57 / 201
第57話 人だかり
しおりを挟む
100M 走が終わった後、僕は矢野先輩に言い寄ってやろうと、
先輩を探してグラウンドを歩き回った。
歩き回っている時に、
少し死角になったグラウンドの端で、
少しの人だかりが出来ている事に気付いた。
そのセンターに佐々木先輩が居て、
誰かと何か話をしているようだった。
僕はソロソロと人だかりの方に歩み寄って、
一体何が起きているのだろうと覗き込むと、
そこには見知った顔が……
そう、変装してカメラを持ったお父さんが、
佐々木先輩から尋問を受けていた。
僕はびくっりして、
「お父さん!」と叫んでしまった。
その瞬間、その人だかりが一斉に僕の方を見た。
勿論お父さんも一緒に。
お父さんは、“しまった!” と言う様な顔をして、
僕に視線を移した人ごみの中から
抜き足でこっそりと分からない様に後ずさろうとした。
でも、そんなお父さんの腕をガッチリと掴んでいたのは
佐々木先輩だった。
「この人、赤城君のお父さんですか?」
先輩は他人行儀の様に僕に質問してきた。
恐らく、僕達の関係がバレない様にするためだとは思ったけど、
凄い違和感だった。
「間違いなく、僕の父親ですが、
何か問題でもあったのですか?」
「あ……イヤ、木陰で怪しそうな人が望遠で
生徒の写真を撮っているって通報があって
尋問していたところなんですが……」
「すみません。
僕が体育祭にどうしても来るなって言ったので、
恐らくこっそりと覗きに来たんだと思います。
お騒がせしてすみません。
父には僕からちゃんと言って聞かせますので」
そう言って僕は人だかりに謝った。
そこには先ほど僕に敵意を向けた櫛田君も居た。
櫛田君は佐々木先輩に腕を絡めて、
僕を見下したように見ていた。
僕は佐々木先輩に腕を絡める櫛田君を見てムッとした。
「カエルの子はカエルだね」
そう言って櫛田君が僕のお父さんと僕を見比べて、
くすっと笑った。
僕には櫛田君の言ってる意味が直ぐに分かった。
恐らく、この人込みの皆も同じことを思っただろう。
只、佐々木先輩を除いては。
「馨!」
彼の名を呼んで佐々木先輩が櫛田君をいさめたので、
櫛田君は可愛く舌を出して、
「ゴメ~ン、 先輩。
僕……只……
赤城君ってお父さんに似てるのかな?
って思って……」
上目使いに茶目っ気たっぷりの声で
嫌味のように言って更に先輩に絡みついた。
馨?
か・お・る?
呼び捨て?
僕にも呼び捨てだけど、ちょっと違くない?
訳の分からない感情に僕はイライラとしてきた。
僕とお父さんをバカにされた事よりも、
先輩が櫛田君を呼び捨てにした事が、
僕にとっては大ごとだった。
佐々木先輩から少し目をそらして横を向いていると、
「あれ~? そこに居るのは要君のお父さん?」
そう言って矢野先輩が通りかかった。
お父さんは矢野先輩を見て、
「矢野ク~ン、 丁度良い処に~
不審者と間違われて捕まっちゃった。
助けて~」
と猫なで声をだした。
そんなお父さんを僕はキッと睨んだけど、
僕のお父さんと矢野先輩の親密さを見て、
明らかに佐々木先輩は害を扮したような顔をしていた。
先輩を探してグラウンドを歩き回った。
歩き回っている時に、
少し死角になったグラウンドの端で、
少しの人だかりが出来ている事に気付いた。
そのセンターに佐々木先輩が居て、
誰かと何か話をしているようだった。
僕はソロソロと人だかりの方に歩み寄って、
一体何が起きているのだろうと覗き込むと、
そこには見知った顔が……
そう、変装してカメラを持ったお父さんが、
佐々木先輩から尋問を受けていた。
僕はびくっりして、
「お父さん!」と叫んでしまった。
その瞬間、その人だかりが一斉に僕の方を見た。
勿論お父さんも一緒に。
お父さんは、“しまった!” と言う様な顔をして、
僕に視線を移した人ごみの中から
抜き足でこっそりと分からない様に後ずさろうとした。
でも、そんなお父さんの腕をガッチリと掴んでいたのは
佐々木先輩だった。
「この人、赤城君のお父さんですか?」
先輩は他人行儀の様に僕に質問してきた。
恐らく、僕達の関係がバレない様にするためだとは思ったけど、
凄い違和感だった。
「間違いなく、僕の父親ですが、
何か問題でもあったのですか?」
「あ……イヤ、木陰で怪しそうな人が望遠で
生徒の写真を撮っているって通報があって
尋問していたところなんですが……」
「すみません。
僕が体育祭にどうしても来るなって言ったので、
恐らくこっそりと覗きに来たんだと思います。
お騒がせしてすみません。
父には僕からちゃんと言って聞かせますので」
そう言って僕は人だかりに謝った。
そこには先ほど僕に敵意を向けた櫛田君も居た。
櫛田君は佐々木先輩に腕を絡めて、
僕を見下したように見ていた。
僕は佐々木先輩に腕を絡める櫛田君を見てムッとした。
「カエルの子はカエルだね」
そう言って櫛田君が僕のお父さんと僕を見比べて、
くすっと笑った。
僕には櫛田君の言ってる意味が直ぐに分かった。
恐らく、この人込みの皆も同じことを思っただろう。
只、佐々木先輩を除いては。
「馨!」
彼の名を呼んで佐々木先輩が櫛田君をいさめたので、
櫛田君は可愛く舌を出して、
「ゴメ~ン、 先輩。
僕……只……
赤城君ってお父さんに似てるのかな?
って思って……」
上目使いに茶目っ気たっぷりの声で
嫌味のように言って更に先輩に絡みついた。
馨?
か・お・る?
呼び捨て?
僕にも呼び捨てだけど、ちょっと違くない?
訳の分からない感情に僕はイライラとしてきた。
僕とお父さんをバカにされた事よりも、
先輩が櫛田君を呼び捨てにした事が、
僕にとっては大ごとだった。
佐々木先輩から少し目をそらして横を向いていると、
「あれ~? そこに居るのは要君のお父さん?」
そう言って矢野先輩が通りかかった。
お父さんは矢野先輩を見て、
「矢野ク~ン、 丁度良い処に~
不審者と間違われて捕まっちゃった。
助けて~」
と猫なで声をだした。
そんなお父さんを僕はキッと睨んだけど、
僕のお父さんと矢野先輩の親密さを見て、
明らかに佐々木先輩は害を扮したような顔をしていた。
11
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】この契約に愛なんてないはずだった
なの
BL
劣勢オメガの翔太は、入院中の母を支えるため、昼夜問わず働き詰めの生活を送っていた。
そんなある日、母親の入院費用が払えず、困っていた翔太を救ったのは、冷静沈着で感情を見せない、大企業副社長・鷹城怜司……優勢アルファだった。
数日後、怜司は翔太に「1年間、仮の番になってほしい」と持ちかける。
身体の関係はなし、報酬あり。感情も、未来もいらない。ただの契約。
生活のために翔太はその条件を受け入れるが、理性的で無表情なはずの怜司が、ふとした瞬間に見せる優しさに、次第に心が揺らいでいく。
これはただの契約のはずだった。
愛なんて、最初からあるわけがなかった。
けれど……二人の距離が近づくたびに、仮であるはずの関係は、静かに熱を帯びていく。
ツンデレなオメガと、理性を装うアルファ。
これは、仮のはずだった番契約から始まる、運命以上の恋の物語。
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
婚約破棄された令息の華麗なる逆転劇 ~偽りの番に捨てられたΩは、氷血公爵に愛される~
なの
BL
希少な治癒能力と、大地に生命を呼び戻す「恵みの魔法」を持つ公爵家のΩ令息、エリアス・フォン・ラティス。
傾きかけた家を救うため、彼は大国アルビオンの第二王子、ジークフリート殿下(α)との「政略的な番契約」を受け入れた。
家のため、領民のため、そして――
少しでも自分を必要としてくれる人がいるのなら、それでいいと信じて。
だが、運命の番だと信じていた相手は、彼の想いを最初から踏みにじっていた。
「Ωの魔力さえ手に入れば、あんな奴はもう要らない」
その冷たい声が、彼の世界を壊した。
すべてを失い、偽りの罪を着せられ追放されたエリアスがたどり着いたのは、隣国ルミナスの地。
そこで出会ったのは、「氷血公爵」と呼ばれる孤高のα、アレクシス・ヴァン・レイヴンだった。
人を寄せつけないほど冷ややかな瞳の奥に、誰よりも深い孤独を抱えた男。
アレクシスは、心に傷を抱えながらも懸命に生きようとするエリアスに惹かれ、次第にその凍てついた心を溶かしていく。
失われた誇りを取り戻すため、そして真実の愛を掴むため。
今、令息の華麗なる逆転劇が始まる。
いい加減観念して結婚してください
彩根梨愛
BL
平凡なオメガが成り行きで決まった婚約解消予定のアルファに結婚を迫られる話
元々ショートショートでしたが、続編を書きましたので短編になりました。
2025/05/05時点でBL18位ありがとうございます。
作者自身驚いていますが、お楽しみ頂き光栄です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる