19 / 28
成功条件は、やっぱり婚約者の愛?!
3 アリエッタside
しおりを挟む「お嬢様!!先程の演技は完璧でした!!」
「本当?!」
「ええ。後は全体を通してバランスよく見えるように調整致しましょう」
「ありがとうございます、先生」
私は剣舞の先生にお礼を言うと、少し休憩するためにテラスに用意してあるお茶を飲むことにした。
(ふぅ~なんとか形になってきたわ。
後は全体のバランスね)
目を閉じると気持ちの良い風が通り過ぎていった。
(アルベルト殿下はお元気かしら・・)
私はふと殿下のことを考えていると、私を呼ぶ声が聞こえた。
「アリエッタ!!
お前が休憩に入るのを待っていたんだ。
ほら手紙だ」
「ありがとうございます。
お待たせしてすみません」
私はお兄様から手紙を受け取った。
手紙を渡したら去る思っていたお兄様は意外なことに私の前の席に座りお茶を飲んだ。
(お兄様が私とお茶なんて珍しいわね?)
手紙は殿下の側近のテオルド様からだった。
私は急いで手紙に目を通した。
「まぁ、本日殿下がいらっしゃるらしいですわ」
すると兄がほっとしたように溜息をついた。
「そうか・・・御多忙な殿下自ら陣中見舞いにいらっしゃるということは、殿下はお前のことをそこそこ気にかけておられるのだな」
私はその言葉に眉を寄せた。
「ですから、私は殿下に大切にして頂いていると言っているではありませんか」
するとお兄様は面倒くさそうに言った。
「わかった、わかった。
まぁお前が大切にされてると思っているということは、アルベルト殿下は、少なくとも本人に気づかせるほど婚約者をないがしろにするような残念な男でないことは確かだな」
するとお兄様はスッと立ち上がると私を見下ろして言った。
「まぁ。お前が殿下に愛想をつかされても面倒は見てやるから、お前のしたいようにすればいいさ」
私はお兄様の言葉を聞いて笑ってしまった。
「ふふふ。相変わらず不器用ですね。
『私の事が心配』だとそう言えばいいのではないですか?
大丈夫です。お兄様がお姉様と私のことを『大好き』なことはちゃんとわかっていますから」
するとお兄様が深いため息をついた。
「はぁ~どうして、よりにもよって妹たちの嫁ぎ先が『公爵家』と『王家』なんだ。
これで心配せずに過ごせる兄がいたらお目にかかりたいものだな。
・・クラリスは次期公爵に愛され大切にされているからまだ安心だが」
そういうとお兄様が渋い顔をしてこちらを向いた。
「私は未だになぜ殿下がアリエッタを選んだのか理解できない」
お兄様はさらに首を傾げた。
「アリエッタ。アルベルト殿下は近隣諸国でも高く評価されてる。
それに殿下は貴族にも国民にも皆に愛されている素晴らしい方だ。
いくらでも相手を自由に選べるだろうに・・・なぜアリエッタなのだ?
あみだくじかなにかで決めたのか??
ん~自分で言っておいてなんだが、そう考えるとしっくりくるな。
おまえは昔から運はいいからな・・」
(う・・・悪意のない悪口はつらい・・・)
そして、ついにはお兄様が哀れみを浮かべて笑った。
「おまえたちのことが心配なのも好きなのも否定はしない。
捨てられたら、いつでも帰って来い、アリエッタ!!」
そういうと、お兄様は去って行った。
「もう!!殿下は私を愛して下さっているのに!
本当にお父様と一緒で頑固なんだから!!」
私はテーブルから立ち上がると剣舞用の模擬刀を手にした。
「さぁ、もう少し頑張りましょうか」
そして、練習に没頭したのだった。
153
あなたにおすすめの小説
自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~
浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。
本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。
※2024.8.5 番外編を2話追加しました!
天真爛漫な婚約者様は笑顔で私の顔に唾を吐く
りこりー
恋愛
天真爛漫で笑顔が似合う可愛らしい私の婚約者様。
私はすぐに夢中になり、容姿を蔑まれようが、罵倒されようが、金をむしり取られようが笑顔で対応した。
それなのに裏切りやがって絶対許さない!
「シェリーは容姿がアレだから」
は?よく見てごらん、令息達の視線の先を
「シェリーは鈍臭いんだから」
は?最年少騎士団員ですが?
「どうせ、僕なんて見下してたくせに」
ふざけないでよ…世界で一番愛してたわ…
捨てられたなら 〜婚約破棄された私に出来ること〜
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
長年の婚約者だった王太子殿下から婚約破棄を言い渡されたクリスティン。
彼女は婚約破棄を受け入れ、周りも処理に動き出します。
さて、どうなりますでしょうか……
別作品のボツネタ救済です(ヒロインの名前と設定のみ)。
突然のポイント数増加に驚いています。HOTランキングですか?
自分には縁のないものだと思っていたのでびっくりしました。
私の拙い作品をたくさんの方に読んでいただけて嬉しいです。
それに伴い、たくさんの方から感想をいただくようになりました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただけたらと思いますので、中にはいただいたコメントを非公開とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきますし、削除はいたしません。
7/16 最終部がわかりにくいとのご指摘をいただき、訂正しました。
※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。
婚約破棄を突き付けてきた貴方なんか助けたくないのですが
夢呼
恋愛
エリーゼ・ミレー侯爵令嬢はこの国の第三王子レオナルドと婚約関係にあったが、当の二人は犬猿の仲。
ある日、とうとうエリーゼはレオナルドから婚約破棄を突き付けられる。
「婚約破棄上等!」
エリーゼは喜んで受け入れるが、その翌日、レオナルドは行方をくらました!
殿下は一体どこに?!
・・・どういうわけか、レオナルドはエリーゼのもとにいた。なぜか二歳児の姿で。
王宮の権力争いに巻き込まれ、謎の薬を飲まされてしまい、幼児になってしまったレオナルドを、既に他人になったはずのエリーゼが保護する羽目になってしまった。
殿下、どうして私があなたなんか助けなきゃいけないんですか?
本当に迷惑なんですけど。
拗らせ王子と毒舌令嬢のお話です。
※世界観は非常×2にゆるいです。
文字数が多くなりましたので、短編から長編へ変更しました。申し訳ありません。
カクヨム様にも投稿しております。
レオナルド目線の回は*を付けました。
あなたの事は好きですが私が邪魔者なので諦めようと思ったのですが…様子がおかしいです
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のカナリアは、原因不明の高熱に襲われた事がきっかけで、前世の記憶を取り戻した。そしてここが、前世で亡くなる寸前まで読んでいた小説の世界で、ヒーローの婚約者に転生している事に気が付いたのだ。
その物語は、自分を含めた主要の登場人物が全員命を落とすという、まさにバッドエンドの世界!
物心ついた時からずっと自分の傍にいてくれた婚約者のアルトを、心から愛しているカナリアは、酷く動揺する。それでも愛するアルトの為、自分が身を引く事で、バッドエンドをハッピーエンドに変えようと動き出したのだが、なんだか様子がおかしくて…
全く違う物語に転生したと思い込み、迷走を続けるカナリアと、愛するカナリアを失うまいと翻弄するアルトの恋のお話しです。
展開が早く、ご都合主義全開ですが、よろしくお願いしますm(__)m
【完結】婚約者?勘違いも程々にして下さいませ
リリス
恋愛
公爵令嬢ヤスミーンには侯爵家三男のエグモントと言う婚約者がいた。
先日不慮の事故によりヤスミーンの両親が他界し女公爵として相続を前にエグモントと結婚式を三ヶ月後に控え前倒しで共に住む事となる。
エグモントが公爵家へ引越しした当日何故か彼の隣で、彼の腕に絡みつく様に引っ付いている女が一匹?
「僕の幼馴染で従妹なんだ。身体も弱くて余り外にも出られないんだ。今度僕が公爵になるって言えばね、是が非とも住んでいる所を見てみたいって言うから連れてきたんだよ。いいよねヤスミーンは僕の妻で公爵夫人なのだもん。公爵夫人ともなれば心は海の様に広い人でなければいけないよ」
はて、そこでヤスミーンは思案する。
何時から私が公爵夫人でエグモンドが公爵なのだろうかと。
また病気がちと言う従妹はヤスミーンの許可も取らず堂々と公爵邸で好き勝手に暮らし始める。
最初の間ヤスミーンは静かにその様子を見守っていた。
するとある変化が……。
ゆるふわ設定ざまああり?です。
【完結】婚約破棄されたらループするので、こちらから破棄させていただきます!~薄幸令嬢はイケメン(ストーカー)魔術師に捕まりました~
雨宮羽那
恋愛
公爵令嬢フェリシア・ウィングフィールドは、義妹に婚約者を奪われ婚約破棄を告げられる。
そうしてその瞬間、ループしてしまうのだ。1年前の、婚約が決まった瞬間へと。
初めは婚約者のことが好きだったし、義妹に奪われたことが悲しかった。
だからこそ、やり直す機会を与えられて喜びもした。
しかし、婚約者に前以上にアプローチするも上手くいかず。2人が仲良くなるのを徹底的に邪魔してみても意味がなく。いっそ義妹と仲良くなろうとしてもダメ。義妹と距離をとってもダメ。
ループを4回ほど繰り返したフェリシアは思った。
――もういいや、と。
5回目のやり直しでフェリシアは、「その婚約、破棄させていただきますね」と告げて、屋敷を飛び出した。
……のはいいものの、速攻賊に襲われる。そんなフェリシアを助けてくれたのは、銀の長髪が美しい魔術師・ユーリーだった。
――あれ、私どこかでこの魔術師と会ったことある?
これは、見覚えがあるけど思い出せない魔術師・ユーリーと、幸薄め公爵令嬢フェリシアのラブストーリー。
※「小説家になろう」様にも掲載しております。
※別名義の作品のストーリーを大幅に改変したものになります。
※表紙はAIイラストです。(5/23追加しました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる