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第一部「ハルコン少年期」
15 民が救われるのなら、それでいい_06
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国王や宰相、父カイルズ、女占い師らの内輪だけの会合が終わった後、ハルコンは屋敷の一角にある彼の研究室で、続けていた作業の手を一度止めた。
テーブルの上には、所狭しとビーカーやらメスシリンダー、シャーレ等が並び、精密顕微鏡には、昨日近隣の森で採取した土壌標本のプレパラートが据えられていた。
ハルコンはレンズから目を離すと、そのまま立ち上がった。肩をポンポンと叩きながら長椅子のところまでいき、横になって大きく伸びをひとつした。
「疲れたぁ~っ!」
う~ん、やっぱり地球と違って異世界だからなのかなぁ?
これだけ探したというのに、アイウィルビンの含まれる土壌が、ホンと見つからないんだよね。
ハルコンは苦虫を噛むような表情で天井を睨み付けると、軽く頭を掻きむしった。
「あ~っ、もうっ! 一体どこにあるのかなぁ~っ!?」
屋敷の者は、とっくに寝静まっている時刻だ。慌てて口元を手で押さえると、再び腕組みをして考え込む。
たとえ前世の知識を基に、経済や産業を発展させることに貢献できても、……。
たとえ多くのNPC達の協力を得て、個人では到底叶わない作業を実行できても、……。
ハルコンの本質は、この世界にきてもなお、現役バリバリの薬学の研究者だ。
だから、今以て公衆衛生には非常に関心が高く、隣国の悲惨な現状をハルコンは思い悩んでいた。
現在、女盗賊の配下の者が数名、隣国コリンドの帝都に潜伏中だ。
彼らによると、帝都は人口過密状態だそうだ。ハルコンは女盗賊の思念に同調することで、詳しく状況を聞かされていた。
現地の治安は非常に悪く、下水も整備されておらず、糞尿も路肩に垂れ流しの状態。どうやら衛生環境は最悪のようだ。
帝国は、ファイルド国との戦争で、当てにしていた領地も賠償金も取れなかった。
そのまま戦後復興に漕ぎ着けず、社会全体が埋没してしまっている現状だということ。
そんな中、帝都の人々は、ファイルド国について多くの噂話をしているらしい。
例えば、隣国ファイルド国は戦後復興で国が栄え、人々の生活も増々向上しているとか。
獣人達が大切に扱われ、社会基盤を支える重要な役割を担っているとか。
セイントーク領、シルウィット領産のスモークチーズ、スモークサーモンは絶品だとか。
食用油が安価になり、食生活が大幅に改善されているとか。
もしかして、ファイルド国は地上の楽園なのではないか? とか。
ハルコンは、それらの噂全てが真実だと知っているし、実際その多くに彼自身深く関わってきたのだ。
ここで、ハルコンは大変憂慮すべき噂を、ひとつ耳にする。
何でも、帝国の第3皇女殿下は体調が非常に悪く、大変苦しんでおられるのだとか。
まだお若く、ハルコンに近い年齢らしい。
できれば、お救いして差し上げたいのだけど。
このままでは、……近い将来、帝都に疫病が蔓延する可能性すらある。
ハルコンは、一刻も早くアイウィルビンを見つけ出さなくてはダメだと思い、眠い目を擦りながら、再び実験器材の載ったテーブルの方に向かっていった。
国王や宰相、父カイルズ、女占い師らの内輪だけの会合が終わった後、ハルコンは屋敷の一角にある彼の研究室で、続けていた作業の手を一度止めた。
テーブルの上には、所狭しとビーカーやらメスシリンダー、シャーレ等が並び、精密顕微鏡には、昨日近隣の森で採取した土壌標本のプレパラートが据えられていた。
ハルコンはレンズから目を離すと、そのまま立ち上がった。肩をポンポンと叩きながら長椅子のところまでいき、横になって大きく伸びをひとつした。
「疲れたぁ~っ!」
う~ん、やっぱり地球と違って異世界だからなのかなぁ?
これだけ探したというのに、アイウィルビンの含まれる土壌が、ホンと見つからないんだよね。
ハルコンは苦虫を噛むような表情で天井を睨み付けると、軽く頭を掻きむしった。
「あ~っ、もうっ! 一体どこにあるのかなぁ~っ!?」
屋敷の者は、とっくに寝静まっている時刻だ。慌てて口元を手で押さえると、再び腕組みをして考え込む。
たとえ前世の知識を基に、経済や産業を発展させることに貢献できても、……。
たとえ多くのNPC達の協力を得て、個人では到底叶わない作業を実行できても、……。
ハルコンの本質は、この世界にきてもなお、現役バリバリの薬学の研究者だ。
だから、今以て公衆衛生には非常に関心が高く、隣国の悲惨な現状をハルコンは思い悩んでいた。
現在、女盗賊の配下の者が数名、隣国コリンドの帝都に潜伏中だ。
彼らによると、帝都は人口過密状態だそうだ。ハルコンは女盗賊の思念に同調することで、詳しく状況を聞かされていた。
現地の治安は非常に悪く、下水も整備されておらず、糞尿も路肩に垂れ流しの状態。どうやら衛生環境は最悪のようだ。
帝国は、ファイルド国との戦争で、当てにしていた領地も賠償金も取れなかった。
そのまま戦後復興に漕ぎ着けず、社会全体が埋没してしまっている現状だということ。
そんな中、帝都の人々は、ファイルド国について多くの噂話をしているらしい。
例えば、隣国ファイルド国は戦後復興で国が栄え、人々の生活も増々向上しているとか。
獣人達が大切に扱われ、社会基盤を支える重要な役割を担っているとか。
セイントーク領、シルウィット領産のスモークチーズ、スモークサーモンは絶品だとか。
食用油が安価になり、食生活が大幅に改善されているとか。
もしかして、ファイルド国は地上の楽園なのではないか? とか。
ハルコンは、それらの噂全てが真実だと知っているし、実際その多くに彼自身深く関わってきたのだ。
ここで、ハルコンは大変憂慮すべき噂を、ひとつ耳にする。
何でも、帝国の第3皇女殿下は体調が非常に悪く、大変苦しんでおられるのだとか。
まだお若く、ハルコンに近い年齢らしい。
できれば、お救いして差し上げたいのだけど。
このままでは、……近い将来、帝都に疫病が蔓延する可能性すらある。
ハルコンは、一刻も早くアイウィルビンを見つけ出さなくてはダメだと思い、眠い目を擦りながら、再び実験器材の載ったテーブルの方に向かっていった。
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