前世の記憶そのままのオッサンが転生したら

ぬっこさん。

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今晩の野営地を決めたら
ティナはそそくさとモアを降りて林の奥へ行ってしまった。

「おーい!」

「ちょっとぉ~!来ないでよっ!」

(理解…………(白目)



「あ~疲れた……腰が痛い。てか、こんな、道から丸見えの場所ってちょっと落ち着かないよな……」

野営の準備をしながら
思わず口にする

スッキリした顔(笑)で戻って来たティナが
「疲れたね、後で腰に薬草貼ってあげようか?
野営する場所は……此処しかなかったんだもん。仕方ないでしょ。」
と荷物満載のモアを見た。

道の方に頭を向け、並べて停めてるから若干の仕切り替りにはなっているようだ。

「多分ここまで道に近いと魔物の類いは出て来ないわね!」

「そう云うもんなの?」

「うん。まぁ魔物とエンカウントする確率が低くなった分、他の確率があがったけどね。」

ティナはテント等野営の荷物を降ろして設営に取り掛かっている。

「他とは?何?」

動きを止めてこちらを見ながらティナが言った。

「人よ。」

地面に少し穴を掘り竈の準備しながら思った。
(ああ……確かに。言われて見ればそうか。たまたま魔物の居る世界だから魔物と戦うけど、皆が皆、魔物を相手に戦う訳じゃ無かった。そう言えば、前世なんて敵と言えば人だったじゃん)

「確かに。」

「魔物に対しては魔除けが有るから……って全部に効くわけじゃ無いけど、人間に対して人除けって道具は無いもんね。」

(やっぱ人払い的なアイテムは無いのか。世界が違うと言えども結局、人の敵は人なのか。何だかなぁ……)

「じゃ、人除けみたいな魔法は無いの?」

簡易竈に薪を入れて火をつけ始める。

「ある訳無いでしょ!(笑)そんな魔法あったらそこら中犯罪だらけになっちゃうよ!」

(そらそーだ……)

「行商とか旅人とかさ、そう云う輩の標的にされやすいからホント大変だよ。」

テントを拡げて石でペグを地面に打ちながらティナが話を続ける。

「襲う方も馬鹿じゃ無いから、大抵はあからさまに冒険者パーティーって解る様な所は襲わないのね。逆に冒険者パーティばかり狙う盗賊も居るみたいだけど。
冒険行ってさ、魔物倒してアイテムゲットしてさ、疲労してる所に襲われた~とかよくある話だよ。」

(なんだ~?犯罪する奴って世界が変わっても万国共通の考え方するのなwww何、ヒトゲノムとか関係あんのか?)

「なんだかなぁ……」
(自分は今異世界に居るの解ってんだけどなんだコレ?ただ外国に来ただけの感覚は?)

「今晩は香草の雑炊にしてみます!」

そう言って、水が貼ってある鍋には大根と人参がざく切りになって入れてある。
(やけに野菜の量が多いんだが……)

「味は?」

「シンプルに塩と胡椒だよ!」

「なるほど。」
(醤油とか味噌が恋しい……)

「本当は大根の葉っぱも使いたいんだけどさ、アク抜きしないで入れるとエグくなるから捨てちゃっても良いよね?」

「良いよ~!」

辺りも大分暗くなり野菜が煮えるまで暫く時間がある。

「ところでさ、今日取った魔石って売れるの?」

「そんなに高くは無いけど売れるよ!


「あんなちっさいのってさ、何に使うの?」

「や~……色々あるよ~?ほら、冒険者カードの偽造防止用とか、首輪の認識用とか、装飾品にして魔道具にしたりね。あ、そうそう!最初会った時探して貰った指輪も魔道具なんだよ!」

「なるほど……」
(解らん事だらけで俺、アホの子みたいだ…)

「この世界ってさ、髪の毛が青とかピンクとかの人っているの?」
(異世界と言えば奇抜い髪の色がデフォだろっ!)

「自毛で?」

「うん。」

「居る訳無いでしょ(笑)そりゃ、染めてる人とかは居るかもしれないけどね。」
(あっさり否定された……何このアースカラーメインな地味な世界は……俺の異世界ロマンを返せ!)

「ん?どしたの?」

「いや……なんでも……(白目)」

鍋がグツグツいい始める

「ティナさ、何であの時魔法使わなかったの?てか、まさか使えない訳じゃ無いよなぁ?」

ジッと鍋を見ながらティナが口を開く。

「う~ん……そうだけど、
まぁ、虫が…………てか食事の前に変な事思い出させないでよね!(怒)」

「すまん……」
(言うんじゃ無かった……俺も思い出してしまった……)

「まぁ……帰ったら話すよ。」

(何か先延ばしにする所、俺か?!おまいは俺か?)

棒を使って鍋を竈から降ろし
刻んだ香草をぽいぽい入れている。

「もぉ~……変な事言うから食欲無くなっちゃったじゃないのよぉ~!」

「だからスマンて……(しゅん)」





夜中、カラカラと何台か馬車の通過する音が聞こえた。

(そういや、耳栓あったんだよな…)

暗がりの中ゴソゴソとジャージのポケットをまさぐる。

(あった!)

「う~ん……」
とティナは寝返りを打ち、艶かしい声が聞こえて来る。

(起こしたか……?)

ティナの方を見るが起きた感じでは無さそうだった。

(ドキドキ……はぁはぁ……)

……………………………………………………

静寂の中、ハッと我に返り

「無いわー……(ボソ)」

危うく犯罪者になる所だった(汗)
それよりも、そんな事したらそれこそ恩を仇で返す事になってしまう行為だ。

(はぁ~……何やってんだ俺……
こんな事しに転生した訳じゃ無いんだよな………
前世の身内に会いに来たって言うのに……
取り敢えず、帰ったら仕事探すかなぁ…いつまでもニートでヒモって訳にもいかんだろうし何をするにも資金が必要だもんな。)

「はぁ~……便所行こ……」

ボタンで止めてある天幕を開いて外に出る。
辺に燈が無いのと昨晩とは打って変わって遮蔽物が無いのもあり、空はまるで人工のプラネタリウムのようだった。

「凄っ……」

すると
「気を付けて~。」

ビクッ!として思わずテントの方を見るが、入り口は閉めてあるので中の様子は伺えない。

(まさか、起きてた……のか……?)

その事に気付いたと同時に冷や汗が吹き出た。

(マジ侮れん!やば!ホントなんもしなくて良かった~!怖ーよ!マジ怖ーよ!)


マサキの行動とは関係無く
父親と旅をしていた頃の癖で、条件反射的に深く眠らない様にしていた事を知る由も無かった。




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