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素直じゃないは、正義じゃない
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やっぱり、振られた僕が謝るのは少し納得がいかないけど、いつになく情けない顔の直輝には思わず謝ってしまう。
「俺、本当は好かれてないのかって、スゲー落ち込んだ。俺が振ったって形だけど、振られた気分だった」
「だって…」
「だって?」
「だって、負担になりたくなかった。噂、聞いてたから。僕は彼女ができるまでの繋ぎの存在で、告白された直輝が、彼女を選んだんだって思ったから」
「それだよ!」
「何が?」
「睦己は俺が何してても嫉妬してくれない」
「嫉妬してるよ。女子としゃべってる直輝を見るのは辛いから、見ないようにしてた」
「言ってくれれば良いのに」
「鬱陶しい奴だって思われたくなかったから…」
「そんなわけないじゃん」
でも、でも、あの噂は?付き合ってるって、聞いたのに…。
「丸岡さんは?」
「美香の事?」
「うん…」
名前で呼んじゃってるんだ。
浮上していた気持ちがドスンと落ちる。
「美香も俺たちの事は知ってるよ?って言うか、睦己が毎週家に来てたの知ってるから、かなり揶揄われた。睦己も美香の家、知ってるけどな。いつも美香ん家の横通って俺ん家に入るから。隣なんだ。切っても切れない幼馴染。高校まで一緒でお互いうんざり。おまけにお互いサッカー好きでさ。女子サッカー部がないのと、いかんせん、美香の運動神経は酷いから、今はマネージャーやってる。それだけの仲だよ。仲良いかって聞かれたら、まあ良い方だけど、それは恋愛的な意味じゃない」
「嘘…」
「嘘じゃないよ」
「だって、噂、聞いたんだ。直輝と付き合ってるって」
「そうなの?」
「うん」
「いつ?」
「別れよって言われた次の日…」
「そか…。俺は、別れるのをあっさり『わかった』のひと言で受け入れた睦己にスゲーショック受けて、しばらく動けなかったから、知らなかったな」
「別れなくっても良かったんなら、どうして?」
「だから、このカッコの睦己を守るためって言ったじゃん」
「だって、僕…寂しかった」
「俺もだって。ヨシに言われてから、何度も学校で話しかけようとしたけど、ほとんど無視したり、逃げたり、全然だった」
「そうだっけ?」
「そうだよ」
「じゃあ、言ってくれれば良かったのに。凄く辛かった」
「俺だって辛かったっての!じゃあ、このカッコの睦己は凄く可愛いくて危ないから、俺がいつも側にいて守るって言ったら信じた?」
「う、うん。信じない…と思う。嘘だって言ったと思うけど…」
「そうだろ?付き合ったままで、昨日みたいに一緒にプラカード持って回ったり、俺がくっ付いても絶対嫌がらなかった?」
「嫌がったかもしれないけど…」
そうだよ。
今は片思いのつもりで、直輝と一緒にいることを喜ぼうと思ったけど、付き合ってるままなら……ううっ、ごめんなさい。
「ほら、絶対に一緒にいてくれなかった」
「でもさ、別に、僕一人でも問題なかったよね?」
「井上先輩に何された?さっきの会話聞いてた?睦己は自分の可愛さをわかってない。このカッコがどんなに危ないか全然わかってない」
「……そんなに、可愛くないから。それに、これが気持ち悪いから振られたんだって思ってたくらいなのに」
「なっ!そんなわけないだろ?これだって似合ってる…」
「いや、嬉しくはないけど…」
「でも、俺は見れて嬉しかったよ。睦己は可愛い。そこら辺の女と比べても負けないくらい可愛いの!井上先輩だって……。ホント、俺の睦己なのに」
「じゃあ、もう離れなくて良いの?」
「当たり前!これからは教室でもベタベタする。これは、俺の心配を無視した罰だからな。嫌だは無し。はあ、睦己不足が解消する」
直輝は僕の胸に顔を埋め抱きしめると、背中を何度も撫でてくれた。
話を聞いている間に、また涙が頬を伝う。涙腺が壊れてしまったのだろうか?
「どうして泣いてるの?」
「だ、だって、嬉し…嬉しいから」
そう、これは悲しい涙じゃない。
「俺も嬉しいよ。こんな俺を許してくれて、もう一度一緒にいることを、こんなに喜んでくれてるなんて」
「な、直輝の、せいだよ…」
更に涙が出て、言葉が続かない。
「そうだな、俺のせいだ」
「違っ、ご、ごめん、僕の、せい、だから…。ごめん、僕が、僕が…」
「二人のせいだね。ちゃんと話せば良かったんだ。別れるって選択じゃなくって、睦己が納得するまで、何度も。その時間はあったのに、諦めてしまった。ヨシに間に入ってもらっても良かったしな」
「うん、うん…ごめんね」
「俺も、ごめん」
「俺、本当は好かれてないのかって、スゲー落ち込んだ。俺が振ったって形だけど、振られた気分だった」
「だって…」
「だって?」
「だって、負担になりたくなかった。噂、聞いてたから。僕は彼女ができるまでの繋ぎの存在で、告白された直輝が、彼女を選んだんだって思ったから」
「それだよ!」
「何が?」
「睦己は俺が何してても嫉妬してくれない」
「嫉妬してるよ。女子としゃべってる直輝を見るのは辛いから、見ないようにしてた」
「言ってくれれば良いのに」
「鬱陶しい奴だって思われたくなかったから…」
「そんなわけないじゃん」
でも、でも、あの噂は?付き合ってるって、聞いたのに…。
「丸岡さんは?」
「美香の事?」
「うん…」
名前で呼んじゃってるんだ。
浮上していた気持ちがドスンと落ちる。
「美香も俺たちの事は知ってるよ?って言うか、睦己が毎週家に来てたの知ってるから、かなり揶揄われた。睦己も美香の家、知ってるけどな。いつも美香ん家の横通って俺ん家に入るから。隣なんだ。切っても切れない幼馴染。高校まで一緒でお互いうんざり。おまけにお互いサッカー好きでさ。女子サッカー部がないのと、いかんせん、美香の運動神経は酷いから、今はマネージャーやってる。それだけの仲だよ。仲良いかって聞かれたら、まあ良い方だけど、それは恋愛的な意味じゃない」
「嘘…」
「嘘じゃないよ」
「だって、噂、聞いたんだ。直輝と付き合ってるって」
「そうなの?」
「うん」
「いつ?」
「別れよって言われた次の日…」
「そか…。俺は、別れるのをあっさり『わかった』のひと言で受け入れた睦己にスゲーショック受けて、しばらく動けなかったから、知らなかったな」
「別れなくっても良かったんなら、どうして?」
「だから、このカッコの睦己を守るためって言ったじゃん」
「だって、僕…寂しかった」
「俺もだって。ヨシに言われてから、何度も学校で話しかけようとしたけど、ほとんど無視したり、逃げたり、全然だった」
「そうだっけ?」
「そうだよ」
「じゃあ、言ってくれれば良かったのに。凄く辛かった」
「俺だって辛かったっての!じゃあ、このカッコの睦己は凄く可愛いくて危ないから、俺がいつも側にいて守るって言ったら信じた?」
「う、うん。信じない…と思う。嘘だって言ったと思うけど…」
「そうだろ?付き合ったままで、昨日みたいに一緒にプラカード持って回ったり、俺がくっ付いても絶対嫌がらなかった?」
「嫌がったかもしれないけど…」
そうだよ。
今は片思いのつもりで、直輝と一緒にいることを喜ぼうと思ったけど、付き合ってるままなら……ううっ、ごめんなさい。
「ほら、絶対に一緒にいてくれなかった」
「でもさ、別に、僕一人でも問題なかったよね?」
「井上先輩に何された?さっきの会話聞いてた?睦己は自分の可愛さをわかってない。このカッコがどんなに危ないか全然わかってない」
「……そんなに、可愛くないから。それに、これが気持ち悪いから振られたんだって思ってたくらいなのに」
「なっ!そんなわけないだろ?これだって似合ってる…」
「いや、嬉しくはないけど…」
「でも、俺は見れて嬉しかったよ。睦己は可愛い。そこら辺の女と比べても負けないくらい可愛いの!井上先輩だって……。ホント、俺の睦己なのに」
「じゃあ、もう離れなくて良いの?」
「当たり前!これからは教室でもベタベタする。これは、俺の心配を無視した罰だからな。嫌だは無し。はあ、睦己不足が解消する」
直輝は僕の胸に顔を埋め抱きしめると、背中を何度も撫でてくれた。
話を聞いている間に、また涙が頬を伝う。涙腺が壊れてしまったのだろうか?
「どうして泣いてるの?」
「だ、だって、嬉し…嬉しいから」
そう、これは悲しい涙じゃない。
「俺も嬉しいよ。こんな俺を許してくれて、もう一度一緒にいることを、こんなに喜んでくれてるなんて」
「な、直輝の、せいだよ…」
更に涙が出て、言葉が続かない。
「そうだな、俺のせいだ」
「違っ、ご、ごめん、僕の、せい、だから…。ごめん、僕が、僕が…」
「二人のせいだね。ちゃんと話せば良かったんだ。別れるって選択じゃなくって、睦己が納得するまで、何度も。その時間はあったのに、諦めてしまった。ヨシに間に入ってもらっても良かったしな」
「うん、うん…ごめんね」
「俺も、ごめん」
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