スーパー忍者・タカシの大冒険

Selfish

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第94話: 馬(バハムーン)ののんびり疾走

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蛇・ヘビコから次の目的地を教えてもらったタカシとユウジは、次なる12支「馬」の力を得るため、広大な平原「モッサリーヌ大草原」を目指していた。

その名の通り、草原は膝まで届くほどのモサモサした草に覆われ、歩くたびに足が絡まり、進むのがやたらと面倒くさい。

「なんだこの草!忍者としての俊敏さを奪う気満々じゃねえか!」
タカシが怒りながら草をかき分けて進むと、遠くから妙にのんびりした声が聞こえてきた。

「ヨォ~、そんなに急いでどこ行くんだぁ~?」

バハムーンの登場

声の方向を振り返ると、そこには一頭の馬が立っていた。しかし、普通の馬ではない。その馬には巨大なリクライニングチェアが背中に取り付けられ、頭にはサングラスをかけている。

さらに、手にはなぜかお茶をすすりながら、片足で草をのんびり蹴っている。

「お前が……馬のバハムーンか?」
タカシが問いかけると、バハムーンはぐっと親指を立てた蹄を見せて答えた。

「そうだぜ~、俺が伝説の馬、バハムーンだ。けどさ、伝説ってのは急ぐもんじゃねぇんだよ。俺のモットーは、**『のんびりが一番』**だからな~。」

「いや、それ馬としてどうなんだよ!走るのが仕事だろ!」
ユウジが怒ると、バハムーンは肩(のあたり)をすくめた。

「まぁまぁ、焦るなって。急いでるといいことなんて何もないぜぇ~。」

バハムーンの「役に立たない特技」

タカシは手を額に当てて溜息をついた。
「とにかく、お前の力を授けてくれよ。俺たち、12支の力を集めてるんだ。」

すると、バハムーンはなぜかリクライニングチェアをさらに倒し、完全に寝そべりながらこう言った。

「いいぜ~、俺の特技を教えてやる。名前は……**『のんびりステップ』**だ!」

「のんびり……ステップ?」
ユウジが聞き返すと、バハムーンはゆっくり立ち上がり、信じられないくらい遅いペースで足踏みを始めた。

「これでな、敵がどんなに急いで攻撃してきても、逆に焦らせることができるんだよ。『なんでこんなに遅いのに当たらないんだ!?』ってな!」

「いや、そんな役に立たねえ技聞いたことねえよ!」
タカシが叫ぶが、バハムーンは得意げに蹄を叩いて続けた。

「それだけじゃないぜ。この**『のんびりステップ』**はな……相手が油断してくれるって利点もあるんだ。」

「それただの自己満足だろ!」
タカシがさらに突っ込むと、バハムーンはお茶をすすりながらこう言った。

「おっと、あんまり焦るなよ。焦ると老けるぞ~?」

突然の襲撃

その時、大草原の向こうから巨大な黒い影が迫ってきた。草を踏み潰しながら現れたのは、「草原の覇者」と恐れられるモンスター、**「スピードワイバーン」**だった。

「おいおい、あんなやつに『のんびりステップ』通じるのかよ!」
ユウジが焦ると、バハムーンは悠然と構えた。

「まかせろって。俺ののんびりがどれだけ強いか見せてやるよ。」

スピードワイバーンは猛スピードで突っ込んできた。草原の風を切る音が耳をつんざくようだ。

しかし――

バハムーンは一歩、また一歩とゆっくりした足取りでスピードワイバーンに向かって歩いていく。

「おいおい、止めてくれよ!危ねえって!」
タカシが叫ぶが、バハムーンは完全に無視。

のんびりステップの真価

ワイバーンがバハムーンを襲おうとした瞬間、なぜかピタリと動きを止めた。

「えっ、なんで?」
タカシとユウジが驚くと、バハムーンが後ろを振り返りながら言った。

「これが俺の**『のんびりオーラ』**の力だ。敵はあまりに俺がのんびりしてるから、どう攻撃していいかわからなくなるんだよ。」

ワイバーンは混乱したように頭を振り、最終的には力尽きてその場に倒れ込んだ。

「え、これ本当に役立つのか?」
タカシが疑念を抱きつつも尋ねると、バハムーンは胸を張って言った。

「のんびりこそ最強の武器だってこと、これでわかったろ?」

馬の力を受け継ぐ

「ま、まぁいいや。その力、俺にくれ。」
タカシがバハムーンに手を差し出すと、バハムーンはリクライニングチェアから降り、自分の背中に取り付けられていた「究極の馬車の模型」を渡した。

「これが俺の力、『のんびりチャリオット』だ。これを使えば、どんなに急いでる相手でもペースを崩せるぜ。」

「なんか地味だけど、ありがとな。」
タカシは微妙な表情で模型を受け取り、次なる支「羊」の居場所を聞き出した。

「羊か……また変なのが出てきそうだな。」
タカシが呟きながらユウジとともに草原を後にする。後ろではバハムーンが再びお茶をすすりながらリクライニングチェアに座り、優雅に日光浴を楽しんでいた。

「おいおい、俺たちよりアイツのほうが自由すぎるだろ……」

こうして二人は次なる冒険へ向かうのだった。
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