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第06章 伝説の剣
第17話 ユーと合流
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牢に着くとユーは目覚めていた。というか、大暴れしていた。
牢の中から魔法を打ちまくっていたのだ。
牢には魔法制御とかしてないの? 結界とかあると思うんだけど。
剣を取られているからだろうけど、どんだけ乱発したんだというぐらい地下牢は荒れていた。
今も風の魔法を乱発してるんだろう、危なくて誰も近づける状態じゃない。
ユーの放つ無数の風魔法は、非常に強力で近づくと致命傷を負いかねない。
恐らく鉄格子を切断しようと放ってるのだろうけど、エルダードワーフ作成の鉄格子だから堅固過ぎて勇者であるユーの魔法をもってしても切断できないようだ。
そこは流石に鍛冶の里の鉄格子だなと思う。思うが、魔法制御もしておけよ!
ユーの名前を叫んでみるけど、風魔法がそこかしこにぶつかる音が騒がし過ぎて俺の声は届かないようだ。
ギィィィィン! ガスッ! ドサッ
あっ!
衛星に頼んで一旦眠らせてもらおうかと考えてた矢先に、衛星が反撃をしたと思われる音が聞こえた。
もう何度も聞いてる音だ。
速すぎてまったく見えなかったけど、たぶん風魔法が俺を襲ったのだろう。
それを防御し俺に対する攻撃と見なし反撃したってとこかな。
という事は……反撃対象はユーだよな? 衛星には味方って概念は無いのか? 俺以外、全員敵だと思ってんじゃないだろうな。
そのあたり、タマちゃんと話し合わないとな。
今まで荒れ狂うように場を支配していた風魔法が収まり、奥へ進めるようになった。
衛星の反撃はいつも通り完璧なようだった。という事は…ユーが衛星に倒されてるんだろうな。
予想通り、牢まで来てみるとユーが倒れていた。顎に赤くなった部分があるので、最近衛星のマイブームである顎への一撃で気絶させたんだろうな。
相手には衛星が見えないんだから防ぎようも無いし、気絶させるにはかなり有効な手段だな。
見えないのに当たる……今更だけど幽霊みたいなものでは無いんだな。
タマちゃんに頼んでユーの回復をしてもらう。回復薬を振り掛けてもいいんだけど、衛星に頼み方が手っ取り早い。
ただ、ユーがまだ目を覚まさないんで振り出しに戻るみたいになってしまった。
仕方が無いな、もう用は終わったしユーが目覚めるまでここで待とうか。
前回のように、いつ目覚めるとも分からない状況でも無いし、すぐに目覚めてくれるんじゃないかな。
その旨をコウホウさんに伝えて俺はユーが目覚めるのを牢の中で待つ事にした。
鍵は開けておいてもらっている。
ユーが仲間だと伝えているし、さっきどうやったかは誰にも分かってなかったけど、俺がユーを眠らせたのは分かったようだし、「お任せします」とコウホウさんは一人の守衛を残してこの場を後にした。
「夢? ……」
ようやくユーが目覚めたようだ。と言ってもコウホウさんが出て行ってから一○分程度だ。
「目が覚めた? 気分はどう?」
「……本物?」
俺の膝枕に移動をさせて一○分、寝ぼけ眼で俺を見上げながらそんな事を言ってくる。
かわい~。
「うん、本物だよ」と笑ってみせる。
ギュ――――ッ!
ううっ!
突然ユーが抱き付いて来たが、締める力が強過ぎて息ができなくなる。これじゃ抱擁じゃなくて強烈なベアバッグだ。
ユーもそのつもりで抱きついてきたようだ。
「なんで来たのよ」
「……」
息ができないので話せない。
「なんでって聞いてんのよ!」
「……」
かなりヤバくなってきた。
「なんとか言いなさいよ!」
「……」
もうだめだ……
意識が遠のいて行く…もうダメだと思った時、ようやく拘束が解かれた。
なんとか諦めてくれた? 俺、助かったのかな?
「……もうダメ」
え? それは俺のセリフなんだけど。
ぐ~~~~~
ん? 何の音?
音の出処を探すが、俺以外には一人しかいない。そこにはさっきまで俺をベアバックしていたユーが、上目遣いで顔を赤らめ睨んでた。
「仕方が無いでしょ! あなたと別れてから何も食べてないんだから!」
そんなの知らないよ! お金は持ってるはずだろ? 自分で買えばいいじゃないか!
さっきの音はお腹が鳴った音だったようだ。恥ずかしさを誤魔化すためにユーから怒鳴られた。
理不尽な言葉を受け、そんな事を考えてると続けざまにユーから言葉を掛けられた。
「早く出してよ」
何を? ……あっ、食べ物だな。ちゃんとお願いしろって。
ここは牢の中だしゆっくり食べられるような場所でもないので、ファーストフード的なハンバーガーとコーラのセットを衛星に出してもらった。
相手が同郷のユーならこれでいいだろ。
どうやって作ったかなんて知らないよ? そんなの衛星に聞いてくれ。
出したハンバーガーを「なにこれ、反則~!」などと文句を言いながらおかわりを何度もせがみ、結局十個も食べたユーであった。
いや、十個とか無理だから。三個も食べたら腹一杯だし、何より同じものばかりだと飽きるだろ。
懐かしさも手伝ったのかもしれないが、ユーはハンバーガ十個を完食し、コーラも三杯飲んだ。呆れるほど食欲旺盛なユーだった。
「うう……もう…動けない……」
そりゃそうだろ! そんだけ食って平気な顔をされる方が驚きだって。
さっきまで気絶して横たわっていたが、今度は超満腹のため、同じように横たわってるユー。今の方が苦しそうだ。
そんな苦しそうなユーだけど、事情は聞いておかないといけない。
「それでユー? なんでこんな事になってるか説明してくれる?」
「うん……でも、今は無理」
「え?」
「…苦しくて…話せない……」
そんなになるまで食うなよ!
仕方が無いので、また俺の膝を占領したユーを待つ事に。待つ事三○分……zzzzzzzzz
寝てんじゃねー!
振り回され続けてて世話も焼いてるのに、自由過ぎるユーにイラっと来たので揺さぶり起こした。
「おいユー! 起きろ!」
何か、じゃにさんみたい?
自分の言葉に、ややうけしつつユーを起こした。
「なぁに?」
「なぁにじゃない! 可愛く言ってもダメ。今、寝てただろ、ちゃんと説明してくれよ」
両手を上げて欠伸をするユー。
本人にその気は無いのだろうけど、ミサイル的な二つの胸が超主張している。
いつもながら見事なもんだ。と、おっさんのような感想を抱いていると、そんな事は気にする素振りも見せずにユーが説明を始めた。
ユーは俺と別れた早朝、そのままこの地を目指し馬で出掛けた。
そこまでは俺も知ってるが、その後、馬が遅すぎると思ったユーは、馬を降りるとそのまま自走でここまで来たそうだ。
馬は勝手に戻ってるんじゃない? なんて、馬の事など興味が無いって返事をされたが、馬を降りたのは出発してから一時間も行ってない場所だというから、うちの敷地内だろうし無事に戻ってるんじゃないかな。最悪でも妖精樹のヨウムが何とかしてくれてそうな気がする。
馬が戻って来たとは聞いてなかった。厩もそうだけど【星の家】にも寄ってないから聞いてない。というか、ユーが馬を持って出た事も言ったかどうか定かでない。言ったような気はするけど……
その後、この辺りの森まで一気に走りきったユーだったが、街道を通らず一直線に森の中を一気に走ったため途中の街にも寄ることができず、何も食べる事も無くここまで来たそうだ。
途中出くわした魔物や獣は倒したが、解体どころか料理も出来ないユーは、何も食べる事もできず、最終的に俺と同様にこの周辺を警邏していたエルダードワーフに見つかり食事とエルダードワーフの里の相談をした所、ユーの持つ剣に興味を示したエルダードワーフが仲間を呼んだようで、ぞろぞろと青い毛のドワーフが集まりだすと、その内の一人がユーの剣に手を出した所からバトルが勃発。
その後は、負傷していたエルダードワーフの話に続くってわけなんだけど、なぜ牢に入れられるほどまでのバトルになったのか。
一応、殺人まではやってないようだけど、手や足を斬られてた奴もいたし、多勢に無勢じゃ仕方が無かったのかもしれないけど、逃げればよかったんじゃないの?
ユーなら簡単に逃げられたと思うよ。なんでバトルに応じちゃったんだ?
「だって……エイジが私のために用意してくれた剣に手を出そうとしたんだよ? そんなの許せるわけ無いじゃない!」
原因は俺? 理由としては嬉しいけど、それなら伝説の剣なんて……そういうんじゃなかったな。腕試しみたいなもんで、勇者としての箔をつけるために剣を求めて来たんだったね。
だとしても、一旦引いて、落ち着いてから再交渉すればいいのに。
「でも、ユーは勇者なんだから勇敢な心だけじゃなく、冷静な心も併せ持たないとダメなんじゃない?」
「ぐっ…分かってるわよ。でも、ここからもう動きたく無かったんだもん」
まぁ、動きたくなかった理由なんて、どうせお腹が空いて動きたくなかったとかだろうし、これ以上の反省は帰ってからでもいいか。
先にこれからの事を決めないとここから動けないな。
「あのさ、ユーが意識を失ってる間に、クラマとマイアと一緒にここに来たんだけど、もうエルダードワーフ達とは仲良くなったんだよ。ユーはまだ戦う気かい?」
「やっぱり、あの青い集団はエルダードワーフだったのね。エイジが仲良くなってくれたんなら争う気は無いけど、私相当斬っちゃったよ? 私に争う気は無くても、向こうが黙ってないんじゃない?」
一応、気にしてるんだ。だったら斬らなきゃいいのに。
「もう仲良くなったって言っただろ? ユーの事も仲間だと説明してあるから大丈夫だと思うよ。それに、ユーが斬った人達は全員治したから」
ありがとう! と言って大袈裟に俺に抱き付いてお礼を言うユー。
おっ、結構フレンドリーな関係になってきたのかな? 実際はそれ以上の関係だけど、順番なんて関係ない。こういう恋人同士的な触れ合いが嬉しいじゃないか。
「それでクラマさんとマイアさんは?」
「うん、二人ならエルダードワーフからの頼み事の解決に出掛けてるよ。遅くとも明日の朝までには戻るんじゃないかな」
「頼み事?」
「うん、エルダードワーフの大切な泉が枯渇しそうなんだって。で、その原因の調査と、できれば解決まで。たぶん二人の事だから解決までしてくるんじゃないかな」
「そうね、あの二人なら簡単に終わらせてしまうでしょうね」
ユーも俺と同意見のようだ。やっぱりそう思うよね、クラマは森の魔物や動物の支配者みたいな所があるし、マイアは森の精霊でクラマよりも強い。どう考えてもすぐに解決して戻って来そうだ。
ユーとの話も終わり、理由も大体分かったので、ここから出る事にした。これ以上ここにいても仕方が無いし、上に上がってクラマとマイアの帰りを待つ事にした。
上に上がって入り口の番をしてる二人に、どこか落ち着ける所が無いか聞いてみた。
さっき倉庫まで往復したが、食堂のような所もあったが、どこも酒しか出してないみたいなんだ。俺たち二人にはハードルの高そうな店だし、どこか無いかと聞いてみたんだけど、この里は人口が少なく余所者が来る事も無いので、お店自体が少ないそうだ。
食事に関しては収納にも沢山入ってるし衛星もいるから心配はしてないんだけど、落ち着ける場所を探してるんだけどな。
無いものは仕方が無い。一旦、里の外に出て、小屋を出して軽くお茶でもしようかと考えてたら、クラマとマイアが帰って来た。
なにかいつもと違う感じがしたので、ユーと二人で顔を見合わせると、クラマとマイアの元へ駆けて行った。
牢の中から魔法を打ちまくっていたのだ。
牢には魔法制御とかしてないの? 結界とかあると思うんだけど。
剣を取られているからだろうけど、どんだけ乱発したんだというぐらい地下牢は荒れていた。
今も風の魔法を乱発してるんだろう、危なくて誰も近づける状態じゃない。
ユーの放つ無数の風魔法は、非常に強力で近づくと致命傷を負いかねない。
恐らく鉄格子を切断しようと放ってるのだろうけど、エルダードワーフ作成の鉄格子だから堅固過ぎて勇者であるユーの魔法をもってしても切断できないようだ。
そこは流石に鍛冶の里の鉄格子だなと思う。思うが、魔法制御もしておけよ!
ユーの名前を叫んでみるけど、風魔法がそこかしこにぶつかる音が騒がし過ぎて俺の声は届かないようだ。
ギィィィィン! ガスッ! ドサッ
あっ!
衛星に頼んで一旦眠らせてもらおうかと考えてた矢先に、衛星が反撃をしたと思われる音が聞こえた。
もう何度も聞いてる音だ。
速すぎてまったく見えなかったけど、たぶん風魔法が俺を襲ったのだろう。
それを防御し俺に対する攻撃と見なし反撃したってとこかな。
という事は……反撃対象はユーだよな? 衛星には味方って概念は無いのか? 俺以外、全員敵だと思ってんじゃないだろうな。
そのあたり、タマちゃんと話し合わないとな。
今まで荒れ狂うように場を支配していた風魔法が収まり、奥へ進めるようになった。
衛星の反撃はいつも通り完璧なようだった。という事は…ユーが衛星に倒されてるんだろうな。
予想通り、牢まで来てみるとユーが倒れていた。顎に赤くなった部分があるので、最近衛星のマイブームである顎への一撃で気絶させたんだろうな。
相手には衛星が見えないんだから防ぎようも無いし、気絶させるにはかなり有効な手段だな。
見えないのに当たる……今更だけど幽霊みたいなものでは無いんだな。
タマちゃんに頼んでユーの回復をしてもらう。回復薬を振り掛けてもいいんだけど、衛星に頼み方が手っ取り早い。
ただ、ユーがまだ目を覚まさないんで振り出しに戻るみたいになってしまった。
仕方が無いな、もう用は終わったしユーが目覚めるまでここで待とうか。
前回のように、いつ目覚めるとも分からない状況でも無いし、すぐに目覚めてくれるんじゃないかな。
その旨をコウホウさんに伝えて俺はユーが目覚めるのを牢の中で待つ事にした。
鍵は開けておいてもらっている。
ユーが仲間だと伝えているし、さっきどうやったかは誰にも分かってなかったけど、俺がユーを眠らせたのは分かったようだし、「お任せします」とコウホウさんは一人の守衛を残してこの場を後にした。
「夢? ……」
ようやくユーが目覚めたようだ。と言ってもコウホウさんが出て行ってから一○分程度だ。
「目が覚めた? 気分はどう?」
「……本物?」
俺の膝枕に移動をさせて一○分、寝ぼけ眼で俺を見上げながらそんな事を言ってくる。
かわい~。
「うん、本物だよ」と笑ってみせる。
ギュ――――ッ!
ううっ!
突然ユーが抱き付いて来たが、締める力が強過ぎて息ができなくなる。これじゃ抱擁じゃなくて強烈なベアバッグだ。
ユーもそのつもりで抱きついてきたようだ。
「なんで来たのよ」
「……」
息ができないので話せない。
「なんでって聞いてんのよ!」
「……」
かなりヤバくなってきた。
「なんとか言いなさいよ!」
「……」
もうだめだ……
意識が遠のいて行く…もうダメだと思った時、ようやく拘束が解かれた。
なんとか諦めてくれた? 俺、助かったのかな?
「……もうダメ」
え? それは俺のセリフなんだけど。
ぐ~~~~~
ん? 何の音?
音の出処を探すが、俺以外には一人しかいない。そこにはさっきまで俺をベアバックしていたユーが、上目遣いで顔を赤らめ睨んでた。
「仕方が無いでしょ! あなたと別れてから何も食べてないんだから!」
そんなの知らないよ! お金は持ってるはずだろ? 自分で買えばいいじゃないか!
さっきの音はお腹が鳴った音だったようだ。恥ずかしさを誤魔化すためにユーから怒鳴られた。
理不尽な言葉を受け、そんな事を考えてると続けざまにユーから言葉を掛けられた。
「早く出してよ」
何を? ……あっ、食べ物だな。ちゃんとお願いしろって。
ここは牢の中だしゆっくり食べられるような場所でもないので、ファーストフード的なハンバーガーとコーラのセットを衛星に出してもらった。
相手が同郷のユーならこれでいいだろ。
どうやって作ったかなんて知らないよ? そんなの衛星に聞いてくれ。
出したハンバーガーを「なにこれ、反則~!」などと文句を言いながらおかわりを何度もせがみ、結局十個も食べたユーであった。
いや、十個とか無理だから。三個も食べたら腹一杯だし、何より同じものばかりだと飽きるだろ。
懐かしさも手伝ったのかもしれないが、ユーはハンバーガ十個を完食し、コーラも三杯飲んだ。呆れるほど食欲旺盛なユーだった。
「うう……もう…動けない……」
そりゃそうだろ! そんだけ食って平気な顔をされる方が驚きだって。
さっきまで気絶して横たわっていたが、今度は超満腹のため、同じように横たわってるユー。今の方が苦しそうだ。
そんな苦しそうなユーだけど、事情は聞いておかないといけない。
「それでユー? なんでこんな事になってるか説明してくれる?」
「うん……でも、今は無理」
「え?」
「…苦しくて…話せない……」
そんなになるまで食うなよ!
仕方が無いので、また俺の膝を占領したユーを待つ事に。待つ事三○分……zzzzzzzzz
寝てんじゃねー!
振り回され続けてて世話も焼いてるのに、自由過ぎるユーにイラっと来たので揺さぶり起こした。
「おいユー! 起きろ!」
何か、じゃにさんみたい?
自分の言葉に、ややうけしつつユーを起こした。
「なぁに?」
「なぁにじゃない! 可愛く言ってもダメ。今、寝てただろ、ちゃんと説明してくれよ」
両手を上げて欠伸をするユー。
本人にその気は無いのだろうけど、ミサイル的な二つの胸が超主張している。
いつもながら見事なもんだ。と、おっさんのような感想を抱いていると、そんな事は気にする素振りも見せずにユーが説明を始めた。
ユーは俺と別れた早朝、そのままこの地を目指し馬で出掛けた。
そこまでは俺も知ってるが、その後、馬が遅すぎると思ったユーは、馬を降りるとそのまま自走でここまで来たそうだ。
馬は勝手に戻ってるんじゃない? なんて、馬の事など興味が無いって返事をされたが、馬を降りたのは出発してから一時間も行ってない場所だというから、うちの敷地内だろうし無事に戻ってるんじゃないかな。最悪でも妖精樹のヨウムが何とかしてくれてそうな気がする。
馬が戻って来たとは聞いてなかった。厩もそうだけど【星の家】にも寄ってないから聞いてない。というか、ユーが馬を持って出た事も言ったかどうか定かでない。言ったような気はするけど……
その後、この辺りの森まで一気に走りきったユーだったが、街道を通らず一直線に森の中を一気に走ったため途中の街にも寄ることができず、何も食べる事も無くここまで来たそうだ。
途中出くわした魔物や獣は倒したが、解体どころか料理も出来ないユーは、何も食べる事もできず、最終的に俺と同様にこの周辺を警邏していたエルダードワーフに見つかり食事とエルダードワーフの里の相談をした所、ユーの持つ剣に興味を示したエルダードワーフが仲間を呼んだようで、ぞろぞろと青い毛のドワーフが集まりだすと、その内の一人がユーの剣に手を出した所からバトルが勃発。
その後は、負傷していたエルダードワーフの話に続くってわけなんだけど、なぜ牢に入れられるほどまでのバトルになったのか。
一応、殺人まではやってないようだけど、手や足を斬られてた奴もいたし、多勢に無勢じゃ仕方が無かったのかもしれないけど、逃げればよかったんじゃないの?
ユーなら簡単に逃げられたと思うよ。なんでバトルに応じちゃったんだ?
「だって……エイジが私のために用意してくれた剣に手を出そうとしたんだよ? そんなの許せるわけ無いじゃない!」
原因は俺? 理由としては嬉しいけど、それなら伝説の剣なんて……そういうんじゃなかったな。腕試しみたいなもんで、勇者としての箔をつけるために剣を求めて来たんだったね。
だとしても、一旦引いて、落ち着いてから再交渉すればいいのに。
「でも、ユーは勇者なんだから勇敢な心だけじゃなく、冷静な心も併せ持たないとダメなんじゃない?」
「ぐっ…分かってるわよ。でも、ここからもう動きたく無かったんだもん」
まぁ、動きたくなかった理由なんて、どうせお腹が空いて動きたくなかったとかだろうし、これ以上の反省は帰ってからでもいいか。
先にこれからの事を決めないとここから動けないな。
「あのさ、ユーが意識を失ってる間に、クラマとマイアと一緒にここに来たんだけど、もうエルダードワーフ達とは仲良くなったんだよ。ユーはまだ戦う気かい?」
「やっぱり、あの青い集団はエルダードワーフだったのね。エイジが仲良くなってくれたんなら争う気は無いけど、私相当斬っちゃったよ? 私に争う気は無くても、向こうが黙ってないんじゃない?」
一応、気にしてるんだ。だったら斬らなきゃいいのに。
「もう仲良くなったって言っただろ? ユーの事も仲間だと説明してあるから大丈夫だと思うよ。それに、ユーが斬った人達は全員治したから」
ありがとう! と言って大袈裟に俺に抱き付いてお礼を言うユー。
おっ、結構フレンドリーな関係になってきたのかな? 実際はそれ以上の関係だけど、順番なんて関係ない。こういう恋人同士的な触れ合いが嬉しいじゃないか。
「それでクラマさんとマイアさんは?」
「うん、二人ならエルダードワーフからの頼み事の解決に出掛けてるよ。遅くとも明日の朝までには戻るんじゃないかな」
「頼み事?」
「うん、エルダードワーフの大切な泉が枯渇しそうなんだって。で、その原因の調査と、できれば解決まで。たぶん二人の事だから解決までしてくるんじゃないかな」
「そうね、あの二人なら簡単に終わらせてしまうでしょうね」
ユーも俺と同意見のようだ。やっぱりそう思うよね、クラマは森の魔物や動物の支配者みたいな所があるし、マイアは森の精霊でクラマよりも強い。どう考えてもすぐに解決して戻って来そうだ。
ユーとの話も終わり、理由も大体分かったので、ここから出る事にした。これ以上ここにいても仕方が無いし、上に上がってクラマとマイアの帰りを待つ事にした。
上に上がって入り口の番をしてる二人に、どこか落ち着ける所が無いか聞いてみた。
さっき倉庫まで往復したが、食堂のような所もあったが、どこも酒しか出してないみたいなんだ。俺たち二人にはハードルの高そうな店だし、どこか無いかと聞いてみたんだけど、この里は人口が少なく余所者が来る事も無いので、お店自体が少ないそうだ。
食事に関しては収納にも沢山入ってるし衛星もいるから心配はしてないんだけど、落ち着ける場所を探してるんだけどな。
無いものは仕方が無い。一旦、里の外に出て、小屋を出して軽くお茶でもしようかと考えてたら、クラマとマイアが帰って来た。
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