211 / 500
第一部「ハルコン少年期」
28 思えば、遠くにまできたもんだね_07
しおりを挟む
* *
このノーマン・ロスシルドという少年は、品性が下劣、強きに靡き弱きを挫くようなトンでもない性格の持ち主として、ハルコンの目に映っていた。
しかもノーマンのヤツは、「己は貴族として選ばれた、何やら特別な人種だ!」と自負しているのだから、……全く以て手に負えないんだよね。
少年の被害者は、領の内外で数知れず。父親の権勢を盾に、これまで散々弱者をイジメてきた。
ミラもまたそんな被害者の一人だ。でも彼女の場合、セイントーク家がシルウィット家をサポートすることで、被害を最小限に止めることができた。
ロスシルド家も、表立ってセイントーク家と揉めたくなかった。だから、ノーマンも親の顔色を窺って匙加減をしつつ、ミラをいびって楽しんでいたのだ。
ハルコンはそんなことを思いながら、中年の一級剣士とノーマンのやり取りの「記憶」を覗いていた。
『ノーマンッ! オマエは、ホンとどうしようもないヤツだっ! 男ならこれくらいの剣捌き、何とかしろっ!」
『畜生っ、この糞剣士っ! 親父の命令じゃなければ、速攻で叩き切ってやるのにっ!』
泣きじゃくって絶叫する我が子を、修練場の片隅でハラハラとした表情で見つめる父ジョルナム。
おそらくジョルナムは、この捻くれてねじ曲がった根性の息子の性格を、何とかして叩き直そうと思ったのかもしれない。
そこで尊敬する一級剣士に、「ぜひとも稽古をつけて下され!」と強く願い出たのだろう。
すると、一級剣士も堂に入ったものだ。
たぶん、その男前な表情で営業スマイルよろしくニヤリと笑い、ジョルナムの申し出を受け容れたのだろう。
『チックショーッ! 今に見てろよっ! 必ず一発入れてやるっ!』
足捌きもドタドタして、剣の振りもただただ力任せ。
ハルコンの目には、ノーマンの動きが、まるで学のない猿のような身のこなしに見えた。
だが、辛うじてノーマンの放った剣先が、たったの一発だけ剣士の木刀に当てることができたのだ。
『おぉっ!』
ジョルナムは、終始苦渋を噛み締める表情を浮かべていたのだが、……。漸く解放されたように、笑みがこぼれ出た。
何だか、みっともなくて、……ホンと愚かなんだけどさ。でもさ、こういう連中なんだから仕方ないよね。
ハルコンは、陰謀の限りを尽くすロスシルド家を、心の底から不快に思っていた。
でも、ノーマンのラッキーパンチのようなひと振りに一喜一憂する親子を見て、「何だかいた堪れないよね!」と、……自然と、口から言葉が漏れていた。
このノーマン・ロスシルドという少年は、品性が下劣、強きに靡き弱きを挫くようなトンでもない性格の持ち主として、ハルコンの目に映っていた。
しかもノーマンのヤツは、「己は貴族として選ばれた、何やら特別な人種だ!」と自負しているのだから、……全く以て手に負えないんだよね。
少年の被害者は、領の内外で数知れず。父親の権勢を盾に、これまで散々弱者をイジメてきた。
ミラもまたそんな被害者の一人だ。でも彼女の場合、セイントーク家がシルウィット家をサポートすることで、被害を最小限に止めることができた。
ロスシルド家も、表立ってセイントーク家と揉めたくなかった。だから、ノーマンも親の顔色を窺って匙加減をしつつ、ミラをいびって楽しんでいたのだ。
ハルコンはそんなことを思いながら、中年の一級剣士とノーマンのやり取りの「記憶」を覗いていた。
『ノーマンッ! オマエは、ホンとどうしようもないヤツだっ! 男ならこれくらいの剣捌き、何とかしろっ!」
『畜生っ、この糞剣士っ! 親父の命令じゃなければ、速攻で叩き切ってやるのにっ!』
泣きじゃくって絶叫する我が子を、修練場の片隅でハラハラとした表情で見つめる父ジョルナム。
おそらくジョルナムは、この捻くれてねじ曲がった根性の息子の性格を、何とかして叩き直そうと思ったのかもしれない。
そこで尊敬する一級剣士に、「ぜひとも稽古をつけて下され!」と強く願い出たのだろう。
すると、一級剣士も堂に入ったものだ。
たぶん、その男前な表情で営業スマイルよろしくニヤリと笑い、ジョルナムの申し出を受け容れたのだろう。
『チックショーッ! 今に見てろよっ! 必ず一発入れてやるっ!』
足捌きもドタドタして、剣の振りもただただ力任せ。
ハルコンの目には、ノーマンの動きが、まるで学のない猿のような身のこなしに見えた。
だが、辛うじてノーマンの放った剣先が、たったの一発だけ剣士の木刀に当てることができたのだ。
『おぉっ!』
ジョルナムは、終始苦渋を噛み締める表情を浮かべていたのだが、……。漸く解放されたように、笑みがこぼれ出た。
何だか、みっともなくて、……ホンと愚かなんだけどさ。でもさ、こういう連中なんだから仕方ないよね。
ハルコンは、陰謀の限りを尽くすロスシルド家を、心の底から不快に思っていた。
でも、ノーマンのラッキーパンチのようなひと振りに一喜一憂する親子を見て、「何だかいた堪れないよね!」と、……自然と、口から言葉が漏れていた。
151
あなたにおすすめの小説
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる