前世の記憶そのままのオッサンが転生したら

ぬっこさん。

文字の大きさ
25 / 127

一難去って

しおりを挟む
ティナと俺は、異世界とは言え天下の公道が自分達のせいで汚れてしまった為に
そこら辺にある末広がりな枝を切って竹箒代わりにして掃いている。

「マサキ~!キモイ!」

「うほっ!もっと言って!」
(じゃ無かった。)
「主語を略すなよ!(ニヤニヤ)」

「何か、生っぽくてキモイ!」

しかめっ面をしながら枝で表面だけ炭化した黒い物体を重そうに掃くティナ。

「確かに生っぽいな…もっかい焼くか。」

先程の緊急虫退治を思い返しながら
マサキは無造作に生っぽい部分を焼き始める。

(fire)
「ボボボボボ……」

さっきは咄嗟の事だったので
理屈を理解してやったのでは無く、単なる思い付き。
その思い付きでも魔法は成功し事なきを得た。

口に出しても、意識内でも発音で威力が変わる事や
単語を複数形っぽく変化させるだけで魔法の効果が変わる事。
幾ら気持ち悪いとは言え、なんでティナはあの時魔法使わなかったんだ?

「マサキ。」

「え?」

「地面が焦げてるよ。どうしたの?」

「あ、いや、さっきの事を考えて……」

「さっきのって、あの虫ぃ~……?」
物凄く嫌そうな顔をして返事を返すティナ。

「あ……」
と思い火を止める。

ここでフと疑問が生まれた。
(何で今、さも当たり前の様に火を止められたんだ?いや……その前に普通に火を出したよな?俺……)

「うわ~!大量だねぇ~!」

カラッカラに炭化した幼虫の跡形を谷側へ寄せ、無数に落ちている魔石を拾い集めていた。

「魔法ってさ~、言い方とか言葉で変わるの?」

拾い集めていた手を止め、小首を傾げてこちらを見上げる。

(おおおお!ちょっ!何そのアイドル的な仕草は!)

「そりゃそうでしょ。所謂〖詠唱〗って言われてるものは、幾つもの言葉や言い方の組み合わせで魔力を使って発動させてるんだもの。何を当たり前の事言ってんの?」

(ごめん!質問の仕方が悪かった!そんな哀れみの目で俺を見るの止めろし!いや、コレもあり……か?ハァハァ。)

「いや、そうなんだけど、俺の場合、ファイヤーって言うのとfire(巻舌)って言ったり思ったりするで効果が違うんだよ。」

「うん。」

……………………………………

「うん……」
(何?今の間は……)

「ヤーとre(巻舌)の違いで?って事?」

「うん。」
(だから〖バカな子的〗な眼を止めろし!)

…………………………………………

「うん。だから言い方とか言葉の組み合わせで魔力を使って発動させてるんだってば。」

(あれれ?最初にもどったぞぃ?ダメだ、何かが噛み合ってない。なんか昨日もこんな感じの事があった気が………)

「ん~……なんだ?…………その、……俺さ、魔法の基礎とか基本概念とか理解して無いからその辺教えてよ。正直、今も何で普通に火を出せて止められたのか自分で自分に疑問しかなくて。」

ティナは5ミリ程の小さな魔石をせっせと革で出来た巾着にしまっている。

「あ~……。何となく解ったよ。じゃ~、帰ったら私の解る範囲で教えるね!」

「え?この旅の間に教えてくれないの?」

「ん~教えても良いんだけど…」
と何となく歯切れが悪い感じ。

黙って答えを待っていると
「教えちゃうと、マサキってそればっかり考えてさ、他の事……取り敢えず今はこの旅をちゃんと怪我をせずに帰るって事ね、が疎かになるでしょ?憶測だけどさぁ……」

……………………………………………………

「ごもっともで……(白目)」

(他に、あの時何故ティナが魔法を使わなかったのかとか色々聞きたい事があったけど、図星と言うか、確かに、自分でも簡単に予想出来る行動を完璧に読まれていて
これ以上は何も言えないです……ハイ……(白目)

「ほら~、そんな顔しないで!無事に帰ったらちゃんと教えるから~、今は魔石拾って硬竹をモアに詰め込む作業しよっ?この為に折角ここまで来たんだから。」

(いや、色々聴けなかったり教えて貰えなかった事に関してはしょげては無いよ、てか、余りにも俺氏ダメ人間すぐる……アハハ……ハハ……)

「了解、なら俺がモアに竹を積むから幼虫の魔石拾ってて!」

「マサキ!幼虫言うなし!」

(よっぽど魔虫が嫌いなんだな……ありゃ俺がGを嫌いなのと…………)

と言い掛けてハッとする。

「もしかして、最悪のフラグ立てちゃった……?のか?(固)」




  只今の時刻は15時40でまだまだ陽は高い。

小さいながらも魔石を100個近く拾い集め、2匹のモアに硬竹を載せた。

初めはあんな長いものをどうやって載せるのかと疑問だったが、両羽根の付け根の上下、人で言う所の脇の胸側と背中側にロープで括りつけた。

「なんだか、メサイアにスーパーパック付いてるみたいだな(笑)」

「ま~た何か変な事言ってる~。」

(独り言聞かれた、おれ恥ずかしい……)

「ここじゃ野営出来ないから、先ず昨日野営した道まで戻って、一旦そこで休憩がてらに今日の予定を考えよっ!」

「アイ!マン!」

(何か、こういう時は凄くテキパキしてて、おいちゃん貴方のその眩しさに殺られて仕舞いますぞぃ)

来る時とは違い、荷物を載せての帰路なので
かなりのローペースだった。
例の虫の件もあり、若干の疲れを感じていたのか
レシーバーでの会話も少な気にモアを進めた。

オレンジ色の夕焼けが辺りを染める頃、行きに突っ込みそうになったストレートエンドの辺りを過ぎた。

「シー……聞こえる?」

ティナのモアが歩みを止めてレシーバーで聞いてきた。

「ザッ……聞こえてるよ!」

「ガッ……陽も落ち始めて来たからさ今日はこの辺で野営しよっ!無理して進んでも良い事無いしね。」

「シー……ザッ……了解!じゃ、また後着いてくから適当に良さげな所選んで!」

「ザザッ……解った~!」

結構な長物素材を載せて居たので
林の奥まで入ると、信地転回出来なくなる可能性があった為、
道からは丸見えだったのだが
脇のちょっとした空間で野営をする事に決まった。

道の近くのメリットは
魔物や、この辺では特に魔獣の出現率が減ることだ。
逆に、道から近いと云う事は人の眼に付き易い事になる。

そう、ただの旅人や街を回っている商人、冒険者等に出逢うのは何でも無い事なのだが、出会いたくない人種からも眼に付き易くなるのがデメリットである。

ここで言う出会いたくない人種とは

追い剥ぎと盗賊である。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...