好きでした、婚約破棄を受け入れます

たぬきち25番

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第一章 幸せが約束された未来

12 友人たちとの時間(1)

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「会いたかったわ!! シャルロッテ!!」

「エカテリーナ!! 私も会いたかったわ」

 侯爵家の馬車で、エカテリーナの屋敷に向かうと、エカテリーナとゲオルグが迎えてくれた。

「シャルロッテ、久しぶりだな」

 エカテリーナに抱きしめられた後に、ゲオルグが手を差し出してくれたので、私も嬉しくなって、ゲオルグの手を握った。

「うん! 本当に久しぶりだね、ゲオルグ」

 あれから私たちは、何度も遊ぶうちに仲良くなった。
 少し前までは、週に一回くらい一緒に遊んでいたが、今日は半月ぶりくらいの再開だった。
 3人でたわいもない話をしながら、サロンに向かった。

「ふふふ、聞いて! ゲオルグったら、あなたにチェスで勝てるようになるためにって、毎日寝る前にチェスの勉強をしてるのよ!!」

 エカテリーナが嬉しそうに笑うと、真っ赤な顔をしたゲオルグが大きな声を上げた。

「姉さん!! 余計なこと言わないで下さい!!」

「私も時間のある日は、エマと一緒にチェスをしているわよ。エマには全然勝てないけど……」

 毎日ではないが、私もよくエマとチェスをしている。
 昔から、かくれんぼや鬼ごっこをしてくれるのは、エイド。
 刺繍を教えてくれたり、チェスをしてくれるのがエマなのだ。

「シャルロッテが全然勝てないなんて……エマって何者なの??」

 エカテリーナが首を傾けながら言った。

「ちなみにエマには、お母様も、エマにチェスを教えたお父様も、『もう勝てない』っておっしゃっていたわ。だから、私が強いのはエマに色々と教えて貰っているおかげだから、私が強いわけじゃないのよ」

 するとゲオルグが顎に手を当てて「ん~」と考えた後、口を開いた。

「では、私と一緒に強くなる方法を考えて、エマに勝てばいい。どうすれば強くなれるか考えよう」

「うん!! 楽しそう!!」

 私が同意するとエカテリーナが「くすくす」と笑いながら言った。

「本当に、あなたたち2人と一緒にいると飽きないわ。
 いいわ。私も侯爵令嬢よ。将来チェス好きな旦那様が出来た時のために、あなたたちと一緒に強くなるわ」

「姉さん、チェスが強くなるのに侯爵令嬢は関係ないんじゃ……」

 ゲオルグが小声で呟くと、エカテリーナがゲオルグに顔を寄せながら言った。

「何を言っているの? 私は、将来、高位貴族の方々に嫁ぐ可能性があるのよ?
 皆様、チェスは嗜んでいるでしょう? あまりにも出来ないのでは、恥ずかしいじゃない!!」

「はいはい。じゃあ、姉さんも頑張って」

「もちろんよ」

 こうして、私たちはいつのもように楽しい時間を過ごしたのだった。

☆==☆==

 ボーン、ボーン、ボーン、ボーン。

 楽しい時間が過ぎるのは本当に早い。
 もう、帰る時間になってしまった。

「あ、もう帰る時間だわ」

「本当に、時間が過ぎるのが、早いわ……また、遊びに来てね。シャルロッテ!!」

 エカテリーナが私の手を握りながら言った。

「うん……あ!!」

 私は、ハンスに言われたことを、エカテリーナとゲオルグに伝えることにした。

「あのね。エカテリーナ、ゲオルグ。今度は、ホフマン伯爵家でお茶をしてはどうかって」

「ああ、それは楽しそうね」

 エカテリーナは嬉しそうに笑って受け入れてくれたので、ほっとしていると、ゲオルグが眉間にシワを寄せながら尋ねてきた。

「なぜ、ホフマン伯爵家でお茶を?」

 すると私の代わりにエカテリーナが答えてくれた。

「それは、シャルロッテが普段お世話になっているお屋敷だからでしょ?」

「まさか、もう奉公に出されているのか?! シャルロッテは、まだ幼いのに!!」

 奉公?!

 確かに、私たちのような下位貴族は奉公に出ることもあるが、大体は貴族学校を卒業してから奉公に出る。さすがに私たちの年齢で奉公に出ている令嬢はいない。
 だから、まさか奉公先と言われるとは思わなくて、私の方が驚いてしまった。

「違うわ。誤解よ、ゲオルグ!!」

 私が否定すると、エカテリーナが説明してくれた。

「ちょっと、ゲオルグ。何言っているのよ。ホフマン伯爵家は、シャルロッテの婚約者の家よ。奉公ではなく、勉強に通っているのよ」

「え……婚約? 誰が? 誰と?」

 急にゲオルグの顔から表情が抜け落ちて、呆然とエカテリーナを見ながら尋ねた。

「シャルロッテが、ホフマン伯爵子息とに決まってるでしょ?」

 エカテリーナがゲオルグの問いかけに答えると、ゲオルグが泣きそう顔でエカテリーナに向かって怒鳴りつけるように言った。

「それ、本当なのか? シャルロッテが婚約って!! 俺、聞いてない!! 嘘だろ?! 婚約だなんて!! 俺たちまだ7歳だぞ?! 早すぎるだろ!! どうせ、婚約者候補ってだけだろ?!」

 するとエカテリーナが驚いた顔をした。

「ちょっと、ゲオルグ何をそんなに怒っているの?? それにシャルロッテは、ホフマン伯爵子息の婚約者候補ではなく、正式な婚約者よ。失礼なことを言うのはやめなさい!!」

「嘘だ!! 俺は認めない!! こんな……の……」

 ゲオルグは、バタンと扉を大きく開けて、部屋から走り去って行った。

 私とエカテリーナは、しばらく呆然として、ゲオルグが開け放って行った扉を見つめたのだった。



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