のほほん異世界暮らし

みなと劉

文字の大きさ
513 / 945

新しい日常の始まり

しおりを挟む
朝の光が部屋を満たす中、僕は再び目を覚ました。体を起こして窓の外を眺めると、昨夜の夢とは打って変わって、現実の穏やかな風景が広がっている。遠くで鳥たちのさえずりが聞こえ、清々しい空気が胸いっぱいに広がる。

リッキーが目を覚まし、ピッと鼻を鳴らしながら僕の足元にすり寄ってきた。

「おはよう、リッキー。よく眠れた?」

ピッ、ピッと満足げに鳴くリッキーの様子に思わず笑みがこぼれる。シャズナは窓際で日差しを浴びながら伸びをし、ルシファンはベッドの隅で丸まったままだ。

「さて、朝食の準備をしないとね。」

朝の支度と三匹のサポート(?)

キッチンに立つ僕の後ろでは、リッキーがピョンピョンと飛び跳ねている。何か手伝おうとしているのか、それともただ楽しんでいるだけなのか……。シャズナは椅子の上から僕をじっと見つめ、ルシファンはカウンターの隅から小さな目をキラキラと輝かせている。

「今日は何を作ろうか。パンケーキとかどうかな?」

「にゃーん。」シャズナが気のない声を出す。

「ちちっ!」ルシファンは少し興奮気味だ。どうやらパンケーキには賛成らしい。

リッキーもピッと鼻を鳴らし、期待に満ちた目でこちらを見上げている。

朝食タイムと賑やかなひととき

パンケーキが焼き上がると、三匹はテーブルの周りに集まってきた。もちろん、彼らの分も特別に用意している。リッキーには小さなニンジンパンケーキ、シャズナとルシファンにはそれぞれ好物をトッピングしたものを。

「ほら、ゆっくり食べるんだよ。」

リッキーは一口ごとにピッと鼻を鳴らしながら、シャズナは優雅に、ルシファンは少し急ぎ気味に食べている。

「本当に賑やかだなぁ。これも悪くない。」

三匹の楽しそうな姿を見ていると、昨夜の夢のことが頭をよぎった。あの不思議な世界と、光を放つ蓮蓮根の苗。夢にしてはリアルすぎる感覚だった。

農場での再会と新たな挑戦

朝食を終えた後、魔力式トラックに三匹を乗せて農場へ向かうことにした。昨日市場で手に入れた蓮蓮根の苗を植えるためだ。

トラックの中ではリッキーが窓から顔を出し、風を感じている。シャズナは助手席で丸まり、ルシファンは僕の肩にちょこんと乗っている。

「さぁ、到着だよ。」

農場に着くと、三匹は一斉に飛び出して駆け回り始めた。リッキーは特に楽しそうに跳ね回っている。

僕は苗を慎重に取り出し、昨日の夢で見た光景を思い出しながら畑の中央に植えた。

「きっとここが君の居場所だ。」

土をかけて、水をやる。シャズナとルシファンも興味津々で近くをうろつき、リッキーはじっと苗を見つめている。

「これから一緒に育てていこうな。」

三匹が一斉に鳴き声を上げ、まるでその言葉に応えているかのようだった。

小さな一歩、そして大きな未来

夕暮れ時、苗に最後の水をやりながら空を見上げる。オレンジ色に染まった空が、これから始まる新たな挑戦を祝福しているように思えた。

「明日からも頑張ろうな。」

三匹もそれぞれの場所で静かに頷くように見えた。日常の中に潜む奇跡と、不思議な仲間たちとの時間が、これからも続いていくことを願いながら、僕はそっと目を閉じた。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~

紅月シン
ファンタジー
 聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。  いや嘘だ。  本当は不満でいっぱいだった。  食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。  だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。  しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。  そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。  二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。  だが彼女は知らなかった。  三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。  知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。 ※完結しました。 ※小説家になろう様にも投稿しています

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

処理中です...