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デューデューの性教育
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”ダリルって……誰?!”
自分の口から発せられた名前なのに、
僕には全くその名前に心当たりがなかった。
父さんの姿を枝の間から盗み見しながら
ダリルについて考えてみた。
”もう名前は忘れてしまったけど、
ショウとスーの子供の名前?
いや違う……
彼らの名前は少し変わった風な名前だった……
確か龍の字がついた……
もしかして父さんの知り合いの一人だろうか?
以前父さんの会話に出てきたりした人物なのだろうか?
でも父さんは余り人の話をしない……
それに何故このタイミングでその名前が出たんだろう……?”
僕は水と戯れる父さんの姿をジーっと見ていた。
”う~ん…… ??? 父さんさっきから何してるんだろう?“
相変わらずゴソゴソする父さんを見ながら思った。
”それにしても父さんカッコいいよな。
龍の姿の時ってカッコいいのかどうなのか全然分からないけど、
人間になった父さんってなんでこんなに胸が高鳴るんだろう?
今までは何も思わなかったのに、
何故急に父さんの事をこんなに意識するようになったんだろう……”
最近芽生えた変な感情と闘いながら、
肌にまとわりつく父さんの黒く長い髪を目が捉えた瞬間、
僕は父さんと目が合った。
“ヤバ! 盗み見してたのバレたかな?!
でも父さん今日はなんか変だ……”
父さんは今朝起きた時の様なトロンとしたような眼をして僕を見つめたようにした。
その時の父さんの手の動きから目が離せなかった。
“本当に何をしてるのだろう…?”
父さんの手は何となく下半身をまさぐっているようで、
忙しそうに何かをさすっているようだった。
“近くまで行ってみよう”
一歩踏み出した時、父さんの手が自分の物を掴んでいる所が見えた。
”なっ……?!”
その瞬間頭の中がカーッと熱くなって、
下半身がズキンと痛んで僕は目を自分の下半身に向けた。
”ヒ~ッ!! こ……これはどういうこと?!”
僕の下半身は少し膨れあがり、全身の血がそこに集中したようだった。
”う…うそ!! どうして急に?! と……父さん!”
声にならない声で僕は下半身を抑え、父さんの方を涙目で見た。
そんな僕に気付いた父さんは、
一瞬やっていたことをピタリと止めると、
「おお翠! やっと来たか!
お前も入って来い!
水が冷たくて気持ちいいぞ!」
そう言って又同じ様に自分のものを掴み何かをし始めた。
僕は自分の下半身と、
何やらうごめく父さんを見比べながら、
葉をかき分け湖の前に来た。
まるでトイレを我慢してる様に下半身を抑えながら父さんを見ると、
父さんは頬を上気させたようにピンク色に染め、
その時はもう僕の事は目に入って無さそうだった。
僕は足をチョンと水につけると、
足先からス~ッと水の冷たさを感じた。
ゆっくりと歩いて先に進んでいくと、水は僕の膝の高さまでやって来た。
”冷たい……気持ちいい……”
そう思った僕はドンドン先に進み、
水は僕の腰のところまでやって来た。
水の冷たさに下半身がスーッと平常を取り戻して行くのが分かった。
”あっ……下半身の膨らみが消えた……
違和感も消えている……
一体あれは何だったんだ……”
今まで経験したこともない様な感覚に、
僕は首を傾げながら父さんの所まで行くと、
「父さん! 今僕ね……」
そう言って声を掛けようとした瞬間、
僕はモロに父さんがやっていることを見てしまった。
「と・と・と・父さん! 何してるの?!」
僕がそう叫ぶと父さんは何かを終えたようにピクピクとすると、
握りしめたものの先から何かが飛び出した。
あまりの驚きに僕は駆け寄って父さんの足元に跪いた。
「父さん! 大丈夫?! どこかケガしたの?!」
そう叫んで見上げた目の前には、
父さんのものが何かを滴らしながら、
痙攣した様にピクピクと小刻みに動いていた。
’”ヒ~ッ!! デカッ……”
僕の目の前に現れたそれは僕の物とは比較にならないほど大きくて、
ちょっと大袈裟かもしれないけど、
さっきの僕よりは5倍ほどは確実に膨張していた様だった。
”僕の腕の方が……細い……?”
僕は何気なく自分の腕に目線を落とした。
”ヤバイ……負けてるかも……”
そう呟き腕を折り曲げしていると、
父さんは僕の頭に手を置いた。
僕はそれを上目遣いで見上げると、
”ヒーッ!!! それはさっきまでそこを触っていた……手……?!”
汚いとは思わなかったけど、
どちかというと変な感覚気分で、
今まで何とも思わなかった僕に触れる父さんの手に、
なんだか気恥ずかしさを感じた。
父さんは緊張して固まった僕の頭をクシャッとすると、
「済まない翠、人間はこういう事は人前ではしないのだったな。
あれほどあいつらから聞いていたのにな」
そう言って僕に微笑んだ。
「アイツらってもしかして母さんや本当の父さん達のこと?」
僕は何だか気恥ずかしくてそっぽを向いてそう尋ねた。
父さんはそっぽを向く僕の襟元に手をかけると、
フッと微笑み、
「お前の母親は実に面白かった。
私は人について多くの事をお前の母に学んだのだ……
それにしても翠、なぜお前は今でも服を着たままなのだ?
せっかく体を洗いに来たのに、服が濡れてしまったではないか」
そう言うと、また僕の頭をクシャッとして、
「まあいいか、その服も汚れてしまっているし、
ここで洗ってしまおう。
ほら、石鹸だ」
そう言って洞窟の中にあった箱から取り出した
ブロック状のものを僕にポンと投げた。
「石鹸?」
僕が父さんの投げた石鹸と呼ばれるものを
受け取ろうとすると、ツルッと滑って水の中に落ちた。
「あっ……ツルツルする……
掴み損ねて水の中に落ちてしまった……」
水の中に腕を突っ込んでそこを探っていると、
「ハハハ、石鹸とはそう言うものだ。
滑るから気をつけてな」
父さんはそう言うと、自分の腕も湖に突っ込んで落ちた石鹸を拾った。
父さんは石鹸を僕の目の前に差し出すと、
両手でさすったようにして、
「これは汚れを落とすもので、こうやって使うんだ。
ほら、掌で軽く揉むと泡が出る。
それを優しく体や服になじませて汚れを落とす様に洗うんだ」
そう言うと僕の掌にそれを丁寧に置いた。
父さんは自分の掌にモコモコと盛り上がった泡を見せると、
「ほら、こんな風に洗うんだ」
そう言って自分の体に擦り付けてなぞり出した。
父さんは僕を見下ろすと、
「翠、お前はまず自分の服を脱がないとな」
そう言って僕の襟に手をかけた。
「と……父さん! ちょっと待って!!」
僕は父さんの腕を掴むと、
「じ……自分で出来るから!!」
そう言って父さんの手を押しやった。
自分で脱ぐとは言ったものの、
何故か恥ずかしくて父さんの前で脱ぐことが出来なく、
僕はモジモジとしていた。
「どうしたんだ? 家ではいつも裸で体を拭いていただろう?」
父さんにそう言われたけど、
「いや……、あの……」
そう言い淀んでいると、
父さんはフッと微笑んで、
「そうか、お前も、もうそんな年になったんだな」
そう言って僕の頬を撫でた。
僕を撫でる父さんの手が気恥ずかしくて、
僕は俯いた。
「お前が恥ずかしければ服を着たままでかまわないから
早く洗ってしまいなさい」
父さんが優しくそいう言ってくれたので、
僕は掌にある石鹸を暫く眺めた後、
父さんが教えてくれたように両手で揉み始めた。
すると石鹸の泡が弾けるたびにいい香りが鼻を付いた。
「ワァ~ これ、凄く良い匂いがする!」
僕が泡立ってきた手を鼻にあてると、
「それはお前の母親が作ったものだ」
そう言って父さんが教えてくれた。
”え? 母さんが?”
僕は掌の中で泡立った石鹸を見つめると、
そっと体にその泡を付けた。
すると、魔法の失敗で汚れてしまった肌が、
スーッと綺麗になり始めた。
「凄い! 母さん、こんな物作れたんだ!
母さん、凄かったんだね」
そう言いながらゴシゴシと体を洗っていくと、
「洞窟の箱の中にはまだ沢山ある。
帰るときに石鹸もいくつか持って帰ろう」
そう父さんが言った。
僕がコクコクと頷くと、
「翠、実を言うと、お前にはまだ教えていなかったが……」
そう言って父さんが話し始めた。
まだ教えていなかったと聞いて、
何か悪い事だろうかとドキッとした。
「何? 大切な事?」
少しドキドキとしながらそう尋ねると、
「そうだな。
大切な事だが、私には人間の方は良く分からないから、
龍の性質について話をしよう」
そう言ったので、
「え? 龍の性質?
人と同じ様な事なの?
龍と人とで同じ様な事ってなんだろう?!」
頭を捻りながら尋ねると、
「そうだな、確かに原理は同じだ。
人間も同じような性質を持っているが、
ただ、私達龍とは少し勝手が違う。
龍の性質を基本に話すとお前には分かりにくいかもしれないが、
知らないよりは知っていた方が良いだろう」
そう言われ
「分かった。 じゃあ、教えてください」
と返事をすると、
父さんは話を纏めるみたいに何やら考え事をすると、
「私達龍には繁殖期と言うものがあってな、
その時期が来るとオスもメスも発情するのだ」
そう言われ、
「繁殖期? 発情?」
と頭を傾げた。
「繁殖期とは私達龍が子を儲けることの出来る期間の事だ。
龍の繁殖期は大体一年に一度、
日が長くなって暖かくなり、食べ物が豊富になってくるとやって来る。
この時期にだけ私達龍は子を儲けることができる」
「何故その時期だけなの?」
「その時期でないと卵を産み子を育てる条件が合わないのだ」
「え? 龍って卵から生まれるの?!」
僕がビックリして尋ねると、
父さんは頷いた。
「じゃあ、父さんも卵…から?」
そう尋ねると、彼は頷いた。
「そうか……そうだったんだ……」
何だか少しショックだった。
父さんは本当の父親ではないと知っていた筈なのに、
今初めて知った様な気持ちになった。
少し呆けた僕に、
「翠、此処までは理解できたか?」
父さんがそう尋ねたので、頷いた。
父さんは話を続けた。
「私達龍に繁殖期がやって来ると、
オスはメスを求め、メスはオスを求める。
この時私達龍は生涯の番を見つけるんだ」
そう父さんに言われ、心臓がドクンと跳ねた。
“番? じゃあ父さん……も?”
チリチリと痛み始めた胸に手を置くと、
「私達龍は番が見つかると、繁殖期の間中お互い交じり合い子をなす行為をするんだ。
子をなす行為については後に説明するが、
この、子をなす行為をする時に出て来る症状を発情と言うのだ。
これは自分ではコントロール出来ないし、
行為の最中は頭の中が溶けた様に麻痺して他の事は一切受け付けなくなる。
中毒の様な症状だな」
と、父さんが続けた。
「父さんがそれを今話してくれたって事は……
じゃあ、繁殖期って……今って事?」
僕は恐る恐る尋ねた。
父さんはフッと笑うと、
「そうらしいな」
そう言って肩を窄めた。
「え? そうらしいって……
自分で分からないの?
発情すると大変なんじゃないの?!」
心配になって尋ねると、
「私に発情期が来たのは初めての事なのだ」
と、父さんは100歳を過ぎて初めて発情の様な症状が出た様だ。
「それじゃ、父さんには女性が必要なの?」
自分で言って心がツキンと来た。
「いや、私は人の姿が取れるから、
さっきのように発散することが出来る。
だが、龍達は人の姿になれないからそうもいかない……
番を持たない者は、
出来て大きな木の幹に尻をこすり合わせるくらいだな」
父さんの少し間抜けな答えが僕には可笑しくて、
”プッ”
と少し笑った後、やっと事の展開を理解して、
「じゃあ、父さんがやっていたのって……」
そう尋ねると、父さんは頷いた。
「人は……情緒というものがあるらしいから、
こう言う事は人前ではやらないらしいが……
龍はやっても、人はやらないという事を
お前の母親らから昔教わったんだが、
私にはそこがまだ上手く判断できない。
だからこれも恐らく人はやらないと思うが、
私は翠に教えねばならない。
だが、私にはこの方法しか分からないのだ」
そう言うと、スッと立ち上がって、
「翠、見ていなさい」
そう言って自分の物を僕の前にさらけ出した。
「ヒ~」
そう言って顔を両手で隠すと、
「翠、恥ずかしがらなくても良い。
私は全然恥ずかしくない。
裸でも人前を歩けるほどだ。
だが人に合わせて服を着ている」
そう言って、
「ほら、これを見てごらん。
男性にはこういうものがある。
翠にもあるだろう?」
そう言って自分の物を触り始めた。
“いや、いや、同じ物って全然違うだろ!”
少し引いた様にしていると、
父さんが
“ん?”
とした様な顔をするので、
僕はコクコクと頷いた。
「ほら、これが」
そう言って後ろの物を指さすと、
「ここで子が出来る種が出来るんだ」
そう言ってそこの物を揉み始めた。
「ほら、此処も触ると気持ちが良い。
人間は良いな」
父さんが変な事を言い出したので僕が目を泳がすと、
「これは女性には無い!」
そう言って僕を見た。
“いやいや、そんなの知らないから!”
頭をブルブルとしていると、
「女性のここはツルンとしていて、
私たちの様な棒も玉もない」
と言う物だから少し想像してみたけど、
全然姿が思い浮かばなかった。
「だがな、翠、女性には子を育てるための部屋が腹の中にあって、
此処の奥にはその腹に続く為の道があるのだ。
その入り口が女性のここにはある」
そう言うと、父さんの息がどんどん上がりはじめた。
「翠、想像できるか?
そこはこれを受け入れる為の場所なのだ。
そう言うふうに女性の体はできている」
そう言って父さんの手に持った物が膨れ始めピクピクとし出した。
「見えるか?
これが発情するという事だ。
発情すると息が上がりここが膨れ上がる。
こうすると、女性の腹へ続く道に入りやすくなるのだ。
此処まで来ると、もう止めるのは難しい….」
父さんはそう言うと黙り込んで自分が行っていることに集中し始めた。
それを見ていた僕も父さんのそんな姿を見て、
ドキドキとしてきた。
恥ずかしくて目をそらしたいのに、
父さんの物に触りたい衝動にかられた。
”あれを僕の中に入れてみたい……”
そう思った後、
”いや、いや、無い、無い。
僕は何を考えてるんだ!
入れてみたいって……一体どこに?!
僕は女性じゃないのに!
それに相手は父さんだぞ!
元を正せば、父さんは龍なんだぞ”
そう思うと、頭をブルブルっと震わせた。
父さんは僕をチラッと見ると、
「翠、ここが膨れ上がったらこうするんだ」
そう言って父さんは速いスピードでそれをこすり始めた。
僕はその行為に目が釘付けになった。
途端、何かがチラッと頭の隅を過った。
”あれ? 僕はこの行為を前に見たことがある……
いや、待て、それは無いだろう?
今が初めてのはずだ……
でも今頭に浮かんだのは……”
そう言って父さんを見ていると、
父さんは少しピクッとしたようにして、
その先から又何かを飛ばした。
父さんはそれを掌で受け取ると、
「ほら、これがその子種が含まれたものだ。
男はこれを擦ると気が高ぶって頂点に達した時に、
この後ろにある、この袋からこの液体を放出するのだ。
これを女性の腹へ続く道でやると、
手で擦るのと同じような感覚がえられ、
頂点に達すると種を子が出来る腹へと放出できるというわけだ。
どうだ、触ってみるか?」
父さんに聞かれ、僕はブンブンと頭を振った。
父さんはハハハと笑って、
「龍の姿だと何かにあてて擦るか、メスを追いかけるしかないが、
人の姿だと簡単に発散できて良いな。
それに人は龍と違って繁殖期がない。
だから発情も龍のそれとは違う。
でも翠、お前ももうそんな年頃だ。
直ぐに経験するさ」
そう言われ、僕は真剣な顔をしてブルブルと首を振った。
父さんは水に潜りス~ッと水面に出てくると、
「本来龍は冷気を嫌うのだが、人の姿になれる私にはこの冷たい水が心地良い。
どれ、私はもう一度流れ落ちる水で体を洗ってこよう」
そう言うと、流れ落ちる水の下へ行き上を向くと、
その水を顔に当て始めた。
父さんの長い黒髪をしたたって流れていく水を見た時、
又頭がズキンと痛んだ。
”まただ……
僕は此処で誰かがああして水を浴びていた姿を見ている……
それはきっと父さんではない。
でもそれはいつの事だ?! 誰の事だ?!
間違いなくそれも黒い髪をした者だった。
黒髪……“
僕は父さんの横に並んで落ちる水に身を任せると、
「ねえ父さん、ダリルって知ってる?」
そう尋ねると、
彼はギョッとしたようにして僕を見た。
そして僕の肩を掴むと、
「何か思い出したのか?」
真剣な顔をしてそう尋ねた。
僕が訝し気な顔をすると、
「思い出したって何を?」
そう言って父さんの顔を見つめた。
父さんは僕を抱き寄せると、
「いや、思い出してないんだったらいいよ。
お前もいつか思い出すだろう…」
そう意味不明な事を言ってその腕に力を入れて僕を抱きしめた。
最近僕の頭の中は変だ。
変な夢を見るし、
見たこともない、経験したこともない様なことが頭の中を過ぎる。
流れ落ちる水の向こうに誰かの影を見ていると、
「さあ、そろそろ行こう。
体も大分冷えて来た」
父さんはそう言うと、
僕に手を差し伸べた。
僕は父さんの長い黒髪を見つめると、その手を取った。
洞窟へ戻ると、
父さんは着替えとして、箱の中にあった服を持って来てくれた。
その服はビックリするほど僕にぴったりで、
生地も柔らかくてとても着心地が良かった。
父さんは着替えた僕を見ると、
「髪は洗っても洗っても色が落ちなかったな。
だがお前がそうした金色の髪の色をしていると、
お前の母親にそっくりだな」
そう言って僕の髪を撫でた。
父さんは僕の髪を撫でた後
洞窟の奥の方に行くと、
箱をごぞごそ外探り始め、
色々と箱に詰めると、
「翠、この箱をしっかりと持つんだ」
そう言って、いろんなものを入れた箱を僕に渡した。
その後父さんは龍の姿になると、
頭を低くして僕が背に乗りやすい様にしてくれた。
僕が父さんの背に乗ると、
彼は直ぐにその場を飛び去った。
恐らくもう此処へ戻って来る事はないだろう。
僕は愛する者との別れを惜しむ様に、
その場所が見えなくなるまで後ろを向いていた。
気付くと、何故か頬には涙が伝っていた。
僕はひっそりと、
”父さん、母さん、さようなら。
此処で会えてよかったよ。
僕は強く生きて行くからね”
そう呟くと、もうすでに見えなくなった陸を後にした。
そしてその夜、僕はいつもとは違う愛しくて優しい、
懐かしいのに誰なのか分からない不思議な夢を見た。
自分の口から発せられた名前なのに、
僕には全くその名前に心当たりがなかった。
父さんの姿を枝の間から盗み見しながら
ダリルについて考えてみた。
”もう名前は忘れてしまったけど、
ショウとスーの子供の名前?
いや違う……
彼らの名前は少し変わった風な名前だった……
確か龍の字がついた……
もしかして父さんの知り合いの一人だろうか?
以前父さんの会話に出てきたりした人物なのだろうか?
でも父さんは余り人の話をしない……
それに何故このタイミングでその名前が出たんだろう……?”
僕は水と戯れる父さんの姿をジーっと見ていた。
”う~ん…… ??? 父さんさっきから何してるんだろう?“
相変わらずゴソゴソする父さんを見ながら思った。
”それにしても父さんカッコいいよな。
龍の姿の時ってカッコいいのかどうなのか全然分からないけど、
人間になった父さんってなんでこんなに胸が高鳴るんだろう?
今までは何も思わなかったのに、
何故急に父さんの事をこんなに意識するようになったんだろう……”
最近芽生えた変な感情と闘いながら、
肌にまとわりつく父さんの黒く長い髪を目が捉えた瞬間、
僕は父さんと目が合った。
“ヤバ! 盗み見してたのバレたかな?!
でも父さん今日はなんか変だ……”
父さんは今朝起きた時の様なトロンとしたような眼をして僕を見つめたようにした。
その時の父さんの手の動きから目が離せなかった。
“本当に何をしてるのだろう…?”
父さんの手は何となく下半身をまさぐっているようで、
忙しそうに何かをさすっているようだった。
“近くまで行ってみよう”
一歩踏み出した時、父さんの手が自分の物を掴んでいる所が見えた。
”なっ……?!”
その瞬間頭の中がカーッと熱くなって、
下半身がズキンと痛んで僕は目を自分の下半身に向けた。
”ヒ~ッ!! こ……これはどういうこと?!”
僕の下半身は少し膨れあがり、全身の血がそこに集中したようだった。
”う…うそ!! どうして急に?! と……父さん!”
声にならない声で僕は下半身を抑え、父さんの方を涙目で見た。
そんな僕に気付いた父さんは、
一瞬やっていたことをピタリと止めると、
「おお翠! やっと来たか!
お前も入って来い!
水が冷たくて気持ちいいぞ!」
そう言って又同じ様に自分のものを掴み何かをし始めた。
僕は自分の下半身と、
何やらうごめく父さんを見比べながら、
葉をかき分け湖の前に来た。
まるでトイレを我慢してる様に下半身を抑えながら父さんを見ると、
父さんは頬を上気させたようにピンク色に染め、
その時はもう僕の事は目に入って無さそうだった。
僕は足をチョンと水につけると、
足先からス~ッと水の冷たさを感じた。
ゆっくりと歩いて先に進んでいくと、水は僕の膝の高さまでやって来た。
”冷たい……気持ちいい……”
そう思った僕はドンドン先に進み、
水は僕の腰のところまでやって来た。
水の冷たさに下半身がスーッと平常を取り戻して行くのが分かった。
”あっ……下半身の膨らみが消えた……
違和感も消えている……
一体あれは何だったんだ……”
今まで経験したこともない様な感覚に、
僕は首を傾げながら父さんの所まで行くと、
「父さん! 今僕ね……」
そう言って声を掛けようとした瞬間、
僕はモロに父さんがやっていることを見てしまった。
「と・と・と・父さん! 何してるの?!」
僕がそう叫ぶと父さんは何かを終えたようにピクピクとすると、
握りしめたものの先から何かが飛び出した。
あまりの驚きに僕は駆け寄って父さんの足元に跪いた。
「父さん! 大丈夫?! どこかケガしたの?!」
そう叫んで見上げた目の前には、
父さんのものが何かを滴らしながら、
痙攣した様にピクピクと小刻みに動いていた。
’”ヒ~ッ!! デカッ……”
僕の目の前に現れたそれは僕の物とは比較にならないほど大きくて、
ちょっと大袈裟かもしれないけど、
さっきの僕よりは5倍ほどは確実に膨張していた様だった。
”僕の腕の方が……細い……?”
僕は何気なく自分の腕に目線を落とした。
”ヤバイ……負けてるかも……”
そう呟き腕を折り曲げしていると、
父さんは僕の頭に手を置いた。
僕はそれを上目遣いで見上げると、
”ヒーッ!!! それはさっきまでそこを触っていた……手……?!”
汚いとは思わなかったけど、
どちかというと変な感覚気分で、
今まで何とも思わなかった僕に触れる父さんの手に、
なんだか気恥ずかしさを感じた。
父さんは緊張して固まった僕の頭をクシャッとすると、
「済まない翠、人間はこういう事は人前ではしないのだったな。
あれほどあいつらから聞いていたのにな」
そう言って僕に微笑んだ。
「アイツらってもしかして母さんや本当の父さん達のこと?」
僕は何だか気恥ずかしくてそっぽを向いてそう尋ねた。
父さんはそっぽを向く僕の襟元に手をかけると、
フッと微笑み、
「お前の母親は実に面白かった。
私は人について多くの事をお前の母に学んだのだ……
それにしても翠、なぜお前は今でも服を着たままなのだ?
せっかく体を洗いに来たのに、服が濡れてしまったではないか」
そう言うと、また僕の頭をクシャッとして、
「まあいいか、その服も汚れてしまっているし、
ここで洗ってしまおう。
ほら、石鹸だ」
そう言って洞窟の中にあった箱から取り出した
ブロック状のものを僕にポンと投げた。
「石鹸?」
僕が父さんの投げた石鹸と呼ばれるものを
受け取ろうとすると、ツルッと滑って水の中に落ちた。
「あっ……ツルツルする……
掴み損ねて水の中に落ちてしまった……」
水の中に腕を突っ込んでそこを探っていると、
「ハハハ、石鹸とはそう言うものだ。
滑るから気をつけてな」
父さんはそう言うと、自分の腕も湖に突っ込んで落ちた石鹸を拾った。
父さんは石鹸を僕の目の前に差し出すと、
両手でさすったようにして、
「これは汚れを落とすもので、こうやって使うんだ。
ほら、掌で軽く揉むと泡が出る。
それを優しく体や服になじませて汚れを落とす様に洗うんだ」
そう言うと僕の掌にそれを丁寧に置いた。
父さんは自分の掌にモコモコと盛り上がった泡を見せると、
「ほら、こんな風に洗うんだ」
そう言って自分の体に擦り付けてなぞり出した。
父さんは僕を見下ろすと、
「翠、お前はまず自分の服を脱がないとな」
そう言って僕の襟に手をかけた。
「と……父さん! ちょっと待って!!」
僕は父さんの腕を掴むと、
「じ……自分で出来るから!!」
そう言って父さんの手を押しやった。
自分で脱ぐとは言ったものの、
何故か恥ずかしくて父さんの前で脱ぐことが出来なく、
僕はモジモジとしていた。
「どうしたんだ? 家ではいつも裸で体を拭いていただろう?」
父さんにそう言われたけど、
「いや……、あの……」
そう言い淀んでいると、
父さんはフッと微笑んで、
「そうか、お前も、もうそんな年になったんだな」
そう言って僕の頬を撫でた。
僕を撫でる父さんの手が気恥ずかしくて、
僕は俯いた。
「お前が恥ずかしければ服を着たままでかまわないから
早く洗ってしまいなさい」
父さんが優しくそいう言ってくれたので、
僕は掌にある石鹸を暫く眺めた後、
父さんが教えてくれたように両手で揉み始めた。
すると石鹸の泡が弾けるたびにいい香りが鼻を付いた。
「ワァ~ これ、凄く良い匂いがする!」
僕が泡立ってきた手を鼻にあてると、
「それはお前の母親が作ったものだ」
そう言って父さんが教えてくれた。
”え? 母さんが?”
僕は掌の中で泡立った石鹸を見つめると、
そっと体にその泡を付けた。
すると、魔法の失敗で汚れてしまった肌が、
スーッと綺麗になり始めた。
「凄い! 母さん、こんな物作れたんだ!
母さん、凄かったんだね」
そう言いながらゴシゴシと体を洗っていくと、
「洞窟の箱の中にはまだ沢山ある。
帰るときに石鹸もいくつか持って帰ろう」
そう父さんが言った。
僕がコクコクと頷くと、
「翠、実を言うと、お前にはまだ教えていなかったが……」
そう言って父さんが話し始めた。
まだ教えていなかったと聞いて、
何か悪い事だろうかとドキッとした。
「何? 大切な事?」
少しドキドキとしながらそう尋ねると、
「そうだな。
大切な事だが、私には人間の方は良く分からないから、
龍の性質について話をしよう」
そう言ったので、
「え? 龍の性質?
人と同じ様な事なの?
龍と人とで同じ様な事ってなんだろう?!」
頭を捻りながら尋ねると、
「そうだな、確かに原理は同じだ。
人間も同じような性質を持っているが、
ただ、私達龍とは少し勝手が違う。
龍の性質を基本に話すとお前には分かりにくいかもしれないが、
知らないよりは知っていた方が良いだろう」
そう言われ
「分かった。 じゃあ、教えてください」
と返事をすると、
父さんは話を纏めるみたいに何やら考え事をすると、
「私達龍には繁殖期と言うものがあってな、
その時期が来るとオスもメスも発情するのだ」
そう言われ、
「繁殖期? 発情?」
と頭を傾げた。
「繁殖期とは私達龍が子を儲けることの出来る期間の事だ。
龍の繁殖期は大体一年に一度、
日が長くなって暖かくなり、食べ物が豊富になってくるとやって来る。
この時期にだけ私達龍は子を儲けることができる」
「何故その時期だけなの?」
「その時期でないと卵を産み子を育てる条件が合わないのだ」
「え? 龍って卵から生まれるの?!」
僕がビックリして尋ねると、
父さんは頷いた。
「じゃあ、父さんも卵…から?」
そう尋ねると、彼は頷いた。
「そうか……そうだったんだ……」
何だか少しショックだった。
父さんは本当の父親ではないと知っていた筈なのに、
今初めて知った様な気持ちになった。
少し呆けた僕に、
「翠、此処までは理解できたか?」
父さんがそう尋ねたので、頷いた。
父さんは話を続けた。
「私達龍に繁殖期がやって来ると、
オスはメスを求め、メスはオスを求める。
この時私達龍は生涯の番を見つけるんだ」
そう父さんに言われ、心臓がドクンと跳ねた。
“番? じゃあ父さん……も?”
チリチリと痛み始めた胸に手を置くと、
「私達龍は番が見つかると、繁殖期の間中お互い交じり合い子をなす行為をするんだ。
子をなす行為については後に説明するが、
この、子をなす行為をする時に出て来る症状を発情と言うのだ。
これは自分ではコントロール出来ないし、
行為の最中は頭の中が溶けた様に麻痺して他の事は一切受け付けなくなる。
中毒の様な症状だな」
と、父さんが続けた。
「父さんがそれを今話してくれたって事は……
じゃあ、繁殖期って……今って事?」
僕は恐る恐る尋ねた。
父さんはフッと笑うと、
「そうらしいな」
そう言って肩を窄めた。
「え? そうらしいって……
自分で分からないの?
発情すると大変なんじゃないの?!」
心配になって尋ねると、
「私に発情期が来たのは初めての事なのだ」
と、父さんは100歳を過ぎて初めて発情の様な症状が出た様だ。
「それじゃ、父さんには女性が必要なの?」
自分で言って心がツキンと来た。
「いや、私は人の姿が取れるから、
さっきのように発散することが出来る。
だが、龍達は人の姿になれないからそうもいかない……
番を持たない者は、
出来て大きな木の幹に尻をこすり合わせるくらいだな」
父さんの少し間抜けな答えが僕には可笑しくて、
”プッ”
と少し笑った後、やっと事の展開を理解して、
「じゃあ、父さんがやっていたのって……」
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私にはそこがまだ上手く判断できない。
だからこれも恐らく人はやらないと思うが、
私は翠に教えねばならない。
だが、私にはこの方法しか分からないのだ」
そう言うと、スッと立ち上がって、
「翠、見ていなさい」
そう言って自分の物を僕の前にさらけ出した。
「ヒ~」
そう言って顔を両手で隠すと、
「翠、恥ずかしがらなくても良い。
私は全然恥ずかしくない。
裸でも人前を歩けるほどだ。
だが人に合わせて服を着ている」
そう言って、
「ほら、これを見てごらん。
男性にはこういうものがある。
翠にもあるだろう?」
そう言って自分の物を触り始めた。
“いや、いや、同じ物って全然違うだろ!”
少し引いた様にしていると、
父さんが
“ん?”
とした様な顔をするので、
僕はコクコクと頷いた。
「ほら、これが」
そう言って後ろの物を指さすと、
「ここで子が出来る種が出来るんだ」
そう言ってそこの物を揉み始めた。
「ほら、此処も触ると気持ちが良い。
人間は良いな」
父さんが変な事を言い出したので僕が目を泳がすと、
「これは女性には無い!」
そう言って僕を見た。
“いやいや、そんなの知らないから!”
頭をブルブルとしていると、
「女性のここはツルンとしていて、
私たちの様な棒も玉もない」
と言う物だから少し想像してみたけど、
全然姿が思い浮かばなかった。
「だがな、翠、女性には子を育てるための部屋が腹の中にあって、
此処の奥にはその腹に続く為の道があるのだ。
その入り口が女性のここにはある」
そう言うと、父さんの息がどんどん上がりはじめた。
「翠、想像できるか?
そこはこれを受け入れる為の場所なのだ。
そう言うふうに女性の体はできている」
そう言って父さんの手に持った物が膨れ始めピクピクとし出した。
「見えるか?
これが発情するという事だ。
発情すると息が上がりここが膨れ上がる。
こうすると、女性の腹へ続く道に入りやすくなるのだ。
此処まで来ると、もう止めるのは難しい….」
父さんはそう言うと黙り込んで自分が行っていることに集中し始めた。
それを見ていた僕も父さんのそんな姿を見て、
ドキドキとしてきた。
恥ずかしくて目をそらしたいのに、
父さんの物に触りたい衝動にかられた。
”あれを僕の中に入れてみたい……”
そう思った後、
”いや、いや、無い、無い。
僕は何を考えてるんだ!
入れてみたいって……一体どこに?!
僕は女性じゃないのに!
それに相手は父さんだぞ!
元を正せば、父さんは龍なんだぞ”
そう思うと、頭をブルブルっと震わせた。
父さんは僕をチラッと見ると、
「翠、ここが膨れ上がったらこうするんだ」
そう言って父さんは速いスピードでそれをこすり始めた。
僕はその行為に目が釘付けになった。
途端、何かがチラッと頭の隅を過った。
”あれ? 僕はこの行為を前に見たことがある……
いや、待て、それは無いだろう?
今が初めてのはずだ……
でも今頭に浮かんだのは……”
そう言って父さんを見ていると、
父さんは少しピクッとしたようにして、
その先から又何かを飛ばした。
父さんはそれを掌で受け取ると、
「ほら、これがその子種が含まれたものだ。
男はこれを擦ると気が高ぶって頂点に達した時に、
この後ろにある、この袋からこの液体を放出するのだ。
これを女性の腹へ続く道でやると、
手で擦るのと同じような感覚がえられ、
頂点に達すると種を子が出来る腹へと放出できるというわけだ。
どうだ、触ってみるか?」
父さんに聞かれ、僕はブンブンと頭を振った。
父さんはハハハと笑って、
「龍の姿だと何かにあてて擦るか、メスを追いかけるしかないが、
人の姿だと簡単に発散できて良いな。
それに人は龍と違って繁殖期がない。
だから発情も龍のそれとは違う。
でも翠、お前ももうそんな年頃だ。
直ぐに経験するさ」
そう言われ、僕は真剣な顔をしてブルブルと首を振った。
父さんは水に潜りス~ッと水面に出てくると、
「本来龍は冷気を嫌うのだが、人の姿になれる私にはこの冷たい水が心地良い。
どれ、私はもう一度流れ落ちる水で体を洗ってこよう」
そう言うと、流れ落ちる水の下へ行き上を向くと、
その水を顔に当て始めた。
父さんの長い黒髪をしたたって流れていく水を見た時、
又頭がズキンと痛んだ。
”まただ……
僕は此処で誰かがああして水を浴びていた姿を見ている……
それはきっと父さんではない。
でもそれはいつの事だ?! 誰の事だ?!
間違いなくそれも黒い髪をした者だった。
黒髪……“
僕は父さんの横に並んで落ちる水に身を任せると、
「ねえ父さん、ダリルって知ってる?」
そう尋ねると、
彼はギョッとしたようにして僕を見た。
そして僕の肩を掴むと、
「何か思い出したのか?」
真剣な顔をしてそう尋ねた。
僕が訝し気な顔をすると、
「思い出したって何を?」
そう言って父さんの顔を見つめた。
父さんは僕を抱き寄せると、
「いや、思い出してないんだったらいいよ。
お前もいつか思い出すだろう…」
そう意味不明な事を言ってその腕に力を入れて僕を抱きしめた。
最近僕の頭の中は変だ。
変な夢を見るし、
見たこともない、経験したこともない様なことが頭の中を過ぎる。
流れ落ちる水の向こうに誰かの影を見ていると、
「さあ、そろそろ行こう。
体も大分冷えて来た」
父さんはそう言うと、
僕に手を差し伸べた。
僕は父さんの長い黒髪を見つめると、その手を取った。
洞窟へ戻ると、
父さんは着替えとして、箱の中にあった服を持って来てくれた。
その服はビックリするほど僕にぴったりで、
生地も柔らかくてとても着心地が良かった。
父さんは着替えた僕を見ると、
「髪は洗っても洗っても色が落ちなかったな。
だがお前がそうした金色の髪の色をしていると、
お前の母親にそっくりだな」
そう言って僕の髪を撫でた。
父さんは僕の髪を撫でた後
洞窟の奥の方に行くと、
箱をごぞごそ外探り始め、
色々と箱に詰めると、
「翠、この箱をしっかりと持つんだ」
そう言って、いろんなものを入れた箱を僕に渡した。
その後父さんは龍の姿になると、
頭を低くして僕が背に乗りやすい様にしてくれた。
僕が父さんの背に乗ると、
彼は直ぐにその場を飛び去った。
恐らくもう此処へ戻って来る事はないだろう。
僕は愛する者との別れを惜しむ様に、
その場所が見えなくなるまで後ろを向いていた。
気付くと、何故か頬には涙が伝っていた。
僕はひっそりと、
”父さん、母さん、さようなら。
此処で会えてよかったよ。
僕は強く生きて行くからね”
そう呟くと、もうすでに見えなくなった陸を後にした。
そしてその夜、僕はいつもとは違う愛しくて優しい、
懐かしいのに誰なのか分からない不思議な夢を見た。
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