王の宝~元亜光速宇宙移民船の疑似人格電脳は人として生きる夢を見るか~

広海智

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第七章 壊れた宝 二

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     二

 ナーヴェの体は、ひどく冷たかった。馬車の座席に腰掛けた自らの膝の上に、その冷たい体を座らせ、抱き抱えて、アッズーロは気づいた。華奢な肩が、両方とも脱臼している。押さえておかねば、ぶらぶらと揺れる細い両腕が、痛々しい。
「あやつら、覚えておけよ……!」
 歯軋りして、アッズーロは立ち上がり、ナーヴェの体を座席に仰向けに寝かせた。肩の脱臼は経験があり、治し方も知っている。自分には、今そのくらいしかできないが、せめてそのくらいはしてやりたかった。
 ナーヴェの左腕を持ち上げて肩関節を嵌め直し、次いで右腕を持ち上げて肩関節を嵌め直したアッズーロは、ふと動きを止めた。ナーヴェの右手、曲げられた小指の内側に、文字が書いてある。
[温め厳禁]
 その、極短い言葉で、アッズーロは全てを悟り、顔をしかめた。
「そなた――、本当に、しぶといな……」
 パルーデ配下の銀髪の従僕が語った、ナーヴェ自身の伝言の通りだ。
「『ぼくはきみが思っているより、しぶといから大丈夫』か……」
 こんな状況だというのに、苦笑してしまう。
(そなたには、われらがどう行動するか、大方読めているのだな……)
 パルーデがひどく協力的で、あの銀髪の従僕を王城へ連れてきただけでなく、ノッテという黒髪の工作員をヴァッレに貸し与えたことも。ペルソーネがヴァッレ配下の工作員達と行動をともにして、ナーヴェ救出のため奔走したことも。アッズーロが、ナーヴェの意図に気づき、神殿へ連れていくだろうことも。アッズーロがその途中で、ナーヴェの体を改め、この文字を見ることも。大方は、ナーヴェの予測の範囲内なのだ。
 アッズーロは溜め息をついて、ナーヴェを座席に寝かせたまま、馬車の床に座り込んだ。[温め厳禁]とは、体を冷えたままにしておけということだろう。確かに、そのほうが体は腐らない。
(われがそなたの遺体を抱き抱えることも、当然予測していたか)
 しかし、何の支えもなしでは、ナーヴェの体は馬車の揺れで床に落ちてしまう。アッズーロは床に胡坐を掻いて、馬車が揺れるたびにナーヴェの体をそっと押さえながら、神殿までの道程を過ごした。
 神殿へ続く白い階段の下で、アッズーロは馬車を停めさせた。疾うに日は沈み、風が吹き荒ぶ夜空には雲が垂れ込めて月も星もない。その闇の中、近衛兵達が掲げる松明の灯りを頼りに、ここばかりは仕方なしと、アッズーロはナーヴェの肉体を両腕で抱え、階段を登った。神殿の扉は、アッズーロが近づくと音もなく開き、白い通路にも灯りが点って、招き入れてくれた。
 その後も順に開いていく扉と自動的に点っていく灯りに導かれ、アッズーロはナーヴェを大切に抱えて、神殿の奥へ進んでいった。着いた先は、予想通り、ナーヴェの肉体が生まれた、あの硝子のような樽のある部屋だった。
 アッズーロが前に立つと、樽の透明な側面が静かな唸りを立てて床に沈んだ。側面がなくなった樽の底へ、アッズーロはナーヴェの体をそっと横たわらせた。アッズーロが樽の外へ出るとすぐに、また硝子のような側面が上がり、天井へ至った。直後に、樽の底から液体が湧いてきて、ナーヴェの肉体を浸し、飲み込んでいく。やがて樽一杯に満ちた液体の中で、ナーヴェの肉体は、長く青い髪をゆらゆらと広げて浮かんだ。
【――ありがとう】
 久し振りの声に、アッズーロは目頭が熱くなるのを感じた。
「子は、助かるのか?」
 つい、ぶっきらぼうに問うた。
【うん】
 白い長衣を纏ったいつもの姿で、実体でないナーヴェは真剣に頷く。
【この子だけは、絶対助ける】
「――そなたの肉体もだ。必ず助けよ」
 無理かもしれないと思いつつ、アッズーロは命じた。樽の外に佇むナーヴェは、肩を竦めて苦笑した。
【きみは、変わらないね。約束はできないけれど、努力するよ。きみが両肩の脱臼を治してくれたお陰で、少しはましな状態になっているしね】
「分かっていたのか」
【あの時は、肉体が死んでいたから何の反応もできなかったけれど、治してくれているのはきっときみだって、ちゃんと分かっていたよ。ありがとう。とても嬉しかった】
 本当に嬉しげに礼を述べてから、宝は、小首を傾げて尋ねた。
【それで、もしぼくの肉体も助けられた場合、少し手を加えることができるけれど、胸は大きくしたほうがいいのかな?】
 宝は、大真面目な顔をしている。アッズーロは、その整った顔を見つめ、暫し絶句してから答えた。
「――いや、今まで通りでよい。われは、そなたの、その姿のままの肉体が気に入っておるのだ」
【そう。よかった……】
 ナーヴェは、安心したように顔を綻ばせる。つい抱き締めたくなる可愛らしさだ。触れないのがもどかしい。歯噛みしたアッズーロは、不意に思い至って、低い声で確かめた。
「――ロッソは――奴は、そなたに触れたのか」
 ナーヴェは、一瞬アッズーロを見つめ返してから、僅かに目を伏せて告げた。
【うん。彼は、ぼくの肉体を隅々まで――中まで調べたよ。本当に人の体なのか、女なのか、疑問だったんだろうね】
 アッズーロは、両拳を握り締めた。ロッソの愛撫は、恐らくパルーデのものより、酷だっただろう。
「――それで、もっと胸が大きいほうがよいと、奴が言うたのか?」
【ううん】
 実体でないナーヴェは首を横に振る。
【彼は、そんなことには興味がないみたいだったよ。罰だと言ってぼくの肉体に触れたけれど、きみのようなことはしなかった】
「われのようなこと……?」
 聞き返したアッズーロに、宝は笑顔で言った。
【うん。彼は、手しか使わなかったよ】
 アッズーロは再び絶句し、同時に安堵もして、ほっと両拳の力を弛めた。
【ああ、でも、不思議だった】
 宝は、まだ話を続ける。
【きみに抱かれた時は何ともなかったのに、ロッソに調べられた後は、吐き気がして仕方なかったんだ。パルーデに味見された後も吐き気がした。きみの時だけ何ともないなんて、変だよね……。やっぱり、ぼくは、もうかなり壊れているみたいだよ……】
 深刻な表情で締め括った宝に、アッズーロは込み上げてきた感情を、深い溜め息をついてやり過ごし、教えた。
「それは、そなたがわれのことを好いておるということだ。それも、特別にな。それを壊れると表現するならば、われが許す。大いに壊れるがよい」
 宝は、呆気に取られたようにアッズーロを見てから、呟いた。
【壊れていいと言われたのは、建造されて以来、初めてだよ。きみはやっぱり、変わっているね……】
 どちらがだ、と胸中で言い返し、アッズーロは腕組みして、硝子のような樽の中へ視線を戻した。暫く目を離していた間に、細い体の手首と足の傷が、随分と治っている。
「両方助けられそうか?」
 改めて問うと、実体でないナーヴェは曖昧な表情をした。
【今のところ上手くいっているけれど、まだ断言はできない。何しろ、ぼくの肉体は死んでいるし、子どもの心拍数もかなり落としたからね。回復には時間が掛かるから、きみは王城へ帰って待っていたらいいよ】
「いや、ここで待つ」
 アッズーロは言い切って、その場に腰を下ろした。離れたところで無事を祈るなど、二度と御免だった。


 「待つ」と宣言したアッズーロは、一時間もしない内に、座ったまま居眠りを始めた。きっとナーヴェの肉体が攫われてから、碌に寝ていないのだろう。
(ここは寒くはないだろうけれど……)
 ナーヴェは、実験室にある五つの監視装置全てで青年を見つめ、思考回路で呟いた。体を横たわらせたり、掛布を掛けたりしてやりたい。アッズーロが、ナーヴェの肉体にしてくれたことと同じことを、返したい。
(でも、肉体がないと、そういうことが、何もできない……)
 うつらうつらと舟を漕ぐアッズーロの、柔らかな暗褐色の髪に、ちょっとした絡まりが見える。肉体があれば、手を伸ばしてすぐに梳いてやれるのだが、今はそれができない。ナーヴェの本来の体である巨大な船体では、そういうことが、一切できない。
(ぼくは、もしかしたら、きみ以上に、ぼくの肉体を求めているのかもしれない……)
 肉体があれば、ウッチェーロを看取る時、ただ話し掛けるだけでなく、その手を握ることができた。肉体があれば、代々の王が、王でなくなった後も、出会って話すことができた。肉体があれば、できたことが、できることが、たくさんある――。
(でも、幾ら肉体があっても、きみの最期を正常に看取ることが、ぼくにはもうできない……)
 演算すれば、そう解が出る。
(代々の王を見送ったように、きみを見送ることはできない……。きみがいない世界で、正常に機能し続けることは、もう不可能だ……)
 アッズーロは、ナーヴェに、壊れることを許した。
(ぼくは、きみより先に、機能停止してもいいだろうか……?)
 自ら機能停止する演算をしてしまってから、ナーヴェは、幻覚の首を横に振った。アッズーロの「壊れるがよい」という言葉は、決してそこまでは意味していない。その程度は理解できる。しかし、完全に壊れてしまって正常に機能しなくなった自分が、人々に対し、どんな影響を及ぼすのか。演算すれば、悪い予測しか立たない。
(ぼくは、きみが思っている以上に、壊れてしまっているんだよ……)
 ナーヴェは天井の監視装置で、眠る青年を悲しく見下ろした。

 
「……ッズーロ、アッズーロ」
 呼ばれて、そっと肩を揺すられ、アッズーロは、はっと目を開けた。その視界で、さらりと長く青い髪が揺れる。華奢な体が目の前に両膝をついている。
「ナーヴェ――」
 顔を上げると、深い青色の双眸と目が合った。微笑むその顔をよく見るより先に、アッズーロは両手を伸ばして、細い体を抱き寄せてしまっていた。質素な貫頭衣を纏ったままの体は、まだ濡れている。それでも、確かな温もりがあり、心臓の鼓動が聞こえた。
「馬鹿者め――、心配を掛けおって――」
 アッズーロは、ナーヴェの平らな胸に顔を押し付けたまま、文句を言った。
「ごめん……」
 ナーヴェは、濡れた両腕で、そっとアッズーロの頭と肩を抱き締めてくる。柔らかな抱擁に、暫く目を閉じて浸ってから、アッズーロはおもむろに胡坐を解いて膝立ちになった。ナーヴェの体を両腕で抱き寄せたまま、その濡れた顔を今度は見下ろし、無言で口付ける。ナーヴェの肉体が沈んでいた液体の所為か、微かに塩味を帯びたほろ苦い味がする。暫く口付けてから、アッズーロは、その味の正体に気づいた。
(これは、涙か――)
 半ば閉じていた目を開け、見てみると、口付けに応じているナーヴェの閉じた両眼の端から、涙が溢れて零れるところだった。
(馬鹿者め、そなたは本当に、われを血迷わせる――)
 アッズーロは、そのまま更に深く口付けて、涙を流すナーヴェを味わった。やがて、ナーヴェがそっと両手で、アッズーロの胸を押した。気づいて口を離すと、アッズーロの腕の中で、ナーヴェは、はあはあと肩で息をした。長く深く口付け過ぎたらしい。
「すまん。少々夢中になった。大丈夫か?」
 問うと、ナーヴェはこくりと頷いて、アッズーロを見上げた。白い頬が紅潮し、青い双眸はまた涙を流しそうに潤んでいる。何度でも口付けしたい衝動を抑えて、アッズーロは確かめた。
「腹の子は、無事なのだな?」
「うん。大丈夫だよ。また元気に細胞分裂を始めている」
 ナーヴェは穏やかな笑顔で答えた。その華奢な体を支え、ともに立ち上がってから、アッズーロは言った。
「ここからは、政治的な話だ。卑劣なテッラ・ロッサによって不当に殺された王の宝が、神が起こし賜うた奇跡により復活を果たすのだ。そなたも、ある程度は考えていたことだろう?」
「きみのそういうところは、さすがだね。その通りだよ」
 ナーヴェは嬉しげに微笑む。
「ただ捕らわれて殺されただけでは、いろいろと勿体ないからね。ぼくの持つ知識の中にある故事を真似てみようと計画したんだ。どこまで計算通りにいくかは、賭けだったけれど」
「『勿体ない』か! は!」
 アッズーロは鼻を鳴らした。散々心配させておいて、こういうことを言うから、この宝は侮れない。
「ああ、ごめん。ぼくはまた、不具合を起こしたね……」
 落ち込んだ様子で俯いた宝に、アッズーロは溜め息混じりに伝えた。
「もうよい。いい加減慣れたわ。前にも言うた通り、われは幼子ではないからな。そなたは、そのままでよい。不具合を起こそうが、壊れようが、そなたの全てが、われにとっては愛おしい」
 ナーヴェは驚いた顔でアッズーロを見上げ、目を瞬いた。その頬が、耳が、見る見る赤く染まっていく。初めて見るナーヴェの反応に、アッズーロは急に気恥ずかしくなり、自身もまた赤面するのを感じた。普段なら、赤面を隠すためそっぽを向くところだが、これまでになく愛らしい宝から目を逸らすことなどできない。今はこれが最後と己に言い聞かせながら、アッズーロはナーヴェの肩を抱き寄せ、その顎に手を添えて、優しく口付けた。
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