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雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』その(15)最終ラウンド
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運命の最終ラウンドのゴングが鳴る。
徹底したヒットアンドアウェイ作戦から、軽快なフットワークで相手の周囲をまわる戦法は堂島本来のものではない。それは、あくまで組み技を避けるためのものだったのだ。
もう、このラウンドで終わりなのだ。堂島は腹を括った。
第4ラウンドはNOZOMIのトリッキーな動きに翻弄され、冷静さを失いそうになった堂島だが覚悟は決まった。
堂島本来のスタイルは軽快なフットワークではなく、ベタ足からジリっジリっと、相手の懐に入り打ち合いに持ち込むもの。“ 肉を切らせて骨を断つ”
それがド根性源太郎の真骨頂であり、そんな基本に立ち戻るつもりだ。
堂島の覚悟を感じたのか? セコンドも黙ってその姿を見守っている。
正統的な構えからジワジワと距離を詰めようとする堂島。そこへNOZOMIの長い腕からのジャブ、ストレートが伸びてくる。速い! 重さこそないが、シャープで鞭のようにしなる。
NOZOMIのローキックが堂島の太腿、横腹を抉ってくる。それでも構わずインファイトに持ち込もうとする堂島。これは組み付かれる可能性もありリスクは高い。 “虎穴に入らずんば虎児を得ず ” 堂島の覚悟は本物なのだ。
リング中央で打ち合いになった。打撃戦でもNOZOMIは堂島に引けを取らない。むしろリーチを活かし優勢か?
NOZOMIのハイキックが伸びようとした瞬間だ、堂島はタイミングよく懐に入ると下から突き上げるようなアッパーを見舞った。それは微かにNOZOMIの顎を掠り速攻でコーナーに追い詰める。身を屈めガードを固めるNOZOMIに今度はフックが飛んできた。それはガードをくぐり抜け顔面を捉えた。
片膝をつくNOZOMI、ダウンだ。
ウオオオオオ! 歓声と悲鳴。
片膝をついたNOZOMIの顔面に、今度は堂島の膝が襲いかかる。
(実況)
「これは堂島選手の容赦ない攻撃だ!見て下さい堂島選手の表情を。鬼だ! ド根性源太郎が鬼になった。NOZOMI選手も女子ながらここまでよく頑張りましたが、ここまでか?」
まさに堂島源太郎の形相は鬼であり、何かが取り憑いたような凄まじい攻撃である。相手が女の子であることなんて委細構わず。
NOZOMIは顔面に膝を受けたのか?右目が腫れ上がっている。普段が美少女なだけに、それは尚更むごたらしく場内からも悲鳴が上がった。
それでもどうにか堂島の脚を捕まえ反撃に出ようとする。しかし、捕まる前に堂島は退き次の攻防に備えた。
第5R 1分 残り時間は2分である。
(やっぱり父ちゃんは凄いや!思ったより苦戦したけど、父ちゃんは強い)
龍太はちょっと心配でドキドキしていたが、ここで父の勝利を確信した。
堂島はこれだけ一方的に攻撃していてもなぜか怖かった。
あと2分逃げ切れば、この試合3度もダウンを奪っている自分の判定勝ちだ。
でも、このまま終わるとは到底思えない。彼女は必ず何かをしてくる。
NOZOMIは、こんなに苦戦するとは思っていなかった。堂島さんの膝は思ったより強烈で右目を腫らしてしまったのは計算外だった。でもお遊びはここまで。私は残忍な雌蛇なのだから、これから全国のファンに最高のエンターティメント残酷ショーをお見せする。
立ち上がったNOZOMIに向かって堂島は突進した。これまでのキックボクサー人生全てをかけ、男!堂島源太郎の生き様を見せてくれよう。
堂島はパンチと見せかけ、ローキックをNOZOMIの下腿部に浴びせた。怯んだところをガードの上からフック、ストレート、アッパー。
猛攻から逃れようとするNOZOMIがスリップダウンした。
場内は大歓声、ボルテージが上がる。
スリップダウンした NOZOMIを見た瞬間、堂島は閃いた。“ ここだ!”
気が付くと、堂島の身体は本能のように躍動しNOZOMIに馬乗りになっていた。今までは密着からの寝技を警戒して決して入り込まなかったNOZOMIのゾーンに自ら飛び込んだ。
(ここで一気に決着を付けてやる!)
「堂島さん、 深追いはダメだ!それは彼女の罠だ!メスヘビの罠だ!」
今まで黙って堂島の戦いぶりを見守っていたセコンドが叫んだ。
しかし、相手を倒すことだけに集中する堂島の耳には入らない。
NOZOMIにマウントになった堂島はその顔面に狙いさだめ、直角に鋭角に拳を振り下ろす。
それをNOZOMIは顔前に長い腕で十字にガードする。それでも構わず堂島はは拳を振り下ろす。振り下ろす度に堂島の顔は高潮し、赤鬼のように赤くなる。これは相手を殺しにかかる形相である。こんな堂島は見たことがない。
堂島はレフェリーが間に入って、試合を止めてくれることを願った。このままでは、自分は少女を殺してしまう。そうでないと自分が殺されてしまう。
マウントになりながら、堂島は違和感を覚えた。体勢が少しずつズレているようだ。NOZOMIの長い脚が背後からニュルニュルと蛇のように伸びてくる感覚...。恐るべき柔軟さでNOZOMIは堂島のパウンドを避けると、脚を堂島の首にまわしてきた。
(このままでは三角絞めが待っている)
我に返った堂島はNOZOMIの長い脚を振り払うとうまく立ち上がった。
残り時間1分。
立ち上がったと同時に、堂島は目の前を何かが凄い速さで過ぎったような気がした。それはまるでヘビが巻き付くように堂島の背後にまわった。
振り返るとNOZOMIが意味ありげにニヤッと不気味な笑みを浮かべる。
堂島の首にNOZOMIの細く長い蛇のような腕が巻きついてきた。
残り時間45秒。
ここからの堂島の意識はスローモーションのようであった。
徹底したヒットアンドアウェイ作戦から、軽快なフットワークで相手の周囲をまわる戦法は堂島本来のものではない。それは、あくまで組み技を避けるためのものだったのだ。
もう、このラウンドで終わりなのだ。堂島は腹を括った。
第4ラウンドはNOZOMIのトリッキーな動きに翻弄され、冷静さを失いそうになった堂島だが覚悟は決まった。
堂島本来のスタイルは軽快なフットワークではなく、ベタ足からジリっジリっと、相手の懐に入り打ち合いに持ち込むもの。“ 肉を切らせて骨を断つ”
それがド根性源太郎の真骨頂であり、そんな基本に立ち戻るつもりだ。
堂島の覚悟を感じたのか? セコンドも黙ってその姿を見守っている。
正統的な構えからジワジワと距離を詰めようとする堂島。そこへNOZOMIの長い腕からのジャブ、ストレートが伸びてくる。速い! 重さこそないが、シャープで鞭のようにしなる。
NOZOMIのローキックが堂島の太腿、横腹を抉ってくる。それでも構わずインファイトに持ち込もうとする堂島。これは組み付かれる可能性もありリスクは高い。 “虎穴に入らずんば虎児を得ず ” 堂島の覚悟は本物なのだ。
リング中央で打ち合いになった。打撃戦でもNOZOMIは堂島に引けを取らない。むしろリーチを活かし優勢か?
NOZOMIのハイキックが伸びようとした瞬間だ、堂島はタイミングよく懐に入ると下から突き上げるようなアッパーを見舞った。それは微かにNOZOMIの顎を掠り速攻でコーナーに追い詰める。身を屈めガードを固めるNOZOMIに今度はフックが飛んできた。それはガードをくぐり抜け顔面を捉えた。
片膝をつくNOZOMI、ダウンだ。
ウオオオオオ! 歓声と悲鳴。
片膝をついたNOZOMIの顔面に、今度は堂島の膝が襲いかかる。
(実況)
「これは堂島選手の容赦ない攻撃だ!見て下さい堂島選手の表情を。鬼だ! ド根性源太郎が鬼になった。NOZOMI選手も女子ながらここまでよく頑張りましたが、ここまでか?」
まさに堂島源太郎の形相は鬼であり、何かが取り憑いたような凄まじい攻撃である。相手が女の子であることなんて委細構わず。
NOZOMIは顔面に膝を受けたのか?右目が腫れ上がっている。普段が美少女なだけに、それは尚更むごたらしく場内からも悲鳴が上がった。
それでもどうにか堂島の脚を捕まえ反撃に出ようとする。しかし、捕まる前に堂島は退き次の攻防に備えた。
第5R 1分 残り時間は2分である。
(やっぱり父ちゃんは凄いや!思ったより苦戦したけど、父ちゃんは強い)
龍太はちょっと心配でドキドキしていたが、ここで父の勝利を確信した。
堂島はこれだけ一方的に攻撃していてもなぜか怖かった。
あと2分逃げ切れば、この試合3度もダウンを奪っている自分の判定勝ちだ。
でも、このまま終わるとは到底思えない。彼女は必ず何かをしてくる。
NOZOMIは、こんなに苦戦するとは思っていなかった。堂島さんの膝は思ったより強烈で右目を腫らしてしまったのは計算外だった。でもお遊びはここまで。私は残忍な雌蛇なのだから、これから全国のファンに最高のエンターティメント残酷ショーをお見せする。
立ち上がったNOZOMIに向かって堂島は突進した。これまでのキックボクサー人生全てをかけ、男!堂島源太郎の生き様を見せてくれよう。
堂島はパンチと見せかけ、ローキックをNOZOMIの下腿部に浴びせた。怯んだところをガードの上からフック、ストレート、アッパー。
猛攻から逃れようとするNOZOMIがスリップダウンした。
場内は大歓声、ボルテージが上がる。
スリップダウンした NOZOMIを見た瞬間、堂島は閃いた。“ ここだ!”
気が付くと、堂島の身体は本能のように躍動しNOZOMIに馬乗りになっていた。今までは密着からの寝技を警戒して決して入り込まなかったNOZOMIのゾーンに自ら飛び込んだ。
(ここで一気に決着を付けてやる!)
「堂島さん、 深追いはダメだ!それは彼女の罠だ!メスヘビの罠だ!」
今まで黙って堂島の戦いぶりを見守っていたセコンドが叫んだ。
しかし、相手を倒すことだけに集中する堂島の耳には入らない。
NOZOMIにマウントになった堂島はその顔面に狙いさだめ、直角に鋭角に拳を振り下ろす。
それをNOZOMIは顔前に長い腕で十字にガードする。それでも構わず堂島はは拳を振り下ろす。振り下ろす度に堂島の顔は高潮し、赤鬼のように赤くなる。これは相手を殺しにかかる形相である。こんな堂島は見たことがない。
堂島はレフェリーが間に入って、試合を止めてくれることを願った。このままでは、自分は少女を殺してしまう。そうでないと自分が殺されてしまう。
マウントになりながら、堂島は違和感を覚えた。体勢が少しずつズレているようだ。NOZOMIの長い脚が背後からニュルニュルと蛇のように伸びてくる感覚...。恐るべき柔軟さでNOZOMIは堂島のパウンドを避けると、脚を堂島の首にまわしてきた。
(このままでは三角絞めが待っている)
我に返った堂島はNOZOMIの長い脚を振り払うとうまく立ち上がった。
残り時間1分。
立ち上がったと同時に、堂島は目の前を何かが凄い速さで過ぎったような気がした。それはまるでヘビが巻き付くように堂島の背後にまわった。
振り返るとNOZOMIが意味ありげにニヤッと不気味な笑みを浮かべる。
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