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第四章
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しおりを挟むある日の王妃候補教育の後。
私はジュゼッペ様を誘ってお茶をすることにした。
受けてくれるか心配だったが、笑顔で了承した姿には安心した。
もちろん、二人きりの方が色々と都合が良かったのだが、婚約者候補であり一人の公爵令嬢はそうもいかない。
部屋の外に護衛。
中にはリーシェとヒルユの二人もいる。
今は婚約者候補共通の休憩室。
一階の角部屋で日当たりがよく、外には綺麗な花々が見える。
お茶にはうってつけの場だろう。
「アイシア様から誘っていただけるだなんて……とても嬉しいですわ」
「なら良かったです」
専属侍女であるヒルユの淹れた紅茶を飲みながら微笑む。
「王妃候補教育。…思っていたより大変ですわね」
「そうですね」
「覚えることが多くて困りますわ…。私あまり覚えるのは苦手で」
「そうなんですか」
「えぇ」
苦笑いを浮かべる。
ということは、王妃候補教育自体はあまり好きでは無いのだろうか。
「……正直ジュゼッペ様は、王妃候補教育は好きではないのですか?」
我ながら思い切ったこと聞くものだ。機嫌を損ねてしまうかもしれないが、今は気にする必要が無いように何故か思えてしまう。
「…そうですわね。好きか嫌いかなら嫌いだと思いますわ」
「………」
意外にも素直に答えるので驚いた。
「そんなに驚くことですの?私も一人の人間ですわ。好き嫌いくらいあるのは当然ではなくって?」
「いや…」
好き嫌いあることが悪いことでは無い。嫌いなことをしっかりとこなしているのが凄いわけでも無く…。
……彼女はそうまでして婚約者に、王妃になりたいのだろうか。
「…ジュゼッペ様は婚約者…果ては王妃になる覚悟はおありなのですか」
「まぁ…。アイシア様からそんなことを言われるだなんて思いませんでしたわ。……もちろんありますわ。そうでなくては婚約者候補になどなりませんもの」
「なら…どうして殿下がお会いにならないことには何も言われないのですか」
「殿下もお忙しい方。そこはわきまえております」
「私一人が…会っているとしても…?」
「それは、私はそのとき選ばれなかっただけ。そう割り切りますわ」
「……」
おかしい。
ジュゼッペ様は本心を隠している。
割り切る?
出会った頃は、私が殿下に選ばれるなどおかしいと怒っていたのに。
なのに何故今はそうでないのだろうか。
矛盾だらけだ。
「……ジュゼッペ様は………本当に殿下の婚約者になりたいのですか?」
「…えぇ。もちろん」
そう言って優雅に微笑む。
何故だか、今見る笑顔は作り物と感じれる。
張り付いた笑みの裏に何があるというのだろうか。
何を、考えているのだろうか。
嫌な考えが横切る。
もしかしたら、本当は殿下を殺すつもりで近づいた…とか。
公爵令嬢がそんなことをするとは思えないが、今考えられる最悪の場合はそれだ。
殿下を好き嫌いという感情を抜きにしても、これは見過ごせない。
ジュゼッペ様が何を考えているか、しっかりと理解する必要があるみたいだ。
もはや優雅なお茶などではなく。
探り合いの始まりだ。
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