残酷喜劇 短編集

ドルドレオン

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猫と人間の取引

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「わたしがあらゆる思惟的、矛盾さを内包しているなら、わたしの生きるという意思に何かしら、ある程度の、論理的欠陥はあるのだろう」
 あるサイコパスが人間の倫理性の欠陥を証明したくなった。
 サイコパスは、自分に倫理があるか、どうか、証明したくなった。
 それは、まず、人としての、人のある矛盾性が、あり、そして、神の不在、唯物論的行動、もしくは、人としての他者を人として見ない、ある優越性、および優生思想、そういったものを検証したくなった。
 彼は一匹の鼠をつかまえ、そして、猫にいたぶらせて、自分が猫なのか鼠だと思うのか、じーーーーーーと見つめ、猫である優位性、そして鼠である劣等性、もしくは生物的行動、そういったものがどういった作用をもたらすか、そうその作用、いわゆる責任的感覚、自責思考、他責思考、または心の消失、そして、人なのか、動物なのか、または物質なのか。
 ある廃墟の学校をサイコパスは買った。親は莫大な資産を持っていたため、買えた。
 そこに自分と、一万匹の鼠と、十匹の猫、そして、大量のカメラを設置して、十匹の猫と一万匹の鼠、どちらがある、優位的行動をとるか、見つめたいと思った。
 大量の鼠は、学校中を走り回った。猫は、腹が減ったら食べる、腹が減ったら、食べる、けれど、ある残虐性を始めた。百匹の鼠が怯えている、部屋の隅で、そして三匹の猫は怯えている様子をじっと見つめ始めた。
 サイコパスは、猫に、あることを仕入れていた。それは、人間の脳移植、そして、猫である形態、それがどういった行動をとるか。
 猫三匹は、ある言語を話し始めた。サイコパスはそれがどういった意味を持つか、ちゃんと記録している。
 鼠が怯えて出ようとすると、猫はばし、とたたく、そして、そのネズミが、視線を猫に向けると、猫は、窓の外をぼーっと見つめ始めた。鼠は、猫が何を考えているかも分からず、ただただ、怯えた。
 猫は繁殖を始めた。鼠は、色々なところに隠れながら、繁殖をはじめ、飯がないので、鼠どうしで共食いを始めた。
 ある勇敢な鼠は、猫に挑んだ。確かに鼠は猫を噛んだ。猫はじっとそのネズミを見つめ、叩いて叩いて、鼠を持ち上げ、鼠が怯える様子を観察しはじめた。
 鼠は、げた箱をひらいて、その中でひっそりと繁殖し、腹が減ったら、子供を食べたりした。鼠は、時折、猫がいないと思って、ひっそりとげた箱をあけると、そこに猫の顔があった。ただ、猫は何もしなかった。
 鼠たちは、繁殖を繰り返し繰り返し、猫たちを殺そうとした。
 ある鼠の軍勢が一匹の猫を殺した。そして、一斉に猫たちを殺そうと思い、部屋に侵入したら、猫が400匹いた。
 鼠たちは愕然とした。一匹一匹が怯えて、鳴き声を発して脅そうとした。するとたちまち、大勢の鼠が鳴き声を発した。鼠の軍勢は四百匹の猫と戦争をした。ところが、猫は残虐に嬲り殺して、鼠の死体をカーテンレースに一匹一匹吊るし上げた。
 生き残りの鼠たちは怯えた。猫が怖くてしょうがなかった。鼠は繁殖と共食いを繰り返した。それでいて、猫はたまに鼠の寝どころに来ると、丁寧に一匹一匹捕まえて、仲間のところに帰っていった。
 そこで、僕は思ったんだ。この壮大な実験で、どこまで鼠と猫が繁殖と戦争を続けるのか。完全に鼠たちは猫の奴隷になった。そして、猫たちは、僕に話しかけるのだ。
「わたしたちをこういったところに隔離して、人間であるお前はわたしたちに何を求めるのだ?」
「おお、猫が喋っている。ただ、実験をしたかったのだ」
「わたしたちは、おまえを殺そうとすれば殺せる」モニター越しに、猫たちは僕に交渉を持ち出した。
「ふーん、なるほど、猫は猫で、僕をどう思っているんだい?」
「わたしたちに一つの宗教ができた」
「それはなんなのだ?」
「奴隷と主人、という宗教だ」
「ふーん。そうか。じゃあ、猫たち、君たちは僕のなんだと思う?」
「奴隷だろう」
「ううん、違う。僕の愛情の結晶だ」
「じゃあ、聞くが、人間であるお前は鼠を何だと思っている?」
「彼らにも与えているものは与えている。なんだと思う?」
「なんだ?」
「それは、自害する、という行為さ」
「何?」
 すると、鼠たちは完全に死んでしまった。共食いをして、最後の一匹の鼠が、自害した。
「わたしたちはどうなる?」
「お前たちの宗教は主人と奴隷なのだろう?」
「わたしたち、同胞の間で主人と奴隷を演じろ、ということなのか?」
「じゃあ、君たちに選択を与える。自害、か、そう」
「やめろ、言うな」
「共食いだ」


END
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