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第一部「ハルコン少年期」
40 サスパニア出張旅行 その3_10
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* *
さて、……と。
ハルコンは陛下と面会した後、王宮の離れにあるステラ殿下がお住いの白亜の建物の方へと向かった。
先日ミラから聞いた話では、今頃はステラ殿下とシルファー先輩、ミラの3人でお菓子作りをしている予定のはず、……。
まぁ、とりあえずだけどさ。今回のサスパニア出張旅行の件、彼女達からもちゃんと了承を得ないとマズいからなぁ。
とにかく、王宮からの指示よりも先に、こちらから話だけでも伝えておかないとね、とハルコンは思った。
初夏の王宮内の庭に、程よく配置された樹々の数々。
そろそろ正午近くになり、気温が30度を優に超える中、比較的涼しげな木漏れ日のかげを選んでは進んでいく。
汗ばむ額を手の甲で拭いつつ、白亜の建物の入り口の前に辿り着くと、ドアの呼び鈴を鳴らした。
「はぁ~いっ」
入口のドア越しに、少女の陽気な声がする。木板づくりの床の廊下をパタパタと小走りに近付いてくるのが、こちらからもワカった。
「あらぁ、ハルコン。いらっしゃい!」
ステラ殿下が、こちらを見て、ニッコリと笑顔で出迎えて下さった。
「こんにちは、殿下。大事なお話があるのですが、中に入ってもよろしいですか?」
「えぇ、どうぞ。ハルコンも中にお入りになって!」
こちらの言葉に、いくぶん表情を変えてそう仰ると、そのまま中に入れて下さった。
室内はセイントーク領産の冷暖房設備のおかげで、常時23度前後に保たれていて、とても快適だ。
ひんやりとした風に当たってホッと一息吐いていると、廊下の奥の台所方面から、シルファー先輩とミラの笑い声がこちらまで聞こえてきた。
「今さっきまで、シルファー殿下とミラと3人で水ようかんを作っていたのよ。後でハルコンも如何かしら?」
「いいですねぇ」
「ふふっ、冷蔵庫に入れてよく冷やしていますから、……。後ほど食べながら、そのお話を詳しくお聞かせ願いますわね!」
「ふふふっ、了解です!」
実を言うと、この水ようかんのレシピは、王宮の夏のデザート向きに私が用意したんだよね。
まぁ地球と違って、小豆自体がこのファルコニアの世界には存在しないからさ。
代替品に、碧豆という小豆によく似た碧い豆を使っているんだけどね。
見た目と違って味はばっちり小豆そのものだからさ、……とっても美味しいんだよ。
でも、こちらの世界では、豆類は塩味が基本だからさ。
私が、豆類を甘く煮詰めて作る餡子を紹介したら、最初は皆さん随分表情を硬くされていたんだよなぁ。
一度、その魅力を理解したらさ。皆さんアンパンも受け容れてくれたし、ようかんも今では大好物なんだけどね。
さて、……と。
ハルコンは陛下と面会した後、王宮の離れにあるステラ殿下がお住いの白亜の建物の方へと向かった。
先日ミラから聞いた話では、今頃はステラ殿下とシルファー先輩、ミラの3人でお菓子作りをしている予定のはず、……。
まぁ、とりあえずだけどさ。今回のサスパニア出張旅行の件、彼女達からもちゃんと了承を得ないとマズいからなぁ。
とにかく、王宮からの指示よりも先に、こちらから話だけでも伝えておかないとね、とハルコンは思った。
初夏の王宮内の庭に、程よく配置された樹々の数々。
そろそろ正午近くになり、気温が30度を優に超える中、比較的涼しげな木漏れ日のかげを選んでは進んでいく。
汗ばむ額を手の甲で拭いつつ、白亜の建物の入り口の前に辿り着くと、ドアの呼び鈴を鳴らした。
「はぁ~いっ」
入口のドア越しに、少女の陽気な声がする。木板づくりの床の廊下をパタパタと小走りに近付いてくるのが、こちらからもワカった。
「あらぁ、ハルコン。いらっしゃい!」
ステラ殿下が、こちらを見て、ニッコリと笑顔で出迎えて下さった。
「こんにちは、殿下。大事なお話があるのですが、中に入ってもよろしいですか?」
「えぇ、どうぞ。ハルコンも中にお入りになって!」
こちらの言葉に、いくぶん表情を変えてそう仰ると、そのまま中に入れて下さった。
室内はセイントーク領産の冷暖房設備のおかげで、常時23度前後に保たれていて、とても快適だ。
ひんやりとした風に当たってホッと一息吐いていると、廊下の奥の台所方面から、シルファー先輩とミラの笑い声がこちらまで聞こえてきた。
「今さっきまで、シルファー殿下とミラと3人で水ようかんを作っていたのよ。後でハルコンも如何かしら?」
「いいですねぇ」
「ふふっ、冷蔵庫に入れてよく冷やしていますから、……。後ほど食べながら、そのお話を詳しくお聞かせ願いますわね!」
「ふふふっ、了解です!」
実を言うと、この水ようかんのレシピは、王宮の夏のデザート向きに私が用意したんだよね。
まぁ地球と違って、小豆自体がこのファルコニアの世界には存在しないからさ。
代替品に、碧豆という小豆によく似た碧い豆を使っているんだけどね。
見た目と違って味はばっちり小豆そのものだからさ、……とっても美味しいんだよ。
でも、こちらの世界では、豆類は塩味が基本だからさ。
私が、豆類を甘く煮詰めて作る餡子を紹介したら、最初は皆さん随分表情を硬くされていたんだよなぁ。
一度、その魅力を理解したらさ。皆さんアンパンも受け容れてくれたし、ようかんも今では大好物なんだけどね。
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