34 / 40
それでも素直になれなくて…
04
しおりを挟む
「部活終わるまで待ってて。一緒に帰ろ?」
約二週間、僕にはあまり話しかけることが無かったのに、昼から時間があれば、同じことを言いに来た。僕が部活の見学に行けなくなっても、何も言わなかったのに。部活に行く前にも待っててと言ってくれたけど、もう直輝の優しさに頼るわけにはいかない。
「ありがと…」
「絶対、待ってて!」
「う、うん」
「お願い!」
「でも、もう良いんだよ?」
「そんなこと言わないで。俺が、俺が悪かったから。な?」
「うん…でも…」
「ごめん、謝るから。俺が悪かったから」
何故か必死で訴える。
どうしたんだろ?もっと違う別れ方のほうが良かったのかな?自分から言いたかったとか?
「あー!今日、休もうかな」
「そんなのダメだよ」
「じゃあ、行くから。絶対に約束だよ」
最後にこんな優しい顔を見ることができた。
やっぱり好き。
抱きしめて欲しい。
キスして欲しい。
樽本にされるのは嫌だ。想像するだけで身震いする。
ぐるりと回り込んで、グラウンドの横を通らずに学校を後にした。
高校、ちゃんと卒業できるだろうか?バイトして、あのアパートから出よう。高校生がアパートって借りられるのかな?わからないことだらけで気が滅入る。
今までにバイトしとけば良かった。そしたら少しは建設的な考えもできたかもしれない。時間はいっぱいあったのに。入学直後はバイトしようと思ってた。でも、直輝とのことが一番だった。会いたいと言われればいつでも会えるように、僕の時間の全てが直輝のためにありたかった。
こんな依存が嫌だったのかな?今更考えても仕方ない。グズグズと駅ビルの本屋で時間を潰して、なかなか帰ることができなかった。暗くなってきたので、本屋を出た。単行本を探すフリをして本を開き、字面を追っていたけれど、頭には何も残っていない。
覚悟を決めて、アパートに帰る。
直輝以外とそんなことができるとは思えない。気持ちが残っているから尚更だ。でも、仕方ない。
重い足を引きずって歩く。居ないと良いな…。母親の出勤時間は過ぎている。それでも明かりが灯っていれば……それは、奴が居るということだ。
祈り虚しく、明かりは点いていた。鍵を開け、革靴があるのに溜息が漏れる。
「ただいま」
モゴモゴと口の中だけの挨拶をする。誰かに聞かせることのない、いつもの僕だ。母親が寝ていることが多かったから、小さな頃からの癖。
「いやー、そろそろだと思ってたんだよ」
そうなんだ。直輝の弁当がなかったら、とっくにここに帰って来なければならなかっただろう。
お金が底を尽きた。先日こっそり帰った時に見たけど、いつも置いてあるところにお金がなかった。樽本の仕業か母親のせいか。
「でも、もう少し早いと思ってたけど、案外頑張ったんだね」
「そうですね」
「俺がいる時間に帰ってきたと言うことは、覚悟ができたってことで良いのかな?」
「覚悟なんかするわけないでしょ?」
「なぁんだ。でも…」
「やっ!」
腕を掴まれて、床に押し倒され、抑え込まれた。
「僕、初めてじゃないですよ?初めてだから、興味持ったんじゃないんですか?残念でしたね」
「おや、もう経験済み?でも、俺の初めては中学の時だったから、高校生なら、まあ…普通…」
「僕、まだ童貞です。処女じゃないってことです」
「へぇ…そうなんだ」
「もう、興味も薄れたでしょ?離してください」
これで諦めてくれたら良いけれど。
何もこんなこと喜んで他人に教えたくはない。普通なら絶対に口にしないことだ。でも、背に腹は変えられない。
「そんなことないよ…。そりゃ、睦己くんの初めてを誰かに取られたのは癪だけど、その分可愛く啼いてくれるんだろ?」
「やっ!やめて…嫌だ…」
いきなり制服のブレザーのボタンを乱暴に外し、シャツを捲り上げた。這い回る手と舌が気持ち悪い。
直輝に触られたらどこだって気持ち良かったのに、快感も感情に左右されるものなんだ。
でも、そんな悠長なことを考えられたのも、しばらくの間だけだった。やはり直接的な刺激は快感に直結している。乳首に歯を立てられ、舌で転がされたら嫌でも下半身に熱が溜まる。
「嫌だ!直輝!直輝っ!やめて!助けて!」
泣かないと決めていたのに、次から次にポタポタと涙が落ちる。感じたくなくて、首を左右に振った。
喘ぎ声を出したくなくて、ただ直輝の名を呼んだ。
約二週間、僕にはあまり話しかけることが無かったのに、昼から時間があれば、同じことを言いに来た。僕が部活の見学に行けなくなっても、何も言わなかったのに。部活に行く前にも待っててと言ってくれたけど、もう直輝の優しさに頼るわけにはいかない。
「ありがと…」
「絶対、待ってて!」
「う、うん」
「お願い!」
「でも、もう良いんだよ?」
「そんなこと言わないで。俺が、俺が悪かったから。な?」
「うん…でも…」
「ごめん、謝るから。俺が悪かったから」
何故か必死で訴える。
どうしたんだろ?もっと違う別れ方のほうが良かったのかな?自分から言いたかったとか?
「あー!今日、休もうかな」
「そんなのダメだよ」
「じゃあ、行くから。絶対に約束だよ」
最後にこんな優しい顔を見ることができた。
やっぱり好き。
抱きしめて欲しい。
キスして欲しい。
樽本にされるのは嫌だ。想像するだけで身震いする。
ぐるりと回り込んで、グラウンドの横を通らずに学校を後にした。
高校、ちゃんと卒業できるだろうか?バイトして、あのアパートから出よう。高校生がアパートって借りられるのかな?わからないことだらけで気が滅入る。
今までにバイトしとけば良かった。そしたら少しは建設的な考えもできたかもしれない。時間はいっぱいあったのに。入学直後はバイトしようと思ってた。でも、直輝とのことが一番だった。会いたいと言われればいつでも会えるように、僕の時間の全てが直輝のためにありたかった。
こんな依存が嫌だったのかな?今更考えても仕方ない。グズグズと駅ビルの本屋で時間を潰して、なかなか帰ることができなかった。暗くなってきたので、本屋を出た。単行本を探すフリをして本を開き、字面を追っていたけれど、頭には何も残っていない。
覚悟を決めて、アパートに帰る。
直輝以外とそんなことができるとは思えない。気持ちが残っているから尚更だ。でも、仕方ない。
重い足を引きずって歩く。居ないと良いな…。母親の出勤時間は過ぎている。それでも明かりが灯っていれば……それは、奴が居るということだ。
祈り虚しく、明かりは点いていた。鍵を開け、革靴があるのに溜息が漏れる。
「ただいま」
モゴモゴと口の中だけの挨拶をする。誰かに聞かせることのない、いつもの僕だ。母親が寝ていることが多かったから、小さな頃からの癖。
「いやー、そろそろだと思ってたんだよ」
そうなんだ。直輝の弁当がなかったら、とっくにここに帰って来なければならなかっただろう。
お金が底を尽きた。先日こっそり帰った時に見たけど、いつも置いてあるところにお金がなかった。樽本の仕業か母親のせいか。
「でも、もう少し早いと思ってたけど、案外頑張ったんだね」
「そうですね」
「俺がいる時間に帰ってきたと言うことは、覚悟ができたってことで良いのかな?」
「覚悟なんかするわけないでしょ?」
「なぁんだ。でも…」
「やっ!」
腕を掴まれて、床に押し倒され、抑え込まれた。
「僕、初めてじゃないですよ?初めてだから、興味持ったんじゃないんですか?残念でしたね」
「おや、もう経験済み?でも、俺の初めては中学の時だったから、高校生なら、まあ…普通…」
「僕、まだ童貞です。処女じゃないってことです」
「へぇ…そうなんだ」
「もう、興味も薄れたでしょ?離してください」
これで諦めてくれたら良いけれど。
何もこんなこと喜んで他人に教えたくはない。普通なら絶対に口にしないことだ。でも、背に腹は変えられない。
「そんなことないよ…。そりゃ、睦己くんの初めてを誰かに取られたのは癪だけど、その分可愛く啼いてくれるんだろ?」
「やっ!やめて…嫌だ…」
いきなり制服のブレザーのボタンを乱暴に外し、シャツを捲り上げた。這い回る手と舌が気持ち悪い。
直輝に触られたらどこだって気持ち良かったのに、快感も感情に左右されるものなんだ。
でも、そんな悠長なことを考えられたのも、しばらくの間だけだった。やはり直接的な刺激は快感に直結している。乳首に歯を立てられ、舌で転がされたら嫌でも下半身に熱が溜まる。
「嫌だ!直輝!直輝っ!やめて!助けて!」
泣かないと決めていたのに、次から次にポタポタと涙が落ちる。感じたくなくて、首を左右に振った。
喘ぎ声を出したくなくて、ただ直輝の名を呼んだ。
39
あなたにおすすめの小説
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法
あと
BL
「よし!別れよう!」
元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子
昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。
攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。
……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。
pixivでも投稿しています。
攻め:九條隼人
受け:田辺光希
友人:石川優希
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグ整理します。ご了承ください。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
伯爵家次男は、女遊びの激しい(?)幼なじみ王子のことがずっと好き
メグエム
BL
伯爵家次男のユリウス・ツェプラリトは、ずっと恋焦がれている人がいる。その相手は、幼なじみであり、王位継承権第三位の王子のレオン・ヴィルバードである。貴族と王族であるため、家や国が決めた相手と結婚しなければならない。しかも、レオンは女関係での噂が絶えず、女好きで有名だ。男の自分の想いなんて、叶うわけがない。この想いは、心の奥底にしまって、諦めるしかない。そう思っていた。
勇者様への片思いを拗らせていた僕は勇者様から溺愛される
八朔バニラ
BL
蓮とリアムは共に孤児院育ちの幼馴染。
蓮とリアムは切磋琢磨しながら成長し、リアムは村の勇者として祭り上げられた。
リアムは勇者として村に入ってくる魔物退治をしていたが、だんだんと疲れが見えてきた。
ある日、蓮は何者かに誘拐されてしまい……
スパダリ勇者×ツンデレ陰陽師(忘却の術熟練者)
不倫の片棒を担がせるなんてあり得ないだろ
雨宮里玖
BL
イケメン常務×平凡リーマン
《あらすじ》
恋人の日夏と福岡で仲睦まじく過ごしていた空木。日夏が東京本社に戻ることになり「一緒に東京で暮らそう」という誘いを望んでいたのに、日夏から「お前とはもう会わない。俺には東京に妻子がいる」とまさかの言葉。自分の存在が恋人ではなくただの期間限定の不倫相手だったとわかり、空木は激怒する——。
秋元秀一郎(30)商社常務。
空木(26)看護師
日夏(30)商社係長。
永久糖度
すずかけあおい
BL
幼い頃、幼馴染の叶はままごとが好きだった。パパはもちろん叶でママはなぜか恵吾。恵吾のことが大好きな叶の気持ちは、高校二年になった今でも変わっていない。でも、これでいいのか。
〔攻め〕長沼 叶
〔受け〕岸井 恵吾
外部サイトでも同作品を投稿しています。
小石の恋
キザキ ケイ
BL
やや無口で平凡な男子高校生の律紀は、ひょんなことから学校一の有名人、天道 至先輩と知り合う。
助けてもらったお礼を言って、それで終わりのはずだったのに。
なぜか先輩は律紀にしつこく絡んできて、連れ回されて、平凡な日常がどんどん侵食されていく。
果たして律紀は逃げ切ることができるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる