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第一部「ハルコン少年期」
12 NPCとハルコン_04
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* *
それからしばらくして、長雨の時期に入った頃だ。
ハルコンは母ソフィアに同行し、馬車の車窓から領都の街中をぼんやりと眺めていた。
小雨の降る中でも、人々は忙しく往来を進み、店には人が溢れていた。
ふぅ~ん、なるほどねぇと、ハルコンは思った。
実はこのファルコニアと呼ばれる異世界でも、調律者によって予め用意されたNPC達が、結構な数生活している。
もちろん、常人にはワカる術もないのだが。
でも、ハルコンには持って生まれた能力がある。車窓から街の人々を横目で眺めながら、誰がNPCなのか直ぐにワカってしまうのだ。
そう言えば、以前屋敷の近くではぐれゴブリンに遭遇した後、直ぐにハルコンは単身で森の中を潜って、そのアジトを発見していた。
それは30数匹程の小規模な群れだったが、しばらく探ってみると、その集団を束ねるホブゴブリンが何とNPCだと判明した。
ハルコンが、試しにそのホブゴブリンの意識にフルダイブしてみると、問題なく意識を乗っ取ることに成功する。
しかも、ゴブリン特有の言語? に近い意識共有システムにもアクセスすることができた。それは、ハルコンの科学者としての前世の好奇心を大いに満たすものだった。
そこでワカったのは、先頃ハルコンとミラの2人で3体のゴブリンに脳震盪を負わせたせいで、どうやら集団として報復を考えていたということ。
直ぐ様、ハルコンはホブゴブリンの姿を借りて、グループのゴブリン達に命令する。
人間にはこの先、絶対手出しをするな!
我々のアジトは、森の更なる奥の方に移動する! と。
これが上手く奏功したのか、ゴブリン達は大人しく人間達の目の前から姿を消した。
「大体、こっちの世界でも3割位かなぁ?」
ハルコンはそう呟きながら、再び車窓の日常の街の風景をじっと見つめている。
「ハルコン、何の話ですか?」
隣りに座るソフィアが、率直に訊ねてきた。
「王都に比べて、ウチの領都の店舗数はどれ位かなぁ、……なんて」
「まぁっ」
さらりと言い抜けるハルコンに、ソフィアはくすくすと笑って見つめている。
しばらくして、晴れ間が差してきた。
領都の街を陽光が照らし、店々には、ハルコンの齎した様々な商品が溢れていた。
もちろんドワーフの親方を経由したものが多いのだが、お好み焼きやクレープ、スモークサーモンやスモークチーズのように、ハルコン由来の食べものも数多い。
おや。あの少女の店員さん、……NPCだね。
予め意思や思念をインストールされ、ごく普通にクレープを売っているNPCの少女。
少女はどこかの村の女性の身体から生まれたワケではなく、ある日突然神様によって記憶データをインストールされ、ロボットのように適材適所に配置されているのだ。
おそらく彼女本人、NPCだなんて認識、これっぽっちもないんだろうなぁ。
ふと、ハルコンは目に付いた店員のNPCに、アクセスしてみよっかと悪戯心が起こった。
既に、複数のNPC達と思念同調している。なら、もう一人位構わないのかなぁと。
現状とても安定しているし、多少ムリも利くんじゃないのかなぁと。
でも、ムリが祟って精神崩壊してしまうような気もするし、ハルコンは思わず二の足を踏んだ。
なるほど、……これが禁忌なんだろうね。
それからしばらくして、長雨の時期に入った頃だ。
ハルコンは母ソフィアに同行し、馬車の車窓から領都の街中をぼんやりと眺めていた。
小雨の降る中でも、人々は忙しく往来を進み、店には人が溢れていた。
ふぅ~ん、なるほどねぇと、ハルコンは思った。
実はこのファルコニアと呼ばれる異世界でも、調律者によって予め用意されたNPC達が、結構な数生活している。
もちろん、常人にはワカる術もないのだが。
でも、ハルコンには持って生まれた能力がある。車窓から街の人々を横目で眺めながら、誰がNPCなのか直ぐにワカってしまうのだ。
そう言えば、以前屋敷の近くではぐれゴブリンに遭遇した後、直ぐにハルコンは単身で森の中を潜って、そのアジトを発見していた。
それは30数匹程の小規模な群れだったが、しばらく探ってみると、その集団を束ねるホブゴブリンが何とNPCだと判明した。
ハルコンが、試しにそのホブゴブリンの意識にフルダイブしてみると、問題なく意識を乗っ取ることに成功する。
しかも、ゴブリン特有の言語? に近い意識共有システムにもアクセスすることができた。それは、ハルコンの科学者としての前世の好奇心を大いに満たすものだった。
そこでワカったのは、先頃ハルコンとミラの2人で3体のゴブリンに脳震盪を負わせたせいで、どうやら集団として報復を考えていたということ。
直ぐ様、ハルコンはホブゴブリンの姿を借りて、グループのゴブリン達に命令する。
人間にはこの先、絶対手出しをするな!
我々のアジトは、森の更なる奥の方に移動する! と。
これが上手く奏功したのか、ゴブリン達は大人しく人間達の目の前から姿を消した。
「大体、こっちの世界でも3割位かなぁ?」
ハルコンはそう呟きながら、再び車窓の日常の街の風景をじっと見つめている。
「ハルコン、何の話ですか?」
隣りに座るソフィアが、率直に訊ねてきた。
「王都に比べて、ウチの領都の店舗数はどれ位かなぁ、……なんて」
「まぁっ」
さらりと言い抜けるハルコンに、ソフィアはくすくすと笑って見つめている。
しばらくして、晴れ間が差してきた。
領都の街を陽光が照らし、店々には、ハルコンの齎した様々な商品が溢れていた。
もちろんドワーフの親方を経由したものが多いのだが、お好み焼きやクレープ、スモークサーモンやスモークチーズのように、ハルコン由来の食べものも数多い。
おや。あの少女の店員さん、……NPCだね。
予め意思や思念をインストールされ、ごく普通にクレープを売っているNPCの少女。
少女はどこかの村の女性の身体から生まれたワケではなく、ある日突然神様によって記憶データをインストールされ、ロボットのように適材適所に配置されているのだ。
おそらく彼女本人、NPCだなんて認識、これっぽっちもないんだろうなぁ。
ふと、ハルコンは目に付いた店員のNPCに、アクセスしてみよっかと悪戯心が起こった。
既に、複数のNPC達と思念同調している。なら、もう一人位構わないのかなぁと。
現状とても安定しているし、多少ムリも利くんじゃないのかなぁと。
でも、ムリが祟って精神崩壊してしまうような気もするし、ハルコンは思わず二の足を踏んだ。
なるほど、……これが禁忌なんだろうね。
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