天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司

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第二部「ハルコン青年期」

46 サスパニア出張旅団、フォリア山国境付近まで前進する_06

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「ヒイィィ―――ッッヤァッ!!」

 10メートルほどの助走と共に、中年の一級剣士が渾身の力で槍を放った。

 その槍は風切り音を放ちつつ、上空に来襲する5体の翼竜のウチ、先頭の右翼に直撃。
 しかも、そのまま貫通して天空に消えていった。

「す、……凄い!?」

 ハルコンの隣りで、シルファー団長が目を見張って、思わず言葉を漏らした。

「「「「「「「「「「うおおおおおおぉぉぉ――――――っっっ!!!」」」」」」」」」」

 フォルナ山の四囲を轟かせるほどの、旅団全団員による絶叫が、その後に続く。
 今回、この景気づけの一番槍により、戦局は一気に旅団に傾いた。

 ちなみに、この槍は一級剣士がドワーフの親方に特注で作って貰った、特殊合金製の槍だ。

 その合金の配合については、ハルコンが前世の晴子の頃にネットで動画を見て、その記憶を基に親方に伝えたものだ。
 まさに特注品の槍で、重心のバランスなども含めて、ふたつとない逸品と言えた。

「あぁ~~あぁっ、……。勿体ない!」

 残念そうに「半次郎」がぼやくと、一級剣士は「まだ、何本もあるぞ!」といって、ニヤリと笑った。

「へぇーっ、ふふっ。そなんだ!」

 それから、「半次郎」は何かに思いついたような顔をして、一級剣士の許に小走りで駆け寄って、彼の耳元に何事か話している。

 一体、何を話しているんだろう? と、ハルコンは指揮車両の中から見て思った。

「次、くるぞっ! 南西15度っ!!」

 指揮車両内の女占い師の先読みを、車外の元女盗賊が大絶叫で旅団全体に伝える。

 その叫び声に応じて、弓使いの女エルフが放った矢は、ぴゅふぃぃーーーっと風切り音を上げながら、2体目の翼竜の左眼に命中。

「次、くるぞっ! 北東25度っ!! ゴリネルッ、トラコッ! 目にモノを見せれやっ!!」

 元女盗賊が檄を飛ばすと、傭兵部隊のゴリネルとトラコが、急接近した残り3体の翼竜のウチの1体に、反身のロングソードで切りかかって、袈裟懸(けさが)けにしてみせた。

「「「「「「「「「「うおおおおおおぉぉぉ――――――っっっ!!!」」」」」」」」」」

 その功績に、傭兵達が大騒ぎを始める。

「ちさまらっ、まだ終わってねぇぞっ! 次っ、再び南西20度っ!!」

 すると、……。
 先ほどと同様、中年の一級剣士が槍を放つや、「半次郎」がその槍に飛びかかってぶら下がると、そのまま4体目の翼竜目がけて、迫っていく。

「凄い、凄い、凄いっ!? 『半次郎』って凄すぎっ!?」

「ホンと、まるで軽業師のようですねっ!?」

 ハルコンの傍らで、護衛対象のシルファー団長とステラ殿下が、お互いに両手を取り合って興奮気味に騒いでいる。

 ちらりと、ミラがこちらを見てきた。
 その目は、「ハルコン、美味しいところ持ってかれちゃったね」と、しみじみと語っているようだった。
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