10年前に戻れたら…

かのん

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恭平サイド②

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「あ、はい。」




ここの花屋は朝九時半から準備をして10時に開店だ





恭平が表に花を置こうとシャッターを開けると強い風が吹いた





「うわ、強いな~」





強くつぶった瞼をそっと開けると目の前のベンチに女性が座っていた





「あ…」




白いベンチに髪の毛が長い女性





長い髪の毛はパーマがかかっているのかふわふわしており





風になびいている姿が美しかった





スラリと伸びた白い脚もまた綺麗だった





バラ模様のエプロンを着て上品に座っている





20代ぐらいの女性だろうか



恭平は女性の美しさに見とれてしまっていた





恭平は急いで視線をそらし、店の中へ入ろうとする





「…」





一度は店の中に入ろうとしたものの、女性へ向かって歩き出した













「あの…」














「髪の毛に桜の花びらついています。」





「え?」





さっきの強風で髪の毛に花びらがついてしまっていた






女性は自分の髪の毛を触るが花びらはとれない






恭平は花びらをとってあげ女性に差し出した




「ふふ、ドラマのワンシーンみたいね。」





そういって無邪気に笑う女性が可愛かった





「桜君!お店始めるよ!」





奥さんがお店から声をかけてきた





「あ、もう10時になったのね。私行かなきゃ。」



「あなた桜君っていうの?」






「え…」






恭平が自分がさくら病院の跡取りだと知られるのが嫌だった






さくらという苗字がこの付近にはあまりいないため、さくらと名乗ればさくら病院の息子だとすぐにばれた






「素敵な名前ね!桜君ありがとう!」




どうやら女性は下の名前だと思ったらしい





「下の名前って思われたの初めて…はは。」





立ち去っていく女性の後ろ姿を見ながら、恭平はつぶやいた





これがハナさんと俺の出会い






ハナさん




俺はずっとこの苗字が嫌いだったよ





でも皮肉にも同じ名前の桜の花びらでハナさんと話せるきっかけができた






だから今はこの名前も好きになりつつあるよ






俺も本当の名前のこといえなかったけど





ハナさん、ハナさんの本当の名前は何?




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