龍の寵愛を受けし者達

樹木緑

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デューデュー

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「セシル!」

ハッとして馬車の方を見た。

こっちにばかり気が取られて、
馬車はガラ空きだった。

セシルの悲鳴でそれに気付き、
僕は彼女の名を叫んで馬車の中へと飛び込んだ。

案の定、馬車の中には
数名の山賊がセシル達に襲い掛かろうとしている所だった。

「彼女達から離れろ!」

馬車の中だと言うことを忘れ、
勢いついて思いっきり風魔法を当てると、
山賊達は幌を破り外へと突き飛ばされた。

「翠~ 怖かったよ~」

泣きそうな顔で僕の顔を見るセシルの手を取ると、

「今のうちに馬車から出るんだ! こっちだ!」

そう言うと、僕はセシルとジュジュとリアを連れ
ローティの守る後ろへ逃げ込んだ。

ローティが心配そうに、

「大丈夫だったか?

怪我はしてないか?」

そう尋ねると、セシルはもう気丈に、

「ええ、私達だったら大丈夫よ。

それよりも貴方達は?!」

そう言って山賊達と見事に戦っている人達に目をやった。

すると口笛を吹いて

「ヒュ~、あれは誰? 凄い! 強いわね。

見て! 山賊達が木の葉の様に蹴散らされていくわ!

彼等は味方なの?」

と、僕にしがみ付きながらそう尋ねた。

僕は頷くと、

「僕達を助けてるって事は恐らく….…」

そう言うと、

「ねえ、セシル達は此処にいて。

山賊達も大部やられたから、
此処を襲う事は無いと思う。

ローティの後ろに隠れてたら安全だから。

僕は彼らの援護をしに行く」

そう言うと、
彼らの戦う中へと飛び出して行った。

勢い良く飛び出して行ったのは良いが、
彼等は本当に強く、僕のする事なんて殆どなく、
僕は唯彼らの近くで華麗に舞う様に戦う彼らの姿を見ていた。

でも直ぐに、

”さっき僕を助けてくれた人は?!“

と、自然と僕の目が彼の姿を探し始めた。

何故か凄くもう一度彼の姿を見たかった。

直ぐに彼の耳の特徴を思い出し、

“そう言えば、彼は耳が……”

顔はよく分からなかったので、
耳の尖った人を探した。

”何処?“

”黒髪……“

”ちょっと長い耳“

“あっ! いたっ!”

山賊達の中で舞う様に戦う彼は美しかった。

“彼等は冒険者? いや、あの格好は違うな……

もしかして城の騎士団?”

彼の動きに釘付けになった。

“彼は騎士なんだろうか……?

僕達の仲間に……

イヤイヤ、僕は何を考えているんだ!”

そんな感じで彼らの戦い方に見惚れているうちに、
彼らは山賊全てを倒し捕獲した。

汗一つかかず、呼吸も乱さずそこに立っている後ろ姿に、

“こっち見て!

僕の方を見て!”

そう思いながら彼に見入っていると、
彼が急に僕の方をクルッと振り僕は思わず焦ってしまった。

自分がアワアワとして居るのは分かったけど、
それよりも何かを言わなくては!と思い、
吃りながら、

「あ…… あの…… 

た……助けて頂いて、あ……有り難う御座いました!

お……お陰で助かりました!」

そう礼を言うと、彼は僕に向かって微笑んで、

「怪我の方は大丈夫でしたか?」

そう言いながら僕に近づいて来た。

僕は自分の顔が真っ赤になっていくのを感じ、
慌てて俯いた。

彼は僕の前に立つと、

「腕を見せていただけますか?」

そう言って僕の腕を取った。

「あっ……」

少し変な声を出して僕の顔は益々真っ赤になった。

彼に掴まれた腕がジンジンと脈打って、
カッと熱くなった。

ドキドキと高鳴る心臓は全身を震わせる程に響いて居る様で、
その鼓動が掴まれた腕から彼に伝わらないかそれが気掛かりで
僕は更に俯いた。

「緊張しなくても大丈夫ですよ。

私は貴方を取って食べたりはしません」

そう言う彼からは良い匂いがして来た。

フッと彼を見上げると、
彼と目が合った。

キラキラと光る真っ黒なその瞳は、
まるで夜空の様だった。

「綺麗な瞳だ……」

瞳に吸い込まれる様に彼に顔に近づいてハッとして離れた。

「御免なさい、御免なさい!

思ってた事がつい口に出て……」

慌てて繕おうとすると、
彼は微笑んで、

「ありがとう。

僕の瞳を誉めてくれたのは君が3人目だよ」

と彼がそう言うと、僕は

“え?”

とした様に彼を見た。

「ふふ、最初は母上で、次が父上。

そして君が三番目だ」

彼はそう言うと、

「はい、血はもう止まって居るみたいだね。

僧侶が一緒にいる様だから、
落ち着いたら回復魔法をかけてもらってね」

そう言って僕の腕から離れた。

途端、

“あっ……もう少しだけ”

そう言う思いが僕の頭を突いた。

彼は

“フ~”

っと息を吐くと、

「取り敢えず、君達が無事で良かった!」

そう言ってニコリと微笑んだ。

「あ……あの! 貴方の名前は?!」

そう尋ねようとしたら、向こうから

「龍輝!」

と呼ぶ声がした。

声のする方を見て、
ハッとした。

そして又目の前にいる人の顔を見た。

”同じ……顔?!“

向こうで彼を龍輝と呼んだ人も、
僕に目の前に居る彼と同じ顔をしていた。



”え? どう言う事?!

なぜ彼らは同じ顔をしているの?!“

するとまた向こうで

「龍輝!」

ともう1人の彼が呼んだ。

龍輝と呼ばれた目の前の彼は

「今行く!」

そう言うと、

「じゃあ!」

と僕に向かって短くそう言って
颯爽と向こうの彼の元に走って行った。

そして僕に手をサッと上げると、
向こうで彼を待っていた人たちと共に
捉えられた山賊達を引き連れて去って行った。



僕が呆けた様に彼らが去った後をいつまでも見ていると、

「翠? 大丈夫?」

そう言ってセシルが僕の所に走って来た。

僕はハッとした様にセシルの方を振り向くと、

「ねえ、今の人達って誰?

何か話をしたの?」

そうセシルが尋ねた。

「いや……大した事は……」

そう言った後、

「ねえ、僕は見た事ないんだけど、
人間に耳が長くて尖っているって人居る?」

そう尋ねると、

「え~ 耳が長くて尖ってる?」

とセシルも知らなさそうだ。

すると直ぐにセシルに追いついたローティが、
僕の質問が聞こえたのか、

「エルフって確かそう言った耳をしていないか?」

と言い始めた。

僕が

「エルフ?」

そう言って頭を傾げると、

「ああ、エルフは隠された里に住んでいて、
かなり長い時を生きるらしいぞ。

人の世界に下りてこないから、
あまりその生態は知られいないけど、
戦闘能力や魔力にも長けているそうだが、
特に魔力はすごいらしいぞ。

何でもエルフの王は精霊王とも呼ばれているくらいだからな。

魔力は精霊が生み出すものと言われているし……

だが、今の奴らの中にエルフの様な形の奴がいたのか?」

ローティがそう尋ねたので、

「ああ、うん……

僕を助けてくれた人の耳が長くて尖ってて……」

そう言うと、

「お前、見間違いじゃ無いのか?

お前の前にいたのって黒い髪をしていたよな?」

とローティが尋ねるので僕はコクリと頷いた。

「じゃあ、エルフでは無いのかもな。

エルフには黒い髪はいない筈だが……

黒い髪とすると、
東の大陸の人間じゃ無いのか?」

そう言うローティに、

「東の大陸の?」

そう尋ねると、

「ああ、最も大昔に海の底に沈んで、
東の大陸の人間はあまり残っていないと聞いたが、
これまで黒髪なんて見た事ないだろ?

黒髪は凄く珍しいんだ。

だから耳の違うやつも居るかもな?」

と、ローティはそう言ったけど、
黒髪が珍しいも何も、
僕は黒髪の父親に育てられた。

僕に取って黒髪は珍しい物でも何でもなかった。

それに助けに来てくれた人達の中には3人の黒髪がいた。

1人は年配で……

「そうだ! そう言えば、僕を助けてくれた人とそっくりな人がいたんだけど、
人って同じ顔っているの?!」

今まで同じ顔をした人を見た事がなかったのでそう尋ねてみた。

「同じ顔って……全く同じ顔だったのか?」

ローティがそう尋ねたので、頷いた。

「う~ん、兄弟でも似る事はあるけど、
翠が見たのはもしかしたら双子だったのかもな」

そうローティが言った。

「双子?」

僕が繰り返し尋ねると、

「ああ、俺もメカニズムはよく分からないけど、
時折母親の腹の中から2人同時に生まれる事があるらしくて、
それを双子と言うんだ。

似てない双子もいるけど、
似てる双子は鏡に映した様にそっくりみたいだぞ?」

そうローティが説明してくれ、
僕もよく分からなかったけど、
龍輝と呼ばれていた彼はきっと彼を呼んでいた人と双子なのだろう。

”そうか……“

考えた様にそう呟いていると、

「それはそうと、
傷の手当てはやったほうがいいぞ」

ローティがそう言うので、
腕を見下ろした。

「ああ、うん、もう血は止まってるから」

そう言うと、

「バイキンが入ったりしたら大変だからちゃんと治せ!」

ローティに怒られたので、
そっと回復魔法をかけた。

すると、そこにあった傷がシュルシュルシュルと綺麗に消えて行った。

それを見ていたローティが感心した様に、

「お前、本当にヒールも使えるんだな。

それにお前、魔法を使う時に詠唱してないよな?

一体どんな能力を隠してるんだ?!」

そう言って眉を顰めた。

「いや、僕は至って普通だよ」

と苦笑いをすると、

「そうだ、セシル!」

そう言ってセシルの方を見た。

ローティも僕につられて、

「ん? セシルが如何かしたのか?」

そう言ってセシルの方を見た。

セシルはジュジュやリア、冒険者と一緒になって、
ボロボロになった馬車を片付けていた。

「僕ちょっとセシルに話があるんだ。

ローティ、馬車の処理は君に任せてちょっとセシルと話して来ても良いかな?

修理代は帝都に着いて僕が払うから、
いくらになっても良いって言っといて」

そう言うと、ローティは

「お……おう!」

と少し吃った様な返事をしたけど、
直ぐに馬車の所へ行って御者と話をし指示を出し始めた。

僕は、

「セシル! 君はちょっと僕と来て!」

そう大声でセシルを呼ぶと、
セシルは僕に気付いて駆け寄って来た。

「何? 私今忙しいんだけど」

馬車の方を気にしながら話しかけるセシルに、

「いや、馬車の方はローティに頼んだから、
セシルはちょっとこっちに来て!

少し尋ねたい事があるんだ」

そう言うと、少しセシルは困惑した様な顔をしたけど僕に着いて来た。

皆から少し外れた茂みの陰に行くと、
僕達の話が聞こえないのを確認して、

「ねえ、馬車の中でセシルが灰色の龍の
デューデューって言ってるのを聞いた様な気がするんだけど、
言ってたよね?!」

そう詰め寄ると、

「あら、翠も灰色の龍のデューデュー様を知ってるの?!」

そう聞いて来たので、

「へ?」

と頭がこんがらがって来た。

「あのさ、どうしてセシルが僕の父さんの事を知ってるのか分からないけど、
父さんとはどこで知り合ったの?!」

そう尋ねると、今度はセシルが困惑した様な顔をした。

「何その顔?

今父さんの事を知ってるって言ったばかりじゃないか?

それなのに何故そん顔をするんだ?」

僕も困惑したように尋ねると、

「え? 翠の父さんって……

私、翠の父親のことは知らないんだけど、
翠の父親って灰色の龍でデューデューって言うの?!」

と今度はそう来たので、

「え? 何言ってるの? 

父さんから僕の事聞いたんじゃ無いのか?!」

そう言い返すと、

「え?! 私、灰色の龍のデューデュー様に会ったことは一度もないんだけど、
灰色の龍のデューデューって戦いの神様じゃないの?!」

そう言うので僕はさらに訳が分からなくなった。

「いや、灰色の龍のデューデューは神様なんかじゃなくて、
僕の父さんだよ。

僕は山奥で育てられたって言っただろ?

その僕を育てたのが灰色の龍のデューデューだよ!」

どこまで行っても通じない話に、
半分イライラした様にそう言うと、

「そんな……私、灰色の龍のデューデュー様はずっと神様だと思ってて……」

少し気弱な回答になったセシルに、

「ごめん、別にセシルの事責めてる訳じゃないんだ。

じゃあ、どうしてセシルは灰色の龍が神だと思ったんだ?」

そう尋ねると、

「だって小さい時からお祈りする時は必ず
灰色の龍のデューデュー様もその中に入ってたのよ~

だから私、てっきり神様だとばかり……」

セシルはそう説明してくれたけど、
僕には何故父さんがセシルの祈りに出てくるにかそれが不可解だった。

「ねえ、その祈りって誰かがセシルに教えたの?」

そう尋ねると、彼女は首を振った。

「じゃあ……」

僕も訳が分からず考え込むと、

「私の母親の話からすると、
物心ついた頃から灰色の龍の話を始めたって聞いたわ。

灰色の龍のデューデュー様は世界一強い龍だっーって言ってたって……

どんなに母親が灰色の龍なんて存在しないと言い聞かせても、
灰色の龍はいるんだーってガンとして譲らなかったって。

だからじゃあ灰色の龍のデューデュー様は戦いの神様なのねって母親が言い始めたから、
それから私の中では神様の1人になってたの」

そう言うセシルに納得はしたけど、
何故僕の父さんの事をセシルがそんなに小さい時から知っていたのか分からなかった。

色んな仮説を立ててみたけど、
どれも納得いかない。

僕がそんな事を考えている間隣でセシルはブツブツと何かを思い巡らせている様だった。

考えが尽きた僕がセシルの方を見ると、
彼女はハッとした様にして、

「翠! 私、デューデューのこと知ってるわ!」

これまで話していたこととは真逆のことを言い始めた。

「え? さっきまで知らない。 

会ったこと無いってそう言ってたじゃ無い」

そう言うと、

「違うのよ。

私、少し思い出した事があるのよ!」

そう言うと、いきなり、

「デューデュー! 出て来なさいよ!

そこに居るのは分かってるのよ!

デューデュー!」

そう叫び始めた。

「ちょっ……セシル、何やってんの?!」

僕が慌ててそう言うと又、

「デューデュー! 早く来なさい!」

そう言って、又呼んだかと思うと、

急に空中から風が舞い始め、

“バサッ、バサッ”

とする懐かしい翼音がして来た。

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