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カルディア報告書
側近カルの報告書
しおりを挟む先日ようやく殿下は婚約破棄を阻止することに成功しました。
しかも!その日の内に殿下はアリエッタ様と、お2人の最大の使命を果たすためにご尽力されたとのことです。
え?次の日のお仕事ですか?
次の日はお休みでしたので、問題ありませんでした。
予定を入れなかった私を褒めたいです。
誰も褒めてくれないので自分で褒めることにします。
(よくやった!!私!!
えらいぞ!私!!
殿下!!展開早すぎ!!
でも、すご~く、すご~く我慢されてましたもんね・・。)
本日、殿下とアリエッタ様は、ご公務です。
今は移動中の馬車の中です。
「殿下。本日の視察では、やはり先日の議会でも問題となった老朽化した橋を重点的に視察されますか?それとも民から話を聞き、もっと別の場所に橋を建設する必要があるかを検討しますか?」
アリエッタ様は、相変わらず公務の前は書類片手に本日の視察プランを練られています。
まだ王妃様ではありませんが、すでにアリエッタ様は王妃様の貫禄が漂っています。
「どう思われます?」
一方殿下は・・・。
真剣な表情のアリエッタ様を愛でながら、とろけるような顔をしています。
「ふふふ。ねぇ。アリエッタ、キスしてもいい?
さっきまで寝室ではあんなに可愛い顔だったのに、急にそんな凛々しくなるなんて、反則だよ。」
そう言って、殿下は座っているアリエッタ様の腰を抱き寄せました。
「え?殿下!でも、ほら・・テオルド様もいらっしゃいますし。」
あ、申し遅れました。
私はカルディア・テオルドと申します。伯爵家の次男です。
独身、婚約者はおりません。
殿下が国王陛下になられましても、側近としてお勤めする予定ですので将来有望ですよ?
伴侶としていかがですか?
ただ・・休みが取りにくいという難点があるのですが・・。
体調管理は徹底しておりますので、亭主元気で留守がいいという方におすすめです。
話がそれました。申し訳ありません。
私に視線を向けたアリエッタ様は顔を真っ赤にされて助けを求めています。
お助けしたいのは山々ですが・・・。
「カルなら大丈夫だ。な?カル?」
殿下から『邪魔するな~。』という念をおくられています。
確かに殿下はご多忙なので、アリエッタ様と共に過ごすことができる時間はかなり貴重であるのは間違いありません。
ですので私は笑顔で答えました。
「もちろんです。」
「え・・・。」
「ほら。大丈夫だよ・・アリエッタ。」
「殿下・・。」
私はさっと窓の外に視線を向けました。
その途端、全年齢には少々不適切な可能性のある音や声が聞こえてきますが、私は何も見ていませんし、何も聞いていません。
窓の外には林が広がり、人っ子一人見当たりません。
これなら外から見られる心配もないでしょう。
暫くして、私はあらかじめ用意してあったハンカチを取り出して殿下に差し出しました。
「これで口紅をお拭き下さい。」
「ああ。」
殿下はハンカチを受け取り、口を拭こうとした瞬間にまた、アリエッタ様の唇を奪われました。
「殿下!!不意打ちは困ります。」
「じゃあ、もう一回してもいい?」
殿下が聞くと、アリエッタ様は真っ赤な顔をして頷きました。
またキスが始まりました。
もう。外を見るのにも飽きたので、私はここで石にでもなることにします。
「ねぇ。キスしてもいい?」
「え・・。でも、そろそろ着くんじゃ・・。」
「まだ着かない。ダメ?絶対キスしかしないから。ね?」
「・・いいですけど・・。」
殿下・・。よかったですね・・。
でも何度目ですか?殿下?
長くないですか?殿下?
息してますか?殿下?
これがあの『結婚などどうでもいい』と言ってた殿下ですか?
変わりすぎじゃないですか?殿下?
・・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・・・・。
私は砂を吐きそうです・・。
「もう一回してもいい?」
「~~~~もう聞かないで下さい~~。」
アリエッタ様の言葉に殿下はニヤリと笑いました。
ああ~~アリエッタ様・・・。
あなたはこの悪魔のスイッチを押すのが本当に上手いですね。
「わかった。これからは私の好きな時に好きなようにキスするね。」
「~~~~~!!!」
そして、またキスが始まりました。
はぁ~。
殿下ってキス魔だったんですね・・・。
主の性癖まで知る必要があるなんて、側近とは過酷な仕事です。
これって特別手当でませんかね?
今度陛下に相談してみることにします。
お2人が互いの唇を充分に堪能した頃、馬車が目的地へと到着しました。
ようやく着きました。
長かった。
本当に長かった!!
着いた途端、殿下はさっと口元をハンカチで拭われ、アリエッタ様の口元についた口紅をスマートに指で拭きとると、姿勢を正した。
「本日は、民に話を聞きます。
老朽化した橋の調査は専門家に任せましょう。
では、お手をどうぞ。アリエッタ。」
アリエッタ様は、少しボーとした後すぐに姿勢を正されました。
そして殿下の耳元で小さく囁かれました。
「アルのそういうところズルいけど、素敵よね。ふふふ。」
すると殿下が一瞬にして真っ赤になりました。
アリエッタ様は颯爽と馬車から降りると、民の出迎えに答えるように微笑まれました。
その姿は美しさと気高さに満ち溢れていらっしゃいます。
殿下は小さな声で「敵わないよな~。」と呟き、馬車を降りるとアリエッタ様の横に並ばれ、凛々しい顔になり民にあいさつをしていらっしゃいます。
お2人の姿はきっと民には、理想の王族に見えているでしょう。
先程まであんなにとろけたお顔をされていたのに・・・。
まるで別人です。
でもそれでいいのです。
馬車の中の2人を知っているのは側近の私、ただ1人なのですから。
そして、私も皆の羨望を集める2人を誇らしく思うのでした。
しかし!!純情な私は、帰りは御者台に乗ることを堅く心に誓ったのでした。
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