛し子だからでしょうか?」
「精霊の愛し子って……セレスティア様は魔法がロクに使えないって言ってたから出鱈目だと思ってたのに……」
取り巻きではないと思っていたのだけれど、どうやらセレスティア様の息がかかっていたらしい。
でも、一体何をすれば私を攻撃しようだなんて思えるのかしら?
「もう一度問いますわ。何故、私を攻撃したのですか?」
「俺からも同じ問いかけをしよう。学院内で、攻撃魔法を他人に向けた理由はなんだ?」
異変に気付いて走ってきたアルト様が私に続けてそう口にする。
すると、イレーネ様は小さく震えながら口を開いた。
「私はこんなことしたくありませんでした……。でも、セレスティア様に言われたんです。私の命令に従わなかったら家を潰すことも出来ると脅されていて……」
ぽろぽろと涙を流しながら、そんな説明をされた。
これだけでも恐ろしいと感じてしまった。
けれども、彼女の言葉はまだ終わらなかった。
「それに、私がアルト様と婚約するためにはソフィア様を傷物にするしか無いと言われて、つい……」
「なるほど。火魔法を選んだ理由は?」
「私が火魔法しか使えないからですわ……」
末恐ろしいわね……セレスティア様は。
私に火傷を負わせるつもりでイレーネ様を利用したのね……。
確かに私が顔にでも火傷を負えば、殿方はますます近寄らなくなってしまう。
そうなってしまえば、私に未来は無い。
「一応言っておくが、ソフィア嬢はアリス嬢のお気に入りだ。
この意味は分かるな?」
「先日、アリス様はソフィア様を拒絶してましたよね……?」
「一度はな。だが、今は仲直りしているようだ」
「そんな……」
糸の切れた操り人形のように、座り込んでしまうイレーネ様。
そんな様子に、少しだけ可哀想だと思ってしまった。
私に危害を加えようとしていたのは事実だけれど、同時にセレスティア様の被害者だから。
「この件は殿下にも報告させてもらう。今は反省して大人しくしているんだな。
次は無いぞ」
「分かりましたわ……。
ソフィア様……申し訳ありませんでした」
「被害は無かったので、今回は赦すことも考えておきますわね」
暗に次は無いということを伝える私。
これで反省してくれるといいのだけど……。
そう思った時だった。
目の前を銀色の何かが通り過ぎた。
「っ……!」
「クソッ! ソフィア、大丈夫……か……?」
頬に鋭い痛み。
アルト様に突き飛ばされたイレーネ様が壁に打ち付けられる音。
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