14 / 28
成功条件は、もちろん婚約破棄の阻止!
Ⅵ(完結)
しおりを挟む石の上にも3年というが、3年という月日は2人にとって大切な年月となった。
アリエッタは通常5年はかかるという王妃教育をすでに終えていた。
しかも彼女は、公務にも積極的に携わっており、国内だけではなく国外にもその名が知れ渡っている。
すでに彼女がいなければ回らない事業もある。
彼女は我が国に無くてはならない存在になっていた。
そして私は王としも大切なことを知った。
今、私は彼女に関わる全てを愛しく思っている。
だからこそこの国を大切にしたいと心から思えるようになった。
以前はただ漫然と日常を過ごしていたが、最近は毎日がとても充実している。
3年前の私では有り得ないことだ。これもすべてアリエッタのおかげだ。
そしてついに、3年前から心待ちにしていた卒業式当日。
アリエッタは1カ月程前に無事に成人を迎えた。
なので私はアリエッタに結婚を申し込む手筈を整えていた。
婚約すると卒業を待たずに卒業する令嬢も多いため、卒業資格は2年で取れるようになっている。
私もアリエッタも2年で卒業資格を取れたが、社交のために学園に通っていた。
(いよいよ、彼女を抱きしめられる!!)
事前に呼び出しておいた部屋で、彼女を待っていると控室に目立たないドレスを着たアリエッタが現れた。
卒業式は制服だったが、今は卒業パーティーのためにドレスに着替えていた。
きっと、卒業パーティーの主役である私や他のご令嬢よりも目立たないように配慮したのだろう。
(ああ。どんなドレスでも綺麗だ・・。)
私がアリエッタに結婚を申し込もうとすると、アリエッタが早とちりをして、婚約破棄されたと思い込んでしまった。
(婚約破棄なんてするはずないだろ!!)
焦った私は思わずアリエッタを抱きしめていた。
ダンスで彼女と近づいたことはあるが、抱きしめたのは初めてだった。
危惧していた通り、抱きしめてしまったら腕の中で目を白黒させている彼女が可愛くてもう限界だった。
(ああ・・もう・・・我慢は無理だ。
今日まで耐えた私はよくやった!!!)
そうして、彼女に口づけた。
彼女は狼狽えているようだったので、説明することにした。
だが、一度触れてしまった彼女の唇はあまりにも甘美でもう彼女の唇から離れることは出来そうもなかった。
説明が終わると、呆気にとられた彼女が花のように笑った。
そして、私との婚姻を承諾してくれた。
(ああ。長かった。
私は頑張ったはずだ!!よく耐えた!!
もういいだろう!!)
すぐにでも彼女の全てを手にいれたいと深く口づけをしていると、ドアがノックされた。
彼女はあからさまに安心したようだったが、私は悔しく思っていた。
だが、よく考えれば、これ以上は途中で止められそうもないし、この後は大事な卒業パーティーだ。
私が欠席するわけにはいかなかった。
「カルに頼んで侯爵家に連絡をいれさせよう。『今夜、彼女は帰らない』と。」
私が呟くと彼女が「どうしたのですか?」と尋ねてきたが、「なんでもないよ。」とキスをして会場に向かった。
半年後
「アリエッタ!!ああ。何度も言うが本当に綺麗だね。」
私は花嫁姿のアリエッタに深いキスをした。
「ちょっと、アル・・お化粧が崩れちゃうわ。
まだ、パレードがあるのに・・・。でも、ありがとう。」
私たちの式は急遽半年程早められることになった。
理由はもちろん、王族としての最大の使命を果たしたからに他ならない。
なので周りも大変なお祝いムードだ。
「ああ~。可愛い。その顔が可愛い!!」
私はもう一度、アリエッタの唇を奪った。
「もう!!大神官様も、誓いのキスの時咳払いしてらしたでしょ?
長すぎたのよ!!」
「そうかな?」
「そうよ!もう!!」
すると、カルが呆れながら口を開いた。
「それもそうですが、殿下。
普通は、誓いのキスは触れるだけのキスしかしませんよ?」
「「え?」」
「え?知らなかったんですか?
まぁ。結婚式は、殿下とアリエッタ様とそれぞれの護衛しか立ち会えませんからいいんですけど。
私たちは見慣れてますし・・。
大神官様は気の毒でしたが・・。」
「すまない。誓いのキスとしか聞いていなかったから、いつも通りにしてしまった。」
すると、カルが綺麗な笑顔を作った。
「本当にいつも通りでしたねぇ~。」
「パレードでは気を付ける。」
「お願いします。民の前で先程のキスは刺激的ですから・・。
殿下、全年齢ですからね!!全年齢!!」
「わかってるよ!!何度も言うな!!(私は制限つけろと・・)」
「殿下~~。何かおっしゃいました?」
「なんでもない!!」
隣のアリエッタを見ると「くすくす」と笑っていた。
カルが急に背筋を正した。
「さぁ、殿下!こちらへ、口紅取りますよ。
アリエッタ様はあちらでお直し致します。」
「ありがとう。」
「ああ。また後で。」
アリエッタは侍女に連れられて化粧直しに行ってしまった。
そして、カルが口に付いた紅を落とすための布を手渡してくれた。
私は唇についた紅を布で拭いた。
「ふふふ。殿下。幸せですか?」
「ああ。幸せだな。」
「よかったですね。婚約破棄をされなくて。」
「ははは。本当にそうだな。
彼女の身体のことを思えば彼女には無理はさせられないから、結婚パーティーはすぐにでも切り上げさせて自室で休ませるが、私は最後までパーティーを抜けられそうもないな。」
「そうですね・・。」
私は布を侍女に渡すと、カルを見た。
「明日にでも久しぶりに2人で飲むか?」
私の誘いにカルが楽しそうに笑った。
「いいですね。お供しますよ。
では、殿下。
特別記念ですので、先日訪問されたアトルワ公爵様に頂いたお酒あけましょうね!!」
「何?!あれをか!!」
「はい。楽しみだな~。さぁ。殿下行きましょう。奥方様がお待ちですよ?」
「しかしあの酒は・・。おい、待てカル。
今、アリエッタのことを奥方様と言ったか?
もう一度言ってくれ!!いい響きだ。」
「殿下!!お急ぎ下さい。」
「待て!!カル。もう一度言ってくれ~~~。」
【完】
270
あなたにおすすめの小説
自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~
浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。
本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。
※2024.8.5 番外編を2話追加しました!
天真爛漫な婚約者様は笑顔で私の顔に唾を吐く
りこりー
恋愛
天真爛漫で笑顔が似合う可愛らしい私の婚約者様。
私はすぐに夢中になり、容姿を蔑まれようが、罵倒されようが、金をむしり取られようが笑顔で対応した。
それなのに裏切りやがって絶対許さない!
「シェリーは容姿がアレだから」
は?よく見てごらん、令息達の視線の先を
「シェリーは鈍臭いんだから」
は?最年少騎士団員ですが?
「どうせ、僕なんて見下してたくせに」
ふざけないでよ…世界で一番愛してたわ…
捨てられたなら 〜婚約破棄された私に出来ること〜
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
長年の婚約者だった王太子殿下から婚約破棄を言い渡されたクリスティン。
彼女は婚約破棄を受け入れ、周りも処理に動き出します。
さて、どうなりますでしょうか……
別作品のボツネタ救済です(ヒロインの名前と設定のみ)。
突然のポイント数増加に驚いています。HOTランキングですか?
自分には縁のないものだと思っていたのでびっくりしました。
私の拙い作品をたくさんの方に読んでいただけて嬉しいです。
それに伴い、たくさんの方から感想をいただくようになりました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただけたらと思いますので、中にはいただいたコメントを非公開とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきますし、削除はいたしません。
7/16 最終部がわかりにくいとのご指摘をいただき、訂正しました。
※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。
婚約破棄を突き付けてきた貴方なんか助けたくないのですが
夢呼
恋愛
エリーゼ・ミレー侯爵令嬢はこの国の第三王子レオナルドと婚約関係にあったが、当の二人は犬猿の仲。
ある日、とうとうエリーゼはレオナルドから婚約破棄を突き付けられる。
「婚約破棄上等!」
エリーゼは喜んで受け入れるが、その翌日、レオナルドは行方をくらました!
殿下は一体どこに?!
・・・どういうわけか、レオナルドはエリーゼのもとにいた。なぜか二歳児の姿で。
王宮の権力争いに巻き込まれ、謎の薬を飲まされてしまい、幼児になってしまったレオナルドを、既に他人になったはずのエリーゼが保護する羽目になってしまった。
殿下、どうして私があなたなんか助けなきゃいけないんですか?
本当に迷惑なんですけど。
拗らせ王子と毒舌令嬢のお話です。
※世界観は非常×2にゆるいです。
文字数が多くなりましたので、短編から長編へ変更しました。申し訳ありません。
カクヨム様にも投稿しております。
レオナルド目線の回は*を付けました。
あなたの事は好きですが私が邪魔者なので諦めようと思ったのですが…様子がおかしいです
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のカナリアは、原因不明の高熱に襲われた事がきっかけで、前世の記憶を取り戻した。そしてここが、前世で亡くなる寸前まで読んでいた小説の世界で、ヒーローの婚約者に転生している事に気が付いたのだ。
その物語は、自分を含めた主要の登場人物が全員命を落とすという、まさにバッドエンドの世界!
物心ついた時からずっと自分の傍にいてくれた婚約者のアルトを、心から愛しているカナリアは、酷く動揺する。それでも愛するアルトの為、自分が身を引く事で、バッドエンドをハッピーエンドに変えようと動き出したのだが、なんだか様子がおかしくて…
全く違う物語に転生したと思い込み、迷走を続けるカナリアと、愛するカナリアを失うまいと翻弄するアルトの恋のお話しです。
展開が早く、ご都合主義全開ですが、よろしくお願いしますm(__)m
【完結】婚約者?勘違いも程々にして下さいませ
リリス
恋愛
公爵令嬢ヤスミーンには侯爵家三男のエグモントと言う婚約者がいた。
先日不慮の事故によりヤスミーンの両親が他界し女公爵として相続を前にエグモントと結婚式を三ヶ月後に控え前倒しで共に住む事となる。
エグモントが公爵家へ引越しした当日何故か彼の隣で、彼の腕に絡みつく様に引っ付いている女が一匹?
「僕の幼馴染で従妹なんだ。身体も弱くて余り外にも出られないんだ。今度僕が公爵になるって言えばね、是が非とも住んでいる所を見てみたいって言うから連れてきたんだよ。いいよねヤスミーンは僕の妻で公爵夫人なのだもん。公爵夫人ともなれば心は海の様に広い人でなければいけないよ」
はて、そこでヤスミーンは思案する。
何時から私が公爵夫人でエグモンドが公爵なのだろうかと。
また病気がちと言う従妹はヤスミーンの許可も取らず堂々と公爵邸で好き勝手に暮らし始める。
最初の間ヤスミーンは静かにその様子を見守っていた。
するとある変化が……。
ゆるふわ設定ざまああり?です。
【完結】婚約破棄されたらループするので、こちらから破棄させていただきます!~薄幸令嬢はイケメン(ストーカー)魔術師に捕まりました~
雨宮羽那
恋愛
公爵令嬢フェリシア・ウィングフィールドは、義妹に婚約者を奪われ婚約破棄を告げられる。
そうしてその瞬間、ループしてしまうのだ。1年前の、婚約が決まった瞬間へと。
初めは婚約者のことが好きだったし、義妹に奪われたことが悲しかった。
だからこそ、やり直す機会を与えられて喜びもした。
しかし、婚約者に前以上にアプローチするも上手くいかず。2人が仲良くなるのを徹底的に邪魔してみても意味がなく。いっそ義妹と仲良くなろうとしてもダメ。義妹と距離をとってもダメ。
ループを4回ほど繰り返したフェリシアは思った。
――もういいや、と。
5回目のやり直しでフェリシアは、「その婚約、破棄させていただきますね」と告げて、屋敷を飛び出した。
……のはいいものの、速攻賊に襲われる。そんなフェリシアを助けてくれたのは、銀の長髪が美しい魔術師・ユーリーだった。
――あれ、私どこかでこの魔術師と会ったことある?
これは、見覚えがあるけど思い出せない魔術師・ユーリーと、幸薄め公爵令嬢フェリシアのラブストーリー。
※「小説家になろう」様にも掲載しております。
※別名義の作品のストーリーを大幅に改変したものになります。
※表紙はAIイラストです。(5/23追加しました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる