17 / 20
本編
17 折角転生したのに、婚約者が好きすぎて困ります!【最終話】
しおりを挟む
「まぁ!! ナターシャ様とブルーノ様の婚約が正式なものになったのですか!!」
「そうだよ」
私は今、王妃教育が終わって、ディラン様の私室に遊びに来ていた。
ディラン様は優雅にお茶を飲みながら重大な事を教えてくれた。
私は嬉しくて大きな声を出してしまった。
「それで、式はいつですの? ディラン様はもちろんご出席されるのですよね? ああ、ナターシャ様、絶対に絶対にブルーノ様と末永くお幸せになってほしいですわ~~♪ これはお祝いですね!!」
私が主人公であるナターシャ様のお相手が決まったことを喜んでいると、ディラン様が少しだけ不機嫌そうに言った。
「はぁ~。これだから教えたくなったんだ。教えたら絶対に君はナターシャの婚約話に夢中になるだろう?」
私がナターシャ様の動向を気にしているのは、あくまで主人公の今後を気にしているだけだった。なぜなら、突然ディラン様がお相手になるというような不測過ぎる事態が起きないとも限らない。でも主人公がブルーノ様という運命の相手を見つけたのだ。
これで絶対にディラン様が主人公のお相手になることはない。
「当然です。私、ずっとナターシャ様の幸せを見守って来たのです!! それがようやく叶ったのです!! こんなに嬉しいことはありません!!」
実は正直、少しだけヒヤヒヤした。もう一人の攻略対象であるディラン様の護衛のヘンリー様とブルーノ様2人で揉める展開になったのだ。こうなっては主人公がバットエンドの可能性もある。そうなると、困ったことになるかもしれない。
私はそうならないように、ディラン様に何度もお願いして、主人公が好きな人と幸せになるように裏から手を回したり、表からも手を貸したり、とにかく必死で主人公の幸せのために動いたのだ。
それがようやく報われたのだ!! こんな嬉しいことはない。
「ナターシャとブルーノが君に凄く感謝していたよ」
「2人が幸せになってくれればいいのです」
私がそう言った後、ディラン様は少し拗ねたように言った。
「確かにナターシャとブルーノの婚約は嬉しいことだけど……もうすぐ卒業式と卒業舞踏会があるだろ? 必要な物があるだろう? 何も言わないの??」
そうだ。ゲームのクライマックスも卒業舞踏会だった。
その時に、主人公は運命の相手に送られたパーソナルジュエルのついたアイテムを身に着けて出席する。
パーソナルジュエルとは、その人の瞳と同じ色をした石のついた装飾品のことをいうのだ。
ちなみにディラン様は瞳と同じ色の深い藍色のネックレスだった。
(ディラン様のお相手は主人公では、ないわよね……)
私は少しだけ不安になってディラン様を見つめた。
「はい。あの……ディラン様は私と一緒に出席してくれますか?」
するとディラン様の声が少しだけ低くなった。
「ふ~ん。そんなこと言っちゃうんだ? 僕の愛、伝わってないってことだね」
「きゃあ」
私はディラン様に抱き上げられ、笑っていない瞳で笑いかけられた。
「キャメロン、今日はもう何も予定がなかったよね?」
「は、はい」
私が恐る恐る答えると、ディラン様にベットに連れて行かれ、仰向けに寝かされて両手を絡めると唇にキスをされた。
チュッツ♡
私はキスだけで、ディラン様のことしか考えられなくなってしまった。
ディラン様はキスをすると、繋いでいた手を離して私の左手を取った。
すると指に、藍色に輝く美しい宝石のついた指輪をはめてくれた。
「え? 指輪?」
私が寝たまま、指にはめてもらった指を見ていると、ディラン様が優しく微笑んだ。
「卒業舞踏会ではそれをつけてね」
「これはもしかして、パーソナルジュエルですか?」
「うん」
私は驚いてしまった。このゲームでは卒業舞踏会で運命の相手が主人公に自分の瞳の色であるパーソナルジュエルのついたアイテムを贈る。
ディラン様のアイテムはネックレスだったはずだ。それなのに私の左手には、まるでディラン様の瞳のように美しく輝くパーソナルジュエルのついた指輪が輝いていた。
チュッ♡
ディラン様が私の横に寝っ転がって、私の左手にキスをすると、少し照れくさそうに笑った。
「ネックレスと指輪どっちにしようかと迷ったんだけどね……指輪なら君の目にも映るだろ?
君はいつの間にかナターシャの事や、王妃教育のことで頭が一杯になって僕のことを忘れそうだし。いつも君にこれを見て僕を思い出して貰えるように指輪にしたんだ……ネックレスは首にかけちゃうと中々自分じゃ見えないだろ? だから……」
(ええ~~!! いつも見て思い出して貰えるように指輪って!! ディラン様が可愛い~~~!!)
私は嬉しすぎて、身体を起こしてディラン様のお顔を見下ろした。
チュッ♡
「え?!」
私はそのままディラン様の唇にキスをした。私からは滅多にキスはしないし、今は私がディラン様を押し倒しているようなので、ディラン様は目を丸くして驚いていた。
「ああ、もう、好きです。好きです!! 好きすぎて困ります。指輪見るたび好きだって想って困るじゃないですか!!」
ディラン様は顔に掛かる私の髪を手に取るとその髪に妖艶に口付けをして……その後、私の髪や耳を撫でながら、ゆっくりと私の頭を引き寄せ唇を合わせた。
「それは……んっ……僕のセリフなんだけど…な」
そう言ってまた唇を合わせた。
窓の外にはディラン様の瞳のような美しい藍色の空が広がっていた。
【完】
ーーーーーーーーーーーーー
お忙しい中、お読み頂きありがとうございました!
またどこかで皆様にお会いできますことを楽しみにしております♪
「そうだよ」
私は今、王妃教育が終わって、ディラン様の私室に遊びに来ていた。
ディラン様は優雅にお茶を飲みながら重大な事を教えてくれた。
私は嬉しくて大きな声を出してしまった。
「それで、式はいつですの? ディラン様はもちろんご出席されるのですよね? ああ、ナターシャ様、絶対に絶対にブルーノ様と末永くお幸せになってほしいですわ~~♪ これはお祝いですね!!」
私が主人公であるナターシャ様のお相手が決まったことを喜んでいると、ディラン様が少しだけ不機嫌そうに言った。
「はぁ~。これだから教えたくなったんだ。教えたら絶対に君はナターシャの婚約話に夢中になるだろう?」
私がナターシャ様の動向を気にしているのは、あくまで主人公の今後を気にしているだけだった。なぜなら、突然ディラン様がお相手になるというような不測過ぎる事態が起きないとも限らない。でも主人公がブルーノ様という運命の相手を見つけたのだ。
これで絶対にディラン様が主人公のお相手になることはない。
「当然です。私、ずっとナターシャ様の幸せを見守って来たのです!! それがようやく叶ったのです!! こんなに嬉しいことはありません!!」
実は正直、少しだけヒヤヒヤした。もう一人の攻略対象であるディラン様の護衛のヘンリー様とブルーノ様2人で揉める展開になったのだ。こうなっては主人公がバットエンドの可能性もある。そうなると、困ったことになるかもしれない。
私はそうならないように、ディラン様に何度もお願いして、主人公が好きな人と幸せになるように裏から手を回したり、表からも手を貸したり、とにかく必死で主人公の幸せのために動いたのだ。
それがようやく報われたのだ!! こんな嬉しいことはない。
「ナターシャとブルーノが君に凄く感謝していたよ」
「2人が幸せになってくれればいいのです」
私がそう言った後、ディラン様は少し拗ねたように言った。
「確かにナターシャとブルーノの婚約は嬉しいことだけど……もうすぐ卒業式と卒業舞踏会があるだろ? 必要な物があるだろう? 何も言わないの??」
そうだ。ゲームのクライマックスも卒業舞踏会だった。
その時に、主人公は運命の相手に送られたパーソナルジュエルのついたアイテムを身に着けて出席する。
パーソナルジュエルとは、その人の瞳と同じ色をした石のついた装飾品のことをいうのだ。
ちなみにディラン様は瞳と同じ色の深い藍色のネックレスだった。
(ディラン様のお相手は主人公では、ないわよね……)
私は少しだけ不安になってディラン様を見つめた。
「はい。あの……ディラン様は私と一緒に出席してくれますか?」
するとディラン様の声が少しだけ低くなった。
「ふ~ん。そんなこと言っちゃうんだ? 僕の愛、伝わってないってことだね」
「きゃあ」
私はディラン様に抱き上げられ、笑っていない瞳で笑いかけられた。
「キャメロン、今日はもう何も予定がなかったよね?」
「は、はい」
私が恐る恐る答えると、ディラン様にベットに連れて行かれ、仰向けに寝かされて両手を絡めると唇にキスをされた。
チュッツ♡
私はキスだけで、ディラン様のことしか考えられなくなってしまった。
ディラン様はキスをすると、繋いでいた手を離して私の左手を取った。
すると指に、藍色に輝く美しい宝石のついた指輪をはめてくれた。
「え? 指輪?」
私が寝たまま、指にはめてもらった指を見ていると、ディラン様が優しく微笑んだ。
「卒業舞踏会ではそれをつけてね」
「これはもしかして、パーソナルジュエルですか?」
「うん」
私は驚いてしまった。このゲームでは卒業舞踏会で運命の相手が主人公に自分の瞳の色であるパーソナルジュエルのついたアイテムを贈る。
ディラン様のアイテムはネックレスだったはずだ。それなのに私の左手には、まるでディラン様の瞳のように美しく輝くパーソナルジュエルのついた指輪が輝いていた。
チュッ♡
ディラン様が私の横に寝っ転がって、私の左手にキスをすると、少し照れくさそうに笑った。
「ネックレスと指輪どっちにしようかと迷ったんだけどね……指輪なら君の目にも映るだろ?
君はいつの間にかナターシャの事や、王妃教育のことで頭が一杯になって僕のことを忘れそうだし。いつも君にこれを見て僕を思い出して貰えるように指輪にしたんだ……ネックレスは首にかけちゃうと中々自分じゃ見えないだろ? だから……」
(ええ~~!! いつも見て思い出して貰えるように指輪って!! ディラン様が可愛い~~~!!)
私は嬉しすぎて、身体を起こしてディラン様のお顔を見下ろした。
チュッ♡
「え?!」
私はそのままディラン様の唇にキスをした。私からは滅多にキスはしないし、今は私がディラン様を押し倒しているようなので、ディラン様は目を丸くして驚いていた。
「ああ、もう、好きです。好きです!! 好きすぎて困ります。指輪見るたび好きだって想って困るじゃないですか!!」
ディラン様は顔に掛かる私の髪を手に取るとその髪に妖艶に口付けをして……その後、私の髪や耳を撫でながら、ゆっくりと私の頭を引き寄せ唇を合わせた。
「それは……んっ……僕のセリフなんだけど…な」
そう言ってまた唇を合わせた。
窓の外にはディラン様の瞳のような美しい藍色の空が広がっていた。
【完】
ーーーーーーーーーーーーー
お忙しい中、お読み頂きありがとうございました!
またどこかで皆様にお会いできますことを楽しみにしております♪
293
あなたにおすすめの小説
恋心を封印したら、なぜか幼馴染みがヤンデレになりました?
夕立悠理
恋愛
ずっと、幼馴染みのマカリのことが好きだったヴィオラ。
けれど、マカリはちっとも振り向いてくれない。
このまま勝手に好きで居続けるのも迷惑だろうと、ヴィオラは育った町をでる。
なんとか、王都での仕事も見つけ、新しい生活は順風満帆──かと思いきや。
なんと、王都だけは死んでもいかないといっていたマカリが、ヴィオラを追ってきて……。
うっかり結婚を承諾したら……。
翠月るるな
恋愛
「結婚しようよ」
なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。
相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。
白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。
実際は思った感じではなくて──?
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました
雨宮羽那
恋愛
結婚して5年。リディアは悩んでいた。
夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。
ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。
どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。
そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。
すると、あら不思議。
いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。
「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」
(誰ですかあなた)
◇◇◇◇
※全3話。
※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜
わんこ系婚約者の大誤算
甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。
そんなある日…
「婚約破棄して他の男と婚約!?」
そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。
その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。
小型犬から猛犬へ矯正完了!?
【完結】『推しの騎士団長様が婚約破棄されたそうなので、私が拾ってみた。』
ぽんぽこ@3/28新作発売!!
恋愛
【完結まで執筆済み】筋肉が語る男、冷徹と噂される騎士団長レオン・バルクハルト。
――そんな彼が、ある日突然、婚約破棄されたという噂が城下に広まった。
「……えっ、それってめっちゃ美味しい展開じゃない!?」
破天荒で豪快な令嬢、ミレイア・グランシェリは思った。
重度の“筋肉フェチ”で料理上手、○○なのに自由すぎる彼女が取った行動は──まさかの自ら押しかけ!?
騎士団で巻き起こる爆笑と騒動、そして、不器用なふたりの距離は少しずつ近づいていく。
これは、筋肉を愛し、胃袋を掴み、心まで溶かす姉御ヒロインが、
推しの騎士団長を全力で幸せにするまでの、ときめきと笑いと“ざまぁ”の物語。
婚約破棄されたら兄のように慕っていた家庭教師に本気で口説かれはじめました
鳥花風星
恋愛
「他に一生涯かけて幸せにしたい人ができた。申し訳ないがローズ、君との婚約を取りやめさせてほしい」
十歳の頃に君のことが気に入ったからと一方的に婚約をせがまれたローズは、学園生活を送っていたとある日その婚約者であるケイロンに突然婚約解消を言い渡される。
悲しみに暮れるローズだったが、幼い頃から魔法の家庭教師をしてくれている兄のような存在のベルギアから猛烈アプローチが始まった!?
「ずっと諦めていたけれど、婚約解消になったならもう遠慮はしないよ。今は俺のことを兄のように思っているかもしれないしケイロンのことで頭がいっぱいかもしれないけれど、そんなこと忘れてしまうくらい君を大切にするし幸せにする」
ローズを一途に思い続けるベルギアの熱い思いが溢れたハッピーエンドな物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる