天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司

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第一部「ハルコン少年期」

30 火薬_08

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   *          *

「……、以上を持ちまして、こたびの報告を終えさせて頂きます」

「これまた、……やってくれたな、ハルコン!」

 寮長が、苦り切った表情で昨晩行われた花火大会の顛末の報告書を読み終えると、ラスキン国王陛下と宰相は2人して額を抑えながら顔を振った。

 大変盛り上がった花火大会の翌日。ハルコンは再び王宮に呼び出されていた。

「ハルコン、……貴族寮の近隣住民達からの申告でな。寮の裏庭の上空に、突如雷炎と共に異界の門が出現したと、そう申しておるそうだ。これについて、何か申し開きはあるかね?」

 宰相はそう仰って、苦り切った表情で問い詰めてきた。

「い、いえ、……特にはございません」

 大人に叱られる子供のように肩をすくめて、ハルコンはペコリと頭を下げた。

 ここは、王宮の奥深く、……王族がプライベートの会合を開くための、12畳程の一室だ。
 前回、ハルコンは父カイルズと共に招かれ、男爵位の授与のための打ち合わせを行っていた、あの部屋だ。

 だが、今回は大いに異なる。
 王ラスキンも宰相も、花火大会の締めで打ち上げた大輪の花火30発について問い詰めている。

 叱るべきか讃えるべきか、……どちらにすべきか判断が付きかねる様子で、事の真相を訊ねてきたのだ。

 ハルコンはちらりと、王の傍らに立つシルファー先輩を見た。
 すると、一瞬だけニコリと笑顔をお向けになられると、再びおすまし顔になられた。

 今回の呼び出しは、……要は、お説教の時間だ。

 たとえハルコンが若干7歳の子供であっても、王宮に何ら届け出もなく花火を王都の上空に打ち上げたのは、大変マズかった。

 宰相はクドクドと、ハルコンの発明が人々に如何に影響を及ぼすかもっと熟慮すべきだと、様々な言い方をしながら告げてくる。

「……、ハルコンよ、……オマエは天の才に恵まれておるが、考えが不足しておる。7歳という年齢を考慮すれば、それもいたし方ないのではあるのだがな」

 そう仰って、宰相は頭痛を堪えるように、再び額を両手で押さえた。

 まぁ、そう言われてもなぁ、……。前世の晴子の年齢を足したら、確かに結構な年齢になるんだよねぇ。
 うん。熟慮が足りなかった。反省。

 ハルコンはそう思って、反省の色を示すように表情を作っていると、ラスキン国王陛下がこちらをじっと見つめられていることに気が付いた。

 すると、陛下がニコリと笑顔をされた。
 えっ!? どういうこと? その笑顔って、何?

 ハルコンは、陛下の真意を計りかねた。

「まぁまぁ、宰相。そう頭ごなしに叱るばかりでは、お互い成長せぬぞ!」

 陛下は宰相を宥められるように、そう仰った。

「確かに。私もあまりのことに、いささか気が動転していたようです」

「それは、我も同様だぞ、宰相」

 王ラスキンの言葉に、宰相は弱った表情を浮かべて、小さく頷いた。
 これで何とかなるかなと、ハルコンも内心ホッとしていると、次に陛下はこう仰られた。

「ハルコン、……いや『神の御使い』殿よ。今後異界の知識を披露される場合、事前に王宮に報告して頂きたい。それくらいは、配慮して頂けますかな?」

「はっ、はいっ!!」

 長年王国運営に熟慮に熟慮を重ねてこられた王ラスキンの言葉の重みに、ハルコンは思わず首を縦に振らざるを得なかった。
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