龍の寵愛を受けし者達

樹木緑

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叔父との雑談

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この国の騎士団は国王軍と呼ばれ、
王直属の騎士を護衛騎士団と言う。

国王軍の頂点にいるのが叔父上で、
護衛騎士団の頂点に居るのがダリル。

ダリルは新しく父の騎士となったばかり。

でもダリルは怖くてあまり好きじゃない。

前にいたレオおじさんが僕は大好きだった。

 


「殿下、アーレンハイム公があそこにいらっしゃいますよ!」

アーウィンが僕の腕をとって向こうの人だかりを指さした。

叔父も父と同じように割と背が高い。

金色の一つ飛び出た頭は
見つけるのには苦労しなかった。

「叔父上!」

僕は走って叔父に駆け寄った。

アーウィンも急いで僕の後を追ってきた。

「おぉ殿下、急に飛びつけばびっくりするではありませんか。

もうお勉強やレッスンの時間は終わったのですか?」

皆僕を見れば口をそろえたようにして、

”勉強はどうだ?

レッスンは終わったのか?”

と即座に聞いてくる。

隣でアーウィンが

”クスッ”

と笑った。

僕は真っ赤になってアーウィンを肘でつついた。

「君はアーウィンだったよね?」

叔父がそう尋ねると、

「はい、今朝、陛下の朝食時にご紹介にあずかりました、
神官見習のアーウィン・ノールズでございます。
以後お見知りおきを」

そう言ってアーウィンが跪いた。

「楽にしても良いよ」

と言う叔父の声に一礼してアーウィンは立ち上がった。

「君の解毒の術は見せてもらったが、
無詠唱なんて実に素晴らしいね。

これからが楽しみだね。

君のような神官が増えていくと、
この国も安泰だね」

叔父の誉め言葉に

「恐縮にございます」

とアーウィンは深く一礼をた。

「そう言えば、今朝もラルフが言ってたけど、
無詠唱ってそんなにすごいの?」

「そうですね。殿下は余り魔法とは接点がありませんでしたよね。

我々王族にはない力ですからね」

叔父のそのセリフは僕をびっくりさせた。

「えっ?!

王族は魔法は使えないの?!」

僕は少し魔法というものに興味が出始めていたから。

「ウーム、絶対ということは無いだろうが、
これまで王族で魔法を使えたものを私は知りませんね~」

「そんなぁ~
僕、大きくなったら
魔法が使えるようになると思ってたのに~

アーウィンに魔法を習おうと思ってたのに
ダメになっちゃった……」

そういうと叔父は僕をジーっと見て、

「フフ、殿下のお年頃はなんでもやってみたい頃なんですよね。

まあ、悪いことではありませんし、
他のお勉強の邪魔にならなければ
やってみてもいいんじゃありませんか?」

そういった後小声でわざと僕に聞こえるように、

”まあ、十中八九無理だとは思いますが……”

と、いかにも

”お前には無理だよ”

というような顔をして叔父が
揶揄ったようにしてクスッと笑った。

そのやり取りにアーウィンまでもがクスッと笑ったので、

僕は真っ赤になってアーウィンを肘で突いた。

「殿下とアーウィンはもう仲良くなったみたいだね。

殿下には同じような歳の友達が今まで居なかったから
とてもうれしいんでしょうね」

叔父のそのセリフに僕はアーウィンの顔を見て、

「叔父上、僕は叔父上やお城のみんなも大好きですが、
アーウィンはもっと好きです!」

そういうと、叔父は嬉しそうに

「そうか、そうか、殿下にもよき友が出来たのですね。

実に頼もしいです」

と僕の頭をポンポンとしてくれた。

アーウィンも僕と同じ気持ちだと思ったので、

「そうだよね、アーウィン!
僕達、もうとても仲のいい友達だもんね」

そう言って同意を求めた。

でもアーウィンは公爵である叔父を前に
どう返したらいいのか分からず少し戸惑い気味だった。

「ハハハ、そんなに硬くならなくても良いぞ。

陛下は城に仕える者は皆家族だと思うような方だからな。

ここでは気遣いせず、ジェイドのいい友達になってくれ」

その言葉にアーウィンは又跪き、

「有難き幸せに存じます。

ジェイド殿下は私が身を挺してお守り致します」

とすごく緊張したようにして答えた。

僕はまだまだカチコチのアーウィンに肘で脇腹をついて、

「僕は守って貰いたんじゃ無いの!

一緒におしゃべりしたり、
一緒に遊んだり、
時には……ほら、イタズラしたり!」

そう小声で言ったのが叔父にも聞こえていたようで、

「殿下、イタズラも程々に。

殿下はいずれこの国の王となられるのですから
その事は忘れずに」

とお小言を言われてしまった。

「チェッ、僕は王になんてなりたく無いのに……

叔父上が次の王になれば良いのに!」

プイッとそっぽを向いてそう言うと、

「殿下は又そのような世迷言を申して。

殿下には見事な銀髪と緑の大地を思わせる
澄んだ翠の瞳があるではありませんか。

これも聖龍に祝福された証。

殿下にはもっとその事を自覚して頂きたいもですね」

僕は次の王の証と言われるこの銀の髪がすごく嫌いだった。

勉強もレッスンも大嫌いだった。


「それで、殿下は今日は剣のお稽古にいらしたんですよね?

そう言えば…殿下、皆から聞いてますよ?

私が来ない日は剣のお稽古も逃げてばかりいるそうですね」

そう言う叔父のセリフに、

「あ~ 僕は~」

そう言いながら、アーウィンの方をチラッと見た。

叔父も僕のそんな態度を見てクスッと笑うと、

「殿下は剣のお稽古も、
お作法のお勉強も、
歴史や読み書きのお勉強も、
ダンスのレッスンも私の前では大好きになるんですよね。

不思議なものですよね~」

そう言いながら、アーウィンの方をクルッと振り向くと、

「どうですか?

アーウィンも殿下と一緒に剣を習われてみては?

きっと殿下の良い刺激となるのでは?!

殿下にもここらで競争というものを学んでいただかないと……

ですよね?殿下?」

と不敵の笑みを浮かべてこっちを見た。

当のアーウィンは首をブンブンと振りながら、

「殿下~

私は神官見習いですよ!

剣のお稽古なんてとんでもありません!

いくら何でも畑違いです!

回復魔法なら私が倒れるまでいくらでも掛けさせて頂きます!

私はここで見学させて頂きますので、
殿下はどうぞご自由に!」

と早くも僕の裏切り者となった。



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