残酷喜劇 短編集

ドルドレオン

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女王のよだれ

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「ねえ、あなたは、触ったことある?」
 Aはそう尋ねる。
「どこ?」
「女性のおしりとか、胸とか」
 武はどぎまぎした。彼らはまだ十二歳だ。
「勃起したことある?」
「分からない」
「女性を見て、興奮すること。触ってみる?」
 武はAの胸を触ろうとして、「やっぱり駄目ね。あなたは、まだ子供だもの。お遊びしない?」武は翻弄されっぱなしだった。
「わたしの椅子になるの。それで、わたしが心地いいな、って思ったら、あなたの勝ち。勝ったら、わたしの胸、触れるよ」
「そんな遊び?」「そう、それだけ」Aは着物を美しく揺らして、無邪気にそう言った。
 武はおもむろに、四つん這いになり、Aが座るのを待った。Aの重みが、感じられる。武は動悸を覚えた。
「うーん、今のところ、いい感じ。ソファーって感じ」
 そう言われて、武は必死に椅子になりきった。「ねえ、武。わたしの胸ってね、まだ誰も触ったことがないの。ごめんね、こんな変な遊びに付き合わせて」
 武は椅子になるので必死だった。あまり言葉を返せない。「本当にAちゃんの胸が触れるの?」武は心の中で、どきどきしている。
「あーあ、なんか疲れちゃった。椅子が少し動くって、ストレスね」「あーあ、なんか、汗が出てきちゃった。夏って暑いのね」Aは独りでそんなことを口にする。
 なんか愚痴を言われるたびに、武は力を込めて椅子になりきった。ちんちんのところに熱いものが感じられた。Aの尻の柔らかさは、感じたことのない触感だった。Aはぐりぐりと尻をたまに動かす。
「もういいよ、武、あなたの勝ち。わたしの胸を触る権利があるわ」
 武は息を乱して、必死にAの胸を揉みしだきながら、「今度いつこういうことする?」と聞いていた。「う、う、う、うん。気が向いたら、またやりましょう」
 武の口からはよだれが、出ていた。

 武とAの秘密の遊びは、武の性癖を歪ませたかもしれない。
「ねえ、武。わたしが他の人とこういうことしていたら、どう思う?」
 武は胸のあたりに違和感を感じ、ずきずきした。
「やめてほしい」
「普通、そうだよね。じゃあ、正直に言った武にご褒美。事実を教えてあげる。この前ね、亮君とそういうことしたの。それでね、わたしのファーストキスをあげたの」
 武は無言だった。武ははあはあ息をして、
「僕ともキスをしようよ」と言った。
「あなたとはしないわ、だってお遊びしかできない仲だもの」
「お願い」
「じゃあ、こうしましょう。わたしが水を口に含んであげる。それをあなたは飲むの。口を開けて?」
 そう言ってAはペットボトルの水を飲んで、含んだ水を、上から注いだ。
「どう? 美味しい? ちなみに、キスは出来ないから」
 武は、つばの混ざった水を、汚いものだと思わずに、味わっている自分がいて、恐怖を覚えた。Aの着物の下にある、柔肌をなめたい願望、そういったものが、ふつふつと湧いて出てくる。
「どうすればもっと凄い事できる?」
「うーん、わたしの気分次第かな。わたしのおっぱいの感触、まだ覚えている?」
「覚えてる」
「女性のあそこって、知ってる?」
 武は、あまり分からなかった。
「わたしの幼い体を思い出して、大人になってからも、幼女の体に興奮したら、捕まるよ?」
「うんうん、そういうところ、大事だよね。お願いします。どうやったら、Aちゃんともっと遊べる?」
「じゃあ、わたしが気に入らない、と思ったら、武の大事な部分を晒してくれる?」
「大事な部分って?」
「だから、ちんちん。それとも、もう裸になりたい?」
「恥ずかしいから、嫌だ」
「ほら、気に入らないこという。お出しなさい。ちんちんを。それとも、もうこういう遊びはしたくないのかしら?」
 武は困惑して、恥ずかしかったけど、ズボンを脱いだ。
「偉いね、ちゃんと罰を受け入れて。じゃあ、今日も、わたしのおっぱいを触らせてあげるね」
「ありがとう、本当にありがとう」
 
 武はこういう遊びを覚えながら、明らかに性愛に翻弄されて、年を取るにつれて、Aともっと遊びたいと思った。
 高校生になってから、武はまたAと再会した。そして、Aは、
「わたしはサディズムなんだな、ってつくづく思うわ」と言った。
「ねえ、昔みたいに、その」
「今、彼氏いるのよね。武ってさ、わたしでオナニーしてる? あれから」
「いや、してないよ」
「正直に喋ったら、いいことしてあげるよ」
「ごめん、してた」
「だよね、だから、従いたくなるんだよね、昔はご褒美におっぱい触らせてたけど、今はもう椅子だね」
「お願い、本当はセックスしたい。正直に言う」
「そういうとこなんだよね。きもい、って思うの」
 結局、武はその時間、椅子になった。
「なんだかぐらぐらするなあ。これはお仕置きかな?」
「お願いします、本当になんでもするからやりたい」
「ううん、だめ」
「どうしても」
「だめ」
 武は椅子を三十分耐えた。さっと立ちあがるAを見て、
「わたし、彼氏と毎日のようにいたしてるの。でも、秘密ね? 昔みたいに十分ぐらい、おっぱいもませてあげる」
 武は必死におっぱいを揉みしだいて、「好きだ」とか「愛してる」とAに愛情の言葉を捧げた。Aは無表情で、つまらなそうな顔をしていた。
「もう、十分だね、気持ちよかった?」
「とても、とても、好きなんだ」
「じゃあ、今日のおかずはわたしだね。じゃ」
 Aはそう言って、帰路についた。武はその場で、「本当に好きなんだ」と泣いていた。
 Aはその涙を見て、微笑み、泣きじゃくる武を見つめて、頭をよしよしとさすり、途轍もない優越感に浸り、にたぁ、と笑っていた。

END
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