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平民男子の夢
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朝食時の思わぬ叔父の在籍に感化され、
その日の僕の礼儀作法とダンスのレッスンは
いつになく上手くいき、スムーズに終えることができた。
幾らレッスンが上手く行ったと言っても、
礼儀作法の授業は実生活には応用されていない。
ただ単に朝一番から叔父に会えた嬉しさの勢いで
今日の分を終えたと言う感じだ。
レッスンが終わり、思うところあって
アーウィンを探し回った。
「マギー、アーウィンを見ませんでしたか?」
白の中庭に出た時に、
マギーが御者と話している姿が見えた。
「アーウィンでしたら、
殿下のお勉強の時間と合わせて
魔法のお勉強をしてらっしゃいましたよ?
移動してなければ城の礼拝所におられると思いますが?」
マギーの返答を聞いて、
僕は一目散に礼拝場へ向けて駆け出した。
「あ、殿下! ダンスのお時間は?!」
いつもより早めの終了にマギーが疑問に思ったのだろう。
いや、いつもより早い時間に終わった訳ではない。
ただ単に、終了時間ぴったりに終わったというわけだ。
いつもだったらダンスの先生にお小言を食らっている時間だ。
僕は後ろを振り返りながらマギーに、
「今日は絶好調ですべて終了!
ダンスの先生に聞いてもいいよ!」
そう叫ぶと、その後マギーが何かを言ってるのも聞かずに
急ぎ足で礼拝場までたどり着いた。
礼拝場のドアまでやってくると、
ドア越しに話し声が聞こえてきた。
「アーウィン!」
すぐに片方のその声がアーウィンだとわかると、
僕は呼吸もつかずにそのドアを開けた。
そこで父の神官であるラルフと立ち話をしていたのか、
アーウィンが目を丸々として僕の方を見た。
僕はハッとして立ち止まると一礼して、
「失礼いたしました。
ラルフがご一緒とは気付きませんでした。
お邪魔しましたでしょうか?!」
そういって僕は挨拶をした。
するとラルフはニコッとして、
「殿下~ 何かしこまっているのですか~
もしかしてアーウィンの前だからですか~?」
と揶揄った様にして話しかけてきた。
僕はチラッとアーウィンの方を上目使いで見ると、
アーウィンはギョッとしたようにして僕とラルフを見比べていた。
そんなアーウィンをよそに、
「ラルフ、アーウィンをお借りしてもよろしいですか?
もう魔法のお勉強は終わりましたか?!」
とラルフに尋ねた。
「魔法のお勉強は終わりましたが、
殿下はこれから剣のお稽古ですか?
アーレンハイム公がいらっしゃってるからね~
もしかして剣のお稽古にアーウィンを誘いに来られましたか?」
ラルフの問いに、
「はい、ぜひアーウィンも一緒に
剣のお稽古に来てくれたらと思いまして誘いに参りました!」
そう答えた。
その答えに一番狼狽えたのはアーウィンだが、
ラルフは割と積極的にアーウィンに訓練場に行くことを勧めた。
「ほら、ほらアーウィン、
ラルフもそう言ってることだし、
一緒に行こうよ!」
そう言って手を差し出すと、
アーウィンは少し固まっていた。
「ほらほら、折角お城に抱きかかえて頂いたんだから、
色んな人に面通しをして、
色々と経験をしておいで。
此処にいる騎士たちはおそらくいろんな形で
接していく事になると思うから、
今のうちから彼らの仕事を見学しておいで」
ラルフの後押しで僕は強引にアーウィンの手を取って
「じゃあ、行こう!」
とスタスタと歩き出した。
戸惑った様に僕の後をついてくるアーウィンに、
「ねえ、ねえ、アーウィン、
アーウィンって僕と同じくらいの歳だよね?!」
と友達のように話しかけた。
僕はうんと年上の知らない大人には人見知りをするけど、
同じくらいの歳の男の子は割と平気に接する事が出来る。
僕には未だ王太子としての自覚がない。
行儀作法もさして得意と言う程では無い。
どちらかと言うと、
身分差なんてわかっていない。
同じ年頃の子供と一緒に遊びたい気持ちが
未だ未だ勝っている。
5歳といえば、いくら王族でもこんなもんだろう。
「あのー殿下の言葉遣いが……」
アーウィンにとっては王族が
こんなに砕けて話をするとは思ってもいなかったようだ。
「良いんだよ!
僕と二人だけの時は友達みたいでいようよ!
僕、これまで一人も友達がいなかったから、
アーウィンが僕の御付きになってくれて嬉しいんだ!
これからも宜しくね!」
僕がそう言うと、アーウィンは少し遠慮がちに
「本当に良いの?
僕、平民の出だよ?」
と囁いた。
「僕そんなの気にしないよ!
父上の側近は皆僕が緊張しない様に、
気楽に接してくれるんだ。
アーウィンも敬語なんて使わなくて良いからね。
それに、王族や貴族、平民って言ったって、
僕には良く違いが分からないし……」
そういうと、彼はコクコクと頭を下げた。
「あ、でもマギーには内緒ね!
雷が落ちるから!」
そう言うと、アーウィンはクスクスと笑った。
「殿下は……」
と言いかけた所で、
「ダメだよ、二人で遊ぶ時は、
僕のことはジェイドって名前で呼んで」
そう言い直すと、彼は一歩引き下がって、
「だ、ダメだよ。
殿下の事名前で読んじゃうと、
僕死刑になっちゃうよ!」
と慌てて言い直した。
「大丈夫だよ。
そんな事で死刑になんてならないって、
ほら、練習して!
ジェイド!って言って。
ほら、僕の名前は?」
そう言うとアーウィンは照れた様にして、
「ジェイド……殿下?」
と言った。
「ダメだよ。
殿下は外して!
もう一度、僕の名前は?」
「ジェ……ジェイド?」
「うん、うん、アーウィン!
僕の名前はジェイドだよ!」
なんだか楽しくなって来た。
初めてできた同じ年頃の友達に僕ははしゃぎすぎた。
「ねえ、アーウィンって幾つなの?」
彼は少し考えたようにして、
恥ずかしそうに小さな声で、
「僕は今年で10歳だよ」
と答えた。
僕は彼が10歳と言うことにびっくりした。
だって背丈が僕と変わらない。
「えー10歳?!
僕と同じくらいかと……」
「へへへ 僕、ちょっと小さいよね」
僕は父が大きいので、
僕も5歳にしてはかなり大きめだ。
でもアーウィンは10歳にしては本当に小さい。
「イヤイヤ、男の子は後で伸びるってマギーが言ってたから……」
慌ててちょっと取り成してみたけど、
彼は少ししゅんとしてしまった。
「そうだ! 僕、前に聞いたんだけど、
男の子は一杯遊んで、一杯寝ると、
背も一杯伸びるんだってよ!
今日は剣の練習見学にしようと思ってたんだけど
アーウィンも一緒に剣を学ぼうよ!
いっぱい運動すると、
きっと背も高くなるよ!」
僕がアーウィンをそう言って誘うと、彼は遠慮気味に
「いや、運動して背が高くなるかは分からないけど、
騎士様達の訓練場でしょ?
さっきから思ってたんだけど、
関係の無い僕が行っても良いのかな?
かえって邪魔になるんでは…」
と心配そうに返したので、
「大丈夫だよ! 叔父上が指揮してるから今日は簡単に入れるよ!」
そう返すと、
「アーレンハイム公ですよね?
国1番の騎士だと言われる……」
とかえってきたので、僕はアーウィンの手を取って、
「そうなんだよ!
君も知ってたの?!
叔父上は強いんだよ!
それに優しくてカッコいいんだ!
僕、剣のお稽古は嫌いだけど、
叔父上が来ている時は張り切ってお稽古するんだ!
叔父上は剣を教えるのも上手いんだよ!」
興奮気味にそう言うと、
「君ってアーレンハイム公が本当に好きなんだね。
今朝の朝食の時のやりとりで分かったよ。
確かに公って優しそうだよね。
髪が太陽に光ってキラキラしてるし……
カッコいいよね。
剣を握った姿って凄いんだろうね~」
とアーウィンも彼の信者の様に言うので、
何だか嬉しくなった。
「うん、うん、早速行こう!
叔父上には後で行くように言ったから、
きっと僕の事を待ていてくれてるよ!」
そう言って僕はアーウィンの手を引いて
剣の練習場まで行った。
近くまで行くと、
剣を交える音がキンキンと聞こえて来た。
それに、
「えい!」
やら、
「ハイヤー」
とか、
「ハッ」
とか掛け声まで聞こえて来る。
僕はアーウィンの手を引いて訓練場の門へと来た。
「これは、これはジェイド殿下。
今日は剣のお稽古ですか?」
門番の騎士に声をかけられ立ち止まった。
「ご苦労様です。
アーレンハイム叔父上に稽古をつけてもらいに来ました!」
元気よくそう答えると、
「おや? そちらの少年は?」
と止められてしまった。
“ねえ、やっぱり僕が一緒だとまずいんじゃ無いの?”
アーウィンが心配気に囁いた。
“大丈夫だから、
ここは僕に任せて!”
そう返すと、スウっと息を吸い込んで、
「彼は新しく僕の御付きになったアーウィンです。
今朝、既に父上と叔父上にはお目通しが終わって居ます
叔父上からも剣の稽古のお誘いをお受け致しました。
お目通りお願い致します」
そう答えると、
「あーそう言うことでしたら、
どうぞお通りください」
と、すんなりと通してもらうことができた。
「ねえ、護衛の人、こんなすんなり僕の事通しちゃって大丈夫?!
もし僕が暗殺屋とかだったら、どうするの?!」
「大丈夫だよ! 此処は国一番の騎士達が勢揃いで要る所だからね!
どんな暗殺屋が来ったって大丈夫だよ!
それにアーウィンは全然大丈夫でしょ?
今朝ちゃんと解毒の魔法使ってるの見たし、
神官見習いになるような人が暗殺屋の分ないじゃない!」
そう言って僕たちは顔を見合わせて、
「それも一理あるね!」
と、クスッと微笑みあった。
「でしょう?
さあ、早速叔父上を探しにいこう!」
「うん! でも実際はね、
心臓が今でもバクバク言ってるよ!
見て、僕の手、汗でビッショリ…」
「ハハハ、アーウィンは心配しいだね!」
僕がそう言う傍ら、
アーウィンは見入るようにして
練習場の騎士達に釘付けになっていた。
「ねえ、ねえ、騎士さん達ってやっぱりかっこいいね!
男の子達が憧れるのが分かるよ!」
そう言ってアーウィンは少し興奮気味だ。
「騎士って町では男の子に人気があるの?」
僕の質問にアーウィンは目を丸々として、
「もちろんだよ!
お城に仕える騎士なんて大出世だよ!
それも王専属ってなればエリート中のエリートだよ!
冒険者になるのも人気が高いけど、
お城に仕える騎士は平民の出でも、
成果を上げると貴族の爵位が貰えるからね、
腕に覚えのある男子は皆が憧れる職業だよ!
でも実際には平民が騎士の選抜試験で受かるのはかなり難しいって言うからね…」
「平民がって……
どうして平民だと難しくなるの?」
「だってさ、平民って先ず
基本的に小さい時から親の手伝いをして育つから、
親が現役冒険者って言わない限りは、
剣を持った事がないっていう子が殆どだし、
ましてや習い事とか出来るお金がないから、
学も低いし……
出来て、折れた枝でチャンバラごっこがマシな方だよ」
「そうなんだ……
僕、平民の生活なんて全然知らなかった……」
“じゃあ、父上の護衛になったダリルは……
彼は平民だと言っていた…
親が冒険者なのだろうか……“
急にダリルが
”自分は平民だ“
と言った事が頭を過った。
その日の僕の礼儀作法とダンスのレッスンは
いつになく上手くいき、スムーズに終えることができた。
幾らレッスンが上手く行ったと言っても、
礼儀作法の授業は実生活には応用されていない。
ただ単に朝一番から叔父に会えた嬉しさの勢いで
今日の分を終えたと言う感じだ。
レッスンが終わり、思うところあって
アーウィンを探し回った。
「マギー、アーウィンを見ませんでしたか?」
白の中庭に出た時に、
マギーが御者と話している姿が見えた。
「アーウィンでしたら、
殿下のお勉強の時間と合わせて
魔法のお勉強をしてらっしゃいましたよ?
移動してなければ城の礼拝所におられると思いますが?」
マギーの返答を聞いて、
僕は一目散に礼拝場へ向けて駆け出した。
「あ、殿下! ダンスのお時間は?!」
いつもより早めの終了にマギーが疑問に思ったのだろう。
いや、いつもより早い時間に終わった訳ではない。
ただ単に、終了時間ぴったりに終わったというわけだ。
いつもだったらダンスの先生にお小言を食らっている時間だ。
僕は後ろを振り返りながらマギーに、
「今日は絶好調ですべて終了!
ダンスの先生に聞いてもいいよ!」
そう叫ぶと、その後マギーが何かを言ってるのも聞かずに
急ぎ足で礼拝場までたどり着いた。
礼拝場のドアまでやってくると、
ドア越しに話し声が聞こえてきた。
「アーウィン!」
すぐに片方のその声がアーウィンだとわかると、
僕は呼吸もつかずにそのドアを開けた。
そこで父の神官であるラルフと立ち話をしていたのか、
アーウィンが目を丸々として僕の方を見た。
僕はハッとして立ち止まると一礼して、
「失礼いたしました。
ラルフがご一緒とは気付きませんでした。
お邪魔しましたでしょうか?!」
そういって僕は挨拶をした。
するとラルフはニコッとして、
「殿下~ 何かしこまっているのですか~
もしかしてアーウィンの前だからですか~?」
と揶揄った様にして話しかけてきた。
僕はチラッとアーウィンの方を上目使いで見ると、
アーウィンはギョッとしたようにして僕とラルフを見比べていた。
そんなアーウィンをよそに、
「ラルフ、アーウィンをお借りしてもよろしいですか?
もう魔法のお勉強は終わりましたか?!」
とラルフに尋ねた。
「魔法のお勉強は終わりましたが、
殿下はこれから剣のお稽古ですか?
アーレンハイム公がいらっしゃってるからね~
もしかして剣のお稽古にアーウィンを誘いに来られましたか?」
ラルフの問いに、
「はい、ぜひアーウィンも一緒に
剣のお稽古に来てくれたらと思いまして誘いに参りました!」
そう答えた。
その答えに一番狼狽えたのはアーウィンだが、
ラルフは割と積極的にアーウィンに訓練場に行くことを勧めた。
「ほら、ほらアーウィン、
ラルフもそう言ってることだし、
一緒に行こうよ!」
そう言って手を差し出すと、
アーウィンは少し固まっていた。
「ほらほら、折角お城に抱きかかえて頂いたんだから、
色んな人に面通しをして、
色々と経験をしておいで。
此処にいる騎士たちはおそらくいろんな形で
接していく事になると思うから、
今のうちから彼らの仕事を見学しておいで」
ラルフの後押しで僕は強引にアーウィンの手を取って
「じゃあ、行こう!」
とスタスタと歩き出した。
戸惑った様に僕の後をついてくるアーウィンに、
「ねえ、ねえ、アーウィン、
アーウィンって僕と同じくらいの歳だよね?!」
と友達のように話しかけた。
僕はうんと年上の知らない大人には人見知りをするけど、
同じくらいの歳の男の子は割と平気に接する事が出来る。
僕には未だ王太子としての自覚がない。
行儀作法もさして得意と言う程では無い。
どちらかと言うと、
身分差なんてわかっていない。
同じ年頃の子供と一緒に遊びたい気持ちが
未だ未だ勝っている。
5歳といえば、いくら王族でもこんなもんだろう。
「あのー殿下の言葉遣いが……」
アーウィンにとっては王族が
こんなに砕けて話をするとは思ってもいなかったようだ。
「良いんだよ!
僕と二人だけの時は友達みたいでいようよ!
僕、これまで一人も友達がいなかったから、
アーウィンが僕の御付きになってくれて嬉しいんだ!
これからも宜しくね!」
僕がそう言うと、アーウィンは少し遠慮がちに
「本当に良いの?
僕、平民の出だよ?」
と囁いた。
「僕そんなの気にしないよ!
父上の側近は皆僕が緊張しない様に、
気楽に接してくれるんだ。
アーウィンも敬語なんて使わなくて良いからね。
それに、王族や貴族、平民って言ったって、
僕には良く違いが分からないし……」
そういうと、彼はコクコクと頭を下げた。
「あ、でもマギーには内緒ね!
雷が落ちるから!」
そう言うと、アーウィンはクスクスと笑った。
「殿下は……」
と言いかけた所で、
「ダメだよ、二人で遊ぶ時は、
僕のことはジェイドって名前で呼んで」
そう言い直すと、彼は一歩引き下がって、
「だ、ダメだよ。
殿下の事名前で読んじゃうと、
僕死刑になっちゃうよ!」
と慌てて言い直した。
「大丈夫だよ。
そんな事で死刑になんてならないって、
ほら、練習して!
ジェイド!って言って。
ほら、僕の名前は?」
そう言うとアーウィンは照れた様にして、
「ジェイド……殿下?」
と言った。
「ダメだよ。
殿下は外して!
もう一度、僕の名前は?」
「ジェ……ジェイド?」
「うん、うん、アーウィン!
僕の名前はジェイドだよ!」
なんだか楽しくなって来た。
初めてできた同じ年頃の友達に僕ははしゃぎすぎた。
「ねえ、アーウィンって幾つなの?」
彼は少し考えたようにして、
恥ずかしそうに小さな声で、
「僕は今年で10歳だよ」
と答えた。
僕は彼が10歳と言うことにびっくりした。
だって背丈が僕と変わらない。
「えー10歳?!
僕と同じくらいかと……」
「へへへ 僕、ちょっと小さいよね」
僕は父が大きいので、
僕も5歳にしてはかなり大きめだ。
でもアーウィンは10歳にしては本当に小さい。
「イヤイヤ、男の子は後で伸びるってマギーが言ってたから……」
慌ててちょっと取り成してみたけど、
彼は少ししゅんとしてしまった。
「そうだ! 僕、前に聞いたんだけど、
男の子は一杯遊んで、一杯寝ると、
背も一杯伸びるんだってよ!
今日は剣の練習見学にしようと思ってたんだけど
アーウィンも一緒に剣を学ぼうよ!
いっぱい運動すると、
きっと背も高くなるよ!」
僕がアーウィンをそう言って誘うと、彼は遠慮気味に
「いや、運動して背が高くなるかは分からないけど、
騎士様達の訓練場でしょ?
さっきから思ってたんだけど、
関係の無い僕が行っても良いのかな?
かえって邪魔になるんでは…」
と心配そうに返したので、
「大丈夫だよ! 叔父上が指揮してるから今日は簡単に入れるよ!」
そう返すと、
「アーレンハイム公ですよね?
国1番の騎士だと言われる……」
とかえってきたので、僕はアーウィンの手を取って、
「そうなんだよ!
君も知ってたの?!
叔父上は強いんだよ!
それに優しくてカッコいいんだ!
僕、剣のお稽古は嫌いだけど、
叔父上が来ている時は張り切ってお稽古するんだ!
叔父上は剣を教えるのも上手いんだよ!」
興奮気味にそう言うと、
「君ってアーレンハイム公が本当に好きなんだね。
今朝の朝食の時のやりとりで分かったよ。
確かに公って優しそうだよね。
髪が太陽に光ってキラキラしてるし……
カッコいいよね。
剣を握った姿って凄いんだろうね~」
とアーウィンも彼の信者の様に言うので、
何だか嬉しくなった。
「うん、うん、早速行こう!
叔父上には後で行くように言ったから、
きっと僕の事を待ていてくれてるよ!」
そう言って僕はアーウィンの手を引いて
剣の練習場まで行った。
近くまで行くと、
剣を交える音がキンキンと聞こえて来た。
それに、
「えい!」
やら、
「ハイヤー」
とか、
「ハッ」
とか掛け声まで聞こえて来る。
僕はアーウィンの手を引いて訓練場の門へと来た。
「これは、これはジェイド殿下。
今日は剣のお稽古ですか?」
門番の騎士に声をかけられ立ち止まった。
「ご苦労様です。
アーレンハイム叔父上に稽古をつけてもらいに来ました!」
元気よくそう答えると、
「おや? そちらの少年は?」
と止められてしまった。
“ねえ、やっぱり僕が一緒だとまずいんじゃ無いの?”
アーウィンが心配気に囁いた。
“大丈夫だから、
ここは僕に任せて!”
そう返すと、スウっと息を吸い込んで、
「彼は新しく僕の御付きになったアーウィンです。
今朝、既に父上と叔父上にはお目通しが終わって居ます
叔父上からも剣の稽古のお誘いをお受け致しました。
お目通りお願い致します」
そう答えると、
「あーそう言うことでしたら、
どうぞお通りください」
と、すんなりと通してもらうことができた。
「ねえ、護衛の人、こんなすんなり僕の事通しちゃって大丈夫?!
もし僕が暗殺屋とかだったら、どうするの?!」
「大丈夫だよ! 此処は国一番の騎士達が勢揃いで要る所だからね!
どんな暗殺屋が来ったって大丈夫だよ!
それにアーウィンは全然大丈夫でしょ?
今朝ちゃんと解毒の魔法使ってるの見たし、
神官見習いになるような人が暗殺屋の分ないじゃない!」
そう言って僕たちは顔を見合わせて、
「それも一理あるね!」
と、クスッと微笑みあった。
「でしょう?
さあ、早速叔父上を探しにいこう!」
「うん! でも実際はね、
心臓が今でもバクバク言ってるよ!
見て、僕の手、汗でビッショリ…」
「ハハハ、アーウィンは心配しいだね!」
僕がそう言う傍ら、
アーウィンは見入るようにして
練習場の騎士達に釘付けになっていた。
「ねえ、ねえ、騎士さん達ってやっぱりかっこいいね!
男の子達が憧れるのが分かるよ!」
そう言ってアーウィンは少し興奮気味だ。
「騎士って町では男の子に人気があるの?」
僕の質問にアーウィンは目を丸々として、
「もちろんだよ!
お城に仕える騎士なんて大出世だよ!
それも王専属ってなればエリート中のエリートだよ!
冒険者になるのも人気が高いけど、
お城に仕える騎士は平民の出でも、
成果を上げると貴族の爵位が貰えるからね、
腕に覚えのある男子は皆が憧れる職業だよ!
でも実際には平民が騎士の選抜試験で受かるのはかなり難しいって言うからね…」
「平民がって……
どうして平民だと難しくなるの?」
「だってさ、平民って先ず
基本的に小さい時から親の手伝いをして育つから、
親が現役冒険者って言わない限りは、
剣を持った事がないっていう子が殆どだし、
ましてや習い事とか出来るお金がないから、
学も低いし……
出来て、折れた枝でチャンバラごっこがマシな方だよ」
「そうなんだ……
僕、平民の生活なんて全然知らなかった……」
“じゃあ、父上の護衛になったダリルは……
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